新人の教育係に任命されることが、なぜ成長の好機になるのか?
組織の未来を創っていくうえで、新人育成はとても重要です。新人の成長が、10年後の成長を左右し、会社の未来を創るといっても過言ではありません。
それだけ重要な新人育成ですが、初期研修は人事部門が主導して手厚く実施されますが、初期研修を終えて現場に配属されてからのOJTは、実施品質がバラバラな状態になっている組織も多くあります。OJTは、先輩社員が1対1で実施するため、教育係となった先輩社員の姿勢や取り組み方によって効果が大きく変化します。
個人の教える力量等はもちろんですが、同時に「新人指導に対する心構え」や「受け止め方」も重要です。「自分自身の成長もまだまだこれからなのに、新入社員の教育係まで担当するなんて、荷が重い……」と思ってしまう教育係もいます。
こういった教育係を生み出さないためには、教育係を任命するときに、重要な新人育成を任せる意義と同時に、「教育係として新人の育成に携わることが、自らの成長、ビジネススキルの向上につながることをしっかりと伝えることが大切です。本章では、新人教育に携わることが、教育係にとっても成長の好機となる理由を確認しましょう。
理由①仕事の目的や意義を「自分の言葉」で新人に伝える
どんな会社にも会社の存在目的、すなわち「企業理念」や「会社のミッション」が存在します。同様に一つひとつの作業や仕事についても、「何のために行うのか?」「どんな価値を生み出すのか?」「顧客貢献にどうつながるのか?」といった目的や意義があります。
新人指導をする際に、仕事のやり方を教えると共に、仕事の意義や目的を伝えることは非常に大切です。仕事の手順ややり方だけを説明して、「何のために行うのか?」「お客様へのどんな貢献につながるのか?」を説明しないとどうなるでしょうか。
恐らく、何のために自分は目の前の業務に取り組んでいるのか、よくわからないまま仕事を続けることになるでしょう。言われたやり方をやる、だけになります。人は意味や目的がわかっていないと、継続的に熱意をもって取り組むことはできません。また、意味や目的がわかっていないと、工夫や改善をしたり、臨機応変に対応したりすることは困難です。
したがって、新人指導をする際、仕事のやり方を教えると共に、仕事の意義や目的を伝えることが重要です。意義や目的を伝えることで、新人は取り組むべき仕事について、理由や目的が腹落ちしたうえで、仕事に取り組めるようになります。
逆に言えば、新人に仕事を教える際には、組織や事業全体のミッションから、一つひとつの仕事まで、どんな目的があって、どんな貢献につながるのか、何のためにやっているのかを自分の言葉で説明する必要があるということです。
仕事全体の意義や一つひとつの仕事の繋がりについて、人に説明できるようにしっかり確認することは、自分自身にとっても仕事の確認となりますし、将来、部下やチームを持つときにも役立つ経験となるでしょう。
理由②効果的な「伝え方」「教え方」を身に付けられる
新人の教育係を任せられるということは、日常の業務遂行や仕事への姿勢に関して信頼されているということです。そんな教育係にとっては、日常の業務遂行を「当たり前」にできるものになっているでしょう。
しかし「自分で実施する」ことと「人に分かりやすく伝える」ことは、また違う能力が必要になります。まったく業務を知らない新人に教えるためには、どれほど簡単に思える業務でも、手順ややり方、注意を要する点について整理し、細かくかみ砕いて説明することが大切です。
相手の知識に応じて説明内容や使う言葉を工夫することも必要です。また、相手のコミュニケーションタイプによっても説明方法を変えるとよいでしょう。当然、口頭だけでなく、「いま説明したことを、これから実際にやるので、よく見ていてね!」という感じで、実演して見せることもあるでしょう。
「教えることは学ぶこと」とよく言いますが、人に教えるためには、半ば無意識に自分がやっていることを「どうすれば伝わるか」を考えて整理する、かつ、相手の反応を見ながら伝えていく必要があります。伝え方や教え方を試行錯誤していくプロセスは大変ですが、将来マネジメント職や管理職になるための良いトレーニングとなります。また、試行錯誤するなかで、業務の改善や効率化ポイントを発見できる可能性もあるでしょう。






