優秀な若手が辞める理由と退職を防ぐ3つのポイント

更新:2024/02/06

作成:2022/01/15

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

優秀な若手が辞める理由と退職を防ぐ3つのポイント

どの会社でも、優秀な若手社員が定着し、末永く活躍してほしいと願っています。「担当業務だけでなく、リーダーとして周囲を巻き込み、部下の面倒も見て……」と成長イメージを描いているかもしれません。そんな若手が退職を申し出てきたときのショックは計り知れません。

 

記事では、優秀な若手が会社を辞める決断をする理由と、退職を防ぐために押さえておくべき3つのポイントを説明します。

<目次>

優秀な若手が辞める会社の特徴

まずは優秀な若手が辞めやすい会社が持つ3つの特徴を確認しておきます。なお、ここでの若手は入社2~3年目を想定しています。

 

特徴① 能力を活かしきれていない

まずあるのが「優秀な若手を活かしきれていない」会社です。もちろん、いくら優秀でも、入社2、3年目の若手にいきなり重要な仕事を任せることは難しいでしょう。

 

しかし、同じ若手同士で特別扱いをするのは良くないといった考え方から、スキルや経験を問わず誰でもできる仕事ばかりさせていたら、優秀な若手のモチベーションは低下する一方です。

 

最近の若手は優秀層ほど、リーマンショックやコロナ禍を見ながら育ち、「会社は守ってくれない」「自分の能力だけが自分を守る材料になる」ことを自覚しています。また優秀であるほどインターネットでの情報収集や横のネットワークも持っています。そのなかで「この会社における成長可能性」に見切りをつけて転職してしまうのです。

 

特徴② 入社前後でギャップがある

入社前と入社後でギャップがある会社も要注意です。

 

例えば、就職活動では「君は幹部候補生だ」と言われたものの、入社したらそんな様子はまったく見られない。入社前はクリエイティブな仕事や素晴らしい資料を作成してお客様にプレゼンするなどかっこよく仕事する姿をイメージしていたのに、退屈な仕事ばかりさせられるとギャップを感じたり、だまされたと思ったりして、簡単に退職します。

 

上記による退職は比較的早期に発生する傾向が強いですが、例えば、入社前に「若くして昇進した」「入社数年で抜擢された」事例を打ち出して採用したが、会社のステージなどが変わるなかで、上のポジションが詰まって抜擢などの可能性が低いことがわかってくる、といったケースは入社2,3年目に生じがちです。

 

特徴③ 上司とのキャリアや成長に関するコミュニケーションが少ない

優秀な若手が辞める会社では、上司やマネジメント層の若手社員に対する現状認識が甘い、もしくは不足しがちです。
結果的に、若手の関心事などを無視して業務や成果のコミュニケーションが中心となり、本人のキャリアや成長展望に関する時間軸やスピード感を把握できずに、特徴①のような失望を生み出していきがちです。

優秀な若手が辞める理由

通常の若手が辞める理由の多くは「上司や周囲との人間関係」や「労働時間や休日などの条件面」です。しかし、優秀な若手が人間関係や待遇で辞めるケースは少ないです。
優秀な若手は上司や周囲とはそれなりに人間関係を築きますし、待遇面はある程度把握して入社しています。もちろん、待遇面がきっかけや原因になるケースはありますが、通常の若手と比べると少ないといえるでしょう。

 

では、何が理由でしょうか。本章では優秀な若手が辞める3つの理由を紹介します。

 

理由① 直属の上司が魅力的ではないと感じる

1つ目が「直属の上司」の姿です。多くの場合、若手社員にとって直属の上司は自分の将来像であり、モデルケースとなります。優秀な若手も同様です。上司の姿が自分にとってロールモデルとならないと感じると、その会社に所属する魅力はグッと低下します。

 

理由② 成長できる環境ではないと感じる

2つ目が成長できる環境と思えない場合です。優秀な若手は成長するモチベーションが高いです。仕事を通じて成長し、多くのスキルを身に付けてキャリアアップすることにやりがいを感じます。

 

前章の特徴1でも述べたとおり、成長意欲が高く、周囲の情報もよく収集しているからこそ、「今の職場で成長の可能性があまりない」と感じると、より成長できそうな環境を求めて転職します。

 

理由③ 仕事のやり方が古い

3つ目が「仕事のやり方が古い」です。

 

デジタルネイティブ世代と呼ばれる最近の若手は、昭和的なアナログのやり方を嫌います。IT技術を駆使して効率よく仕事ができると感じたら、優秀な若手は「こうすればいい」と前向きに提案してくれます。しかし、何度提案しても聞き入れられないと、会社の体質に不満を感じて見切りをつけるのです。

