キャリア面談が注目される背景には、雇用環境も大きく変わってきているなかで、転職が当たり前となり、若手や優秀層を定着させるためにはキャリア支援、キャリア安全性の確保が不可欠となっていることがあります。
また、最近は働き方の多様化や従業員一人ひとりのキャリア観や価値観が変化し、従来のような画一的な人事施策では対応が難しくなっています。そうした中で、企業と従業員の対話の場として「キャリア面談」を重要な人材マネジメント施策として位置づけ、実施する企業が増えています。
面談を通じて従業員の本音を引き出し、自律的なキャリア形成を支援することで、エンゲージメントの向上や離職防止にもつながります。特に今後は、就労期間の長期化に伴い、ミドルシニア層のキャリア再構築においても、キャリア面談は重要性を増すでしょう。
以下では、キャリア面談が注目される背景として主なものを解説します。
エンゲージメント向上・離職防止策
キャリア面談の実施により、従業員は「会社側が自分を理解し、支援してくれている」という実感を得ることができます。この実感は、組織に対する信頼感や帰属意識の向上につながり、結果的にエンゲージメント向上に寄与します。
面談を通じ自身のキャリア志向と会社の方向性との接点を見出すことで、日々の業務に対して意味付けをすることができます。自分の成長や目標達成につながるものとして仕事を捉えることで、モチベーションの維持・向上が期待できます。
また、キャリア面談は従業員が抱える不安や不満を把握する貴重な機会でもあります。早期に問題を把握し、必要なフォローや対応を行うことで、離職リスクの軽減にもつながります。
上司や人事が従業員の本音を引き出せていない、といった場合には、社外のキャリア専門家に支援を依頼する方法も有効です。
キャリア自律の重要性
終身雇用や年功序列といった従来の制度が崩れ、会社に依存せず自分のキャリアを自ら考え、選択していく「キャリア自律」が重要になっています。しかし、自分のやりたいことや将来像が漠然としている人が多いのが実情でしょう。特にミドルシニア層は会社からの指示に従って働いてきた人が多く、自分で今後のキャリアを考えることが難しい傾向があります。
キャリア面談を通じて自己理解を深め、自分の強みや価値観を整理することで、キャリアビジョンを明確にすることができるようになるでしょう。また、従業員のキャリア自律を支援することは、従業員のエンゲージメント向上にもつながり、離職防止にも有効な施策となります。
ミドルシニア層のキャリア再構築と活躍の推進
就労期間の長期化により、ミドルシニア層が職場で活躍し続けるための支援が重要となっています。
40代・50代の社員は、下の世代からの突き上げ、また役職定年など、キャリアの転機を迎えることが多く「キャリア再構築」が重要な課題です。キャリア面談の実施はミドル~シニア層が今後のキャリアの方向性を再設計するきっかけとなります。
また、会社側も本人の強みや希望を把握し、適切な配置や成長機会を提供することで、経験豊富な人材を活かすことができます。さらに、豊富な経験と知識を持つベテラン社員が引き続き活躍することで、若手・中堅社員にとって良いロールモデルとなり、組織全体の活性化にもつながります。キャリア面談は、ミドルシニア層の不安を軽減し、前向きなキャリア形成を支援する重要な取り組みといえるでしょう。
価値観・働き方の多様化
近年、テレワークや副業、ジョブ型雇用の導入などによって、働き方の選択肢は過去と比べて大きく増えています。また、一人ひとりが持つキャリア観や価値観も多様化しています。世代ごと、個人ごとに様々なキャリア観や価値観があります。ワークライフバランスを重視する人もいれば、専門性の向上や社会貢献を重視する人もいます。こうした多様な働き方・価値観に対して、従来の画一的な人事施策では限界があり、個別に対応する必要性が高まっています。
個別に行うキャリア面談を通じ、従業員一人ひとりの志向や将来像を把握することで、柔軟な対応や支援が可能となり、企業は従業員のエンゲージメントを高めることができます。