組織活性化の取り組みを成功させるポイントとは?方法や事例を解説

更新:2023/07/28

作成:2022/06/25

東宮 美樹

東宮 美樹

株式会社ジェイック 取締役

組織活性化の取り組みを成功させるポイントとは?方法や事例を解説

組織活性化は、企業の生産性や競争力を強化するための重要な取り組みです。しかし、すぐに効果を実感できるものではないため、長期的なスパンで取り組むことが重要です。また、組織活性化には組織風土の醸成は不可欠であり、組織全体で取り組む必要があります。

 

本記事では、組織活性化に必要な3要素や取り組みのポイント、組織活性化に成功した事例を解説します。

<目次>

なぜ組織活性化が必要なのか?

組織活性化は、社員一人ひとりが主体的に業務へ取り組み、組織の目標達成を目指す取り組みを指します。組織活性化に向けては、メンバー同士のコミュニケーションが活発で、職種や役職、雇用形態などにとらわれない風土であることも大切です。

 

知識社会となり、企業間の競争も激化するなかで組織が成長していくためには、生産性向上や競争力強化が不可欠です。さらに近年はテレワークの普及もあり、社内コミュニケーションやミッション・ビジョンの浸透などの重要性があらためて注目されています。

 

組織活性化に取り組むことでコミュニケーション不足を解消したり、施策の実行スピードを速めたり、社員のエンゲージメントを向上させたり、定着率を向上させたりといった効果が期待でき、組織の生産性向上や競争力強化につながります。

組織活性化に必要な3つの要素

若い男女のグループ

 

組織活性化には、以下3つの要素が不可欠かつとても重要となります。

 

社内コミュニケーションの改善

組織活性化には、社内コミュニケーションが活発で、同僚や部署のメンバーとの関係が構築できていることが重要です。

 

組織内のコミュニケーションが円滑になると、メンバーの心理的安全性が確保されやすくなるほか、組織に対するエンゲージメントも高い状態になり、メンバーの主体的な行動・発言が増えるでしょう。

ミッションやビジョンの浸透

組織活性化には、組織のミッション・ビジョンが全社員に浸透し、発言や行動に反映されていることも必要です。メンバーが組織の存在意義を理解し、共通目的を持つことで、組織の目標達成のために主体的に業務に取り組むようになります。

 

また、ミッションやビジョンの浸透は社員同士の心理的結びつきを生み出し、組織に一体感をもたらします。さらに、「何のために働くのか」という動機付けにもなるため、モチベーションアップにも効果的です。

組織風土の改革

組織風土とは、組織に所属する人が感じている表面化、また暗黙知として存在している価値観、考え方、行動規範などのことをいいます。

 

組織風土は社員の意思決定や行動に大きな影響を与えるほか、社員の主体性やコミュニケーションのあり方も組織風土に大きく依存しています。根本的に組織を活性化させたいなら、組織風土の改善・改革が必要です。

根本的には組織風土の改革が重要になる

活気のあるビジネスチーム

 

組織活性化にはコミュニケーション改善やミッション・ビジョンの浸透、あるいはミッション・ビジョンに付随する個別具体的な施策も大切ですが、根底となってくるのは組織風土です。

 

組織風土は社員の行動や感情、モチベーションに大きな影響を与えるため、改革が成功すれば組織活性化が一気に進み、組織の競争力、生産性も自ずと向上していくでしょう。

 

ただし、組織風土は一朝一夕で変わるものではありません。経営幹部陣が改革に強くコミットした場合でも、3年程度は時間がかかると思ったほうがよいでしょう。

組織風土に影響を与える要素はいくつかありますが、そのなかでも特に重要なのが以下の3つになります。

  • 人事評価の制度と運用の実態
  • 経営陣や上司のマネジメント(意思決定、発言、行動)
  • 仕事の目的や目標、成果に対する考え方

人は良くも悪くも評価・承認に向かって動く傾向があり、動きに対して評価・承認をするのは経営陣と上司です。そして、評価・承認の根底にあるのが仕事の目的や目標、成果に対する考え方です。組織風土の改善・改革を図るには上記3つの要素を意識することが大切です。

 

とくに一番根っことなる、仕事の目的や目標、成果に対する考え方を醸成することはとても大切です。

組織活性化のために導入したい制度やツール

組織活性化のための具体的な制度やツールでは、以下のようなものがおすすめです。

 

社内SNSなど

社内SNS、あるいはグループウェアの活用は、社内コミュニケーションの効率化・活性化に役立ちます。最近では安価なクラウド型のSaaSサービスなども多く存在するので、導入コストの負担も最小限に抑えることが可能です。

 

<よく使われている社内SNS・グループウェア製品>
 

料金機能特徴
Slack無料~・独自の絵文字作成
・定期ポストなど
連携できる外部サービスが豊富
Microsoft Teams無料~・音声・ビデオ通話などOffice製品とのシームレス連携
Chatwork無料~・チャット
・音声
・ビデオ通話
・タスク管理
・ファイル共有など
国産のビジネスチャットツール
LINE WORKS無料~・トーク
・カレンダー共有
・スタンプ機能など
LINEのビジネス版

コミュニケーション機会

部門や職種を超えたコミュニケーション、日常業務の進行ではないコミュニケーションの機会を増やすことも組織活性化に向けておすすめです。

 

特にテレワークを導入している場合は、雑談が減少したり、コミュニケーションが部門や業務の関わり内で完結する“タコツボ化”が起こりがちだったりします。

 

