人材育成のポイント!人材育成で大切な考え方やフレームワークを解説

更新:2022/09/16

作成:2022/04/22

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

人材育成のポイント!人材育成で大切な考え方やフレームワークを解説

言い古された話ですが、少子高齢化に伴って日本の労働人口は急速に減少しつつあります。優秀人材を採用することの難易度は上昇していますし、雇用の流動化も進んでいます。

 

さらに、知識労働が進んだことで1人当たりの生産性は、能力やスキルによって大きく異なる時代になっています。その中で、企業の成長・発展を実現するためには、理念浸透、スキルアップ、信頼関係の構築、目標達成などを実現する人材育成は欠かせません。

 

記事では、組織における人材育成のポイントや効果的なフレームワークを紹介します。

<目次>

人材育成とは?

そもそも人材育成とはどのようなものでしょうか。まず初めに、人材育成の大枠を確認しておきます。

人材育成とは

企業における人材育成とは、ミッション・ビジョンの実現、業績目標を達成するために、社員の能力開発やモチベーション向上を行なうものです。

 

人材育成の具体的な手法は、

  • 育成の目的
  • 育成の対象となる社員のレベルや職種
  • 必要なスキルや知識

等に応じて変わってきます。

 

人材育成の重要性

人材育成の重要性は、冒頭でも紹介した通りです。

 

人材育成で実現することは、

  • ミッション、ビジョン、バリューの浸透
  • 新人の定着と戦力化
  • 管理職等の次レベルへのステップアップ
  • 不足するスキルの習得
  • チームビルディング
  • 思考に必要なフレームワークの習得
  • 組織風土の形成

まで多岐にわたります。

人材育成の目的

次は、人材育成を行う目的も確認しておきます。

目的①組織を継続・成長させる

人材育成は、組織を継続的に成長させていくために必要不可欠な手段です。組織が掲げる経営目標を達成するためにも、新人や若手社員を戦力化させる、管理職を機能させる、必要なスキルを身に付けさせる等の人材育成は不可欠です。

 

目的②幹部候補を育てる

部門長などの上級管理職や役員などの幹部候補の育成は、組織に大きな影響を及ぼします。

新人や若手の育成は3ヵ月~1年スパンで計画されるものですが、幹部候補の育成は3年~10年ぐらいの長期的なスパンで実施されるものです。育成の難易度も高く、標準化しきれるものではありませんが、組織の未来を左右する取り組みです。

 

目的③生産性を高める

人材育成の目的として、生産性を高めることも挙げられます。生産性をあげる人材育成のアプローチは、個人の能力を高める(個人の生産性)、チームビルディング等を通じてチームの連携を強化する(チームの生産性)、また、ツールを利用できるようにする、イノベーションやビジネスプロセスの改変に取り組めるようにする(ビジネスの生産性)など複数あります。

 

目的④ミッションやビジョンを浸透させる

会社のミッションやビジョンなど、組織が向かう方向・ゴールを浸透させることも人材育成の機能です。最近では、改めて「パーパス経営」などのキーワードも注目されています。

 

組織を機能させるうえで、“モノ”が充足してきた中で、「何のために仕事をするのか」「我々はなにを目指しているのか」といった仕事に対する精神的な意味づけの浸透や共有はますます重要になっています。

 

目的⑤組織の価値観や判断基準を合わせる

組織としての「価値観、行動規範や共通言語」をすり合わせることも人材育成の大切な目的です。

組織として向かうゴールや生み出す価値がミッション・ビジョンであるのに対して、価値観や行動規範はバリューと呼ばれる部分です。バリューや言語を共有することで、組織内のコミュニケーションは円滑になりますし、権限移譲等も進めやすくなるでしょう。

人材育成と人材開発、マネジメントの違い

本題に入る前に、「人材育成」と「人材開発」、「人材育成」と「マネジメント」の違いを確認しておきます。

人材開発と人材育成の違い

人材開発は、社員の業務スキルや能力、パフォーマンスを向上させることを目的として実施されるものです。人材育成と人材開発の違いですが、「組織内の人的資源をいかに成長させるか?」という点では同じ意味合いです。

