ビジネスマナー研修の目的と必要性とは?基本となる内容やポイントを解説

更新:2023/11/13

作成:2023/11/01

東宮 美樹

東宮 美樹

株式会社ジェイック 取締役

ビジネスマナー研修の目的と必要性とは?基本となる内容やポイントを解説

ビジネスマナーは、社会人が働くうえで必要とされるマナーの総称です。

 

社内・取引先・顧客などと信頼関係を築き、成約などの成果につなげるうえで、ビジネスマナーは各種スキルを発揮する土台ともいえるでしょう。なかでも外部と接する機会の多い営業パーソンや接客業などの場合、自社のイメージを左右する「企業の顔」という役割を担うことから、一定レベルのビジネスマナーを身に付けておくことは大切です。

 

とくに、新卒新入社員の場合、先日までビジネスとは無縁の学生であり、研修の受講を通じてひと通りのビジネスマナーを身につける必要があります。

 

記事では、まず、ビジネスマナーの概要と必要な理由、ビジネスマナー研修の目的を解説します。解説したうえで、後半ではビジネスマナー研修で学ぶ内容と、効果的な研修にするためのポイントを紹介しましょう。

 

 

<目次>

ビジネスマナーとは?

ビジネスマナーは、社会人が働くうえで必要とされるマナーの総称です。詳細は後半で紹介しますが、身だしなみやあいさつ、電話応対、敬語など、ビジネスマナーの範囲は非常に幅広いものとなります。

 

 

ビジネスマナーが必要な理由

笑顔の女性社員

 

ビジネスの大半は、上司・ほかのメンバー・取引先・顧客といった人とのコミュニケーションのなかで信頼関係を築き、相手との協働や商談などを進めていくことで、成果を生み出します。

 

適切なビジネスマナーが身に付いていないと、相手に不快感を与えてしまうこともあります。とくにビジネスでは、学生時代とは大きく異なる年齢層、そして、価値観や経験を持った人と接することになります。

 

たとえば、例えば、ネット広告業界に入社したZ世代の新人が、製造業で働く銀行出身・50代の総務部長と商談するといったこともあるでしょう。商談のとき、自分の振る舞いを相手が“不愉快だ”“失礼だ”と感じれば、信頼関係の構築は難しくなります。信頼関係がなければ、成果も出せません。

 

また、いまの時代は、インターネット上のレビューサイトやSNSなどに「あの企業の対応はひどい、最悪だ……」などの厳しい声が投稿されやすくなっています。そのため、自社のブランドイメージを下げないためにも、ビジネスマナー研修の必要性が高まっているといえるでしょう。

 

 

ビジネスマナー研修の目的

繰り返しになる話もありますが、ビジネスマナー研修の目的を簡単に整理しておきましょう。

 

相手との信頼構築

研修を通じて正しいビジネスマナーを身につけることで、相手を不愉快にさせない振る舞いができるようになります。また、適切なマナーで相手に好印象を与えられれば、信頼関係を構築するまでの流れもスムーズになるでしょう。

 

ビジネスでは自分とは異なる世代、また異なる業界の人と接する機会もあります。したがって、“自分の常識”だけではないビジネスマナーの“型”を身につけておくことが大切です。

 

ビジネスマナーで大切なことは、相手に不愉快な思いをさせず、信頼関係を築くことです。重箱の隅をつつくようなビジネスマナーは必要ありませんが、一方で、年齢の離れた世代などにも通用する一定の「型」を身に付けておくことは大切です。

 

企業の代表としてふさわしい振る舞い

たとえ、新入社員でも自社のメンバーが取引先・顧客などの社外の人と接するときには、「企業の顔」であり「代表」です。新入社員のビジネスマナーがだらしないものであれば、企業の教育、仕事の質を疑われるものです。

 

ビジネスマナー研修は、「一歩外に出れば自分が企業の代表である」というマインドを教えるものでもあります。

 

