効果的な日報の書き方とは?|成長につなげるコツやおすすめテンプレートを紹介

更新:2023/07/28

作成:2023/05/25

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

効果的な日報の書き方とは?|成長につなげるコツやおすすめテンプレートを紹介

日報をうまく使うと、日々の仕事を自己成長につなげられます。

 

本記事では、まず日報の概要と、日報を書くことで得られるメリット、よくある日報の項目を確認します。後半では、日報を効果的にするポイントと項目、メンバーの成長を促す日報テンプレートも解説します。

<目次>

日報とは?

日報とは?

 

日報とは、日々の業務を記録・報告する書類です。

 

日報を書く目的

日報を書き、報告する目的は、大きく分けて以下の2つです。

  • 本人の成長の促進
  • 上司やほかのメンバーとの情報共有、コミュニケーション活性化

なお、後述するおすすめ日報テンプレート(原田メソッド日誌)を考案した原田隆史氏は、「成功の最小単位は1日」と提唱しています。日々の仕事を通じて目標達成をしていくには、「1日」単位でPDCAをまわすことが大切です。

 

そこで重要となるのが、日々の振り返りを効果的にする「日報・日誌」になるわけです。

 

日報が目標達成などの成功に結びつく理由などは、「日報を書くことで得られるメリット」の章で詳しく解説していきます。

使用するツール

日報を作成・共有する手段には、以下のようなものがあります。

  • メール
  • チャットツール
  • WordやExcel
  • グループウェア
  • 日報管理システム
  • SFA(営業支援システム)内の日報機能 など

日報は、作成し続けてこそ高い効果を発揮するものです。そのため、実際に日報作成を始める場合、日報のなかから、運用(作成・共有・閲覧)しやすい仕組みを選ぶことが大切になります。また、効果性を最大化するには、記入項目の工夫も必要になってくるでしょう。

日報を書くことで得られるメリット

日報を毎日書く習慣をつけると、本人やチームに以下の効果・メリットが生まれます。

 

振り返りと経験学習による成長

仕事に日誌を導入する最大のメリットは、振り返りと経験学習よって本人の成長が促されることです。

 

経験学習のプロセスは、「コルブの経験学習モデル」が有名です。コルブの経験学習モデルでは、以下4ステップのサイクルを回すことで、経験から学び成長が促されていくことを示しています。

  • ステップ1:経験
  • ⇒自分で考えて行動する
  • ステップ2:内省
  • ⇒経験のプロセスを振り返る
  • ステップ3:概念化
  • ⇒振り返りから得られた気付きを、今後も利用できるように整理する
  • ステップ4:実践
  • ⇒概念化で得た教訓・ノウハウを実践してみる

たとえば、営業成績が伸びない新人Aが、営業成績トップの先輩Bの活動に同行したとします(経験)。帰社後、日報を書きながら、先輩Bの商談プロセスや時間の使い方を振り返ります(内省)。振り返るなかで、以下の教訓やノウハウが見つかります(概念化)。

  • 先輩Bは、お客様の話に必ず共感を示していた
  • 先輩Bは、商品説明するとき、全部を同じように説明するのではなく、相手の興味などに合わせて飛ばすところと丁寧に説明するところを変えていた

そして、先輩Bの同行で得た教訓・ノウハウを、翌日以降の仕事で実践してみます。(実践)

 

毎日振り返りをすることは、毎日日報を書くことで習慣化できます。結果として、毎日の仕事が、効果的な成長につながるようになるわけです。

コミュニケーションの活性化

近年では、リモートワークの普及によって、同じチームのメンバーが離れた場所で作業をすることも多くなっています。

 

そうすると、それぞれが「いま何の仕事をしているのか?」の把握ができず、「忙しそうだから声をかけづらい……」などの理由からコミュニケーションが低下しやすくなります。

 

