若手のモチベーション低下3大理由と低下を防いで、やる気を高めるポイント

更新:2023/07/28

作成:2022/01/20

東宮 美樹

東宮 美樹

株式会社ジェイック 執行役員

若手のモチベーション低下3大理由と低下を防いで、やる気を高めるポイント

HRドクターを運営するジェイックは研修会社として、日々多くの企業から人材育成のご相談をいただきます。最近、お客様と話していると、入社2~3年目の若手社員のモチベーション低下や伸び悩み、離職に懸念をお持ちの方が増えています。

 

2~3年目の若手社員は仕事を覚えて一人前となり、組織の戦力として今後の成長にもさらなる期待がかかる頃合いです。一方で、仕事へのマンネリ感やキャリア展望が見えなくなる時期でもあり、モチベーションが低下しやすいところもあります。

 

記事では、入社2~3年目の若手社員がモチベーション低下を起こす原因、またモチベーション維持するために大切な働きかけのタイミング、在宅勤務におけるやる気を高めるポイントを解説します。

<目次>

若手社員のモチベーションが下がる3大要因

本章では、若手社員のモチベーション低下の実態、また若手社員のモチベーションが下がる3大要因を解説します。

 

若手社員のモチベーション低下の実態

若手社員のモチベーション低下は以前からある現象で、HR分野では離職意思が3年目に向けて上昇を描くことを「3年カーブ」といったりもします。

 

下記のグラフは、東京未来大学が実施した転職経験のない社会人3年目男女300名の「仕事のモチベーション」に関する調査結果のデータです。仕事のモチベーションを0点~10点で聞いた結果を示したもので、社会人1年目から3年目にかけて直線的にモチベーションが低下しており、3年目の男女平均は4.7点と5点を下回っています。

 

また、特に1年目から2年目にかけて急激に低下していることがわかります。

男女別モチベーショングラフ
引用 転職経験のない社会人3年目の男女300名の「仕事のモチベーション」に関する調査

 

若手のモチベーション低下理由① 仕事のマンネリ化

ジェイックでは若手向けの企業研修を実施することも数多くありますが、研修内で受講生からよくいただく質問や相談があります。「今の会社にずっと勤めており、最近はある程度仕事ができるようになってきたなかで新鮮味がありません。日々の仕事にモチベーションが湧かない。モチベーションを上げるためにはどうしたらよいでしょうか?」という趣旨の相談です。

 

上司や組織側からすると、仕事に慣れてきてある程度の成果をあげられるようになった程度で満足されては困るのですが、一方で、日々の業務が繰り返しになると、2~3年でマンネリを感じてしまうことは事実でしょう。

 

特に、「先輩を見ても同じような仕事で代わり映えがしない」「管理職などのポジションが詰まっているように見える」場合、マンネリ感によるモチベーション低下が退職要因へと一気につながるリスクが高いでしょう。

 

理由2 承認欲求が満たされない

人には「自分を認めてほしい」という気持ち、つまり、承認欲求が存在します。10年ほど前に「かまってちゃん」という言葉を聞くようになりました。承認欲求が肥大化し、極端な言動を取ることで相手の気をひき、かまってもらおうとする人を指すといわれています。

 

最近、かまってちゃんという言葉は聞きませんが、毎年のように1000人近い規模で新入社員研修を実施していると、平均的な若手の承認欲求は強くなっていると感じます。やはりSNSなどで「いいね」やスタンプで承認されることに慣れているのです。

 

「合格基準に達しない限りは褒めるべきではない」「叱咤激励して成長させる」という考え方がすべて間違っているわけではありませんが、若手の成長を促進するうえで承認欲求を満たすというアプローチは大切です。

 

理由3 上司がやる気を下げる関わり方をする

上司の関わり方に問題がある場合、若手社員はコミュニケーションギャップや孤独を感じ、精神的負荷を感じがちです。「退職者は会社を去るのではなく、その上司のもとを去るのだ」という言葉もありますが、まだ世界が狭く、自己が確立されていない若手ほど、上司の存在が仕事へのモチベーションに大きな影響を与えます。

 

そして、上司が気付かぬ間に、「モチベーションを下げる」関わり方をしてしまっているケースも多々あります。前述した「承認しないマネジメント」も一つですし、最近は「自分の価値観や考えを押し付ける」ことも若手のモチベーションを下げる大きな要因になっています。

 

いまの若手は、子供の頃から「多様性を認められる」環境で育っています。したがって、入社後に「自分の価値観を認められない」「相手の価値観、企業の価値観を一方的に押し付けられる」と感じると、モチベーションが低下しやすい傾向にあります。

 

もちろん新人や若手を育成するうえで考え方や言動を指導しないといけないことは多々あります。ただ、その際には「こういうものだから」「そんな考え方じゃダメだ」と一方的に、理由も話さずに押し付けるような指導をすると若手のモチベーションを大きく低下させますので注意が必要です。

