なぜ目標達成できないのか?未達の理由と目標達成の5ステップを解説

なぜ目標達成できないのか?未達の理由と目標達成の5ステップを解説

組織でも個人でも「目標を設定して達成する」というプロセスは、欠かせないものです。特に、企業においては全社の事業計画があり、事業計画を達成するために部門計画、チーム計画、個人計画と落とし込んで目標設定が行なわれることが一般的です。

 

逆にいうと、各個人・チーム・部門の目標達成を積み重ねて、全社の目標達成が実現するわけで、各メンバーやチームの目標達成力を高めることが、事業計画の実現にとって非常に重要です。

 

記事では、「どのようにすれば目標達成力が高まるか」を目標達成できない理由からひも解きます。併せて、目標達成を実現する5つのポイントを解説します。

 

<目次>

目標達成できない5つの理由とは?

チェス盤上のビジネスマン

個人や組織において、目標達成できないおもな理由は下記の5つに分類されます。目標達成力を高めるためには、まず「なぜ目標が未達に終わるのか?」を分析することから始めましょう。

 

 

 1. 目標がそもそもない、適切に設定されていない

「目標達成できない理由」と矛盾しているように思えるかもしれませんが、目的や理想、方向性はあっても、目標が設定されていないケースは意外と多くあります。また、目標が「SMARTの法則」に従って、適切に設定されていないケースも非常に多いものです。

 

「目標」の意味を理解して適切な目標を設定しなければ、達成することは難しくなります。

 

 

2. 本気で達成しようと思っていない

上司に具体的な数字(目標)は提示されていても、目標が「与えられたもの」になっていて、自分ごとになっていないメンバーも多いかもしれません。

 

目標を達成するための緻密な実行計画があったとしても、実行する当人が本気でなければ計画倒れで終わってしまいます。また、半期目標・年間目標などに関して、計画どおりにすべてが進むということは殆どありません。

 

多くの場合、計画どおりにいかないことが発生して、そこからどう目標達成までキャッチアップするかに知恵や努力が問われます。目標達成に本気でなければ、想定外の出来事を乗り越えて目標達成できるはずがありません。

 

 

 3. 計画がない

本気で目標達成したいと考えていたとしても、目標達成するための具体的かつ適切な計画がなければ達成からは遠のきます。また、計画が甘く、「すべてうまくいくことを前提に設計されたプラン」でも目標達成することは難しいでしょう。

 

 

4. 他人の力を使えない

目標を自分一人で達成しようとしすぎる場合も、達成のハードルが高くなります。仕事においては、上司や同僚、周囲の助けを適切に借りることが大切です。

 

目的は目標を達成することです。自分一人で達成する必要はなく、むしろ他者の協力を得たほうが目標達成しやすくなるでしょう。

 

 

 5. モチベーションに振り回される

達成したい目標があるのにモチベーションが上がらず、なかなか達成できないというケースも少なくありません。目標達成に本気だったとしても、さまざまな外部要因によってモチベーションは上下するものです。自分自身の傾向を知り、良いパフォーマンスができる状態に自分を保つことが必要です。

 

目標達成に向けた5ステップ ~考え方と実践方法~

目標達成ができない原因には、それぞれ対処法があります。基本的には、以下の5ステップを実施することで、目標達成の確率は向上できるでしょう。

 

 

1. SMARTの法則を用いて目標設定する

SMARTの法則とは、目標設定する際、以下5つの要素を含めるように目標設定するやり方です。SMARTの法則で目標設定することで、達成に向けた精度が上がります。

 

<SMART>

 

・Specific      :具体的(何を達成するか具体的な表現でわかりやすい)

・Measurable    :計測可能(誰が見ても○×が明確につけられる)

・Achievable    :達成可能(現実的に達成できる、チャレンジできる範囲である)

・Relevant      :関連性(実現したい目的や上位目標とつながっている)

・Time-bound    :期限が明確(いつまでに達成するのか納期が明確になっている)

 

例えば、「生産性を上げる」というのは方針や理想であり、目標ではありません。「20××年□月末までに、○○○の仕事にかかる時間が月30時間減るように業務を効率化する」といった形で、SMARTの法則に従って目標設定することが重要です。

 

 

2. 目標に意味付けする

目標達成に本気で取り組むためには、目標の意味付けが大切です。

 

