新人に「報連相は仕事である」と認識させ、徹底させるための指導ポイント

組織で仕事するうえで、「報連相」は仕事の成果に直結するといっても過言ではありません。とりわけ上司や先輩など、周囲の力を借りて成果を上げる必要がある新人にとって「報連相は仕事そのもの」です。では、どのようにすれば、新人に報連相の大切さを伝えられるか、また、徹底させられるのでしょうか。

記事では、新人に対して報連相の必要性を理解させる、また仕事として徹底してもらえるようにするポイントをお伝えします。

<目次>

新人でも理解できる報連相の必要性

人に何かを実行してもらううえで、「何をどうやればいいか?」(WhatとHow)の指導だけでは足りません。「なぜやる必要があるのか?」という目的や意味(Why)を伝えることが非常に大切です。さらに、最近の新人を指導する場合には、「あなたにとってなぜ重要か?」という自分事として捉えてもらうよう、目的や意味を伝えることが重要です。本章では、新人に報連相の意味を理解してもらう3つのポイントを紹介します。

 

 

報連相の必要性1 上司や関係者にとっては「状況の把握」

報連相が何のために必要かというと、上司や関係者は「状況把握」することを望んでいるからです。

 

組織の成果や人材育成に責任を持つ上司、またプロジェクトなどの関係者は「いま何が起こっているか?」「順調なのか、問題があるのか?」「自分が何か準備・対応・サポートすることがあるか?」ということに興味関心があります。

 

しかし、すべての物事を自分自身で把握することは困難です。だからこそ、主体的に報連相を行い、上司や関係者が知りたい情報を知りたいタイミングで伝えることが大切なのです。報連相を通じて、上司や関係者は的確な判断ができ、成果を高めたり、効率を良くしたりすることができます。

 

 

報連相の必要性2 自分自身が「フォロー」をもらえる

上司や関係者が適切に状況を把握できると、物事をより上手くいかせるためのフォローをもらいやすくなります。より良いやり方、リソースの提供、失敗のリカバリーなど、さまざまなサポートをもらって、自分自身が成果を上げることができます。

 

例えば、「商談の準備や進捗」を小まめに報連相すれば、準備のポイント、顧客課題の仮説、同業での事例、社内資料のポイント、受注へのアドバイスなど、さまざまな支援をもらえる可能性があります。

 

また、「ミス」や「トラブル」に関しても、早く報連相すれば、上司は気持ちを落ち着かせて、対応方法を助言してくれるでしょう。自分1人で悩んでいるよりも、必ず早く解決できます。

 

新人にとって報連相は「成果」に直結するのです。

 

 

報連相の必要性3 自分自身の「成長」や「機会」に繋がる

先ほどのフォローにも繋がりますが、新人は報連相を通じて先輩や上司の知恵を手に入れることができます。100回の報連相を通じて100個のアドバイスをもらった新人と、10回しか報連相せずに10個のアドバイスしかもらっていない新人、どちらが成長できるでしょうか。新人にとって報連相は成長の機会でもあるのです。

 

また、上司や関係者にとって、適切に報連相をしてくれる新人は「何かあってもすぐにフォローできる」状態です。すぐフォローできる状態であれば、新しいことに挑戦させたり、少し大きな仕事を任せたりすることもしやすくなります。新人にとって新しいことや大きな仕事に挑戦させてもらえることは、大きなプラス材料であり、成長へと繋がります。

 

一方で、報連相をしっかり行わない新人は、上司や関係者にとっては「何が起こっているかよく分からない」状態です。新しいことや大きな仕事を任せるのはリスクですので、確実に実行できそうな仕事やリスクが少ない仕事だけを任せることになります。両者の差は非常に大きく、成長する新人と成長しない新人の違いにも繋がります。

新人に「報連相は仕事である」と認識させるために必要なポイント

最近の新人は「やるべきこと」や「正解」には素直に従うという傾向があります。従って、新人の時に「報連相は仕事である」ときちんと認識してもらうことが大切です。新人に「報連相は仕事である」と認識させる3つのポイントを紹介します。

