eラーニングで研修の生産性をUP!メリット・デメリットと導入のポイントは?

eラーニングで研修の生産性をUP!メリット・デメリットと導入のポイントは?

新型コロナウイルスの影響もあり、改めて、どこにいても研修やセミナーを受けられるeラーニングに注目が集まっています。記事では、「録画されたコンテンツを受講者が好きなタイミングで視聴して学習する」形式のeラーニングについて、メリット・デメリットや実施のポイントを解説していきます。社員教育を担当されている方は、ぜひ参考にしてください。

<目次>

eラーニングとは?オンライン研修との違いは?

はじめに、eラーニングとはどのようなものを指すのか、またオンライン研修とはどう違うのか等、基本的な部分を確認しておきます。

 

 

eラーニングの概要

eラーニングは「electronic learning」の略で、インターネットを利用した学習方法を指す言葉です。記事での「eラーニング」は「動画配信方式のeラーニング」、つまり、「サーバーに格納された動画教材等を、社員がいつでもどこでも受講することができる形式」を指して使用します。

 

それぞれの社員が自分のペースで学習できるのがeラーニングの特徴です。eラーニング自体は昔からあるものですが、コロナ禍によりテレワークが進み、対面研修が実施できない中で、社員が自宅からでも研修やセミナーを受けられるeラーニングが改めて注目されました。

 

 

eラーニングとオンライン研修との違い

記事内でのオンライン研修は、広義には「パソコンやスマートフォンを用いて、オフィスから遠い場所でも受講できる研修」を指します。従って、記事で取り上げる動画配信型のeラーニングも、広義のオンライン研修に含まれます。

 

その他、オンライン研修には「web会議ツールを使った双方向型の研修」「ウェビナー」等の方式があり、3つを組み合わせて研修が実施されることも多いでしょう。動画配信型のeラーニングは、あらかじめ録画したコンテンツを社員がそれぞれのタイミングで視聴する形式(非同期)なのに対して、双方向型のオンライン研修やウェビナーは時間を合わせて実施する形式(同期)であることが特徴です。

 

オンライン研修については、下記の記事で詳しく解説していますので、ご興味あればぜひご覧ください。

 

 

eラーニングはLMSを利用する

eラーニングを実施する場合、LMS(Learning Management System、学習管理システム)を利用することで、より効果的な研修にすることができます。

 

LMSを活用すれば、それぞれの受講者に対して、受講可能な講義のみを表示したり、各社員の課題に合った講義を表示したりすることが可能です。また、動画の後に理解度テストを実施したり、レポートを提出させたり、掲示板等を使ってQ&A等を実施することもできます。

 

また、管理者も、LMS上で研修コンテンツの管理や受講者の受講状況の確認、理解度テストの結果チェック、レポートの提出状況や中身の確認・フィードバック等を一元的におこなえます。

 

eラーニングにLMSが必須というわけではありませんが、効果的な研修にしたい場合にはLMSと組み合わせて実施することがおすすめです。LMSについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。

eラーニングのメリット・デメリット

PCとイヤホン・スピーカー(E-ラーニングを受講する環境)

eラーニングの導入には多くのメリットがありますが、いくつかの留意点もあります。より効果的なeラーニングを実施するために、受講者と管理者、それぞれの立場から見た長所と短所を把握しておきましょう。

 

 

eラーニングのメリット

eラーニングは対面型の集合研修や同期型のオンライン研修と比べて、受講者にとって以下のようなメリットがあります。

 

 

  • 職場や自宅等、移動中や外出先等、学習の場所を選ばない
  • 時間も選ばず、自分のペースで学習できる
  • わからなかった部分を繰り返し受講できる
  • 研修の品質が担保されやすい
  • 自分が必要だと感じる研修コンテンツを能動的に受講しやすい

 

 

一般的な集合研修や同期型のオンライン研修と異なり、「自分の好きなときに好きな場所で好きなペースで学べる」のがeラーニングの魅力です。また、コンテンツが蓄積される・共有されるため、研修テーマが豊富となり、自分が学習したいテーマを選んで、能動的に学べる効果も期待できます。

