従業員満足度(ES)を左右するのは、次の5つの要素だと言われています。
・企業理念への共感
・評価への納得感
・貢献感覚
・人間関係
・労働環境
ひとつずつ見ていきましょう。
企業理念への共感
企業理念に強く共感している従業員ほど、従業員満足度(ES)は高くなります。
企業理念とは、企業の根幹・軸となる価値観であり、「この企業は何のためにあるのか」「この企業はどこに向かっているのか」を表します。最近では、ミッションやビジョン、パーパスと表現されることも多くあります。
企業の軸となる想いに共感している従業員は、組織に対する信頼度も高く、また、自分の仕事の意味や価値を信じることができます。必然的に主体的な行動が生まれますし、「自分の仕事が社会に貢献している」というやりがいを感じられるでしょう。
なお、本質的に共感を得られるような施策を打たずに、表面的な共感を強要するような施策は逆効果になる可能性もありますので注意が必要です。例えば、企業理念を大声で唱和させるような施策は、従業員満足度に悪影響となる可能性も高いでしょう。あくまで、従業員の自発的なビジョンへのコミットメントを促すことが重要です。
評価への納得感
評価に対する納得感も、従業員満足度(ES)を高める要素の一つです。ただし「評価を上げれば良い」という単純な話ではありません。
たとえ良い評価であっても、根拠が乏しかったり全員の評価が高かったりすると、その評価の信憑性がなくなります。そうなると「この会社は自分のことをちゃんと評価してくれない。見てくれていない」と感じてしまうため、従業員満足度(ES)は低くなります。
逆も同様です。組織内で適切な評価、透明で納得感のある評価をすることが大切であり、パフォーマンスが悪い従業員に対して、甘い評価をしたり、評価を底上げしたりすることがあれば、周囲の信頼が失われます。
評価は報酬分配ともリンクしますので、殆どの場合、すべての従業員に良い評価をすることはできないでしょう。数値としての絶対値よりも「しっかり見て適切に評価している」ことがわかるよう、目標設定と評価プロセス、評価のフィードバック、改善策の検討などの運用をしっかりと行うことが大切です。
貢献感覚
「自分はチームに貢献できている」という感覚(貢献感覚)が強いほど、従業員満足度(ES)は高くなります。
貢献感覚を高めるには、今やっている仕事の意義や全体における役割をきちんと伝えることが大切です。全体像や目的が分からないまま、言われがままに作業を実施している状態では貢献度は高まりません。
従業員に貢献感覚を持ってもらうためには、仕事の意味や価値を考える機会、顧客からの感謝や賞賛をえる機会、企業への貢献を実感してもらう機会、達成感を感じるような機会などを準備することが有効です。
また、最終的な成果だけでなく、仕事への姿勢や配慮、周囲への間接的な貢献といったことにも注目して、きちんと承認することで貢献感覚は高まります。
人間関係
職場の人間関係も、従業員満足度(ES)における重要な要素の1つです。上司や同僚、部下とは長い時間を共に過ごしますので、従業員のストレスや心理に大きく影響を与えます。退職理由のランキングで「上司との人間関係」や「職場の人間関係」が常に上位に入ることもこの裏返しです。
従業員満足度を上げるためには、コミュニケーションを柔軟に取れる、従業員間でお互い関心を持っているなどといった状態を作ることが重要です。いわゆる心理的安全性もベースとなるのは人間関係です。
職場の人間関係が良好でない状態は、衛生要因の視点で大きなマイナスが生まれることになりますので、即座に改善に取り組む必要があるでしょう。
人間関係や職場の雰囲気に大きな影響を与えるのは各職場の「長」です。管理職メンバーのヒューマンスキル、コミュニケーション能力やチームビルディングスキルなどをしっかりと高めることが大切です。
上司が従業員の思いをくんだコミュニケーションが取れていたり、仕事ぶりを適切に評価できていたりする組織では、従業員満足度が高くなるでしょう。上司の人間性、そして、スキルへの投資が従業員満足度の向上にもつながります。
労働環境
人間関係以外の労働環境も、従業員満足度(ES)を高める重要な要素です。労働環境には、これまでに紹介した評価制度等の他に以下のようなものが含まれます。
・勤務時間
・休日
・報酬、手当
・福利厚生
・職場環境(機材環境や衛生環境など)
基本的に労働環境が整備され、充実しているほど従業員満足度(ES)は高くなります。
例えば、希望の部署で、残業も少なく、十分な報酬がもらえ、適切な評価を受けられ、福利厚生も充実している、キレイな職場で働ければ多くの人が満足するのは想像に難くないでしょう。
いきなり全てを満たすことは難しいですが、まずは「衛生要因」、つまり一定水準を下回るとネガティブな影響、不満を生み出す要素に着目して、衛生要因を改善することが大切です。