 

ポイント1 報連相の目的を教える

前章でも紹介した通り、何かの行動を指示する時には「理由」や「目的」を伝えることが、最近の新人にはとくに重要です。報連相も同じで、行う理由をしっかりと伝えましょう。

 

前章で報連相全体の必要性、目的はお伝えしましたので、報告・連絡・相談、それぞれの意味や目的を確認しておきます。

 

<報告の意味>

  • 指示に対する仕事の進捗や業務の結果を上司と部下の相互間で共有するとともに、作業に問題がないか、ミスがないか等をお互いに把握する
  • 問題が起こった際の迅速な対応ができるようにするために情報共有を行う
  • 報告は義務である

 

<連絡の意味>

  • 簡潔・正確にまとめられた情報を伝えることで、これから起こり得る事態に備えることができたり、行き違いなくスムーズに業務を遂行できたりする
  • 相手にとってプラスとなる情報共有を行うことで、関係を構築する
  • 連絡は気配りである

 

<相談の意味>

  • 判断に困ったことに対してアドバイスや指示をもらい、疑問の解消や問題の解決をする
  • 相談によって新しいアイデアや解決方法を見つけ、業務の効率化や労力の削減に繋げる
  • 分からないことを分からないままにせず、同じミスや失敗が起きないようにする
  • 相談は問題解決である

 

それぞれの意味をしっかりと新人に理解させると、新人が報連相を仕事としてきちんと行ってくれるようになるでしょう。

 

ポイント2 「報連相上手は仕事もできる」ことを伝える

新人にとって「報連相」することは、フォローをもらって成果を上げること、成長することに直結すると紹介しました。じつは新人でなくても「報連相」が仕事の成果に繋がります。

 

報連相が上手な人は、相手の立場に立って考えることができる人です。報告や連絡は、相手が求めていること、望んでいること、相手がしてほしいことを上手く想像して、手を差し伸べる行為です。また、相談は、自分が分からないこと・できないことを素早く判断して、周囲の力を借りる行為です。

 

どちらも周囲を上手く巻き込んで、周囲の力を借りて成果を上げることに繋がります。従って、報連相の上達は、仕事力の向上にも繋がります。前章の内容と併せて、報連相が仕事にどう繋がるか、そして、自分のメリットにどう繋がるかをしっかりと伝えましょう。

 

ポイント3 報連相を行ったことで仕事が上手くいった事例を話す

事例を話すことで、新人たちの中で報連相と仕事がより繋がりやすくなりますので、報連相の必要性や効果を伝える際には事例を使って指導をすることがおススメです。

 

せっかくですので1つ事例をご紹介します。

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ある大手電機メーカーのメンテナンス部門に配属された新人Aさんの事例です。ある日、オフィスに1人でいると、先輩社員のBさんから電話が入りました。

 

Bさん「Aさん、C課長いる?ちょっとメンテナンスのことでお客さん先にいるのだけど、分からないことがあって、連絡を取りたいのだけど」

 

Aさん「Bさん、すいません。いま、事務所には私しかいなくて、C課長は部長と共に会議に出ているようです。」

 

Bさん「あー、そうか、会議中か。分かった、ありがとう。直接、携帯に電話して確認してみるよ。ひょっとしたら出られるかもしれないし」

Aさん「分かりました。すいません。」

 

と言って電話を切ったAさん。

 

Bさんの様子から、急いだが方がいいと感じたので、となりの課の先輩にいまあったことを説明しました。すると、先輩は、会議中のC課長にメモを入れて、連絡してくれました。C課長はBさんから電話があったことは認識していましたが、会議中だったため出なかったのですが、用件を知ってすぐに折り返してくれました。結果、Bさんはお客さん先で無事に対応することができました。

 

Aさんは、Bさんから感謝されたことは言うまでもなく、C課長からも「気を利かせて、よく先輩に相談して、連絡してくれた」と評価されました。

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上記のような事例は、現場で起こりがちなことです。報連相に限ったことではありませんが、具体的な事例を伝えることで、新人は報連相の大事さがイメージしやすくなります。自社内で報連相によって、物事が上手くいった事例があれば、ぜひ活用してみてください。