 

eラーニングの導入は、管理者側は以下のようなメリットがあるでしょう。

 

 

  • 講師や会場の手配、受講者のスケジュール調整等をおこなわなくても良い
  • 受講人数が増えれば増えるほど、コスト削減の効果が大きくなる
  • 研修コンテンツを保管できるため、中途入社の人材等にも研修を提供しやすくなる

 

 

管理者側にとってeラーニングは、「研修の実施工数が削減される」「研修コンテンツが蓄積されいつでも提供できるようになる」ことがメリットです。

 

 

eラーニングのデメリット(導入の留意点)

eラーニングには、前述のようなメリットもありますが、決して万能ではありません。導入するうえで、以下のような点は留意すべき点です。

 

 

  • 実習やロールプレイングを伴う研修等は適さない
  • 動画を閲覧するだけなので、あくまで「知識」のインプットである
  • アウトプットや実践ができないので身に付きにくい
  • リアルタイムでの質疑応答やディスカッションができない
  • 受講者の興味や理解度を反映しながら研修を実施できない
  • 動画の作成に手間がかかる

 

 

長所と短所の両面を把握し、デメリットを回避してメリットを活かせるようにeラーニングを使った研修プログラムを組むことが重要なポイントです。

eラーニング導入をより効果的にするためのポイント

eラーニングを効果的な社員教育にするには、いくつかのコツがあります。気をつけておきたいポイントを5つご紹介しますので、導入の前に確認しておきましょう。

 

 

学習目標を達成するために環境整備をおこなう

基本的に一人で学習を進めることになるeラーニングでは、受講者のモチベーション維持が課題となります。あらかじめ明確なゴールを設定し、可視化しておくと効果的です。

 

コンテンツがどういう構成になっているか(何分の動画が何本あるか)、受講することで何が得られるか、確認テストやレポート等のアウトプットがどうなっているか、全体像やゴールを示して、モチベーション向上のための対策をおこないましょう。

 

 

コンテンツ1本の時間は短く設定する

Youtube等で閲覧回数が多い動画は、5~10分前後のものです。面白さを追求しているわけではなく、また双方向型ではない研修動画の場合、受講者の集中力が持つのもやはり5~10分程度です。一つの研修コンテンツを作る際には、ブロックごとに小さく切り分けて、1本の動画は10分以下にすることが望ましいでしょう。

 

「マイクロラーニング」と呼ばれる5分以内の動画コンテンツを利用する学習方法も有効です。マイクロラーニングは、移動中や昼休み、就寝前等、細切れの時間で視聴できる数分の動画を使った学習方法です。一つひとつは細切れになりますが、再視聴等の反復学習もしやすく、隙間時間で学習することで学ぶ頻度も多くなり、結果的に高い学習効果が期待できると言われています。

 

 

LMSとの併用

前章でも紹介した通り、eラーニングはLMSと併用することがおすすめです。運営部門の負荷が減り、その分、研修コンテンツを相手に合わせて配信する等、eラーニングの良さを活かしやすくなります。

 

また、前述のように受講状況を確認してフォローしたり、確認テストやレポート提出等と組み合わせたりすることで、研修効果を高めることができます。LMSの詳細や主要なLMSを以下の記事で紹介しています。

 

 

アウトプットの場を設ける

学習効果を高めるためには、「インプット⇒スループット(思考等)⇒アウトプット⇒フィードバック」という学習サイクルを回すことが大切です。しかし、eラーニング単体では、インプットだけで終わってしまうことが欠点です。従って、受講後にアウトプットの場を設けることが非常に重要です。

 

アウトプットすることで、学んだことがより定着しやすくなります。LMS上で理解度テストを実施したり、レポートを提出したりといった方法も一つです。また、フィードバック等まで近づけるためには、掲示板やメールグループ等を使って、Q&Aや実践報告、ディスカッション等をおこなうことも効果的です。

 

 

他の研修形式と組み合わせる

eラーニングは知識習得型の研修には向いている一方で、アウトプットや実践が重要になる分野では、なかなか実務的なスキルが身に付かないという側面もあります。従って、アウトプットの場を設ける重要性は、上述の通りです。