しかし、各自が日報を書き、上司・メンバーに共有すると、以下のように各自の状況が共有されることで、コミュニケーションが活性化しやすくなります。

  • A社のトラブル対応がやっと終わったのか!今なら声をかけても大丈夫かな?
  • B社の成約とれたんだ!すごいな!意思決定を促すコツを教えてもらおう! など

情報共有

日報を書く作業には、本人の振り返りだけでなく、以下のような気付きを上司・メンバーに共有する目的・効果もあります。

  • 新宿エリアは、すでに競合A社が訪問済みだった
  • 製品Bの納品時には、○○に注意したほうがいい
  • 製品Cの設置・設定では、○○のノウハウが必要だった など

日報を通じて情報が共有されると、チーム全体のレベルアップにつながります。必要な対応などが、素早く実行されることにもつながるでしょう。

タスク管理

目標達成の確実性を高めるには、自分の抱えるタスクを整理し、優先順位をつけ、実行していくことも大切です。日報を書く習慣があると、以下の整理や把握がしやすくなります。

  • 終わったタスク
  • できなかったタスク
  • いまのタスクを終わらせるために、どのようなタスクが必要か?(⇒タスクの分解)

マネジメント補助

各メンバーに日誌を出してもらうと、上司は、日誌を読むだけで、メンバーの仕事の進捗や抱えている問題などを把握できるようになります。

 

また、日誌の内容から「なかなか商談が進まない」や「失敗を繰り返している」などの問題を把握して、上司側から声かけやフォローなどの支援をしやすくなるでしょう。

 

日報をきかっけに「上司としてあなたを気にかけている・応援している」というメッセージを伝えることで、報連相しやすい雰囲気づくりや信頼関係の構築などもしやすくなります。

よくある日報の項目

よくある日報の項目

 

一般的に作成・運用されている日報には、以下の項目が並べられることが多いです。

 

業務内容

業務内容の項目では、「どこでどのような業務をやったのか?」を記載します。具体的には、以下のように「どういう状態(目標達成)になるために担当の業務をやっているのか?」まで書くと、情報共有の効果も高まりやすいです。

  • 製品Aのリプレース顧客向けの営業活動(今年度10台のリプレースが目標)
  • 新製品Bの市場調査(調査結果を効果的な販売戦略につなげる) など

進捗状況・成果

以下のように、今日は、手持ちの業務がどこまで進んだか、どのような成果が出たかを記載します。

  • 【製品Aのリプレース顧客向けの営業活動】
  • ・D社とE社は前向きな返事をもらえたが、F社とG社は難しい状態
  •  
  • 【新製品Bの市場調査】
  • ・販促イベントで使うアンケート用紙を作成した
  • ・アプリからのビッグデータ分析を行なうため、データ技術者との打ち合わせをした

所感

所感では、上記の進捗・成果から、感じたことを記載します。

  • 【製品Aのリプレース顧客向けの営業活動】
  • ・時間管理を始めたことで、一日で4社をまわれたのは良かった
  •  
  • 【新製品Bの市場調査】
  • ・先輩Hさんから、アンケート用紙のデザインが良いと褒められてうれしかった
  • ・ただ、後述する課題が山積しているので、とても大変な状態ではある

課題・対策

いま抱えている課題と対策を記載します。

  • 【製品Aのリプレース顧客向けの営業活動】
  • ・F社は担当者が変わったことで、信頼関係から構築する必要がある
  • ・G社は、競合S社が先に営業していたため、差別化要素の洗い出しとコミュニケーション頻度を上げる必要がある
  •  
  • 【新製品Bの市場調査】
  • ・データ技術者から、アプリからのビッグデータ分析をする目的が「漠然としている」という指摘を受けた
  • ・データ分析や市場調査によって「何につなげるか?」をもう少し明確化したい
  • ・調査分析のコストを抑えるうえでも、ゴールの明確化は大切

