コミュニケーション能力を鍛える方法は?鍛えるメリットや具体的なやり方を解説

更新:2023/09/07

作成:2020/10/05

東宮 美樹

東宮 美樹

株式会社ジェイック 取締役

コミュニケーション能力を鍛える方法は?鍛えるメリットや具体的なやり方を解説

他人との円滑なコミュニケーションは、プライベートだけでなく仕事でも大切です。

 

しかし、コミュニケーション能力に悩んでいる人の場合、そもそも、コミュニケーション能力をどのようにして鍛えればよいのかわからないこともあるでしょう。

 

記事では、コミュニケーション能力とは何か?という概要と、ビジネスで円滑なコミュニケーションを図るうえで必要な能力、コミュニケーション能力が高い人の特徴などを紹介します。

 

そのうえで、記事の後半では、コミュニケーション能力を鍛える方法を詳しく解説します。

 

仕事で成果を上げるために少しでもコミュニケーション能力を高めたい、また、部下のコミュニケーション能力を向上させたいなどの想いがある人は、ぜひ記事をチェックしてみてください。

<目次>

コミュニケーション能力とは?

コミュニケーションとは、ラテン語の「コミュニス(communis)」という「共有、共通」を意味する言葉が由来です。

 

会話能力を指すこともありますが、対人関係をスムーズにするための能力全般を指す概念になります。

 

コミュニケーションは、一方通行ではなく、双方向で成り立つものです。そのため、コミュニケーションでは、伝える技術だけでなく相手の話を受け取る、聴く力も重要となります。

 

また、相手の立場や状況を考えるといった思考力を鍛えることも、コミュニケーション能力の強化につながるでしょう。

コミュニケーションに求められる能力

他人との円滑なコミュニケーションを図るためには、大きく分けて3つの能力を高めることが必要です。この章では、コミュニケーションで求められる各能力を詳しく解説しましょう。

考える力

コミュニケーションというと、一般では「聴く、伝える」という直接的な会話能力が重視されがちです。

 

しかし、実際には、相手に配慮し、相手の立場や状況、気持ち、相手が欲している情報などを考える力もコミュニケーション能力の構成要素として重要になります。

 

考える力を高めるには、日頃から相手を観察して興味を持つことが基本です。また、言葉には表れない非言語から気持ちをくみ取ることも大切になります。

 

考える力を高めるうえでは、日常的に相手のことを観察する、相手の意見や感情を考えてみる癖をつけるとよいでしょう。

聴く力

コミュニケーションでは、相手の話を最後までじっくり聴くことが大切です。

 

相手に寄り添ってじっくり聴く姿勢やスキルは、傾聴(積極的傾聴)能力と呼ばれます。

 

真剣に話を聴くときには、相手の心情に寄り添って耳を傾け、相手の本心をくみ取ることが求められます。相手の話を途中で遮ったり否定したりするのはNGです。

 

また、自分が判断したり考えたりするうえでの情報が足りない場合、より深い質問を行ない、詳しい情報を引き出すことも大切になるでしょう。

伝える力

伝える力とは、自分の意図する内容を相手に正確に伝える能力です。

 

話す力も大切ですが、例えば、ビジネス上の一般的コミュニケーションであれば、「結論から先に伝える」といった内容の構成力も大切です。

 

伝えるときには、相手に合わせて話し方を変えることも大切です。こちらの意図する形で相手に情報を伝えるには、シーンに合わせて最適な伝え方を選択する必要があります。

 

たとえば、同じ「伝える」というひとつでも、「書く」「話す」という方法は、以下のように使い分けられるでしょう。

  • 上司に急いで報告する場合は、口頭で個人的な意見と事実を区別して伝える
  • 緊急ではない場合、詳細を伝えたい場合は書面にする
  • 誤解が生じないようにしたい場合は、テキストを送ったうえで口頭で補足する

コミュニケーション能力を鍛えるメリット

スムーズなコミュニケーションが図れるようになると、お互いの考えや気持ちを把握できるようになります。結果として、人間関係が良くなり信頼関係も構築しやすくなるでしょう。

 

人間関係が改善すると、職場での精神的負担も軽減されます。

 