したがって、始業・就業のタイミングでの雑談ビデオ通話や、MTG冒頭でのチェックイン(アイスブレイク)、1on1ミーティングなどを積極的に取り入れることが重要です。

サンクスカードやピアボーナス

サンクスカード(紙、またはデジタルデータ)、ピアボーナスなども、社内コミュニケーション活性化や社員同士の信頼関係構築に有効な制度です。

 

サンクスカードとは、上司や同僚、部下などに感謝を伝えるカードです。また、ピアボーナスは「Peer(仲間)」と「Bonus(報酬)」を合わせた言葉で、社員同士で報酬を贈り合うというものです。

 

いずれも社員同士がポジティブなやりとりを行なうため、モチベーションアップや、コミュニケーションの活性化につながります。最近はサンクスカードやピアボーナスに特化したWebサービスもありますので積極的に活用していきましょう。

<よく使われているサンクスカード・ピアボーナス製品>
 

料金機能特徴
Unipos要問合せ・ポイント付与
・アナリティクス機能
・ビジネスチャットとの連携
・プロフィール機能など
導入企業の継続率が99%近い実績
サンクスカード初期費用55,000円
月額11,000円~(初月無料)
・手書きメッセージ
・デザインの登録・選択
・自動集計
・社内掲示のランキング作成など
手書きメッセージが送れる
THANKS GIFT要問合せ・社内通貨の利用
・掲示板機能
・プロフィール機能
・いいねボタン
・アンケート機能など
メンバーのエンゲージメントが測れる
thanks!要問合せ・ノート機能
・ポイント付与
・スタンプ
・分析機能
・アンケート作成・収集など
ポイントをTポイントやAmazonギフト券に交換できる
Willysm初期費用50,000円~
月額700円~
・ストレスチェック機能
・感情自動判定など
モチベーション管理ができる
RECOG要問合せ・社内ポイント
・掲示板
・チャット
・チームページなど
送られたレターをシェアできる
HeyTaco!月額3ドル・リーダーボード
・ユーティリティコマンド
・マジックコマンドなど
贈られたタコスの数に応じて得点がもらえる

組織活性化の事例

本項では組織活性化の事例として、HRドクターを運営する研修会社、株式会社ジェイックのエピソードをご紹介します。

 

ジェイックでは、社員個々人の向上心や数字意識は高かった一方で、組織全体の一体感や連携は少なく、いわゆる“個人商店”的な社風の会社でした。

 

順調に成長して社員数100名を超えたころに、2008年リーマンショックによる業績低迷に見舞われました。その結果、報酬や自己成長といった個人の利害でつながっていた組織には、事業部間の露骨な敵対心、社内の不遜な噂、顧客からのクレームなどさまざまな問題が噴出。

 

このままでは倒産もありうるといった状態だったところから書籍『7つの習慣』を使った勉強会を導入。

 

共通言語の構築、勉強会での自己開示を通じた相互理解、相互理解の促進によるコミュニケーション活性化、自責文化の浸透による主体性の発揮などにより、社風は劇的に改善され、組織活性化に成功しました。

このとき、教材に使ったのが、スティーブン・R・コヴィー博士によって提唱された、効果性を発揮するための原則をまとめた書籍『7つの習慣』でした。

<7つの習慣>
  • 第1の習慣・・・主体的である
  • 第2の習慣・・・終わりを思い描くことから始める
  • 第3の習慣・・・最優先事項を優先する
  • 第4の習慣・・・Win-Winを考える
  • 第5の習慣・・・まず理解に徹し、そして理解される
  • 第6の習慣・・・シナジーを創り出す
  • 第7の習慣・・・刃を研ぐ

ジェイックでは書籍『7つの習慣』を活用することで組織活性化を実現しました。『7つの習慣』の概要は、以下の記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。

また、先ほど取り上げたジェイックの事例をより詳細に記した資料もご用意しています。組織活性化や組織風土変革のヒントになりますので、ご興味あればぜひダウンロードしてご覧ください。

まとめ

組織活性化に必要な要素は、「社内コミュニケーションの活性化」「ミッション・ビジョンの浸透」「組織風土の改善・改革」の3つです。

 

3つのうち、組織風土の改善・改革は組織活性化の根底となるものです。良い組織風土が実現した土台のうえに、社内コミュニケーションの活性化施策やミッション・ビジョンの浸透施策を実施することで、組織活性化は一気に進むでしょう。

 

組織風土の改革は一朝一夕に成し遂げられるものではありませんが、組織を活性化させ、企業の競争力や生産性を向上させるためには避けて通ることはできません。ただ、大きな効果が得られるものですので、ジェイックの事例も参考にぜひ取り組んでください。

著者情報

東宮 美樹

株式会社ジェイック 取締役

東宮 美樹

筑波大学第一学群社会学類を卒業後、ハウス食品株式会社に入社。営業職として勤務した後、HR企業に転職。約3,000人の求職者のカウンセリングを体験。2006年にジェイック入社「研修講師」としてのキャリアをスタート。コーチング研修や「7つの習慣®」研修をはじめ、新人・若手研修から管理職のトレーニングまで幅広い研修に登壇。2014年には前例のない「リピート率100%」を達成。2015年に社員教育事業の事業責任者に就任。

著書、登壇セミナー

・新入社員の特徴と育成ポイント
・ニューノーマルで迎える21卒に備える! 明暗分かれた20卒育成の成功/失敗談~
・コロナ禍で就職を決めた21卒の受け入れ&育成ポイント
・ゆとり世代の特徴と育成ポイント
・新人の特徴と育成のポイント 主体性を持った新人を育てる新時代の学ばせ方
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