採用した新人を優秀な若手へ育てたいというのは、どの企業でも考えていることです。特に過去数十年で大学進学率が上昇し続けた結果、大卒人材の質は過去よりもばらつくようになり、入社後の教育はより大事になっています。
記事では、「優秀な若手」の特徴や、新人を優秀な若手へと育てるための指導や育成のコツを解説します。
<目次>
優秀な若手の特徴とは?
まずは目指すべきゴールである「優秀な若手」に見られる8つの特徴を確認します。ゴールを明確にすることが、若手の育成計画を組むうえで大切です。
特徴1 成長のために努力を惜しまない
優秀と呼ばれる若手は、間違いなく努力をしています。会社によって異なりますが、おおむね入社2~5年目ぐらいまでが若手と呼ばれる期間です。
入社からの数年間で「優秀」と呼ばれる層とそれ以外の差がつくのは素質や能力の差もありますが、努力の差も大きいところです。成果を出す、また成長するための努力を積み重ねているからこそ、優秀と評価されるようになるのです。
特徴2 相手の立場に立ってモノゴトを考えられる
仕事ができる人は総じて、相手の立場に立ってモノゴトを考えることができますが、これは優秀な若手にも当てはまる特徴です。
例えば、過去にクラブ活動で部長をやってメンバーの悩みを聞く機会が多かったり、生徒会長や学級委員長として周囲の人の話を聞く経験が多かったりする人は、そういうことに長けています。もちろん、それ以外に、他人に対する思いやりがある人も、相手の立場に立ってモノゴトを考えることができます。
特徴3 明確な目標を持って仕事をしている
明確な目標を持って行動をしている若手は、実はかなり少ないです。
もちろん、会社や上司から課せられた目標はありますが、自ら明確な目標を設定している若手は優秀です。なぜなら、自分がどういう方向で仕事をしていくのか、何のために行なっているのか、どういうゴールに向かっているのかが明確になっており、内発的動機で行動する割合が増えるからです。
特徴4 やるべきタスクと優先順位が明確である
優秀な若手は、1日の仕事を始めるときに「今日やるべきこと」が明確になっています。目標や優先順位を立てずに仕事をすると、なんとなく仕事を始めて何となく終わりがちです。やるべきタスクを明確にして優先順位をつけることで、集中力やスピードが高まり、仕事の質や量に反映され、成果へとつながります。
特徴5 感謝をきちんと伝えられる
優秀な若手は、周囲に感謝することを忘れません。仕事は一人で完結することは少なく、周囲の人と協力しながら行ないます。若いうちは、自分の力だけでできることは限られています。
優秀な若手は教えてもらったり、協力してもらったりすることを当たり前と思わず、常に感謝の気持ちを伝えています。また、感謝を伝えることで、周囲からの信頼を得て、さらに協力を得やすくなるという好循環を生み出しています。
特徴6 レスポンスが早い
メールの返信や報告、トラブル対応など、優秀な若手はとにかく行動が早い傾向があります。例えば、メールに目を通して返信の必要があれば、その場でメールを返します。また、連絡する必要が出てきたら、その場で電話します。
レスポンスや仕事を早くすることが相手からの好印象につながるだけでなく、仕事の生産性や成果につながることをわかっています。
特徴7 失敗を認めて、そこから学べる
「失敗は成功の母」という言葉がありますが、優秀な若手は失敗したことを認め、失敗から学ぼうとします。他責にせず、自分に落ち度があったことを認め、同じ失敗を繰り返さないようにします。
逆に成長しない人ほど、失敗の原因を他責にして、失敗の責任から回避しようとします。優秀な若手は失敗に謙虚な姿勢で向き合い、成長の糧としてレベルアップしていきます。
特徴8 成果を出している
身もふたもない話ですが、優秀な若手は成果を出しているからこそ、“優秀”と呼ばれます。成果を出すために何をすべきなのかを考え、そのための準備と計画も怠りません。
準備8割という言葉がありますが、成果から逆算して、段取り・計画・準備をしっかり行ない、そのうえでわからないこと、うまくいきそうにないことは事前に上司や先輩に相談して解消していきます。
優秀な若手に育てる指導のコツ
前章では優秀な若手の特徴を紹介しました。入社した新人をこうした特徴を兼ね備えた優秀な若手に育てるためにはどうすれば良いでしょうか。もちろん本人の素質や能力による部分もあります。
