それでは次に、実際に人材育成方針を策定するための具体的なステップを解説します。
ステップ1 目指す人材像を明確にする
最初のステップでは、自社の人材育成を通じて育てるべき人材像を明確化します。組織のミッションやビジョン、経営戦略を踏まえたうえで、育成モデルを具体化することが重要です。
育成モデルを検討する際、10年20年の長期スパンで定めると、なかなか理想像にたどり着けなくなってしまいます。ですから、5年後にはXX、10年後には◯◯というように、段階ごとに人材育成の目標を設定するといいでしょう。目指すべき人材像が見えてくると、どの段階でどんなスキルや能力が必要になるのか?なども自ずとハッキリします。
ステップ2 現状の組織体制、人材構成の強み・弱みを把握する
次のステップは、現状の把握です。具体的には、現状の組織体制や人員構成にどんな強み・弱みがあるか?どれぐらいの水準なのか?等を部署や階層ごとに確認します。
現状を整理することで、この後の人材育成方針の策定もスムーズに進みます。組織体制・人材構成を把握する際は、管理職に人材育成の当事者意識を醸成させるという観点から、各部署の管理職からもヒアリングするといいでしょう。
組織の現状をあらためて把握していくと、「長所・強み」よりも「弱み・課題」のほうが多く出てくるというケースも珍しくありません。弱みや課題がたくさん挙がると不安を覚えるかもしれませんが、これらはむしろチャンスともいえます。弱みや課題を今後の人材育成で改善することで、会社がさらに成長する可能性でもあるからです。
ステップ3 現状とのギャップを整理する
ここまでで、目指すべき人材像の具体化、現状の組織体制・人材構成の把握を行ないました。次のステップでは、目指す人材像と現状を照らし合わせながら現状とのギャップを整理していきます。
目指すべき人材像とのギャップを整理する際は、「スキルマップ」を用意することも効果的です。スキルマップとは「社員ごとまたはグループや部門単位で、業務遂行に必要なスキルを備えているかどうかを一覧にした表」のことをいいます。
人材育成方針を考える上では、部門や職種、階層単位でのスキルマップが良いでしょう。スキルマップを活用することで、何が足りてないのか?その中でも重点的に克服すべき点はどこか?比較的強いのはどこか?など、求められるスキル・能力と現状のギャップが客観的に把握できるようになります。
ステップ4 目指す人材育成像と現状のギャップをもとに、具体的な人材育成計画を立てる
最後のステップでは具体的な人材育成の計画を立てていきます。ステップ1~3を通じて明確になった「組織が目指す人材像」と「現状のギャップ」を踏まえて人材育成計画を立案します。
具体例で考えてみましょう。
ある組織A社では「理想とする人材像」として「積極的に知識や専門性を追求する成長意欲の高い人材」を掲げました。これに対し、A社の社員の現状として「若手の成長意欲は総じて高い。しかし希望の部署でスキルを伸ばせず、モチベーションの低下や離職につながっている」ということがわかったとします。
A社のケースでは、今後の人材育成としてどんな取り組みが検討できるでしょうか。解決策としては、たとえば、「社内公募制度を設け、意欲次第で希望部署に配属されるチャンスを与える」、「セミナーや講座を自由に選んで受講できるシステムを導入する」などが考えられるかもしれません。
組織のミッション・ビジョン、経営戦略を実現するうえでは、「組織が目指す人材像」と「現状のギャップ」を踏まえた上での人材育成方針、計画を立てて取り組んでいきましょう。