
また、いまの若手が「管理職になりたくない」と思う裏側に「管理職にならなくても大丈夫」という感覚があるケースも少なくありません。
「管理職にならなくても大丈夫」と思っている理由として意外と多いのが「専門スキルを磨いていれば市場価値が上がる」という勘違いです。
確かに、昔と比べると多くの会社でキャリアパスも「マネジメント」と「プロフェッショナル」と分かれ、プロフェッショナルとしてキャリアを作る選択肢が出てきます。また、20代のころは専門性を磨けば市場価値も高まります。
しかし、数十年単位で考えてみるとどうでしょう。
本当に専門性だけでキャリアを作っていける人はかなり希少です。
たとえば、ご存じの通り、AIの発達スピードはすさまじいものがあります。すると、専門スキルだと思ってたことが専門スキルじゃなくなってくるかもしれません。また、大手中心に「役割に合わせた仕事をやる人を雇用して、見合った賃金を支払う」というジョブ型雇用の導入も進んでいます。
この2つを掛け合わせると、必要なうちは優遇されるけど、例えば、今の専門性が通じない部門に異動することは難しいし、あるプロジェクトが終了になると雇用が打ち切りになるということもあり得ます。また、今までよりも組織におけるジョブの価値が下がれば、収入減になるかもしれません。
このようにAIやジョブ型雇用が進む中では、本当のプロフェッショナル、AIなどに代替されない高い専門性を持っていなければ仕事がなくなるかもしれないということです。
そして、多少の専門性を持った個人よりも、そうした専門性を持った個人をまとめてチームや組織の成果を生み出せる人材、つまり、マネジメントできる人間の評価や待遇が高くなることも自然なことです。
このように若手が「管理職にならなくても大丈夫」と思っている裏側にある「専門スキルを磨いていれば市場価値が上がる」という理由は間違っているわけではありませんが、それが多くの人の適用される普遍的な原則かというと、決してそうではないということです。
この事実を若手中堅社員にきちんと伝えておく必要があります。
そして、誤解されがちですが、マネジメント能力というのも実はある種の専門性です。そして、多様な人を取りまとめながらモチベーションを高めていく、組織の成果を生み出すという専門性はすぐにAIに置き換えられる可能性は低く、じつは市場価値の高い仕事になっていくでしょう。

いまは正規雇用労働者の2人に1人は転職経験があるという時代になっています。その中で、若手社員は「専門スキルを学んで市場価値が高まったら転職しよう」と考えている社員も多くいます。
これ自体は責められる考えではありませんし、20代のうちは十分通用する考えである部分もあります。しかし、同時に、もしかすると間違った考え方かもしれないということを我々はしっかり伝えていく必要もあるでしょう。
それは「組織から求められてること、期待されていることをやりきってこそ市場価値が上がっていく」ということです。
繰り返しになりますが、確かにゼロからある程度の専門性が身に付いていくと市場価値はあがっていくしょう。
しかし、「ある程度の専門性」を持った人よりも、そうした人をマネジメントして組織の成果を作れる人の方がぐっと市場価値は高くなるわけです。
タスクを設計して、人と人の調整をして、人材育成をして、組織の成果にコミットする仕事の経験というのは、すごく希少性が高いということを知ってもらうことが重要です。
今後、人事制度や給与制度が変わっていく会社も多いと思います。
その中で、マネジメント業務ができる社員の給料は伸び率が高くなるということは伝えてあげた方がいいでしょう。責任と給与が見合わないから管理職になりたくないという人も多いので、しっかりと給与が上がっていく可能性はあるということを伝えてあげることは大切です。
メリット
- 責任が増えるだけでなく権限が広がる
- こなし業務ではなく挑戦できる仕事が増える
管理職になることのメリットを理解してもらう
また、マネジメントの仕事に就くと、確かに責任も増えるけど、権限が増える。組織や世の中に大きな影響を与える仕事ができる。ということを若い人たちにも理解してもらうと、また状況は変わっていくでしょう。