しかし、指導や育成で優秀な若手へと育つことはサポートできます。本章では新人を優秀な若手へと育てるための3つの指導のコツを紹介します。
育てるコツ1 優秀な若手の特徴を理解してもらい、成長イメージを描かせる
前章で解説した「優秀な若手8つの特徴」について、まず理解してもらうことが実は非常に重要です。人には得意不得意があるため、すべての特徴を完璧にできるようにはならないでしょう。
しかし、自分が目指すべき成長イメージを持たせることは非常に有効な手段であり、成長を加速させます。
以前、私の部下に「リーダーになりたい」という若手がいました。その若手は周囲から“優秀”と特別に期待されているタイプではありませんでしたが、“リーダーになりたい”という目標を私と共有して、そこからは「リーダーとしての目線」で指導しました。
結果として、1年後には社内表彰されるまでに成長し、リーダー候補の一人に選ばれるまでになりました。
目指すべきゴール像を本人に理解させる、また、ゴール像を上司と部下の共通言語とすることは、若手の成長を促し、指導効率を高めるうえで非常に効果的です。
育てるコツ2 自分で考えさせる機会を徹底的に作る
多くの経営者を輩出していることで有名な某社では、入社半年後には上司や先輩に相談すると「それで、君はどうしたいの?」と聞き返されるそうです。今までは親切丁寧に教えてくれていたものが、急に「君はどうしたいの?」を聞かれると答えに詰まりますが、それを繰り返すことで、考えること、自らの意思を持つことに慣れていくのです。
考える機会を与えることは、優秀な若手を育てる重要なポイントの一つです。しかし、考えさせる指導を怠っている上司が多いのも現実です。なぜなら、経験も知識も豊富にある上司は、新人や若手からの質問に答えを持っていることが大半です。
したがって、答えを教えて自分の指示どおりにしてもらったほうが楽なのです。だから、つい教えてしまいます。
しかし、これが常態化すると若手から考える力を奪うことになります。若手は指示されたことをやるだけになり、自ら考えないようになります。考える習慣がない若手は優秀とは程遠い存在です。
「考えさせる」機会を意図的に作って徹底させることで、自分で判断する力と責任感が芽生えるのです。
育てるコツ3 新しいことに数多く挑戦させる
多様な経験が成長を加速させることはいうまでもありません。優秀な若手を育てる3つめのコツは、「新しいことに数多く挑戦させる」ことです。
入社1年目はやったことがない仕事ばかりですので、日々新しいことへの挑戦です。
しかし、入社半年、1年、2年と経っていくと、ある程度仕事に慣れていきます。もちろん、上司からすれば、一人前といえるレベルではありません。しかし、ある程度「繰り返し」になってしまうことも事実です。
しかし、このタイミングでこそ、さらに新しい仕事にもどんどん挑戦させて、可能性を精一杯広げてあげましょう。そうすることで、挑戦する土壌が養われ、経験値が増え、もっと大きく成長します。
以前、支店運営をすべて若手に任せ、責任は自分がとることを英断した支店長がいました。任された若手は期待に応え、見事に予算を達成しました。大胆な挑戦は苦労も多いですが、大きな成長も見込めます。
ここまで大きな挑戦である必要はありませんが、少なくとも仕事の10~20%は小さな挑戦を数多くさせましょう。それが優秀な若手育成へとつながります。
まとめ
記事では、優秀な若手の特徴8つと新人を優秀な若手を育てる指導のコツを3つ紹介しました。紹介した「成長イメージを描かせる」「徹底的に自分で考えさせる」「新しいことに挑戦させる」はいずれも効果的ですので、ぜひ、新人・若手の部下育成で実践されてみてください。
新人や若手の成長可能性は大きく、育成次第でどんどん成長します。入社時点の能力や意欲のレベルの差はもちろんあります。しかし、入社後にどう育成するかでも、優秀かそうでないかは分かれていきます。
逆にいえば、会社や上司の育成次第で成長度合いは変えられます。本人の努力も必要ですが、育成側がうまく動機づけて、ゴール像を共有して、環境や体験を提供することで優秀な若手を多数輩出できます。記事を参考に、ぜひ優秀な若手育成に取り組まれてみてください。