目的と目標の関係性でよくいわれますが、目的は「的(まと)」であり、目標は「標(しるべ)」です。目指す「的」に向けて、どれぐらい進んだかを把握するための「標」が目標です。つまり、極端にいうと目標に意味はないのです。

 

特に組織で働く場合には、目標の意味付けが非常に重要です。なぜなら、組織内の各メンバーの目標は、組織全体の事業計画などから落とし込まれたものであることが一般的です。そのため、目標に「個人やチームとしての意味」を見出しにくくなります。

 

 

個人であれば、自分自身で「夏までに10kgダイエットする」という目標を決めたとき、目標は「モテたい」「子供にとってカッコいいパパでありたい」「自分に自信を持ちたい」のように、目的から自然と落とし込まれています。

 

しかし、組織における「第○期の売上目標3億8,000万円」という目標には、個人やチームの目的と関係ないところで決まる部分が大きいでしょう。だからこそ、組織内の目標は“与えられた”目標となり、本気になっていないメンバーが多くなりがちです。

 

「目標を達成することで何を得たいのか」は人それぞれ違います。だからこそ、目標にしっかりと意味付けして、「何のために達成するか」を明確にしましょう。

 

 

3. 目標達成できる計画を立てる

目標達成ができたら、達成までの道のりをしっかり計画する必要があります。目標達成の計画を作るうえでは、原田メソッド®が教える「オープンウィンドウ64」が参考になるでしょう。

 

オープンウィンドウ64は、目標達成の計画を精度高く作るためのツールです。オープンウィンドウ64では、目標達成の方法を64の具体的な行動へ落とし込んでいくため、抜け漏れを減らし、さまざまなアイデアを生み出すことに役立ちます。

 

<オープンウィンドウ64の使い方>

 

STEP1:達成したい目標を中央に書き込む

オープンウィンドウ64

 

 

STEP2:目標達成のために必要な活動や要素を取り組む大分野(基礎思考)として8つ書き込む

オープンウィンドウ64の基礎思考

 

 

STEP3:

  • 書き出した8つの取り組みテーマ(基礎思考)を、周囲を取り囲む8つのマス中央にそれぞれ書き込む
  • 1つの基礎思考に対して8つの具体的な実行施策(具体的な行動がイメージできるもの、実践思考)を書き込む

落とし込まれたオープンウィンドウ64

 

STEP3までを実行することで、1つの目標に対して64個の実行施策が書き出されることになります。64個の実行施策をもとにして効果性や優先順位を決め、具体的な行動目標や行動計画へと落としていくことで、施策の抜け漏れが減ります。また、二の手や三の手も用意された、精度の高い計画を作成することができるでしょう。

 

オープンウィンドウ64は「マンダラート」とも呼ばれています。詳しい作成方法は、以下の記事で解説しています。

12B_マンダラートとは?目標達成やアイデア発想への役立て方と書き方を解説

 

 

4. 支援者を巻き込む

目標は自分一人でやることに固執せず、他人の協力を仰いだほうが達成しやすくなります。「誰にどのような協力を仰いだらうまくいきそうか」を計画作りの段階で考えて、支援を依頼する行動を計画に組み込みましょう。

 

 

5. セルフコントロールを身に付ける

作成した計画を実行して目標達成するには、自分自身のモチベーションやパフォーマンスを安定した良好な状態に保つことが大切です。

 

私たちは社会的な生き物です。体力や気力の波、人とのつながりや外部的な要因のなかで、モチベーションやパフォーマンスの上下が生じます。

 

自分自身がどのようなときにモチベーションを落とすのか、どうすればパフォーマンスを高められるのかを分析しましょう。そして、モチベーションやパフォーマンスを維持するための行動や習慣を計画に組み込んでおきましょう。

 

組織の目標達成力を高めるには?