 

優秀な若手は「会社にいる価値がない」と感じたら、自分の貴重な「若い時間」と天秤にかけて、できるだけ早く辞めようとします。会社からすれば、理由もなく突然辞めたと感じるかもしれませんが、優秀な若手は辞めるべき理由を自分なりに蓄積して結論を出しているのです。

 

退職理由に関しては以下の記事でランキング形式で詳しく解説しています。

優秀な若手の退職を防ぐ3つのポイント

どうすれば優秀な若手社員の退職を防ぐことができるのでしょうか。幹部候補などになりえるような優秀な若手を引き留めるために組織が取るべき3つのポイントをお伝えします。

 

ポイント① 魅力ある上司や先輩のもとに配属する

優秀な若手の退職を防ぐ一番のポイントは、魅力ある上司の下に配属することです。社内を見回したとき、仕事ができて周囲からの信頼もあり、経営陣からも一目置かれるような魅力的な上司が社内にきっといるはずです。そうした優秀な上司の下に配属すれば、若手も学ぶことが多く成長できるでしょう。

 

優秀な人は優秀な人を好みますので、優秀な先輩でも構いません。先輩が頑張って働いている理由に興味を示し、先輩と切磋琢磨しながら、自らも磨かれることを期待して頑張るでしょう。

 

時に優秀層を採用できたときに、「部署やチームの空気を変えて欲しい」という期待を込めて配属することがあるかもしれませんが、多くの場合は失敗します。組織の“雰囲気”や“暗黙のルール”といったものは新人や若手に変えられるほど簡単なものではありません。それよりも優秀な若手は優秀な上司や先輩の下に付けて育てましょう。

 

ポイント② キャリアを考えさせる

優秀な若手はキャリアを重視します。例えば、若いうちは多少のハードワークでも成長して魅力的なキャリアを築くことを重要と考える若手も多いでしょう。したがって、キャリアについて考える機会を持たせることが退職防止につながります。入社1年後研修や3年目研修などでキャリアプランニング研修を行なうことも有効です。

 

なお、若手のキャリアプラニングで重要なことは、上司や経営陣にもキャリアプランを共有して、どうやって実現できるかを考える場を設けることです。作ったキャリアプランを実現できないと思えば、逆に会社への興味を失わせる結果にもなりかねません。

 

若手が作ったキャリアプランが現実的ではないケースもあるでしょう。上司や経営陣がキャリアプランの共有を受けて、現実に実現していける形へアドバイスもしながら、一緒に実現を目指していくことが重要です。

 

ポイント③ 戦略的なえこひいきをする

優秀な若手の退職を防ぐために、戦略的にえこひいきすることも大切です。もちろん、まだ幹部候補になれるともわからない若手を早期に抜擢したり、特別扱いしたりすることは良くないという価値観もあるでしょう。

 

しかし、「平等でないものを平等に扱うことほど、不平等なことはない」という言葉があります。入社年次が同じというだけで、「仕事をがんばろうと思っている人」と「それなりでいい」と思っている人を同じ扱いをすることは逆効果です。

 

もちろん成果が何も出ていないうちに露骨なえこひいきすることは社内の人間関係などに悪影響をおよぼします。初めのうちは「魅力ある上司の下に配属する」「社内プロジェクトに立候補する機会を与える」といった形が望ましいでしょう。そこから、出した成果に応じて徐々にひいきすることが、優秀な若手の退職を防ぐのに効果的です。

終わりに

優秀な若手が辞める会社の特徴には、若手の能力を活かしきれていない、入社前後でギャップがある、キャリアや成長に関するコミュニケーションが少ないといった特徴があります。

 

また、上記とも関連しますが、優秀な若手が退職する理由は、「直属の上司が魅力的でない」「成長できる環境がない」「仕事のやり方が古い」といったものです。

 

上記を踏まえて、「魅力ある上司の下に配属する」「成長計画やキャリアプランを立てさせる」「戦略的なえこひいきをする」といった手段で優秀な若手の退職を引き留めていきましょう。優秀な若手の退職は、会社にとって大きな損害です。

 

日本人は「平等」を重視する傾向がありますが、優秀な若手は「特別」であることを意識して成長機会や展望を見せていかないと簡単に見切られてしまいます。優秀な若手が何を求めているのかを深く理解し、それに応える姿勢を持つことが大事です。

 

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著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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