 

ただ、人材育成は、組織図上を前提に「部門」や「階層」などを対象として語られることが多く、人材開発は、タレントマネジメントや強み開発など「個人」の資質やポテンシャルを対象として語られることが多くなります。

 

マネジメントと人材育成の違い

マネジメントとは「チームや組織を運営して目標達成に導く」ための取り組みです。

その中で、中長期的な組織発展や短期的な目標達成のための取り組みとして「人材育成」が含まれてきます。

 

人的資源の活用、という点では、マネジメントと人材育成は共通してきますが、人材育成は、「人」にフォーカスした概念なのに対して、マネジメントは「目的」にフォーカスした概念であるともいえるでしょう。

人材育成で大切なことや考え方

本章では、人材育成を効果的に実施するために大切な考え方やポイントを紹介します。

【大切な考え方①】VUCA時代に合わせた人材育成

VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を並べた造語です。端的には、「環境変化や未来が予測しにくい」状態を指します。

 

VUCAの時代では、環境変化が激しいため、経営者や上司ですらも未経験のこと、答えのわからないことが多く出てきます。その中で、外部環境の激変に対応できる組織を作っていくためには、社員が「挑戦できる環境や組織風土」、「新しいことへの柔軟性」を持った組織を作っていくことが非常に重要です。

 

だからこそ、現場からの主体的な働きかけや会社の理念や価値観を浸透させるための人材育成が非常に重要になってきます。

 

【大切な考え方②】一貫性のある行動と言動

人材育成で重要なことは、「言動と行動の一致」です。指導者が言っていることが口だけで、行動が伴っていなければ、相手に不信感や不安感を与えてしまいます。

 

その結果、人材育成の効果性は損なわれますし、場合によっては離職等にも繋がりかねません。指導者は日常で行うフィードバックや教育する内容に沿った一貫性のある行動を心掛ける必要があります。

一方で、指導する側が指導内容を「100%できている」ことは基本的にはありません。

 

たとえば、自責の考え方、主体性の発揮、タイムマネジメントなど、どれも非常に重要な概念ですが、「完璧にできている」という人はなかなかいないでしょう。しかし、「完ぺきにできていないと人に教えられない」と思うと何もできなくなってしまいます。

 

時には、自分ができていないことを棚に上げて指導する必要もあります。100%できている必要はありませんが、出来ていないことを自覚して、実践度を高めていけるように取り組む必要があります。

 

経営学者として著名なドラッカーは、「リーダーと普通の人たちとの距離は一定である」といっています。リーダー、指導者が成長しなければ、メンバーの成長、効果的な人材育成はなかなか実現しないでしょう。

 

【大切な考え方③】コーチングとティーチングを分けた育成

人材育成は、適切な教育手法を使うことも大切です。とくに大事なものは「ティーチング」や「コーチング」の使い分けです。

 

  • ティーチング:具体的なアドバイスや答えを相手に提示する
  • コーチング:適切な質問によって相手から答えを引き出す(一切アドバイスしないわけではありません)

 

ティーチングとコーチングは優劣がある教育手法ではありません。それぞれに適した状況があります。

 

ティーチングが適した状況

⇒相手が十分な知識やスキルがない
⇒指導内容に明確な答えがある
⇒指導の緊急性が高い

コーチングが適した状況

⇒相手に一定のスキルがある
⇒主体性やモチベーションを引き出したい
⇒相手の価値観や気づきを広げたい

2つを上手に使い分けることで、効果的な人材育成が可能になるでしょう。

 

【大切な考え方④】相談しやすい環境を作る

新人や若手社員の人材育成では、「相談がしやすい環境づくり」を心がけることも非常に大切な考え方の1つです。

 

特に新人などの育成は相談やフィードバックで解決することが多い一方で、新人が相談しにくい環境の場合、一人で悩みや疑問を抱え込んでしまい、新人の成長が鈍化してしまうことが良くあります。

