
心理的安全性を確保するために、リーダーや管理職が意識したい5つの心構えを紹介します。
成果や貢献への執着
心理的安全性は、単なる「仲良しクラブ」ではありません。ここでの「仲良しクラブ」とは、仲良くあることが目的化してしまい、チームの輪を乱すリスクを恐れる状態です。
表面的な仲の良さを重視するため、リーダー自身、仕事に対する要求基準が甘く、それぞれのメンバーも成果に対してある意味で無責任です。
チームビルディングしていく過程で「仲の良さ」=相互理解や信頼関係を生み出すことは非常に大切です。しかし、リーダーが積極的にチームで達成すべき目標や貢献、目指すビジョンを示していかないと、雰囲気重視の単なる「仲良しクラブ」で終わってしまいます。
貢献度が高いチームにするには、リーダー自身が成果をコミットする姿勢と強い意志を見せることが非常に重要です。チームとして何を成し遂げるか、成し遂げる目標にどんな価値があるかを言葉と行動で示し、チームの共通ゴールを創り出すのです。
また、リーダーの立場から目標達成を全力で支援し、成果創出への本気度を示しましょう。小さくても良いので成功体験を積み重ねていくことで、メンバー間に自信と結束力が生まれ、仕事への責任感も養われるでしょう。
メンバーへの誠実な興味・関心と経緯
メンバー個人を尊重し、敬意を持つことも心理的安全性を生み出すためにリーダーとして必須の心構えです。メンバー一人ひとりに興味を持ち、相手の価値観を理解することを心がけましょう。
ビジネス上ではどうしても相手の能力やスキルに関心が行きがちですが、能力やスキルへの関心だけでは自分の仕事へのメリットばかり追求していると思われ、信頼関係は深まりません。リーダーに自分のパーソナルな部分を気にかけてもらっているという事実が、メンバーの基本的な安心感、自己肯定感を育みます。
相互理解を深めるには、リーダー自身の自己開示も必要です。年齢が離れている、性別が異なるといった場合、特にメンバーからリーダーのプライベートには踏み込みにくいものです。
自身のことも積極的に開示しながら、相手の家族構成や趣味、プライベートで最も関心を持っていることなど、軽めの話題から切り出してみましょう。
相互理解が深まれば、各メンバーにより最適な仕事や役割をアサインできます。仕事上のコミュニケーションも円滑になるはずです。
リーダーによるチャレンジングな発言
前述のとおり、職場に心理的安全性がある状態とは、誰もがチャレンジングな意見を気兼ねなく述べられる環境を指します。「こんなことを言って馬鹿にされるのではないか」「邪見にされたり、仕返しされたりするのではないか」という不安がなく、各メンバーが自発的に発言できる空気があります。
気兼ねなく発言できる空気をつくるには、リーダー自身が失敗を恐れず行動したり、能力や知識不足を開示したり、ときには初歩的や的外れかもしれない質問をすることも大事です。
例えば、リーダーが「自分はDXの分野にあまり詳しくないから教えてくれないか」と皆の前で若いメンバーに尋ねたとしましょう。
リーダーが自分の無知や失敗などを素直に開示する姿勢を見せることで、無知・無能だと思われることに不安があった各メンバーも、自分も知らないことや不明点を素直に聞いても良いのだと思えるようになります。
メンバーの意見や提案を引き出すファシリテーション
リーダーがチャレンジングな発言をすることは大事ですが、リーダーだけが発言・提案する空気になってしまうことは問題です。リーダー自身は会議で話し合って合意したと思っていても、実際には最も権力を持つリーダーに対して、誰も異論を唱えられなかっただけかもしれません。
心理的安全性を生み出す、また、仕事に多面性を持たせてチームシナジーを生み出すには各メンバーから意見や提案を引き出すことが非常に大切です。リーダーや管理職は、議論やミーティングの際にはファシリテーターとなることを意識しましょう。
ビジネスシーンのファシリテーターとは、会議の進行役です。ただし、単に議題に沿って会議を進行するのではなく、参加者からさまざまな意見やアイデアを引き出して場を活性化させ、ゴールに向けてまとめていく役割を担います。
リーダーがファシリテーターとして、メンバーに対して自分の意見を述べる機会を提供することで、参加したメンバーは「発言して良い」「自分の意見が期待されている」という実感を得られるでしょう。
また、メンバーの意見や提案を決定に反映していくことで、メンバーに意思決定に関わったという満足感や納得感を生み出し、さらなる主体性を引き出します。こうした満足感や納得感は、決定事項を実行するフェーズにおいてもポジティブに働くでしょう。
相違を貴ぶ姿勢
リーダーとして、「否定しない、異論も受け入れる」という姿勢を徹底することも大事です。現実のビジネスシーンにおいては、会議などでリーダーが一切発言せずにファシリテートに徹することは現実的ではありません。
リーダーも意見を述べますし、場合によってはリーダーが意思決定することになります。その時に、大事なのは、自分と異なる意見を尊重したり理解しようとしたりする姿勢を見せることです。
たとえメンバーからの意見や提案が未熟なものであったり間違っていたりしても、正面から否定することはやめましょう。全員の前で否定されたメンバーは、次回からは黙ってしまうかもしれません。
心理的安全性を高めるには、自分と異なる意見を受け入れる「他者受容」が大事です。相乗効果とは、「違い」から生み出されるものです。チーム内のディスカッションを活性化させるには、違いを尊重する姿勢が大切です。
違いを尊重する姿勢が、職位や経験に関係なく「自分の視点に価値がある」と思わせ、本音を言える空気感を生み出します。