Z世代に対する研修や育成のポイントは?Z世代の特徴や価値観も解説

Z世代に対する研修や育成のポイントは?Z世代の特徴や価値観も解説

いまの新入社員や若手社員の大半を占めるZ世代は、経営層や管理職に多い昭和世代とは大きく異なる価値観を持つ人たちです。

 

そんなZ世代を、彼らの特徴を知らずにマネジメントしてしまうと、モチベーション低下や早期離職につながります。研修やマネジメントなどを通じてZ世代の成長を促すには、管理職や上司が持っている“当たり前”の感覚で実施するのではなく、Z世代の特徴に合ったアプローチやフォローが必要となってきます。

 

記事では、まず、Z世代の概要と特徴を確認します。そのうえで、若手育成に強い研修会社としての知見も踏まえて、Z世代に対する研修や育成のポイントを紹介します。

 

<目次>

Z世代とは?

Z世代とは、1990年半ば(もしくは2000年代序盤)以後に誕生した世代のことです。2023年現在、10代前半~26歳ぐらいまでの人がZ世代に該当します。企業でいえば大卒の新入社員~入社3、4年目までがZ世代ということになります。

 

 

Z世代が育った時代と環境

Z世代は、幼少期からリーマンショックやコロナ禍による不況などを肌で感じ、大企業も倒産やM&Aされることが当たり前の時代に育ってきました。また、日本が右肩上がりに成長する感覚はなく、むしろ少子高齢化にともなって日本が衰退していく感覚を持っています。

 

こうした時代背景や雇用制度の変遷もあり、Z世代は、雇用や評価に関して、終身雇用や年功序列といった従来型の感覚は薄く、転職や副業が当たり前という意識を持っています。

 

 

Z世代とミレニアル世代との違い

Z世代の上には、ミレニアル世代がいます。ミレニアル世代は、1981年~1997年までに生まれた人を指す言葉です。2023年時点で26歳~42歳を迎える人たちのことになります。

 

Z世代とミレニアル世代は、とても近い世代です。ただ、実際には、以下のような違いがあります。

 

ミレニアル世代Z世代
デジタルネイティブソーシャルネイティブ
理想主義現実主義
「将来」を重視「今」を重視
Me世代(自分が大事)We世代(コミュニティが大事)
依存的(何かに依存する傾向)独立志向

 

 

Z世代の特徴

Z世代に対する研修や育成のポイントは?Z世代の特徴や価値観も解説②

 

以下で紹介するZ世代の特徴は、あくまで一般論です。しかし、だとしてもZ世代をマネジメントするうえで彼らの傾向を知っておくことはとても大切です。上司である自分の常識や価値観との違いを知ったうえで、個人と接し、個人の価値観を知っていくことが大事です。

 

ワークライフバランスを重視する

Z世代には、昭和時代のように組織や仕事に対する高い忠誠心はありません。また、Z世代はワークライフバランスを重視し、たとえば、採用面接でも以下のような質問をすることは普通だと思っています。

  • 年間休日はどのくらいか?
  • 時間外労働やサービス労働はあるか?
  • 有給休暇を取得しやすいか?
  • 結婚後の待遇はどのような感じになっているか? など

 

最近の職場では、Z世代の増加によって、ワークライフバランスを大切にする上司に人気が集まりやすくなっています。

 

逆にいえば、職場においてZ世代が増加する今後の時代、高い能力や成果があっても、“仕事人間”のようなタイプの上司は尊敬されなくなっています。

 

やりがいを大切にする

Z世代は、先述のとおり、幼少期から社会の不況や苦境を経験し、大企業も倒産やM&Aされることが当たり前の時代に育ってきています。そのため、Z世代には、企業や経済成長への期待感があまりありません。

 

また、Z世代は、物質的にある程度の充足があるなかで育ってきたこともあり、企業から与えられる“待遇”“高評価”などの外発的動機づけ要因よりも、“やりがい”“充実感”などの精神的な報酬を重視する傾向があります。

 

“やりがい”だけでなく“生きがい”を重視することは、ワークライフバランスを重視することにもつながっています。

 

承認欲求が強い

Z世代は、インターネット環境が普通にある時代に育っていることから、SNSなどの「いいね!」などで他者から承認されることが当たり前という価値観があります。

 

2023年にビッグローブ株式会社が実施した「承認欲求に関する意識調査」によると、Z世代の6割以上が「他人に認められたい」と回答していることがわかっています。

 

出典:Z世代「他人に認められたい」6割以上 あしたメディア by BIGLOBEが承認欲求に関する意識調査を発表 ~他人に迷惑をかけないように意識しているZ世代は8割以上~(ビッグローブ株式会社)

 