 

効果的な人材育成のためにも、環境づくりなど体制や環境を整えましょう。

 

【大切な考え方⑤】長い目線を持って人材育成にあたる

人材育成は計画通りには進まないことがほとんどです。指導者も人であり、相手も人です。

飲み込みが早い人、遅い人、器用なタイプ、不器用なタイプ、強みなどの違いがあり、人によって成長スピードはばらつきます。時には失敗しますし、成長が停滞することもよくあります。

 

しかし、ご自身のことを振り返ってみたとき、失敗や停滞がその後に飛躍する糧、経験値となっていたことも多いのではないでしょうか。

 

また、成長は必ずしも一直線に進むわけではなく、ときにはスランプやプラトーと呼ばれる停滞期があるものです。人材育成の計画を組んで、計画的に進めることは大切です。

 

しかし、『計画通りには進まないことが当たり前』、『失敗や停滞も後の成長の糧になる』ということを頭に入れて、長い目線で人材育成にあたることが大切です。そうすることで、指導者側も教育される側も過剰なプレッシャーがなくなり、成長を促進することができるでしょう。

人材育成がうまくいかない企業の特徴や事例

続いて、人材育成がうまくいかない企業の特徴と事例を紹介していきます。うまくいかない企業の特徴や事例を押さえておくことで、失敗のワナにはまらないようにしましょう。

指導者側の育成スキル不足や育成への理解不足

人材育成を行なううえでは、指導者の育成のスキルや意識を高めていく必要があります。指導者の育成スキルや知識が不足していたり、育成の重要度を理解していなかったりすれば、計画だけをきれいに作っても、現場でうまく回らず、スムーズな人材育成は実現しません。

この場合、指導者自身のマインドや考え方を変える、また育成能力を必要がありますので、指導者(管理職やOJTトレーナー等)を対象とした「人材育成研修」を実施するなどで解決していきましょう。

 

具体的には、ティーチングやコーチングといった育成手法や育成マインドの醸成、コミュニケーション能力の強化、タイプ別の動機付け方法などが挙げられます。

 

人材育成をする時間が確保できない

人材育成の重要度が浸透している組織風土でも、実際に教育する指導者が人材育成をする時間がなければ、育成は進みません。多忙な指導者が駆け足や片手間で人材育成を行なったとしても、そんな簡単には成長を望むことはできません。

 

また、過剰な忙しさはストレスにも繋がります。ストレスが溜まった状態で、計画通りに進まない人材育成に向き合うことは困難です。

 

指導者がしっかりとした人材育成を行なえる環境をつくるためには、人事施策の整備、業務分担の修正や改善をして、人材育成の工数を確保することも必要です。

 

人材育成を成功に導くスキルマップとは?

効果的な人材育成を実施するにあたって、「スキルマップ」を導入している企業が多くあります。

本章では「スキルマップ」の意味や作成する目的を簡単に紹介します。

スキルマップとは?

スキルマップとは、「業務で必要なスキルを洗い出し、個々の社員が身に付けているスキルを見える化した表」のことです。

業務を遂行するために必要なスキルを一覧化して、各社員の現状を可視化することで、効果的な人材育成を可能にするツールです。企業によっては「力量表」「力量管理表」「技能マップ」、また、海外では「Skills Matrix」と呼ばれています。

 

スキルマップを作成する目的

スキルマップを作成する目的は、おもに「スキルの可視化」と「人材育成の体系化」です。社員に1人前の仕事をしてもらうためには、必要なスキルを身に付けてもらう必要があります。

 

業務遂行するためには、様々なスキルが必要となります。

まず、スキルマップを使って、それらのスキルを一覧化することで「人材育成のゴール」が共有化されます。

 

また、スキルマップに各自が現状のスキル状況を記入することで、「いま」が見える化されます。育成する側と学ぶ側の双方が、ゴールと現状を共有することで、人材育成が体系化・効率化できるのです。

 

OJTによる効果的な人材育成

OJT(On the job training)とは?

