人材を育成するためにはどのような手法があるでしょうか。人材育成の代表的な手法7つを紹介します。
Off-JT
人材育成の手法として最もわかりやすい形式が「Off-JT(Off the Job Training)」です。日常業務を離れた集合研修等を指します。
Off-JTのメリットは、まず短期間で集中的に学習することで、体系的な知識を身に付けられることです。多くの企業が新入社員研修や新任管理職研修等で取り入れています。体系的な知識学習を効果的なものにするためには、一方的な座学ではなく、ケーススタディやロールプレイング等のアクティブラーニングにより、実践的な研修にする取り組みが重要です。
また、もう1つのメリットは、日常業務から離れて集中的に思考できることです。こちらのメリットは、リフレクションやキャリアプランの構築、新規事業の立案等において生かすことが出来ます。
OJT
職場を離れた研修であるOff-JTに対し、現場で実施する人材育成が「OJT(On the Job Training)」です。先輩や上司が実務に携わりながら育成対象者のレベルやペースに合わせて指導していく手法です。
現場における教育であるため、実践的なスキルが身につき、人材育成手法の中でも短期間で成果に結びつきやすいのが特徴です。また社内の人材による指導であることから、外部コストが発生しない点もメリットといえます。
一方で、具体的なノウハウである分、断片的な知識になりやすく応用が利きづらいといった点、指導者のレベルや見識によって教育の効果性が大きくばらつく点、1対1もしくは1対象人数で実施するためOJT指導者への負荷が発生するといった点がOJTの注意点です。
eラーニング
IT環境の普及に伴って利用が進んでいる人材育成手法が「eラーニング」です。オンラインで学習できるツールやサービスを活用して社員が自分のペースに合わせて学習する手法を指します。動画が中心ですが、最近では、アプリを使ったり、ゲーム形式で実施したり、音声を使ったりといった形でeラーニングの形式も多様化しています。
eラーニングのメリットは、場所・時間を問わず実施が可能なことです。受講対象となる社員は自分のペースや隙間に応じて学習を進めていくことが出来ます。運営側としても、日程調整等が発生しない、コンテンツを蓄積して再利用できる、費用的にも安価といったメリットがあります。
一方で、各自が自由に学べるからこそモチベーションや性格によって進捗がばらつく、基本は知識のインプットであり仕事へのブリッジングや実践は各自に任せられる、疑問や質問の解消などがされづらいといった点が注意点です。
Off-JT、OJT、eラーニングという主要な人材育成手法は絶対的な優劣があるわけではなく、それぞれのメリットと注意点を踏まえて、内容や意図に応じて適切に組み合わせていくことが大切です。
自己啓発
自己啓発は社員による主体的な学習を企業側が支援していく人材育成手法です。具体的には業務に紐づく資格等を会社が指定して資格の取得や維持費用を補助する、また、社員が自由に使える学習サービスやeラーニングを契約して学べる環境を提供するといった形式が一般的です。
自己啓発は社員が自らの意思で学ぶことになりますので、学ぶ意欲が高くなることが特徴です。また、自由時間を使った学習となるので、業務への影響も出にくいといえます。
一方で、会社が学んでほしい対象に学んでほしいことを学ばせることができない(対象や内容がずれる)、自主的な学習となるため企業側の管理が難しいという点が注意点です。
メンター制度
メンター制度は、異なる部署の社員がメンターとなって新入社員や若手社員のフォローを担当する仕組みです。同一の部署では相談するのが難しい内容でも他部署であれば話しやすく、問題解決や意思決定、キャリア形成、離職率の低下等に役立ちます。
メンターが信頼できる相談相手となれば、組織へのエンゲージメントを高める効果も期待できます。また、メンター側も新入社員や若手社員からの目標となれるよう、業務に対する責任感が高まりやすいといえます。
一方で、OJTと同じようにメンターによって、人材育成の効果に差がつく、場合によっては新入社員や若手社員に悪影響を与える場合もあるというのが注意点です。
1on1
1on1は上司と部下が定期的に実施する面談(ミーティング)で、通常の目標設定、評価面談、業務進捗のレビュー等とは別に設定されます。1on1は、部下が主体となってテーマを設定して、業務に関することでも良いですし、直接の業務外となるキャリア形成やスキルアップ、会社の方針に関する質問等のテーマも扱うことが特徴です。
上司が確認したいこと・指示したいことではなく、部下が訊きたいこと・相談したいことにフォーカスすることで、信頼関係やコミュニケーションの円滑化、また、中長期的な人材育成に役立つことが期待されます。
OJD
OJDは、最近人材育成分野で注目される概念で、On the Job Developmentの略称です。OJTと同じように「実務を通じた人生育成」ですが、OJTが業務の遂行に必要な技術の習得(Traning)を目的とした人材育成手法であることに対し、OODはより中長期的な視点でのキャリア開発(Development)に主眼を置いている人材育成手法であることが特徴です。
日本の大手企業で行われていたジェネラリストの育成が、OJDのイメージに近い部分があります。異なる部署や職種でのマネジメントを経験させる中で管理職・幹部候補の育成を図っていたのが、日本企業でのジェネラリスト育成です。
OJDはジェネラリスト育成を目的とするものではありませんが、幹部やリーダー層の育成をイメージしながら、実務としてどういう経験をさせていくことが良いかを考えて異動や配置していく。そして、OJTやOff-JTとも組み合わせながら人材育成を図っていくイメージです。
OJDでは長期的な人材育成を前提に定期的なフィードバックを重視するのが特徴です。また社員のペースに合わせた個別指導が一般的であり、対象である社員も高い意欲を持って取り組むことができます。
OJDは日本の労働人口減少と世界的な競争の激化、雇用の流動化が進む中で、優秀な若手社員の抜擢と育成が急務であるという企業側のニーズに伴って運用が活発化しつつある人材育成手法です。