若手のモチベーションが高まる3つのタイミングとマネジメントの秘訣

HRドクターを運営する研修会社ジェイックの講師が、若手研修の受講生に「気持ちが前向きになったり、モチベーションが高まったりするのはどのようなときか」を聞くと、大きくは下記3つのタイミングになります。本章では、3つのタイミングとそれを踏まえたマネジメントの秘訣を解説します。

 

若手のモチベーションが高まる3つのタイミング

若手のモチベーションはどのようなときに高まりやすいのでしょうか。3つのタイミングを紹介します。

 

タイミング① 自分の仕事が経営や社会に貢献していると感じたとき
若手のモチベーションが高まるタイミングとしてまず挙げたいのは、自分の担当業務が事業に貢献している、あるいは社会に貢献していると実感できたときです。特に社会経験が少ない人であればあるほど喜びは大きいでしょう。

 

タイミング② 成長実感が得られたとき
モチベーションが上がりやすい2つめのタイミングは、自分自身で成長が実感できたり、自信が持てたりしたときです。成長願望が強い若手社員ほど、成長実感が持てると、自信をもってさらなる上を目指す意欲がわきやすいものです。

 

タイミング③ 成功体験や達成感を得たとき
最近の若手は優秀層や真面目なタイプほど、仕事を給与の手段として割り切っていることは少ないように思います。物欲がそれなりに満たされてきたなかで育ってきた環境もあり、仕事に精神的な報酬や満足感を求めているのです。
1つめや2つめの貢献欲求や成長実感ともリンクしますが、仕事のなかで「成功体験」や「達成感」を得られるとモチベーションが高まります。

 

若手のモチベーションを高めるマネジメントの秘訣

読んでいただくと、3つのタイミングは、昔から普遍的な要素であり、「当たり前」と感じられるものが多いかと思います。ただし、いまの若手にとっては3つの要素を得ることが昔以上に重要になっているのです。

 

3つのタイミングはどれも精神的なものであり、だからこそ、上司や組織がマネジメントを通じて上記を満たしていくことが大切です。それぞれ以下のポイントを押さえたマネジメントが有効です。

自分の仕事が経営や社会に貢献している感覚

⇒仕事の意味や目的をきちんと説明する
⇒間接的なものを含めて、成果や貢献をきちんとフィードバックする
「〇〇くんがやってくれたこの仕事からこんな成果があがったよ」
「〇〇くんが準備してくれた◇◇、お客さんにとても好評だったよ」
「〇〇くんがしてくれた□□、△△さんがとても喜んでいたよ」

成長実感

⇒絶対的な合格水準の達成だけでなく、プロセス、進歩、意欲や努力を承認する
「〇〇の部分は合格水準だね!」
「前よりも□□のところがうまくなったね」
「△△のところ、努力しているのはよく見ているよ。継続すれば必ず結果につながるよ」

成功体験や達成感

⇒仕事のなかで意図的に小さなミニゴールや成長ハードルを準備する
⇒小さな成功や貢献をしっかりと承認する
⇒陰で褒める(間接的に承認が伝わるようにする)
⇒全社的な表彰や朝礼・会議などで細かく成功者を発表する

なお、貢献実感や成長実感、達成感、いずれも注意が必要なのは「人は同じ刺激では満足できなくなる」ということです。初めから褒めすぎると、褒められることが当たり前になってしまいます。また、同じ褒められ方では満足できなくなります。

 

同様に、初めは貢献実感や達成感が得られた仕事も10回も繰り返せば、同じレベルの仕事は「ルーティン」「繰り返し」と感じてしまうのが人の性質です。

 

個々の状況を見ながら早め早めに新しい仕事を少しやらせたり、難易度が高い仕事に挑戦させたり、仕事を変えたりすることもモチベーションを維持するためのポイントです。

若手のモチベーションを高める、在宅勤務時代の関わり方

2020年以降、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務を導入する企業が一気に増えました。在宅勤務では、上司や先輩から声をかけてもらったり、雑談をしたりする機会が減りがちです。

 

最後に在宅勤務における若手のモチベーションを高める関わり方を紹介します。

 

在宅勤務で若手のモチベーションが低下する

参考情報としてNTTドコモのグループ会社empheal社が実施した調査結果を共有します。調査は「在宅勤務率が80%以上」を対象に緊急事態宣言以前(2020年2月上旬頃)と調査時点(2020年6月8日結果発表)で仕事のパフォーマンスやモチベーションの変動を調べたものです。

 

下図は調査結果からの抜粋で、在宅勤務によるモチベーション変化を年代別で集計した結果です。グラフを見ると、20代の若手社員では、モチベーションが減少した人の割合が高いことが目につきます。

世代別の業務に対するモチベーション調査
出典 empheal社による世代別の業務に対するモチベーション

 

調査では、さらに業務に関するコミュニケーション量の変化を、モチベーションが落ちた人と維持・増加した人で分けて集計しています。

業務に関するコミュニケーション量が減ったと答えた割合

・モチベーションが「変わらない」「上がった」と回答した人:36%
・モチベーションが「落ちた」と回答した人:80%

「変化なし+高まった人」、「落ちた人」、どちらの群でも在宅勤務でコミュニケーション量が減っていますが、モチベーションが落ちた群では、「コミュニケーション量が減ったと答えた人」がモチベーションは変化なし・高まったという層の2.2倍に上ります。