OJTとは「オン・ザ・ジョブ・トレーニング(On the Job Training)」の略称であり、実際の職場で実務を通して人材育成を行う方法です。

OJT担当者が新人や業務未経験者に対して、1対1、もしくは1対少数で、実践的な指導を通じて、業務上必要となる知識やスキルに指導していきます。

 

効果的なOJTを実現するポイント

OJTは実際の業務を題材とすることで、実践的なノウハウやスキルを習得させることができるので、社員の戦力化に繋がります。

 

一方で、リスクとして、

  • 体系的な知識が身に付きにくい
  • 指導者の力量や経験によって指導にばらつきが生じる

といった点があります。

 

これを防ぐためには、Off-JTと前述したスキルマップ、また、OJTの計画作成ステップを踏むことが有効です。

 

OJTの指導方法や導入ステップを下記の記事で詳しく解説していますので、ご興味あればご覧ください。

人材育成に使えるおすすめのフレームワーク

人材育成をするうえでは、いくつかのフレームワークや原則を理解して活用すると、育成効果を高めることが出来ます。

 

本章では人材育成でよく使われるフレームワークを解説していきます。

【フレームワーク①】コルブの経験学習モデル

「コルブの経験学習モデル」は、経験から学び成長するステップを説明したモデルです。

 

<コルブの経験学習モデル>

コルブの経験学習モデル

  • 1)経験:業務において体験する
  • 2)省察:体験の内容を振り返って整理・考察する
  • 3)概念化:次に活かせるように概念化/抽象化する
  • 4)試行:次の機会に実際に試してみる

 

経験学習モデルを理解しておくと、業務日誌や振り返りなどを使った成長が加速されますので、指導者はしっかり理解して指導に反映することがお勧めです。

経験学習モデルを踏まえて日誌の項目(質問)を作成する、また、振り返り等で「何があったか?(客観的な事実と主観的な事実の整理)」「もう一回やるならどうするか?(考察)」「何を学べるか?(概念化)」といった形で質問することで新人や若手の学習が加速します。

 

【フレームワーク②】ギャップ分析

「ギャップ分析」は、理想と現状のギャップ・課題を洗いして、理想に到達するための解決策を洗い出していくためのフレームワークです。

非常に単純ですが、業務目標でも成長目標でも、汎用的に使えますので、思考習慣として身に付けることがおすすめです。

 

手順もシンプルで、

  • 1)理想を言語化する(業務目標の場合はなるべく具体化・定量化する)
  • 2)現状を整理、言語化する
  • 3)理想と現在のギャップを書き出す
  • 4)ギャップに対する取り組みの優先順位や解決策を考えて書き出す
  • 5)実行できるタスクに落とし込んでスケジューリングする

というだけです。

 

新人はもちろん、若手や中堅に対しても有効です。

 

たとえば、若手や中堅社員のキャリア目標等を一緒に考えていくうえでは非常に有効です。

 

【フレームワーク③】7:2:1の原則

「人は何から影響を受けて成長するのか」を表したのが「7:2:1の原則」です。もともとは、管理職に対する「何を通じて成長したか?」というアンケート調査の結果をまとめたものです。

 

それによると、

  • 7割:実際の業務経験
  • 2割:上司や周囲からのアドバイスやフィードバック
  • 1割:研修や読書で学んだこと

となっています。

 

これらから分かることは、人材育成するうえで実際の業務経験を積ませて成長させることが非常に重要だということです。

 

人材育成においては、「あいつにはまだ無理だろう・・・」ではなく、「試しにやらせてみよう」といった、指導者側のマインドが人材の成長を加速させます。もちろん、いきなり業務をやらせるだけでは潰れてしまいます。事前にOff-JT等の研修を通じてインプットする、その上でフォローしながらやらせてみる(アドバイスとフィードバック)。

 

そして、日々、あるいは節目のタイミングで前述したコルブの経験学習モデルを踏まえて振り返りを行うという一連のサイクルを意識することがポイントです。

 

