人材育成でよくある5つの課題
企業によって、置かれている経営環境や必要とする人材像は異なります。人材育成で生じる課題も細かく見れば違ってきますが、多くの企業が共通して抱えている課題もあります。人材育成がうまくいかない企業が悩まれている5つの課題を確認しましょう。
人材育成の軽視
人材育成は、企業の将来のためには欠かせないものですが、一方で、投資対効果が見えづらかったり、効果が出るまでに時間がかかる側面もあったりして、経営や実務の中で後回しにされてしまいがちな部分もあります。
そうすると、研修時間や予算などを十分に確保することができず、「研修に派遣してもらえない」「教育を行えない」といった問題が生じてきます。
育成計画の欠如
時間や予算が確保できないことに加え、中長期的な視点に立った育成計画がないことも人材育成がうまくいかない原因です。
人材はすぐに育つというものではなく、必要なスキルや見識を身に付けて事業に貢献できるようになるまでには時間がかかります。そのため、人材育成には長期的な視点や一貫性が必要です。
中長期的な視点がなく、場当たり的に生じた課題に対して研修などを実施していると、研修の効果が出なくなってしまいます。そして、「効果が出ない ⇒ 人材育成の優先順位が下がる ⇒ きちんとした計画がないまま緊急度の高いものだけ実施される ⇒ 効果が出ない…」という悪循環にはまってしまいがちです。
工数不足
人材育成には時間と工数がかかりますが、十分な工数を確保できないというケースも多くあります。
経営陣が人材教育に対して関心が薄かったり、人事や管理職が目の前の業務に追われて時間を割くことができなかったりすると、工数の確保が難しくなりがちです。
人事の場合、兼務業務が多いと、緊急度が高い採用や労務、また人事評価などの業務やオペレーションに工数を取られてしまい、人材育成に対して検討や効果検証する時間がない。結果的に場当たり的な取り組みになったり、惰性的に決まった研修をやるだけになっていたりするケースがあります。
また、人材育成は集合研修などですべてが解決するわけではなく、現場での実務を通じた人材育成も重要です。例えば、挑戦的な業務を任せてみる、1on1によるエンゲージメント向上や悩みの解消、キャリア面談やフィードバックといった取り組みです。管理職がプレイングマネージャーであったり、担当範疇が広くなり過ぎたりすると、こうした人材育成に十分な時間を取れず、とくに個別のケアでできないケースが増えてきます。
育成ノウハウの不足
上述したような優先順位が低い、時間がない、予算がない、計画がないといったことに加えて、ノウハウ不足も人材育成の大きな課題となってきます。
効果的な人材育成を実施するためには、やはり一定のノウハウが必要です。育成計画の作成、研修の実施、現場実践へのブリッジング、現場におけるフィードバックなどの体系、OJTの立案&実施ノウハウといったものです。
こうした育成ノウハウを社内で蓄積して仕組化していかないと、なかなか効果的な人材育成はできません。
育成対象者の成長意欲
育成対象者の成長意欲の低さも、人材育成の課題の一つです。とりわけ最近は「若手の成長意欲の低さを感じる」という人事担当者の悩みを聞くことも多くなっています。
以下に示すのは、平成30年度に実施された「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」の結果で、日本を含む7か国の満13歳から満29歳までの男女を対象にインターネット調査したものです。
まず、若い人が抱いているセルフイメージについて見ていきましょう。
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引用)「令和元年版 子供・若者白書」内閣府
https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/r01honpen/s0_1.html
「私は、自分自身に満足している」に対して、「そう思う」と回答したのは、10.4%となっており、自分に対する満足度は低いというのが見て取れます。
また、「うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組める」に対して、「そう思う」と回答したのは、10.8%と低い数値です。
「どちらかといえばそう思う」まで含めると50%をわずかに超えるものの、どんな状況下でも積極的に挑戦しようとする人は、10人に1人程度といったところでしょう。
次に、自分の長所に対する認識に関して、諸外国と比較したものはどうでしょうか。
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引用)「令和元年版 子供・若者白書」内閣府
https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/r01honpen/s0_1.html
グラフを見て分かる通り、日本の若者の「自分には長所がある」という認識は、諸外国に比べてかなり低くなっています。
自分への自信のなさから積極的なチャレンジに対してブレーキがかかってしまっている若者の姿というのが見て取れます。
上記は、13歳から29歳ということでかなり広範囲に実施したものですが、傾向としてはZ世代の若手社会人などに関しても当てはまる部分があるように思います。
Z世代の若手社会人などは、年功序列の感覚などは完全になくなった中で、人生を安定させるには自分の力を高めるしかないと思っており、「成長意欲」は高いことが多いです。一方で、上記のように「自己肯定感」「自己効力感」が低く、成長はしたいが、一歩踏み出す勇気に欠けているといったケースが多くあります。
こうした部分が人事や管理職の人から見ると「成長意欲の低さ」に映ることも多いようです。若手の育成は、こうした特性も踏まえて設計していく必要があるでしょう。






