組織風土とは?構成要素を考える
「組織風土は重要」ということには多くの方が同意されると思いますが、「組織風土とは何か」と聞かれると、説明するのは意外と難しいものです。組織風土とは具体的にどんなものなのか、を確認しておきましょう。
組織風土とは
「組織風土」とは、「組織に所属する人が感じている表面化された価値観」のことです。メンバーの行動を生み出す価値観、考え方、行動規範等です。必ずしも言語化されているとは限らず、むしろ不文律や暗黙の了解であることが多いかもしれません。
例えば、組織内で何か問題が起こったとき、「我が社は、失敗に寛容であり、悪い報告をちゃんと上げ、問題を解決する行動が重要である」という価値観が浸透していれば、すぐに上司や責任者に報告が上がってくるでしょう。
一方で、「我が社では、失敗をすれば厳しく評価され、“誰が悪いのか”を上司に追求される」という暗黙知があれば、何とか問題を隠蔽しようとする行動が増えるでしょう。もちろん、「悪い報告ほど早く上げる」「解決できる権限がある人のところまで上げて、即応と再発防止をした方が良い」ということは、大半の社会人は知っています。
しかし、実際に行動を決めるのは、「我が社の組織風土」であり、価値観や暗黙知だということです。このような「我が社の価値観や考え方」こそが「組織風土」です。組織風土は社員の意思決定や行動に大きな影響を及ぼしていることから、変革は非常に難しい反面、成功したときの影響は大きなものがあります。
組織風土に影響を与える3つの要素
繰り返しの通り、組織風土は社員の考え方や行動に直結するものです。では、組織風土に大きな影響を与える要素は何でしょうか。各種ありますが、とりわけ重要なものは下記の3つです。
- 経営陣や上司のマネジメント(意思決定、発言、行動)
- 人事評価制度と運用の実態
- 仕事の目的や目標、成果に対する考え方
この3つが表しているものは、「我が社では何が正しいか」です。良くも悪くも、人は「評価」と「承認」に向かって動きます。
「評価」と「承認」において、最も分かりやすいものは人事評価制度と運用の実態です。「組織内でどのような行動を取った人が評価されるのか」「どんな行動をした人が昇進の機会を得られるのか」「誰がより多くの報酬を得られるのか」といった内容は、社員の考え方や行動、モチベーションに大きく影響するといえるでしょう。
一方、人事評価制度で評価されるのは四半期に1回、反映されるのは半期や年に1回等、時間軸が長くなります。また、多くの人事評価において、業績という結果指標が大きな影響を占めるため、組織風土の問題は表面に出にくい部分もあります。
それでは、職場の日常における「評価」と「承認」をするのは誰か。間違いなく、経営陣と上司です。人事制度的な意味合いでの「評価」もそうですが、「社員の意思決定や行動」に対する「評価」と「承認」をするのは経営陣と上司です。
冒頭で紹介したような、悪い報告を上げてきた部下に対して、他部署への対応に関して、顧客への対応について、部下や同僚・上司への対応について…経営陣や上司、先輩社員がどのように判断し、対応しているかが、「我が社では何が正しいか」「何が評価されるか」を決めています。
また、これらの根底に流れるのが、仕事の目的や目標、成果に対する考え方です。これは組織の存在意義、果たすべき役割等ミッションやビジョンから繋がってくる要素も大きいでしょう。「我が社では何が正しいか」はいわば“内向きの視点”です。そこに対して、仕事の目的や目標、成果に対する正しい考え方は、「組織として社会や顧客に価値を提供する」という“外向きの視点”です。
よく「組織の結束力を高めるためには、外に敵を作ること」といわれます。“敵”というとまったく意味が異なってしまいますが、成果を生み出すための健全な組織風土を作るうえで、“外向きの視点”があることは非常に重要です。
なぜ、いま組織風土が重要視されているのか?
組織風土がいま改めて重視されている理由には、市場変化の激しさと産業のサービス化といった時代背景があります。現在、ネットの発達等により個人が受け取る情報量は10年前の530倍ともいわれます。これは組織においても同様です。そして、飛び交う膨大な情報量も背景として、産業や技術の変化スピードは数十年前と比べると圧倒的に早くなっています。
また、製造業が中心だった産業構造が、情報通信やサービス業を中心としたものに変わっていることも見逃せません。極端にいえば、「優れた製品を開発し、決められた行動を粛々と生産性を高めながら実行していく」ことが競争力に繋がっていた時代から、たとえ製造業といえども「顧客と向き合う一人ひとりの社員が“サービスを生み出す”」時代に世の中は変化しています。
その中では、社員一人ひとりが主体的に考え、組織の方向性に沿って正しく意思決定することが求められます。また、情報が高速で流通・拡散する中で、「正しい戦略や戦術を持つ」こと以上に「決めた戦略や戦術をやり切る力やスピード」が企業の競争力となっている部分もあります。
社員一人ひとりの主体性や意思決定、また、戦略や戦術をやり切る力やスピードは、組織風土に依存します。だからこそ、事業の継続・成長に向けて、組織風土を改変し、組織の行動スピードや実効力を高めることがとても重要になるのです。