【フレームワーク④】4:2:4の原則

「4:2:4の法則」は、「研修の効果性(行動変容)に影響を与える要素の比率」を示した法則として、人材育成の分野では有名な法則です。

 

<研修の効果(行動変容)に影響を与える要素の比率>

  • 4割:事前学習や準備
  • 2割:研修内容
  • 4割:研修後の実践

 

つまり、研修自体の内容やクオリティよりも、研修前の仕掛け(事前説明会や課題など)と研修後のフォローアップこそが研修効果に大きく影響を与えるのです。

 

 

研修の効果を高めるためには、研修自体のプログラムを磨くことも大切ですが、

  • 前向きなマインドや姿勢で参加してもらうための取り組み
  • 個々の業務へのブリッジング
  • 実践やTodoへの落とし込み
  • 実行のフォローやチェック

といった前後の仕掛けが大切になるということです。

 

人材育成で外注先を選ぶ、また、社内でプログラムを設計する時にはぜひ注目しておきたいポイントです。

 

なお、研修前後の効果性を高めるためには、上司も一緒に巻き込むことも大切です。

  • 上司から成長テーマや期待を伝えてもらう
  • 研修から戻ったとき、上司に研修報告、とくに実践する内容を報告してもらう
  • 上司に研修のポイントを共有して、研修後にフォローしてもらう

等が有効です。

 

【フレームワーク⑤】モチベーション理論(内発的動機付け)

「モチベーション理論」は、心理学者であるエドワード・L. デシ(Edward L. Deci)が提唱した動機付けに関する行動心理学の理論です。デシは、発表のなかで「外発的動機付け」よりも「内発的動機付け」の方が社員は、高いパフォーマンスを継続できるということを述べています。

 

  • 外発的動機:金銭、評価、地位、感謝など、仕事の結果に対して外部から与えられる動機(モチベーション)
  • 内発的動機:貢献、やりがい、成長実感、充実感など、仕事の内容自体に対して内部から湧き上がる動機(モチベーション)

 

外発的動機づけは即効性があり、また、外部から提供するからこそ上司や組織が影響可能な部分です。その意味で悪いものではありません。ただし、強力で継続するのは内発的動機です。

 

従って、部下やメンバーが、各自でセルフモチベート(内発的動機づけ)できるようにコミュニケーションを取っていくことが人材育成において重要です。

 

内発的動機付けを推進していくためには、上司と部下とのコミュニケーションが必要不可欠です。

たとえば、1on1ミーティングやコーチングなどを行なうことも効果的です。仕事の目標や仕事そのものに対しての意味付けを考えたり、一緒にキャリアプランや成長目標を作ったりすることが内発的動機付けにつながります。

 

【フレームワーク⑥】マクレランドの欲求理論

組織で働く個人には、「達成欲求」「親和欲求」「権力欲求」「回避欲求」という4つの欲求が存在しているという、アメリカの心理学者マクレランドが提唱した理論が「モチベーション理論」です。

社員がどんな欲求(動機)を持っているのかを把握することは、効果的な人材育成やマネジメントに活用できます。

 

まずは、相手がどのような欲求を持っているのかを把握することが重要です。そのうえで、相手の欲求に応じて動機付けやコミュニケーションの方法を変えていくことがポイントになります。

簡単に各タイプの特徴を把握します。特徴を踏まえて、それぞれの欲求に指示の仕方やコミュニケーション、仕事の意味づけをすると良いでしょう。

 

【達成欲求が高い人の特徴】
  • 自分の手でやり遂げたい
  • ある程度のリスクを好む
【親和欲求が高い人の特徴】
  • 人の役に立ちたい
  • 他者から好かれたい
【権力欲求が高い人の特徴】
  • 地位や身分を得たい
  • 他者や周囲に影響を与えることが好き
【回避欲求が高い人の特徴】
  • リスクを恐れる
  • 周囲に合わせることが得意

 