 

若手層を中心にコミュニケーション量の減少がモチベーション低下につながっている可能性が十分に考えられる結果です。

 

コミュニケーションの機会が減ることで、モチベーションに悪影響が出る

なぜ業務に関するコミュニケーションが減ると、モチベーションに悪影響が出るのでしょうか。考えられる可能性の一つとして、若手が大切にしている貢献欲求、成長実感、達成感などが満たされなくなったことがあります。

 

在宅勤務になった企業で、業務に関するコミュニケーションの多くが対面からメールやチャットなどに置き換えられているケースが多くあります。メールやチャットは、実務に関する進行などは十分にしていけますが、一方で感情のコミュニケーション、雑談、偶発的なコミュニケーションは減少しがちです。

 

「よくやったな」「成長したじゃないか」「こないだ〇〇さんがこんな風に褒めてたよ」といった貢献欲求、成長実感、達成感を満たすコミュニケーションが、在宅勤務のなかでじつは減少している可能性があります。

 

若手研修で受講者に話を聞くと、「自分のことを見てくれ、気にかけてくれる人がいるから、仕事を頑張れる」、「誰も自分のことを気にかけてくれないと不安を感じる」といった声も多く出てきます。

 

「承認欲求」は若手に限らず、誰にでもある欲求ですが、企業や組織で確固たるポジションや居場所を確保しきれていない、また精神的に自立しきっていない若手は、特に承認欲求や貢献実感を得にくくなる在宅勤務の環境では、モチベーションを低下させやすいのです。

 

在宅勤務の若手のモチベーションを高めるための関わり方

上記を踏まえて、在宅勤務下で若手のモチベーションを高めるための関わり方は、一言でいうと「意図的に軽いコミュニケーションを増やす」ことです。

 

例えば、オンラインミーティングの冒頭で意図的に雑談を振ったり、実務上の大した要件がなくても電話を入れてみたり、チャットで簡単な承認の言葉やスタンプを送ったりといったことです。あえて「実務」から少し離れた関わりを意識することが有効です。

 

また、実務面においては、「若手が主体的に発言できる働きかけをする」ことも有効です。在宅勤務では、質問や相談が気軽にしにくくなります。

 

上司や先輩に「こんなこともわからないのか、出来ないのか」と思われる不安から、質問したり相談したりすることを躊躇ったり、不安や悩みを打ち明けられなかったりする若手も増えています。

 

対面であれば場の雰囲気や感情も踏まえて軽く言葉にできるものが、オンラインでは意図的に場を作ったり、能動的に行動したりしないと質問や相談しにくいものです。したがって、ミーティングや会議のなかで、若手に対して積極的に話を振ったり、日報などのなかで強制的に質問を書かせたりするといったことが有効です。

おわりに

若手社員のモチベーション低下は昔からある問題で、入社1年目から2年目にかけて、モチベーションが急激に下がっているという調査結果もあります。若手のモチベーションが低下する主な原因は仕事のマンネリ化、承認欲求が満たされない、上司の関わり方といったものです。

 

特に昨今の若手は貢献欲求や承認欲求、また成長実感や達成感などの精神的な報酬を求めている傾向が強くなっており、上司が価値観を押し付けたり、昔ながらのマネジメントをしていたりすると、気付かずに若手のモチベーションを大きく落としている可能性があります。

 

逆にいうと、若手が貢献欲求や成長実感、達成感などを得られるようにコミュニケーションを取ることが、若手のモチベーションを高めるマネジメントのコツです。なお、同じ仕事を繰り返していると、どうしてもマンネリ化して、成長実感や貢献実感が得にくくなりますので、早め早めに新しい仕事や少し難しい仕事を挑戦させることなども大切です。

 

コロナ禍による在宅勤務内では、特に上記のような実務外のコミュニケーションが減りがちです。意図的にコミュニケーション頻度や雑談を増やしたり、若手が発言する機会を設けたりすることがポイントになります。

 

社会人経験が長い上司などからすると、「モチベーション維持は本人の責任だ」と感じる人もいるかもしれませんが、若手のモチベーションは上司や先輩の関わり方次第で大きく向上させられることも事実です。

 

上司をはじめとする周囲の人の関わり方や人事部による仕組み作りで、若手のモチベーションを高め、成長・活躍させてください。

著者情報

東宮 美樹

株式会社ジェイック 執行役員

東宮 美樹

筑波大学第一学群社会学類を卒業後、ハウス食品株式会社に入社。営業職として勤務した後、HR企業に転職。約3,000人の求職者のカウンセリングを体験。2006年にジェイック入社「研修講師」としてのキャリアをスタート。コーチング研修や「7つの習慣®」研修をはじめ、新人・若手研修から管理職のトレーニングまで幅広い研修に登壇。2014年には前例のない「リピート率100%」を達成。2015年に社員教育事業の事業責任者に就任。

著書、登壇セミナー

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