 

しかし、オンライン上の非同期(レポート、掲示板、チャット等)でアウトプットやフィードバックを充実させることは難しい側面もあります。従って、本当に研修効果を高めるうえでは、eラーニングだけで研修を完結させるのではなく、双方向型のオンライン研修や集合研修と組み合わせることが効果的です。

 

事前に動画でインプット、レポート等でアウトプットしている分、研修は軽い復習だけしたうえで、いきなりロールプレイング等に入る等、密度の高い時間にすることが可能です。

eラーニングの代表例7つ

代表的なE-ラーニング

最後に、eラーニングやLMSのうち、代表的なものを7つご紹介します。eラーニングやLMSのサービスは、

 

 

・Aタイプ :あらかじめ準備されている研修コンテンツを閲覧できる

・Bタイプ :自社で研修コンテンツを準備して配信する

・Cタイプ :AタイプとBタイプのハイブリッド

(既存コンテンツも使えるし、自社コンテンツの追加も可能)

 

 

という3つに分かれます。導入する際には、どのタイプが適切なのかを検討してから決定しましょう。また、サービスによっても機能の内容や特徴が異なるので、自社に適したものを選びましょう。

 

  1. Schoo(スクー)
  2. ネットラーニング
  3. viaPlatz(ビアプラッツ)
  4. SAKU-SAKU Testing (サクサクテスティング)
  5. Cloud Campus(クラウドキャンパス)
  6. KnowledgeC@fe(ナレッジカフェ)
  7. eden LMS(エデンLMS)

 

 

1. Schoo(スクー)

Schooは、「ビジネスパーソンがいま学んでおくべきこと」を常に生放送で配信しているeラーニングツールです。有料版では過去の配信を視聴することも可能になり、これまでに配信された4,500本以上の動画を閲覧することができます。

 

生放送の番組中は、チャット投稿や質問投稿によって、疑問点を講師に尋ねたり、他のユーザーと意見を共有したりすることも可能です。自分のペースで学べるツールでありながら、他者の多様な意見に出会えるのが魅力的なポイントでしょう。

 

個人でも利用できますが、法人契約することができ、法人契約すると、社員にアカウントを発行、社員の利用状況を確認することが可能です。

https://schoo.jp/

 

 

2. ネットラーニング

eラーニング最大手のネットラーニングが提供するeラーニングコースは、学習効果を高める独自のラーニングデザインを採用し、インプット・アウトプットの繰り返しで、学んだ内容の定着を確実に図れます。

 

エンジニアやパソコン操作、資格や語学等の知識インプット系を中心とした既存コンテンツを定額で利用することが可能です。

https://www.netlearning.co.jp/service/course.html

 

 

3. viaPlatz(ビアプラッツ)

viaPlatzは、自社の動画コンテンツをストリーミング配信できるeラーニングサービス(LMS)です。配信するグループ(組織・役職等)の視聴者設定をコンテンツごとに設定する等、ニーズに合わせて柔軟に利用できます。

 

ライブ配信や理解度テスト、アンケート機能等のオプションが充実しているのも魅力的です。「社長メッセージや社内研修等をリアルタイム配信+見逃した社員や後々のために動画閲覧」に加えて、「社員を講師として知識やノウハウ共有の動画を作って運用する」といったイメージで利用すると良いでしょう。

 

初期費用5万円、月額4万円(ベーシックプラン)から利用でき、比較的手頃であることも魅力の一つでしょう。

https://www.viaplatz.com/

 

 

4. SAKU-SAKU Testing(サクサクテスティング)

SAKU-SAKU Testingは、webテストとeラーニングをマルチデバイスで受講できるeラーニングサービスです。“人は問われて初めて真剣に考える”をコンセプトに開発されており、「テストを軸にして学ぶ」というユニークなeラーニングサービスです。

 

サービスにはビジネスパーソンが知っておきたい5,000問の知識テストが内蔵されており、追加でオリジナル問題を作成することも可能です。出題された問題に解答するというドリル型学習を簡単に実現できることが特徴です。テストに対応した学習コンテンツも提供されていますし、自社で研修コンテンツを作成することも可能です。

https://www.e-coms.co.jp/service/saku-saku-testing/

 

