交渉の苦手意識を克服する3つのポイントを紹介します。
- 交渉はWin-Winを目指すものであるという意識を持つ
- ゴールと撤退の基準を設定する
- アサーティブコミュニケーションを実践する
交渉はWin-Winを目指すものであるという意識を持つ
交渉には、配分型交渉と統合型交渉という2つの種類があります。
配分型交渉とはある一定量の利益や便益、あるいは損害を自分と交渉相手それぞれがどれだけ負担するかを、話し合いで決着をつけることです。
また、統合型交渉とは利益やメリットを増やす、加えるなどすることでお互いに損することがなく、どちらも利益を獲得できる結果を目指すことです。別名WinWin型の交渉とも呼ばれます。
交渉が苦手という意識を持っている人は、“交渉=配分型交渉”という意識を持っていることが多いです。
配分型交渉はどちらかの取り分(利益の拡大や損失の負担)が増えれば、どちらかの取り分が減ることになり、必然的に交渉に勝ち負けが生まれることになります。感情的なしこりも残りやすくなるでしょう。
一方で、統合型交渉でWin-Winを実現できれば、お互いに望むものが得られますので、人間関係は維持され、むしろ強固になります。
交渉とは決して勝ち負けだけではなく、Win-Winを目指せるものであるという意識を持つことが苦手意識を克服する上で大切になるでしょう。
もちろんすべての交渉をうまく統合型にできるわけではありません。ただ、知っておくべきなのがスティーブン・R・コヴィーによるベストセラー『7つの習慣』で紹介されている“人間関係の6つのパラダイム”です。
- 1. Win-Win:自分も相手も、お互いが満足できる結果を目指そうとする考え方
- 2. Win-Lose:相手を打ち負かして自分のWinを得ようとする考え方
- 3. Lose-Win:相手との諍いや関係悪化を恐れ、相手に勝ちを譲る考え方
- 4. Lose-Lose:相手がWinを得るのは何としても阻止するため、自分の損失もいとわない考え方
- 5. Win:自分のWinをひたすら追求する考え方
- 6. Win-Win or No Deal:Win-Winが困難なときは、お互い合意のうえで「取引しない」という選択する考え方
コヴィー博士は中長期的に人間関係を維持するためには最後の「Win-Win or No Deal」であることが大切であり、逆に、これ以外の人間関係は中長期的にはすべてうまくいかなくなると言っています。
すべての交渉でWin-Winを実現できるわけではありませんが、中長期的には統合型交渉、”Win-Win or No Deal”を実践する意識が大切です。この感覚を持てるようになると交渉への苦手意識を取り払えるでしょう。
ゴールと撤退の基準を設定する
実務的には「何のためにその交渉を行ない、どのような成果を得たいのか」を事前に検討・整理しておくことが大切です。これには「BATNA」と「RV」を意識することが有効です。
BATNAとはBest Alternative To a Negotiated Agreement (不調時対策案)のことで、合意できなかったときに目指す最善の選択肢を意味します。先ほど紹介した“No Dealにする”という選択も、BATNAのひとつといえます。
また、RVとはReservation Value (留保価値)のことで、BATNAを行使した際に得られる価値を意味し、言い換えると交渉を撤退する基準です。
「どこまでなら妥協できるか?」「どのような条件までなら交渉に留まる価値があるのか?」を事前に想定しておくことで、配分型交渉も感情的なやり取りなどに陥らず決着させることができるでしょう。
アサーティブコミュニケーションを実践する
アサーティブコミュニケーションとは、自分が一方的に主張する攻撃的な自己表現(アグレッシブ)、また、一方的に相手の主張を受け入れる非主張的な自己表現(ノンアサーティブ)ではなく、自分と相手のどちらも尊重するというコミュニケーション方法です。
アサーティブコミュニケーションを実現できると、人間関係を壊したり、感情的なやり取りに陥ったりすることなく、きちんと自分の主張を伝えられます。アサーティブコミュニケーションを実践する上で役に立つのがDSEC法というやり方です。
DESC法とは以下4つのステップで会話を進める手法です。
- ステップ①Describe(描写する)
- ステップ②Express(説明する)
- ステップ③Suggest(提案する)
- ステップ④Choose(選択する)
例えば、「値引きには応じられないが、他の選択肢を受け入れてもらいたい」という場合だと下記のようになります。
- Describe(描写する)「ご提案いただいている価格での販売には応じられません」
- Express(説明する)「しかし、私どもとしては御社と末永いお付き合いを望んでおります」
- Suggest(提案する)「そこで、本来有料のオプションを無料でつけさせていただきます」
- Choose(選択する)「価格は変わらないものの、費用対効果が10%上がりますがいかがでしょうか」
「値引きには応じられないといっているでしょう」と攻撃的な主張をしたり、「わかりました、値引きできるよう上とかけ合ってみます、すみません」と非主張的になったりするのではなく、アサーティブコミュニケーションを用いて相手を尊重したうえで、きちんと自分の意見を伝えることで交渉がスムーズにいきやすくなります。