TPOに合わせた立ち居振る舞い

ビジネスマナーは、たとえば、同じ挨拶でも、自社メンバーには“お疲れ様です!”、取引先に“お世話になっております!”というように、TPO(Time(時間)、Place(場所)、Occasion(場面))や相手によって選択すべきものが変わってきます。

 

研修のなかでこうした活用シーンを学ぶことで、TPOに合わせた立ち居振る舞いを自分で選べるようになるでしょう。

 

いまの時代は、ビジネスカジュアルが普及し、Web会議なども増えたなかで、ビジネスマナーもずいぶんと変わりつつあります。また、ビジネスマナーをあまり気にしない企業も少なくありません。

 

しかし、上述の通り、ビジネスシーンで幅広い人と関わるうえでは、伝統芸能などの世界で“守破離”といわれるように、まずはきちんとした「型」を知っておくことが大切になります。

 

 

ビジネスマナー研修で学ぶ内容

お辞儀をする女性

 

一般的なビジネスマナー研修で学ぶ内容には、以下のような項目があります。

 

身だしなみ

身だしなみとは、対面の場に合わせた服装・髪型・爪・バッグなどのことです。

 

近年では、クールビズ・ウォームビズの定着、ビジネスカジュアルの浸透などで、身だしなみや服装を画一的なルーツとして教えることは難しくなっています。

 

こうしたなかで研修を実施するうえでは、身だしなみの基本ポイント「清潔・上品・控えめ」や、相手を不快にさせないことが大切などの「心」、そして、「型」としての身だしなみ、そして、「自社や事業界におけるTPO」を網羅して教えることが大切です。

 

なお、雇用の流動化による中途採用も増えていますので、中途人材に対しても、「型」を教えると同時に、「うちの企業・うちの業界ではどこまでならOKか?」を教えることが必要な場合もあります。

 

あいさつ(挨拶)

人間関係は、“あいさつで始まる”といっても過言ではありません。挨拶とは、“心をひらいて相手にせまる”という意味です。誰もが子供のころから教えられてきた挨拶ですが、意味を知って、きちんと実践できている人は意外と少ないものです。

 

あいさつは、第一印象を良くするためにも不可欠なものですので、きちんとした意味と型をしっかりと教えましょう。

 

研修ではロープレのなかで以下のポイントは押さえておきたい部分です。

  • あいさつは自分から先にする
  • あいさつは明るい声でハキハキと
  • 客先では、担当者以外のすべての人にあいさつする
  • 社内でも、すべての人にあいさつする
  • ながらあいさつはNG
  • あいさつとお辞儀はセットである など

 

姿勢と態度

ビジネスで人と良好な関係を築くうえでは、言葉以外のノンバーバルな部分、たとえば「話を聴く姿勢」や「仕事を教えてもらう態度」なども大切になってきます。

 

なお、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンによって発表された「メラビアンの法則」の実験結果では、ノンバーバルである表情や口調の大切さが証明されています。

 

言葉遣いと話し方

敬語は多くの新入社員が苦戦するテーマです。敬語は、言葉を通じた相手への配慮と気遣いであり、相手や状況によって選択すべき敬語の種類が変わってきます。

 

敬語は、繰り返し使うことが覚えていくものです。

 

ビジネスマナー研修では、TPOに合った言葉遣いや話し方ができるように、正しい言葉遣いを知る、そして、自分が間違えたとき・分からないときに気づけるところまでロープレ等を通じて指導したいところです。

 

名刺交換

名刺交換のマナーは、リアルでの第一印象を良くするために大切な作法です。

 

研修では、ロープレで名刺交換の基本的な流れや作法を身につけるとともに、初対面の相手にすぐ名刺を渡すうえで必要な事前準備も教える必要があるでしょう。

  • 名刺を切らさない
  • 名刺入れに入れて持ち歩く
  • 名刺入れをすぐ取り出せるようにする など

 

また、ロープレでは、1対1のほかに、1対複数のパターンで実践することも必要です。

 