 

5. Cloud Campus(クラウドキャンパス)

Cloud Campusは、自社でのコンテンツ作成、他社コンテンツの利用、両方ができるサービスです。チャット機能やテスト機能、受講状況のチェック機能等、LMSとして活用できる多彩な機能が搭載されています。

 

料金は月額固定性で、月額7万円、コンテンツ制作者10名以内のエントリープランから利用可能です。受講者数に制限がないため、組織の規模が拡大しても将来にわたって利用できるというメリットがあります。

https://pro.cyber-u.ac.jp/service/cc2biz/

 

 

6. KnowledgeC@fe(ナレッジカフェ)

KnowledgeC@feは、富士通ラーニングメディアが運営するLMSです。直感的な操作ができるうえにコミュニケーションもしやすく、受講者にとって使いやすいのがメリットです。また、他のシステムとの連携の良さも魅力の一つです。

https://www.knowledgewing.com/kcc/cafe/

 

 

7. eden LMS(エデンLMS)

eden LMSは、シンプルな料金体系と使い勝手の良さが魅力のクラウド型LMSです。ワープロ感覚で簡単に学習コンテンツが作成でき、PowerPoint資料からナレーションつきの動画や穴埋めテストを作ることもできます。

 

eラーニングだけでなくオフライン教育における受講履歴の管理にも対応しているので、社員教育に関する管理業務が効率化できるでしょう。

 

また、リーズナブルで柔軟な料金プランも特長の一つです。初期費用がかからない他、4万円からの月額制、もしくは1ユーザーあたり300円〜の稼働ユーザーID数課金制等、契約形態の選択肢が複数あります。月単位でユーザー数が変えられるので、必要な分だけ無駄なく利用できるのもメリットです。

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まとめ

コロナ禍で集合研修が難しくなった中で改めて、eラーニングに注目が集まっています。eラーニングは時間や場所に縛られずに受講できる他、将来に向けて研修コンテンツを蓄積していくことも可能です。一方で、動画の閲覧だけだと学習効果が薄いというデメリットもあります。効果的なeラーニングを実施するためには、

 

 

  • 学習目標を達成するために環境整備をおこなう
  • コンテンツ1本の時間を短く設定する
  • LMSと併用する
  • アウトプットの場を設ける
  • 他の研修形式と組み合わせる

 

 

といったことがポイントになります。さまざまな企業がeラーニングやLMSを提供していますので、自社に合ったサービスを選定して、効果的な社員教育を進めていきましょう。

 

eラーニングやLMS、オンライン研修の提供企業は、以下の資料で主要な企業を一覧できますので、ぜひご活用ください。

著者情報

近藤 浩充

株式会社ジェイック|取締役 兼 常務執行役員

近藤 浩充

大学卒業後、情報システム系の会社を経て入社。
IT戦略事業、全社経営戦略、教育事業、採用・就職支援事業の責任者を経て現職。企業の採用・育成課題を知る立場から、当社の企業向け教育研修を監修するほか、一般企業、金融機関、経営者クラブなどで、若手から管理職層までの社員育成の手法やキャリア形成等についての講演を行っている。
昨今では管理職のリーダーシップやコミュニケーションスキルをテーマに、雑誌『プレジデント』(2023年)、J-CASTニュース(2024年)、ほか人事メディアからの取材も多数実績あり。

著書、登壇セミナー

・社長の右腕 ~上場企業 現役ナンバー2の告白~
・今だからできる!若手採用と組織活性化のヒント
・withコロナ時代における新しい採用力・定着率向上の秘訣
・オンライン研修の「今と未来」、社員育成への上手な取り入れ方
・社長が知っておくべき、業績達成する目標管理と人事評価
・社長の右腕 ~ナンバー2の上司マネジメント / 部下マネジメント~
・オーナー経営者が知っておきたい!業績があがる人事評価制度と組織づくりのポイント
・社長の右腕 10の職掌 など

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