人間、誰しも“承認欲求”は持っているものです。ただし、Z世代の場合には、叱責を受けることは少ない時代に育ち、教育でも、SNSでも承認される環境で育っていますので、“承認されないこと不満を抱く”“きちんと見て承認してくれる人がいない環境に耐えられない”といっても過言ではないかも知れません。

 

タイムパフォーマンスを重視する

タイムパフォーマンスとは、時間対効果を意味し、“タイパ”とも呼ばれています。

 

Z世代は、さまざまなITツールを誰でも無料で使える環境に育ってきたこと、また、経済全体の右肩上がり成長への夢などがないことから、自分個人としての“タイパ”を大切にする価値観があります。

 

仕事でもワークライフバランスとタイムパフォーマンスを重視し、昭和世代のように高い忠誠心から遅くまで残業などをするのではなく、限られた時間のなかで効率よく成果や自己成長につなげていく働き方を大切にする傾向があります。

 

表現を変えると、Z世代は「猛烈に頑張って1位になる」ことよりも、「さくっとこなして成果を得る」ことへの関心が高いとも言えるでしょう。

 

組織への帰属意識が少ない

繰り返しますが、近年は大企業も倒産やM&Aされるのが当たり前であり、また、終身雇用や年功序列といった古くからの慣習も崩壊していることから、Z世代は、企業への忠誠心や帰属意識が低い傾向にあります。

 

そのため、自分と価値観が合わなかったりモチベーションが下がることなどがあったりすれば、早々に“企業を見切って転職する”可能性も高いです。

 

 

Z世代に対する研修や育成のポイント

Z世代に対する研修や育成のポイントは?Z世代の特徴や価値観も解説③

 

Z世代向けの研修・教育で高い効果を出すためには、以下のポイントを大切にするとよいでしょう。

 

価値観を尊重する

Z世代の育成で最も大切となるのは、上司がZ世代の価値観を理解・尊重する姿勢を持つことです。

 

ただ、たとえば、自分が若手の頃に「努力するプロセスが大事」「石の上にも3年」と教えられてきた昭和世代の上司からすれば、Z世代の「さくっとこなして成果を得る」などの価値観を理解できないこともあるでしょう。

 

しかし、端から上司の価値観を押し付けてしまうと、Z世代は自分の価値観を否定されたような感覚を受けてしまいます。

 

したがって、上司は、部下と信頼関係を構築し、高いモチベーションで仕事をしてもらうためには、まずはZ世代の価値観を理解・尊重したうえで、「プロセスを重視すると◯◯のような良いことがあるよ……」のように具体的な理由や目的を伝えるアプローチを図る必要があります。

 

適度な距離感をとる

Z世代には、未成年の頃からSNSなどを使ったコミュニケーションに慣れている特徴があります。

 

SNSの場合、「Twitterのフォロワー」や「Instagramのフォロワー」のように、SNS別にコミュニケーションをとる人間関係がわかれていたりもします。こうしたSNSを使い慣れたZ世代の場合、仕事などの日常生活でも状況別にコミュニケーションの線引きが行なわれがちです。

 

また、昭和世代などと比べると、企業への忠誠心も乏しい傾向があります。そのため、食事やお酒の誘いなどで急に距離を縮めるのではなく、Z世代の関心事などをじっくり探りながら少しずつ関係構築することが大切になるでしょう。

 

「Z世代は人との交流に興味が薄い」と表現すれば言い過ぎですし、上司と人間的な交流を持ちたいというニーズはあります。ただし、「会社だから」「上司-部下だから」という感覚でいきなり間隔を詰めようとはしないほうがいいかもしれません。

 

承認の機会を増やす

Z世代には、高い承認欲求があります。そのため、何の声掛けもない放置・放任の状態が続くと、たとえ仕事ができるメンバーであっても「自分は認められていない……」などの想いからモチベーションなどが下がってしまいます。

 

こうしたZ世代のモチベーションを維持するには、日報へのコメントや定期的なフィードバック、1on1などを通じて、承認の機会を増やすことが大切になります。

 

ただ、場合によっては、本人がなかなか成果を出せず、上司としても“承認したくてもできない状況”に陥っていることがあるかもしれません。

 

上記の場合、成果から少し視点を変えて、以下のようなポジティブフィードバックをすることもおすすめとなります。

  • 【姿勢】朝早くから準備をしていて偉いね。みんなも助かっているよ。ありがとう。
  • 【努力】今回はなかなか成果が出ないけど、今年はテレアポ数もかなり増えているよね。諦めずにその調子で頑張ってみて。
  • 【成長】昨年より新規顧客とのラポール形成がうまくなっているね。今後も傾聴を続けていこう。

 

なお、メンバーへの承認は、外発的動機づけ(外的報酬)です。極端な話、あまりに頻繁に承認しすぎると、耐性がついて同レベルの報酬(承認)では満足できなくなってしまう場合もあります。

 

