1on1を通じて前項の効果を得るには、以下で紹介するような成功ポイントを大切にする必要があります。この章では、1on1を成功させるためのポイントを、詳しく解説します。
なぜ1on1ミーティングをするのかを伝える
まずは、「なぜ1on1ミーティングを実施するのか?」「どのような効果があるのか?」を全社的に浸透させましょう。特に、工数を割くことになる管理職に対して、1on1の実施が組織全体のマネジメント強化に寄与すること、組織の発展・活性化につながる点を丁寧に説明することが肝心です。
説明の際、経営層が1on1の浸透にコミットし、自らメッセージを発信していくと効果的でしょう。
1on1ミーティングは決して簡単に導入できるような取り組みではありません。1回のミーティングは30分~60分程度ですが、部下の数が多くなれば、上司側には時間的な負荷がかかります。
また、実施頻度は毎週・隔週、最低でも月1回。場合によっては「業務時間の20%程度を1on1ミーティングに充てることになる」といった場合も考えられます。ともすれば、導入に対して「業務で忙しいのに、なぜ……」といった反感を上司の側から持たれることがあります。
また、部下からも「めんどくさい」「気が重い」「いつも説教ばかりの上司と定期的な面談なんて……」という否定的な反応もあり得ます。
メンバーの成長やキャリア形成のサポートのために実施するという趣旨を伝えて、上司やメンバーの理解を得ることが必要不可欠です。上司側に対しても1on1の効果や実施のポイントを伝え、必要であればコーチング手法等の研修を行なうのもよいでしょう。
基本的な信頼関係の構築
1on1に、信頼関係の醸成につながる効果があることは間違いありません。
ただし、上司と部下に基本的な信頼関係がない場合、部下から本音は出てきませんし、上司の言葉も相手に届かない状況に陥ってしまいます。
1on1を実施する際には、1on1“だけ”で信頼関係を構築しようとするのではなく、普段のマネジメントやコミュニケーションを通じて信頼関係を築いていくことが大切になるでしょう。
傾聴する
傾聴とは、相手の意見や感情に共感し、話をより深く聴き出すための手法です。
日本人には、自分の感情を表に出さない傾向があります。
そのため、部下の1on1を行なうときには、相手のペースに合わせながら丁寧に話を進めていき、相手の感情を引き出す傾聴をすることがとても重要です。
上司は、相手が話しているときに、聴くことに専念しましょう。途中で割って入ったり、強引に話を進めようとしたりしないことが大切になります。
事前準備を行なう
1on1の場合、特に決まった内容やテーマはありません。ただ、上司と部下の両方が何も考えずに実施すると「何を話そう……」と考えているうちに終わってしまうこともあります。
また、話しやすい業務進捗の話になってしまい、通常の業務レビューと変わらなくなってしまいます。
この問題を防ぐには、話すテーマの候補をリストアップして、事前に部下に決めておいてもらうことがおすすめです。具体的には、以下のようなテーマがよいでしょう。
- どのようなポジションでどのような活躍がしたいか
- いま、何か困っていることや課題
- 上司に知っておいてほしいこと
- 今後チャレンジしたい仕事
- 自分の強みや弱み
- 大事にしている価値観
- 最近、喜びを感じたこと、楽しかったこと など
言いっぱなし、やりっぱなしにしない
1on1で話したことのすべてをToDoなどにつなげる必要はありませんが、何も行動しなければ状況は変わりません。
1on1では、悩みやストレスをいいっぱなしにするのではなく、どこかできちんと行動まで落とし込むことも意識する必要があります。
たとえば、部下が「最近は外まわり営業が忙しく、テレアポの件数が伸び悩んでいる……」という話をしたと仮定します。
この場合、上司は以下のような質問やフィードバックを行ない、行動変容につなげるサポートをする必要があるでしょう。
- 外まわり営業の期間は、来週末までだったかな?
- 忙しくなると、いつも件数が伸び悩む感じかな?
- 外まわり営業に出る前、朝の時間帯を活用したらどうだろう? など
また、上司は「行動まで落とし込んだか?」「実践してどうだったか?」「状況が変わったか?」について、継続的なフォローをすることも大切になります。
上司への支援
1on1を実施する上司への支援も欠かせません。コーチング技術など、実施に求められるスキル習得や向上のための研修や教材の用意も行ないましょう。フォーマットの提供は、実施クオリティを標準化するうえでも重要です。
一人30分でも、複数の部下を持つ上司になると負荷は大きくなります。上司に負担がかかり過ぎないよう、通常業務の負荷を減らして1on1を実施できるリソースを残す配慮も継続の重要なポイントです。
継続して行なう
1on1は、すぐに効果が出るものではありません。そのため、数回実施して終わりではなく、継続的に実施する必要があります。
ただ、継続するなかでは、お互いの出張や長期休暇、繁忙期などの理由で、実施できないこともあるかもしれません。
何らかの事情で実施できなくなったときには、必ず日程の再調整をすることが大切になります。
また、上司にとっての1on1には、部下との信頼関係を築くための場でもあります。
そのため、部下と信頼関係を築き、成長につなげるためには、上司は忙しい中でも1on1の時間をできるだけ優先させることが大切です。
ただの雑談に終始しない
当然のことですが、1on1ミーティングをただ雑談するだけの場にしてはいけません。導入初期のまだ慣れていない頃であれば、アイスブレイクのために雑談から入るのも一つです。
しかし、1on1ミーティングの目的は「信頼関係の醸成」や「メンバーの成長促進」、「エンゲージメント向上」を達成するためのものです。雑談で終わってはいけません。
1on1ツールの活用
1on1を効率よく、効果的に実施するためには1on1ツールの活用がおすすめです。1on1ツールを活用することで、ミーティングのスケジュールはもちろん、面談の記録もできるので振り返りもしやすくなります。
1on1を実施するのであれば、やはり部下の成長やパフォーマンス向上につなげたいものです。上司の全てが面談スキルが高いわけではないでしょう。また1on1は上司の負荷を高めることにもなります。
1on1ツールを活用することで、「上司の面談スキルの不足」「上司負荷の高まり」をカバーすることも可能になります。
以下のページでは1on1ツールの代表的なツールを紹介しています。また合わせて1on1の基本から1on1ツールを導入した事例まで、1on1を成功に導くためのポイントについて解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。