また、仕事は基本的に、誰かと協力して前に進めるものです。そして、仕事における協力関係の根底となるのも、コミュニケーション、情報のやり取りです。

 

たとえば、チームで仕事をする場合、各メンバーのコミュニケーション能力が高まると、最適なタイミングでの報連相なども行なわれやすくなります。

 

また、お意見や情報共有もスムーズとなり、認識のズレなどによるトラブルも生じず、チーム全体の成果も上げやすくなるでしょう。

 

上司や各メンバーのコミュニケーション能力が向上すると、信頼関係も構築されやすくなります。

 

結果として、「上司やチームのために頑張ろう」という形で各メンバーのエンゲージメントやモチベーションが向上します。

 

また、エンゲージメントの向上から、離職率が低下するなどの効果も得られるでしょう。

コミュニケーション能力が高い人の特徴

コミュニケーション能力が高い人には、以下のような特徴があります。教育を通じて各メンバーのコミュニケーション能力を向上させる場合、こうした特徴を知っておくと有効です。

相手の立場や気持ちを考えている

コミュニケーション能力が高い人は、常に相手の気持ちや状況を考慮し、シーンに合った適切な言葉を使えます。

 

ただし、私たちには、それぞれに異なる物の見方や考え方があります。そのため、場合によっては、自分が考えた相手の気持ちや状況が実際とは異なることもあるでしょう。

 

コミュニケーション能力の高い人は、まずは相手の気持ちや状況を考えますが、それを決めつけることはしません。

 

仮説は持ったうえで、実際に相手の話を聴き柔軟に修正することで、相手との相互理解や信頼関係の構築をしていきます。

相手の話をしっかり聴いている

相手の話を遮らず、最後までしっかり耳を傾けられることも、コミュニケーション力が高い人の特徴です。いわゆる傾聴力の高さです。

 

傾聴力が高いと、相手は「自分と真剣に向き合ってくれている」「自分のことを理解してくれている」と感じます。結果的に、信頼されたり、より深い本音を話してくれたりするものです。

 

また、話をしっかりと聴き切ってから提案したりアドバイスしたりすることで、相手に対しても影響を与えやすいでしょう。

話の内容がわかりやすい

コミュニケーション能力が高い人は、得てして話の内容が分かりやすく、自分が伝えたいことをしっかりと相手に伝えることができます。

 

単に話すのが上手いといったことだけではなく、同じよう内容でも平易な話で論理的に構成されている、逆に時にはストーリーやたとえ話を使う、また、相手の知識や状況に合わせて話すといった工夫があるからこそ、相手にとって分かりやすいのです。

 

わかりやすく伝えるためには、事前の準備も大切ですが、相手の反応を見ながら表現や伝え方を工夫することも大切です。

 

コミュニケーション能力が高い人は、相手がピンときていないようであれば、違う表現やたとえ話を用いたり、相手に質問してどのあたりが分かりにくいかを確認したりする等、伝えるということを双方向で実施します。

コミュニケーション能力を鍛える方法

コミュニケーション能力は、日々の工夫やトレーニングなどで伸ばせる能力です。この章では、コミュニケーション能力を鍛える6つの方法を紹介します。

積極的な挨拶

コミュニケーションの土台は、じつは人間関係です。良好な人間関係があれば、多少話が下手だったりしても相手は「理解しよう」という姿勢を持って話を聴いてくれるでしょう。

 

コミュニケーション能力といったとき、テクニカルなスキルばかりを思い浮かべるかもしれませんが、むしろ相手との人間関係のほうが大切です。

 

そして、人間関係を構築するための基本となるのは挨拶です。

  • おはようございます
  • こんにちは
  • いつもお世話になっております
  • お疲れさまです
  • お先に失礼します など

どれも当たり前のことばかりですが、普段からきちんとした挨拶を相手とかわしている関係であれば、お互いに関心を持ったり、相手の意見に耳を傾けたりする関係が生まれます。

 

一方で、日ごろから挨拶をまったくしない、また、迷惑そうな顔でいやいや挨拶しているような状態では、自分の話に耳を傾けてもらったり信頼関係を構築したりすることは難しいでしょう。