オフィスでの仕事風景

 

目標達成の王道となるのは上記で紹介した5つのステップですが、それ以外にも組織や個人の目標達成力を高める取り組みを3つ紹介します。

 

 

目標管理制度(MBO)の導入と運用

目標管理制度(MBO)は、マネジメントの父とも呼ばれるドラッカーが提唱したものであり、目標を使って組織のマネジメントや社員の自律を生み出すための制度です。世界的に目標管理制度(MBO)を導入している企業は多く、組織マネジメントの定番ともいえる制度です。

 

組織における目標管理制度(MBO)の導入と運用は、以下のような点がポイントです。

 

  • 人事評価制度などと連携させることで、目標達成の報酬がリンクする「成果主義」を取る
  • 組織全体の中期経営計画、年度の事業計画を部門、チーム、個人という形で連携させて落とし込む
  • 各組織の管理職に、SMARTの法則や目標達成の5ステップといった目標達成スキルを身に付けさせる
  • 日々の活動をマネジメントするうえで、KPIマネジメントの考え方と組み合わせる
  • 業績目標だけでなく、能力開発などの組織開発に関する目標を組み込む

 

組織によっては、評価制度と連携させることが一般的な目標管理制度(MBO)よりも、OKR(GoogleやFacebookなどで導入される目標マネジメントの仕組み)が向いている場合もあるでしょう。

 

MBOやOKRは以下の記事で解説していますので、ご興味があればご覧ください。

 

 

目標と進捗を毎日思い出す仕掛けを作る

目標を達成できない人の多くは、日常業務を動かすことに没入して、達成すべき目標を忘れています。目標数値を言えない、現在が言えない、現状での着地見込みが分からないというのは、目標達成力が低い組織でありがちな課題です。

 

目標をしっかりと意識するためには、組織の誰もが以下3点を把握しているようにすることが、組織の目標達成力を高める基本です。

 

  • 自分の目標、チームの目標
  • 現在の進捗
  • 目標とのGAP

 

実現するためには、「目標を書いた紙を見えるところに貼る」「進捗をホワイトボードで更新して、朝礼などで共有する」といったやり方が基本です。もちろん、SFAやグループウェアなどを使って、デジタル上で実現することも効果的です。

 

 

目標達成の技術をトレーニングする

ここまで紹介したような目標設定や達成のノウハウは、一種のスキルです。誰もがトレーニングすることで身に付けることができます。

 

しかし、実は目標達成に関して、ビジネスパーソンの多くはしっかりと学んだことがありません。学生時代、そして社会人としての体験を通じて、何となくやっていることも多いものです。

 

組織の全員が目標設定と達成に関するスキルを持っていることが理想ですし、最低でも直接的にメンバーをマネジメントする部課長やチームリーダー層が身に付けていることが必要です。目標達成メソッドはいくつかありますので、自社の組織に適したものを選択して導入するとよいでしょう。

 

まとめ

組織でも個人でも「目標を設定して達成する」というプロセスは欠かせないものです。しかし、多くの組織や個人が「目標達成したい」と思いながらも、目標達成の方法を学んだことがないのも事実です。

 

目標達成できないケースをひも解くと、原因は大きく5種類に分けられます。それぞれに対処法がありますので、目標未達の原因を明確にしましょう。原因の認識を誤ると、打ち手も誤ってしまいます。

 

目標達成に向けた基本の5ステップは以下のとおりです。

 

  • SMARTの法則を用いて目標設定する
  • 目標に意味付けする
  • 目標達成できる計画を立てる
  • 支援者を巻き込む
  • セルフコントロールを身に付ける

 

目標達成はスキルであり、トレーニングすることで誰でも身に付けることができます。ぜひ個人、また組織の目標達成力を高めていきましょう。

 

HRドクターを運営する株式会社ジェイックでも、目標達成メソッドのトレーニングを提供しています。ご興味がある方は、以下より資料をダウンロードできますのでご利用ください。

著者情報

近藤 浩充

株式会社ジェイック|常務取締役

近藤 浩充

大学卒業後、情報システム系の会社を経て、ジェイックに入社。執行役員としてIT技術者の派遣を行う「IT戦略事業部」の創設、全社のマーケティング機能を担う「経営戦略室」室長を歴任。取締役/教育事業部長として、社内の人材育成、マネジメントで手腕を磨く。2013年には中小企業向け原田メソッド研修の立ち上げを企画推進し、自部門および全社の業績を向上させた貢献により、常務取締役に就任。カレッジ事業本部長、マーケティング本部長、教育事業本部長等を歴任。

著書、登壇セミナー

・社長の右腕 ~上場企業 現役ナンバー2の告白~
・今だからできる!若手採用と組織活性化のヒント
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