【フレームワーク⑦】ソーシャルスタイル理論

「ソーシャルスタイル理論」とは、人のコミュニケーションや立ち居振る舞いの傾向を4つに分類したものです。「感情表現が多い/少ない」「自己主張が多い/少ない」という2軸のマトリクスで、ソーシャルスタイルを4つに分類します。

【ソーシャルスタイルの4分類】

ドライビング:感情表現が少ない、自己主張が多い
エクスプレシッブ:感情表現が多い、自己主張が多い
エミアブル:感情表現が多い、自己主張が少ない
アナリティカル:感情表現が少ない、自己主張が少ない

ソーシャルスタイルを知ることで「あの人とは何となく自分と合わない」という感覚的なものが解消され、「なぜ合わないのか?」「どうすれば合うのか?」を理性で理解できます。

合わない理由を言語化されることで、感情的・感覚的な好き嫌いが減少しますし、理性的に相手に合ったアプローチをすることも可能です。

 

ソーシャルスタイルは、営業職や販売職のトレーニングとしても有効ですし、人材育成やチームビルディングにおいても、相互理解を深める、対象に合わせて指導を行う等で活用できます。

現代における人材育成の課題

次に、現代における「人材育成の課題と解決策」を見ていきましょう。現代における新人や若手層の育成における2つの課題は、リモートワークと価値観の多様化です。

リモートワークでそもそも育成が難しい

リモートワークで行なう人材育成の主な課題として、

  • 「部下が何に困っているかがわからない…」
  • 「部下との関係構築が難しい…」
  • 「部下の感情を把握しにくい…」

などが挙げられます。

 

リモートワークは職場でのコミュニケーションのように「自然な雑談」「軽い報連相」が生まれづらく、今まで以上に意図的に雑談や報連相、また、信頼関係の構築を図る必要があります。

 

解決策としては、

  • 定期的な1on1ミーティング
  • 相談しやすい環境を作る⇒時間やルールの設定
  • 指導者から積極的なコミュニケーションをとっていく

などがあります。

 

会議等において、意図的に雑談(Good&New、チェックイン等のアイスブレイク)を入れることも、関係性を築くうえで効果的な手法です。

 

多様な価値観を尊重する時代背景

最近の新人や若手社員は多様な価値観が許容される時代で育ってきています。いわゆるZ世代やアルファ世代と呼ばれる人たちです。

 

また、年功序列や終身雇用の概念も完全に崩壊しており、ある調査では入社時点で「3年以内に離職する」と考えている層が半数近いという結果もあるなど、会社や仕事への価値観は今までと大きく異なり、会社に対するエンゲージメントは変化しています。

 

従って、従来までのような組織や個人(上司)の価値観を一方的に押し付けるような人材育成やマネジメントは強い反発を受けがちです。

もちろん「価値創出に基づいて対価をもらう」といった社会人、プロフェッショナルとしての基本的な心構えを身に付けてもらう必要はありますし、幅広い世代と仕事するうえでのビジネスマナーや心得ておくべきことも有るでしょう。

 

しかし、無意味に思える慣習、理由を説明しない価値観の押し付け等をすると、簡単に離職する傾向もあります。理性的に説明する、相手の価値観を尊重して活かすといった人材育成に対するスタンスが求められています。

まとめ:人材育成でより良い組織へ

本記事では、人材育成の重要性や目的から始まり、人材育成の手法やフレームワークを紹介しました。

人材育成におけるフレームワークは人事部門の方であればご存じのものばかりだったと思いますが、知っておくと非常に有効なものが多いですので、現場で人材育成にあたる管理職やOJTの指導者にも浸透させると効果的です。

 

VUCAの時代と呼ばれる中で経営陣や上司も必ずしも正解を知っているわけではなく、これまで以上に主体的に自走する社員を育成する必要がある。一方で、リモートワークや価値観が多様化する中で従来と異なる人材育成のポイントが生じてきているという難しい状況です。

組織における人材育成にきちんと取り組み、組織の業績向上や会社の発展に繋げて下さい。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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