 

コミュニケーション能力を高めていくうえでは、まず、上司・メンバー・取引先・お客様などに対して、自分から大きめの声でしっかり挨拶することが大切になります。

相手のことを考える

私たちは、それぞれが自分の経験や知識、価値観に基づく視点で世界を見ています。

 

ティーブン・R・コヴィー博士の書籍『7つの習慣』では、われわれ一人ひとりの物の見方・考え方を「パラダイム」と呼んでいます。

 

たとえば、上司である自分にとって簡単な業務であっても、現場に配属された新人には難しい仕事かもしれません。

 

また、たとえば、営業である自分は「絶対に新製品に買い替えたほうが良い!」と思いお客様に提案をしても、相手は「新製品を買う予算がないから、しばらくはこの機種を使い続けたい…」と思っている可能性もあるでしょう。

 

コミュニケーション能力を鍛えるには、自分と相手に上記のような異なる価値観やパラダイムがあることを知ったうえで、相手のことを考える姿勢を持つことが大切になります。

傾聴する

相手のことを考え深く知るために大切になるのが、傾聴です。私たちは日常で「話を聞く」という行為を当たり前にやっています。

 

この聞くは、「耳で聞く」イメージです。一方で傾聴は、相手の気持ちに共感しながら「心で聴く」イメージになります。

 

傾聴には、受動的傾聴・反射的傾聴・積極的傾聴の3種類があります。

 

コミュニケーション力を高めるには、相手の本音や感情を引き出す深いコミュニケーションである積極的傾聴を使えるようになることが大切です。

 

傾聴には、以下のようにさまざまなテクニックがあります。

《言語系テクニック》
  • ペーシング(マッチング)
  • バックトラッキング
  • パラフレーズ
  • オープンクエスチョン
  • 沈黙 など
《非言語系テクニック》
  • ペーシング(ミラーリング)
  • 表情や声の工夫 など

これらのテクニックを身につけるには、コミュニケーション研修で基本を学んだうえで、日々の仕事のなかで実際に使ってみる(実践)をしていくとよいでしょう。

 

実践後は、日誌や1on1などで振り返りの習慣を持つことも大切になります。

 

なお、上記のようなテクニックを効果的に使うために大切なのは、根底となる「相手を尊重し、相手の意見や感情を知ろうとする姿勢」です。

 

この姿勢がなければ、テクニックも上滑りしてしまいますから注意が必要です。

アンサーファーストの徹底

ビジネス上のコミュニケーションにおいては、結論と全体像を最初に伝える「アンサーファースト」を徹底することが大切です。

 

アンサーファーストで最初に「最も大事なこと(結論)」と「話の全体像」を伝えると、相手も話を聞く準備を整えやすくなります。

 

また、説明に長い時間を要する場合も、アンサーファーストを心がけていれば、相手に「この話はいつ終わるのだろう…」といった不安や飽きも起こりにくくなるでしょう。

 

アンサーファーストでは、「結論」と「全体像」を意識して伝えることになります。

 

アンサーファーストを意識したコミュニケーションを行なうと、結果として情報の整理能力や思考力の向上も期待できるでしょう。

 

なお、人の気持ちを動かすプレゼンテーションをするうえでは、あえて結論から入らないこともあります。ただし、結論から入らない方法は、上級者向けの技術です。

 

新人や若手、また、コミュニケーションが苦手という人の能力向上を目指す場合、まずはアンサーファーストを基本とする伝え方で訓練をしていくとよいでしょう。

動画を見て「話すプロ」から学ぶ

世の中には「話すプロ」がたくさんいます。落語家、漫才師、アナウンサー、バラエティー番組の司会、Youtuberなどです。

 

最近は、Youtubeなどを使えば、こうした「話すプロ」の話法をいくらでも見ることができるようになりました。

 

メンバーのコミュニケーション能力を高める際には、コミュニケーションに秀でた人の動画を見てもらい、声の出し方、間の取り方、伝え方の工夫、聞き手とのコミュニケーションなど、何が上手なのか、あるいはどのような伝わり方の工夫をしているのかを考えさせるのも一つです。

 

