vol.2では「経営方針で女性活躍プロジェクトを立ち上げた。しかし、うまくいかない…」という事例について紹介します。失敗事例を知っておくことで、よくある失敗パターンを回避することが出来るでしょう。
本記事は、全4部構成でお送りします。前後の記事が見たい方は、以下よりご覧ください。
それでは、本題に入り、よくある3つの失敗パターンを紹介します。
<目次>
- 女性活躍プロジェクトのよくある失敗事例①目標はあるけど方針がない?
- 女性活躍プロジェクトのよくある失敗事例②働きやすくなったがリーダーが出ない
- 女性活躍プロジェクトのよくある失敗事例③プロジェクトを立ち上げたが効果が出なかった
- 女性活躍支援サービスのご案内
女性活躍プロジェクトのよくある失敗事例①目標はあるけど方針がない?
一つ目の失敗事例は「女性管理職比率を◯%まで増やす!」と目標設定まではするが、方針がないというケースです。
A社では事務職の女性社員が多く、経営層は総合職への転換を進め、また、女性管理職の比率を上げることを目指していました。
しかし、「女性管理職比率20%を目指す!」という目標が経営方針として発表された時、現場の女性社員からは、「何を言っているのか分からない」、「自分は管理職になりたくない」「ロールモデルがいない」という声が多く上がってきました。
じつは、これまで女性に管理職になる期待をかけていなかった場合、上記は当たり前の反応だということです。ここで一喜一憂したり失望したりする必要はありません。
「ロールモデルがいない」と言われた時、「実際いないしなぁ」と諦めるのではなく、「管理職になりたくない」本音の理由を探る必要があります。
そうやって探っていくと実は、「なりたいけど、この点やあの点で無理だと思っている」とか、責任感の強い方だと「責任を全うできない」という感覚になっているということを紐解いてあげるだけでも変わってくることもあります。
また、経営トップから女性活躍に関する発信をすることは重要ですが、トップと現場、そして目標と現状のギャップを解消する教育や様々な施策に一貫性がないと、懐疑心は払拭できません。
とくに今までが女性を管理職にするような風土がなかった会社であれば、女性活躍の目標だけを発表しても「どうせ嘘でしょう」という疑念を持つ女性社員は多いと思った方がよいでしょう。
女性活躍プロジェクトのよくある失敗事例②働きやすくなったがリーダーが出ない
次の事例は、女性の働きやすさを優先して制度を整え、女性の定着率も良いし復帰率も良くなった一方で、優遇しすぎて、色んな制度の中で「やってもらうこと」や「期待」をきちんと伝えられていないケースです。
vol.1で紹介した「職場がぬるくなった」という話ですね。制度を整備していくと、新たな制度を導入した当初は喜ばれるものです。しかし、人は慣れるものです。
そして、新たに入ってきた人は、すでに整備された制度を「当たり前」と捉えます。結果的に、要望が次から次にでてくるものです。
キャリアアップを目指す女性に生産性高く働いてもらいたいという想いで、制度を整えて優遇してきたのに、なかなか思うように活躍するリーダーが出てこない。
そうすると、今度は「子育て中の女性社員ばかり優遇しすぎじゃないですか?」という不満が出てきます。
制度を整えることは最低限必要ですが、制度を整えれば女性社員が活躍するわけではありません。働きやすい制度の整備や給与アップなどの外発的なモチベーションには限界があります。
一時的には満足感をもたらすかもしれませんが、効果は時間とともに薄れてしまい、次の制度、次の優遇と与え続けないといけなくなります。
だからこそ内発的なモチベーション、つまり仕事のやりがいや達成感、チームメンバーと一緒に仕事をすることの一体感を高めることが重要です。
ここの施策が不十分だと、いくら働きやすい環境を整えても、女性社員が本当に積極的に働き、女性活躍が実現することは難しいでしょう。
仕事と家庭を完全に切り離すのではなく、「どちらも大切で、どちらも応援する」というスタンスを会社から示すことは必要ですが、そのうえで、本人のオーナーシップ、つまり「組織に属して働く以上は、顧客への価値提供や社内への貢献はちゃんとしますよ」という主体性を発揮させていくアプローチがとても大切です。
女性活躍プロジェクトのよくある失敗事例③プロジェクトを立ち上げたが効果が出なかった
次は、女性活躍推進プロジェクトを立ち上げ、座談会や研修を開催したり、ロールモデルとなる人との交流会を開いたりすることで、当初反応が良いと思っていたプロジェクトが実際にはあまり効果が出なかったというケースです。
C社では、女性活躍を経営方針に掲げ、現場で期待されている意欲ある女性、女性人事など、全て女性だけで構成されたチームで女性活躍推進プロジェクトを立ち上げました。
プロジェクトは、職場でアンケートを取り、様々な意見を集め、さらに生の声を拾おうと女性社員を集めて座談会なども開催しました。その中で、働き方への課題や不満が明らかになりました。
また、「ロールモデル」として、キャリアを積んでいる女性管理職を社外から呼んで講演会をしてもらったりもしましたが、バリバリのキャリアウーマンすぎて、「◯◯さんみたいになれない、なりたくない」と思う方も多くいました。
また、対象層を選定して上司とのキャリア面談を設けたりしても、あまり良い反応が出てきません。
このように女性活躍プロジェクトを立ち上げて、精力的に動いているのになかなか成果が出ない…。
女性だけで女性活躍プロジェクトを組む、また、女性社員の声だけを拾っていくと、こういう事象が起こりがちです。初めは新たな意見が吸い上げられ、良いと思われるのですが、現場との繋がりをうまく作れずにズレが生じるのです。
とくに現場の上司がプロジェクトの内容を把握しておけば良いのですが、そうでないと、突然「女性もキャリアを積むべきだ!」と言われても、「え、何のこと?」または「うちの会社では無理じゃない?」と思ってしまうようなことも起こりかねません。
女性活躍を進めようとしたとき、現場の管理職を巻き込むことは非常に重要です。とくに、今いる管理職に男性が多いのであれば、プロジェクトメンバーは全て女性である必要はありません。むしろ、関わる男性管理職をはじめとした多様な協力者を巻き込んでトータルデザインしておかないと、施策がぶつ切りになり、どこかで息切れして止まってしまいがちです。
さて、ここまで「女性リーダーを育成しようとした時によくある3つの壁」についてご紹介しました。vol.2で「女性活躍プロジェクトのよくある失敗事例」、vol.3・vol.4で「組織づくりの3つのポイントと3ステップ」をご紹介しました。本記事の続きは下記よりご覧いただけます。
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また、女性の管理職の効果や女性の活躍を増やす環境づくりと施策のポイントは以下の記事で解説しているので参考にしてください。