Z世代の新人・若手の場合、承認の機会を増やすことがもちろん大切ですが、上司への承認依存に陥らないようにするためにも、仕事へのやりがいやワクワク感などの内発的動機づけを促す仕組みや働きかけも整備したほうがよいでしょう。

 

自律的な行動を引き出す

Z世代に高いモチベーションで仕事や自己成長に励んでもらうためには、自律的な行動につながる強みを伸ばしてあげることも大切です。

 

たとえば、Z世代は、デジタルネイティブであり、タイムパフォーマンスを重視しますので、「ITの力を駆使して、仕事などを効率的に進めたい」という想いがあります。昭和世代の上司や先輩と比べてSNS運用やITツールの活用に慣れていることが多いでしょう。

 

そのため、たとえば、「自社SNSの運用は、最もSNSに詳しいAくんにお願いしよう」などの提案をすれば、本人の強みでチームに貢献できることから、仕事へのやりがいやワクワク感なども得られやすくなるでしょう。

 

本人の強みを伸ばしていく作業は、キャリア開発をするうえでも大切になります。

 

自分事にする

組織への帰属意識が低くタイムパフォーマンスを重視するということは、忠誠心が高い昭和世代などと比べて“当事者意識が低く他人事になりがち”ともいい換えられます。

 

そんなZ世代が営業目標などに対して他人事だった場合、ゴール達成につながる計画なども思うように実行できなくなるでしょう。「会社の仕事だから」「組織の目標だから」では、モチベートされにくいZ世代には、過去よりも丁寧に目標や仕事を“自分事”にしてあげるプロセスが大切です。

 

たとえば、目標や仕事であれば、目的・目標の4観点というフレームワークを使い、目標達成したときに「どのような素晴らしいことが起こるか?」を「自分/他者」「有形/無形」の2つの軸、4つのカテゴリで意味づけするワークはひとつのやり方です。

 

たとえば、「今年度は1,000万円の売上を達成し、営業部門の新人賞を獲得する」という目標なら、以下のような意味づけができるでしょう。

  • 自分×有形:新人賞の表彰状と賞金がもらえる
  • 自分×無形:うれしい気持ちになる、モチベーションが上がる
  • 他者×有形:営業部門と上司の評価が上がる
  • 他者×無形:上司と先輩が喜ぶ

 

目的・目標の4観点に興味がある人は、以下のページから資料をダウンロードしてください。

 

 

まとめ

Z世代は、幼少から社会の不況や苦境を経験しており、また、日本経済や企業への期待感もあまり高くありません。こうしたZ世代を育成していくうえでは、彼らの以下のような特徴に合ったアプローチやフォローをする必要があります。

  • ワークライフバランスを重視する
  • やりがいを大切にする
  • 承認欲求が強い
  • タイムパフォーマンスを重視する
  • 組織への帰属意識が少ない

 

上記のようなZ世代に対する研修や育成をするときには、以下のポイントを大切にするとよいでしょう。

  • 価値観を尊重する
  • 適度な距離感をとる
  • 承認の機会を増やす
  • 自律的な行動を引き出す
  • 自分事にする

 

なお、HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、Z世代の育成に不可欠な「人を動かすリーダーシップ」や「コミュニケーション力」を身に付けられる研修を提供しています。

 

Z世代やミレニアム世代といった若手人材との関わり方に悩む人は、以下のページから研修資料をダウンロードしてみてください。

 

 

著者情報

近藤 浩充

株式会社ジェイック|常務取締役

近藤 浩充

大学卒業後、情報システム系の会社を経て、ジェイックに入社。執行役員としてIT技術者の派遣を行う「IT戦略事業部」の創設、全社のマーケティング機能を担う「経営戦略室」室長を歴任。取締役/教育事業部長として、社内の人材育成、マネジメントで手腕を磨く。2013年には中小企業向け原田メソッド研修の立ち上げを企画推進し、自部門および全社の業績を向上させた貢献により、常務取締役に就任。カレッジ事業本部長、マーケティング本部長、教育事業本部長等を歴任。

著書、登壇セミナー

・社長の右腕 ~上場企業 現役ナンバー2の告白~
・今だからできる!若手採用と組織活性化のヒント
・withコロナ時代における新しい採用力・定着率向上の秘訣
・オンライン研修の「今と未来」、社員育成への上手な取り入れ方
・社長が知っておくべき、業績達成する目標管理と人事評価
・社長の右腕 ~ナンバー2の上司マネジメント / 部下マネジメント~
・オーナー経営者が知っておきたい!業績があがる人事評価制度と組織づくりのポイント
・社長の右腕 10の職掌 など

関連記事

  • HRドクターについて

    HRドクターについて 採用×教育チャンネル 【採用】と【社員教育】のお役立ち情報と情報を発信します。
  • 運営企業

  • 採用と社員教育のお役立ち資料

  • ジェイックの提供サービス

pagetop