また、動画を見て気付いたポイントを、自分のコミュニケーションと重ね合わせて、どこを改善するかを考えさせることも有効となります。

 

昔のトップセールスマンや司会などには、「落語を見てコミュニケーションを研究していた」という人が多数いました。

 

最近では、先述のとおりインターネット上の動画で「話すプロ」の実技をいくらでも見ることができる環境があります。最大限に活かすとよいでしょう。

繰り返し練習する

当たり前のことですが、コミュニケーション能力は、実際に練習しなければ向上しません。

 

その練習で大切になるのは、実際にやってみる“アウトプット”と、他者からの“フィードバック”をもらうことをの繰り返りです。

 

伝える力の上達を目指すなら、アウトプットに必要となる以下のようなポイントを整理し、準備する時間を与えることが大切になります。

  • 聴く側が何を求めているのか?
  • アンサーファーストの「結論」
  • アンサーファーストの「全体像」

アウトプットの練習は、以下のような方法でも行えるでしょう。

  • 時事問題に関する意見を、朝礼で週1回述べてもらう
  • 先輩の営業活動に同行するとき、新製品の説明までは若手にやってもらう
  • 会議では全員に必ず1回は意見を発表してもらう など

アウトプットのあとは、周囲からの成長につながるフィードバックが必要です。

 

「Good(良かったこと)」と「More(ここを直すともっと良くなる)」を、以下のように2:1~3:1の割合でフィードバックすると、メンバーの成長とモチベーション向上につながりやすくなるでしょう。

 

「アンサーファーストと私が知りたいA社様の懸念事項は、とてもよくアウトプットできていたね。(←Good)ただ、話の全体像は、もう少し簡潔にまとめられると更によくなる。議事録をつくるときの見出しを意識すると、より簡潔になると思うよ。(←More)」


コミュニケーション研修で鍛える

コミュニケーション能力の体系やノウハウを学ぶ、また、自分の殻を壊すためには、研修を受講することも有効です。

 

HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、デール・カーネギーの『人を動かす』に基づく「リーダーシップ&コミュニケーション研修」を提供しています。

 

デール・カーネギー研修は、ワークと実践が中心のプログラムとなっているため、体感を通じてコミュニケーション能力を身につけられます。

 

人を動かすコミュニケーションのノウハウに興味がある人は、以下のページから資料をダウンロードしてみてください。

まとめ

ビジネスにおけるコミュニケーション能力を鍛えるには、以下3つの能力が大切となります。

  • 考える力
  • 聴く力
  • 伝える力

コミュニケーション能力が高い人には、以下の特徴があります。

  • 相手の立場や気持ちを考えている
  • 相手の話をしっかり聴いている
  • 話の内容がわかりやすい

こうしたコミュニケーション能力が高い人の特徴や行動も参考としながら、日々のトレーニングでコミュニケーション能力を鍛えていきましょう。

 

たとえば、コミュニケーション能力を鍛えるには、以下のような方法があります。

  • 積極的な挨拶
  • 相手のことを考える
  • 傾聴する
  • アンサーファーストの徹底
  • 動画を見て「話すプロ」から学ぶ
  • 繰り返し練習する
  • コミュニケーション研修で鍛える

HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、コミュニケーション能力を飛躍的に向上させるデール・カーネギー研修を提供しています。

 

デール・カーネギー研修は、部下・メンバー・取引先・お客様といった人を動かすためのコミュニケーション方法を学びたい人におすすめです。

 

研修内容に興味がある人は、以下のページから資料をダウンロードしてみてください。

著者情報

東宮 美樹

株式会社ジェイック 取締役

東宮 美樹

筑波大学第一学群社会学類を卒業後、ハウス食品株式会社に入社。営業職として勤務した後、HR企業に転職。約3,000人の求職者のカウンセリングを体験。2006年にジェイック入社「研修講師」としてのキャリアをスタート。コーチング研修や「7つの習慣®」研修をはじめ、新人・若手研修から管理職のトレーニングまで幅広い研修に登壇。2014年には前例のない「リピート率100%」を達成。2015年に社員教育事業の事業責任者に就任。

著書、登壇セミナー

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