コミュニケーション能力は、日々の工夫やトレーニングなどで伸ばせる能力です。この章では、コミュニケーション能力を鍛える6つの方法を紹介します。
積極的な挨拶
コミュニケーションの土台は、じつは人間関係です。良好な人間関係があれば、多少話が下手だったりしても相手は「理解しよう」という姿勢を持って話を聴いてくれるでしょう。
コミュニケーション能力といったとき、テクニカルなスキルばかりを思い浮かべるかもしれませんが、むしろ相手との人間関係のほうが大切です。
そして、人間関係を構築するための基本となるのは挨拶です。
- おはようございます
- こんにちは
- いつもお世話になっております
- お疲れさまです
- お先に失礼します など
どれも当たり前のことばかりですが、普段からきちんとした挨拶を相手とかわしている関係であれば、お互いに関心を持ったり、相手の意見に耳を傾けたりする関係が生まれます。
一方で、日ごろから挨拶をまったくしない、また、迷惑そうな顔でいやいや挨拶しているような状態では、自分の話に耳を傾けてもらったり信頼関係を構築したりすることは難しいでしょう。
コミュニケーション能力を高めていくうえでは、まず、上司・メンバー・取引先・お客様などに対して、自分から大きめの声でしっかり挨拶することが大切になります。
相手のことを考える
私たちは、それぞれが自分の経験や知識、価値観に基づく視点で世界を見ています。
ティーブン・R・コヴィー博士の書籍『7つの習慣』では、われわれ一人ひとりの物の見方・考え方を「パラダイム」と呼んでいます。
たとえば、上司である自分にとって簡単な業務であっても、現場に配属された新人には難しい仕事かもしれません。
また、たとえば、営業である自分は「絶対に新製品に買い替えたほうが良い!」と思いお客様に提案をしても、相手は「新製品を買う予算がないから、しばらくはこの機種を使い続けたい…」と思っている可能性もあるでしょう。
コミュニケーション能力を鍛えるには、自分と相手に上記のような異なる価値観やパラダイムがあることを知ったうえで、相手のことを考える姿勢を持つことが大切になります。
傾聴する
相手のことを考え深く知るために大切になるのが、傾聴です。私たちは日常で「話を聞く」という行為を当たり前にやっています。
この聞くは、「耳で聞く」イメージです。一方で傾聴は、相手の気持ちに共感しながら「心で聴く」イメージになります。
傾聴には、受動的傾聴・反射的傾聴・積極的傾聴の3種類があります。
コミュニケーション力を高めるには、相手の本音や感情を引き出す深いコミュニケーションである積極的傾聴を使えるようになることが大切です。
傾聴には、以下のようにさまざまなテクニックがあります。
《言語系テクニック》
- ペーシング(マッチング)
- バックトラッキング
- パラフレーズ
- オープンクエスチョン
- 沈黙 など
これらのテクニックを身につけるには、コミュニケーション研修で基本を学んだうえで、日々の仕事のなかで実際に使ってみる(実践)をしていくとよいでしょう。
実践後は、日誌や1on1などで振り返りの習慣を持つことも大切になります。
なお、上記のようなテクニックを効果的に使うために大切なのは、根底となる「相手を尊重し、相手の意見や感情を知ろうとする姿勢」です。
この姿勢がなければ、テクニックも上滑りしてしまいますから注意が必要です。
アンサーファーストの徹底
ビジネス上のコミュニケーションにおいては、結論と全体像を最初に伝える「アンサーファースト」を徹底することが大切です。
アンサーファーストで最初に「最も大事なこと(結論)」と「話の全体像」を伝えると、相手も話を聞く準備を整えやすくなります。
また、説明に長い時間を要する場合も、アンサーファーストを心がけていれば、相手に「この話はいつ終わるのだろう…」といった不安や飽きも起こりにくくなるでしょう。
アンサーファーストでは、「結論」と「全体像」を意識して伝えることになります。
アンサーファーストを意識したコミュニケーションを行なうと、結果として情報の整理能力や思考力の向上も期待できるでしょう。
なお、人の気持ちを動かすプレゼンテーションをするうえでは、あえて結論から入らないこともあります。ただし、結論から入らない方法は、上級者向けの技術です。
新人や若手、また、コミュニケーションが苦手という人の能力向上を目指す場合、まずはアンサーファーストを基本とする伝え方で訓練をしていくとよいでしょう。
動画を見て「話すプロ」から学ぶ
世の中には「話すプロ」がたくさんいます。落語家、漫才師、アナウンサー、バラエティー番組の司会、Youtuberなどです。
最近は、Youtubeなどを使えば、こうした「話すプロ」の話法をいくらでも見ることができるようになりました。
メンバーのコミュニケーション能力を高める際には、コミュニケーションに秀でた人の動画を見てもらい、声の出し方、間の取り方、伝え方の工夫、聞き手とのコミュニケーションなど、何が上手なのか、あるいはどのような伝わり方の工夫をしているのかを考えさせるのも一つです。
また、動画を見て気付いたポイントを、自分のコミュニケーションと重ね合わせて、どこを改善するかを考えさせることも有効となります。
昔のトップセールスマンや司会などには、「落語を見てコミュニケーションを研究していた」という人が多数いました。
最近では、先述のとおりインターネット上の動画で「話すプロ」の実技をいくらでも見ることができる環境があります。最大限に活かすとよいでしょう。
繰り返し練習する
当たり前のことですが、コミュニケーション能力は、実際に練習しなければ向上しません。
その練習で大切になるのは、実際にやってみる“アウトプット”と、他者からの“フィードバック”をもらうことをの繰り返りです。
伝える力の上達を目指すなら、アウトプットに必要となる以下のようなポイントを整理し、準備する時間を与えることが大切になります。
- 聴く側が何を求めているのか?
- アンサーファーストの「結論」
- アンサーファーストの「全体像」
アウトプットの練習は、以下のような方法でも行えるでしょう。
- 時事問題に関する意見を、朝礼で週1回述べてもらう
- 先輩の営業活動に同行するとき、新製品の説明までは若手にやってもらう
- 会議では全員に必ず1回は意見を発表してもらう など
アウトプットのあとは、周囲からの成長につながるフィードバックが必要です。
「Good(良かったこと)」と「More(ここを直すともっと良くなる)」を、以下のように2:1~3:1の割合でフィードバックすると、メンバーの成長とモチベーション向上につながりやすくなるでしょう。
「アンサーファーストと私が知りたいA社様の懸念事項は、とてもよくアウトプットできていたね。(←Good)ただ、話の全体像は、もう少し簡潔にまとめられると更によくなる。議事録をつくるときの見出しを意識すると、より簡潔になると思うよ。(←More)」
コミュニケーション研修で鍛える
コミュニケーション能力の体系やノウハウを学ぶ、また、自分の殻を壊すためには、研修を受講することも有効です。
HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、デール・カーネギーの『人を動かす』に基づく「リーダーシップ&コミュニケーション研修」を提供しています。
デール・カーネギー研修は、ワークと実践が中心のプログラムとなっているため、体感を通じてコミュニケーション能力を身につけられます。
人を動かすコミュニケーションのノウハウに興味がある人は、以下のページから資料をダウンロードしてみてください。