キャリア開発を行なう際に注意するべき点は5つあります。
- メンバーとの信頼関係が重要
- メンバー主体で行なう
- 囲い込もうとするのはNG「選ばれ続ける組織」を目指す
- 組織文化との整合性を確保する
- 多様なキャリアの選択肢を提供する
メンバーとの信頼関係を築いてから行なう
企業のキャリア開発は、前提としてメンバーが「この企業でスキルを高めたい」と思われるような信頼関係を築いていることが大事です。
信頼関係が築かれていなかったり、基本的なメンバーの満足度が担保されていなかったりすると、キャリアプラン研修などは離職を促進することになりかねません。
従業員主体で行い、従業員の自律を支援する
企業目線のキャリア開発になってしまうと、なかなかメンバーの内発的動機づけになりません。例えばキャリア研修やキャリア面談を、はじめから社内でのキャリア構築のみに限定して実施するのはNGです。メンバーの納得度が低くなりますし、企業が前に出過ぎるとメンバーが受け身になってしまいます。メンバーが目的意識を持って主体的に取り組めるようにキャリア開発を支援することが大事です。
また優秀人材の引き留めなどの視点では、社内でのキャリア開発を前提にしたいところはありますが、今の時代、無理に社内に引き留めるよりも、社内で機会は提供したうえで、アルムニ採用などと組み合わせてもう一度戻ってきてもらえるようにした方が効果的です。
囲い込もうとするのはNG「選ばれ続ける組織」を目指す
従業員の視点でキャリア開発を考えた際、選択肢は必ずしも自社内に留まるものではありません。
企業側からすると、キャリア開発を支援する目的のひとつは若手や優秀人材の引き留めですので、可能な限り社内でのキャリアプランを描いてもらいたいが自然な気持ちです。しかし、キャリア開発の支援、とくにキャリア研修やキャリア面談などのなかで、露骨に社内にキャリアを押し込めようとする姿勢は従業員の反発を招くだけです。
転職サービスがこれだけWeb上にあふれている中で、従業員のキャリアを自社内に囲い込もうとすることは不可能です。それよりも社内のキャリア開発に関する制度を整備し、より良い職場として、自然と選ばれ続ける環境を目指す必要があるでしょう。
組織文化との整合性を確保する
キャリア開発の支援に取り組む上では、企業の組織文化との整合性を確保することも大切です。
どんな企業にも、経営理念やビジョン、そして独自の組織文化があるでしょう。企業の組織文化と乖離したキャリア開発支援を行えば、混乱を招いてしまう恐れがあります。例えば、チームワークを重んじる文化の中で、個人主義的なキャリア開発を推進すれば、組織の一体感は損なわてしまうでしょう。反対に、個人の自主性を尊重する文化において、画一的な研修を一律で受講させれば従業員のモチベーションが下がってしまうことも考えられます。
このように組織文化と齟齬のあるキャリア開発施策を導入することは、むしろ逆効果になりかねません。自社の組織文化や社風に合わせて、キャリア開発施策を進めることが大切です。働き方に関する時代の大きなトレンドと自社の組織文化がかみ合っていないようであれば、自社の組織文化の改革とキャリア開発の支援施策を、足並み揃えて動かしていくことが大切です。
多様なキャリアの選択肢を提供する
働き方やキャリアに対する考え方は、一人ひとり様々です。とくに現在は、組織の中で成果を上げながら昇進を目指す人もいれば、転職を重ねながらキャリアを積もうと考える人、起業に挑戦する人など、キャリア志向や働き方の希望は多種多様になっています。
このような状況を踏まえて、企業がキャリア開発支援を行う際には従業員に多様な選択肢を提示することが大切です。社内の出世というキャリアパスだけを示すのではなく、様々な働き方の選択枠を用意することが求められます。
たとえば、専門職としてのキャリアパスを用意することは今や必須と言えるでしょうし、また育児や介護などのステージにおいては時短勤務でワークライフバランスを重視する働き方、エリア限定の制度等も必要かも知れません。また、副業や複業などの働き方も広がっている中で、「正社員なら週5日8時間勤務」という考え方を見直す可能性もあるでしょう。
多様なキャリアの選択肢を提示することで、従業員一人ひとりが自分に合った形で成長できる環境が整います。さらに、自分のキャリアに即した選択肢が用意されていれば、従業員のモチベーションとエンゲージメントの向上につながるはずです。