近年では、リモートワークとWeb会議が増えるなかでリアルの名刺交換をする機会は少なくなっています。ただ、そういう企業こそ、リアルで名刺交換するのは重要な場であることが多く、新人や若手にもきちんとした名刺交換を一度教えておくことが大切になります。

 

電話応対

電話を最初にとった社員の応対で、企業の印象が大きく変わってくるものです。

 

電話をかけた側からすれば、最初に電話をとった社員が「企業の顔」になります。したがって、企業への信頼や取引機会を逃さないためにも、新人のうちから電話応対のマナーやスキルは身につける必要があるでしょう。

 

研修では、実践してほしい電話応対マナーのほかに、以下の記事にあるようなNG例も確認するとよいでしょう。

 

ビジネスメール・チャット

近年では、従来から使われているEメールのほかに、チャットでのビジネスコミュニケーションが行なわれることも多くなっています。

 

最近の新入社員や若手社員にあたるZ世代の場合、Eメールよりもチャットでのコミュニケーションに慣れています。一方で、昭和世代もいる現場では、Eメールでのやり取りが多い場合もあるでしょう。

 

研修では、Eメールとチャットの特徴を紹介したうえで、それぞれに合うシーンなどの使い分けやビジネスマナーの違いを知っておいてもらうことが大切です。どちらを選択するにせよ、相手に配慮し不快にさせない書き方・送り方なども実践で身につける仕組みが必要でしょう。

 

ビジネス文書

ビジネス文書とは、ビジネスシーンで情報の伝達や意思決定を目的に作成される以下のような文書の総称です。

《社内文書》

  • 議事録
  • 稟議書
  • 申請書
  • 報告書
  • マニュアル/手順書 など

《社外文書》

  • 契約書
  • 請求書/見積書
  • 提案資料
  • お礼状
  • 招待状 など

 

仕事で必要になったり作成したりするビジネス文書のフォーマットは各社で異なるでしょう。内製で実施する場合には、自社で必要となるビジネス文書の基本的な種類やフォーマットは教えておいた方がいいでしょう。

 

訪問時や来訪対応の立ち居振る舞い

たとえば、営業活動や打ち合わせなどで客先・取引先を訪問することが多い職種であれば、訪問時のビジネスマナーはきちんと押さえておく必要があります。

 

また、自社に取引先や顧客が来訪することもあります。とくに来訪者に対する社員の立ち居振る舞いは意外とよく見られており、企業の印象を左右します。自社の顧客などに失礼なことをしないためにも、全社員、来訪対応の基本的な立ち居振る舞いは知っておく必要があるでしょう。

 

 

ビジネスマナー研修のポイント

受講メンバーがTPOに応じたビジネスマナーを実践できるようにするには、以下のことを重視した研修内容にする必要があります。

 

「型」だけでなく「意味」を理解させる

たとえば、「他社を訪問した場合、廊下ですれ違うすべての人にあいさつ・会釈をする」などの型だけを教えても、型の意味・理由がわからなければ、「あの人は自分と関係ないから、会釈は要らないだろう……」などの勝手な判断から大事なマナーを省いてしまう可能性もあるでしょう。

 

以下のように理由や目的を詳しく解説すると、自分の勝手な判断で省略することなく、納得感を持って、また柔軟にマナーを実行できるようになります。

「訪問先には自社の代表として行くわけだから、廊下ですれ違う人にも自社の社員として恥ずかしくない対応をする必要がある。また、廊下ですれ違う人は、実は自分がアポイントをとった担当者の上司の可能性もある。そう考えると、すべての人にあいさつ・会釈することが大切だろう。」など

 

「守破離」を理解させる

たとえば、“さようでございますか”や“おっしゃるとおりです”などの言葉は研修で教える基本の型であり、新人やカスタマーサポート担当が電話応対する場合、よく使われる表現の一つになります。

 