新人に報連相を徹底させるために必要な指導ポイント

報連相は仕事であると認識した新人に、さらに報連相を徹底させるために必要な指導ポイントをお伝えします。

 

 

新人が報連相をしたことを、上司や先輩が当たり前と思わない

意外と盲点になっていますが、新人の報連相を徹底させるうえで大事なのは上司や先輩の対応です。まず大事なポイントは、新人が報連相をしたことを、上司や先輩は当たり前と思わない、ということです。

 

確かに仕事ですので、報連相することは当たり前かも知れません。しかし、当たり前と思ってしまうと、新人が報連相をしたことに感謝したり、承認したりすることができなくなります。最近の新人は承認欲求が強く、習慣化したい行動、伸ばしたい行動はしっかりと承認することが大事です。

 

「仕事なんだから当たり前だろ」という考えも確かですが、承認するだけで、新人がモチベーション高く、適切に報連相してくれるなら、承認したほうが良いでしょう。

 

 

報連相がなかった時は「怒る」のではなく「教える」

報連相がなかった時に、「なんできちんと報連相しないんだ!」と怒って終わらせる人がいますが、これだと新人の報連相は改善されづらいでしょう。

 

感情的に怒るのではなく、冷静に指摘する(叱る)こと自体は必要な場合もあるでしょう。ただ、新人が委縮してしまったり、自己肯定感が落ちてしまったりすると、報連相はますます行われなくなります。

 

報連相がなかった時には、指導のチャンスだと捉えて、

  • なぜ、この案件、このタイミングで報連相する必要があるのか?
  • 報連相がなかったことでどういう結果になっているのか?
  • 報連相があれば、どうなっていたのか?

等をしっかりと伝えましょう。

 

最近の新人は、意味が分かればしっかり取り組む傾向があります。報連相も同じで、できなかった時に感情的に怒るのではなく、具体的なケースで指導する機会として捉えましょう。

 

 

ピグマリオン効果を使う

人材育成などの分野で有名な「ピグマリオン効果」はご存知でしょうか。ピグマリオン効果は「他者からの期待を受けることで、その通りにしようとする効果」のことを言います。例えば、教師が「この生徒は優秀だ」と思って接すると実際に生徒の成績が上がっていく、といった効果です。

 

ピグマリオン効果を使って報連相を徹底させるには、新人が適切なタイミングで報連相した時、また新人の報連相が良い結果に繋がった時などに、「やっぱり〇〇君の報連相は良いね。これからも頼むね」と承認してあげることです。

 

ポイントは「自分の報連相は良い」と相手に自己認識させることです。単に褒めるだけでなく、相手の自己肯定感や自己効力感を上げることで、良い報連相が徹底されやすくなります。

 

自分が相手をどう認識しているか、そして相手に自分自身をどう認識してもらうか、2つのポイントを操作して、新人の報連相を徹底させていくことができます。

おわりに

周囲の助けを借りて成果を上げたり、成長したりする新人にとって報連相は仕事そのものといっても過言ではありません。従って、新人、とくに初期研修からOJTの中で、しっかりと好ましい報連相を習慣化させましょう。

 

新人に報連相を指導するポイントは、目的や意味をしっかりと伝えることです。伝える際には「上司や関係者にとっての報連相の必要性」と同時に、自分が成果を上げることへの効果、周囲のノウハウを知ることができ、成長機会を得たりすることに繋がるという「自分自身にとっての効果と意味」をしっかり伝えましょう。

 

報連相を徹底させていくためには、報告・連絡・相談、それぞれの意味や効果、事例などで伝えていくことが有効です。また、上司や先輩が、新人の報連相をしっかりと承認したり、報連相ができなかった時にどう対応したりするかも重要です。

 

報連相が円滑に行われる組織は、トラブルが少なくチームワークも機能して、成果を上げやすいでしょう。記事の内容も参考に、ぜひ新人の報連相をしっかりと指導してください。

 

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役|HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

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