ただ、たとえば、顧客からのクレーム電話に対して、“さようでございますか”ばかりを何度も繰り返すと、ロボットのような無機質な話し方によって相手を苛立たせることになりかねません。

 

また、たとえば、長年一緒に仕事をしている取引先との電話なら、堅苦しい“さようでございますか”よりも“そうなんですね”のほうが良い場合もあるでしょう。

 

ビジネスマナーを身に付けるうえで大切なのは、研修で習った基本の型をこのように自分なりに創造・変化させていく「守破離」の考え方となります。

  • 「守(しゅ)」:研修で学んだ“型”を忠実に守り実践すること
  • 「破(は)」:“型”をTOPに合わせて応用・発展させること
  • 「離(り):「守」「破」から離れて、自分なりのオリジナリティを創造すること

 

たとえば、基本中の基本である“いつもお世話になっております”というあいさつも、それなりに良好で対等な関係が続いている企業に対してなら“こんにちは、お元気ですか?”といった形で崩すこともできるでしょう。

 

敬語などはうまく崩すことで、相手との距離を良い形で縮めたりできる場合もあります。それぞれが守破離の考え方で自分なりのマナーを創造できるようになると、堅苦しすぎるあいさつで顧客に違和感を与えにくくなり、良好な関係も構築しやすくなるでしょう。

 

ロールプレイングなど「実践」を取り入れる

ビジネスマナーは、現場で実践できてこそ“身につけた状態”といえるものです。新入社員研修やビジネスマナー研修は教えることがたくさんあるからこそ、知識詰込み型になってしまい、十分なロールプレイングをできなくなってしまうことがあります。

 

研修自体に十分な時間を確保する、事前学習(反転学習)なども使って、場合によっては教える内容を分割して絞り込むなどして、ロールプレイングなど実践時間をしっかり確保することが大切です。

 

ビジネスマナー教育のポイントは以下の記事でも解説しています。

 

 

まとめ

ビジネスマナーは、ビジネスマンが顧客・取引先・同僚などと信頼関係を築き、仕事での成果を出すための土台になるものです。

 

新人や若手メンバーのビジネスマナーを向上させるには、以下のようなプログラムで構成されるビジネスマナー研修を受講させ、相手との信頼関係を築くことの重要性や企業の代表としてふさわしい振る舞い、TPOに合わせた立ち居振る舞いを身に付ける必要があります。

  • 身だしなみ
  • あいさつ
  • 姿勢と態度
  • 言葉遣いと話し方
  • 名刺交換
  • 電話応対
  • ビジネスメール・チャット
  • ビジネス文書
  • 訪問時や来訪対応の立ち居振る舞い

 

また、研修を通じてビジネスマナーが“身に付いた状態”にするには、以下のポイントを大切にする必要があるでしょう。

  • 型だけでなく「意味」を理解させる
  • 「守破離」を理解させる
  • ロールプレイングなど「実践」を取り入れる

 

HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、新入社員が仕事をするうえで最低限必要となる以下のようなビジネスマナーを、実践を通じて身に付けさせる「仕事の基礎の基礎」研修を提供しています。

  • 挨拶
  • 身だしなみ
  • 敬語
  • 電話応対
  • 報連相”など

 

新人や若手向けのビジネスマナー研修に興味がある人は、以下のページから資料をダウンロードしてみてください。

 

 

著者情報

東宮 美樹

株式会社ジェイック 取締役

東宮 美樹

筑波大学第一学群社会学類を卒業後、ハウス食品株式会社に入社。営業職として勤務した後、HR企業に転職。約3,000人の求職者のカウンセリングを体験。2006年にジェイック入社「研修講師」としてのキャリアをスタート。コーチング研修や「7つの習慣®」研修をはじめ、新人・若手研修から管理職のトレーニングまで幅広い研修に登壇。2014年には前例のない「リピート率100%」を達成。2015年に社員教育事業の事業責任者に就任。

著書、登壇セミナー

・新入社員の特徴と育成ポイント
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