明日の予定・目標

最後に、明日は、「何を目標にどのような行動をとるのか?」を記載します。

  • 【製品Aのリプレース顧客向けの営業活動】
  • ・P地区のI~K社を訪問予定
  • ・先輩L主催の勉強会に参加
  •  
  • 【新製品Bの市場調査】
  • ・販促イベントのアルバイトスタッフに、アンケート内容を説明する

日報を効果的にするポイントと項目

日報による自己成長などの効果性を高めるには、以下のポイントを大切にしながら作成することがおすすめです。

 

良かったことを見出す

個人のパフォーマンスを高めるうえでは、自己効力感と自己肯定感を高めることが大切です。そのためには、「今日うまくいったことは?」の項目内で、自己効力感と自己肯定感につながる以下2つを書いてもらうことがおすすめとなります。

  • 自己効力感:どのようなことでも良いので、うまくいったことや成果を記入
  • 自己肯定感:人間的成長につながったと思える行動・体験を記入

たとえば、【1】で「客先で製品Aの説明をちゃんとできた」などと記入すると、「自分はうまくできている」などの感情(仕事効力感)が高まります。

 

また、【2】で記載した「後輩を元気づけた」「お年寄りの荷物を持ってあげた」は、自分を肯定する気持ち、つまり自尊感情につながってくるでしょう。

振り返って失敗を完了する

失敗をしたときに、失敗につながった姿勢ややり方と向き合わなければ、再び同じことを繰り返す可能性があります。

 

そこで「もし、もう一度やり直せるなら?」の項目を作って記入をすると、自身の行動を振り返って改善のヒントを発見することができます。

 

「もし、もう一度やり直せるなら?」は、自然にコルブの経験学習モデルを実践できる問いになっています。

 

また、「もし、もう一度やり直せるなら?」の項目を考えることで、失敗した過去の記憶を、成功イメージで上書きすることもできます。

未来の計画を立てる

コルブの経験学習モデルで示したとおり、振り返りを通じて成長するには、振り返り⇒概念化から得たことを、実践してみる必要があります。

 

そのためにも、日報では、今日のことを書いて終わりではなく、“明日は何を達成するか?・どう時間を使うか?”を計画することが有効です。

 

時間管理を振り返る

限られた時間のなかで成果を出し目標達成につなげるには、時間管理を向上させ、生産性を上げることが大切になってきます。

 

日報のなかで、前日計画した“今日の予定”に対して、実際に行動した“今日の予定”がどうだったか、どこでズレが生じたかという振り返りをすると、時間管理の精度が高まります。

 

日報のなかで時間管理を振り返る習慣をつけることで、スケジュールの計画力が高まっていくでしょう。

気付きをえる

日報は、当日あったことを書き並べて終わりではありません。

 

日報を今後の成長につなげるには、コルブの経験学習モデルで触れたとおり、振り返りから「どのような気付きをえるか?」が重要となってきます。

 

上記まで紹介した問いはそれぞれ気付きを生み出すための項目になっていますが、問いに加えて「今日の気付き」というフリー項目を設けるようなことも有効でしょう。

おすすめの日報テンプレートを紹介

メンバーの自己成長につながる日記を導入するなら、先述も少し触れた原田隆史氏が考案した「原田メソッド日誌」のテンプレートを活用するのがおすすめです。

 

原田メソッドは、原田隆史氏が20年にわたる教師生活のなかで確立した「優れた人格・人間力を土台に目標達成できる人を育てる」人材育成手法になります。

 

原田隆史氏は、「成功は技術である」という考えのもとで考案した日誌などの3大ツールを活用し、公立中学の陸上部を7年間で13回の日本一を達成させる偉業を成し遂げています。また、大リーグで活躍する大谷翔平選手なども高校時代から原田メソッドを実践していました。

 

https://president.jp/articles/-/53691?page=1

原田メソッドの「日誌」には、日報を効果的にする以下の項目が入っています。

  • 今日の一言
  • 今日必ずやること
  • タイムスケジュール
  • 今日の良かったことや気付いたこと(仕事効力感・自尊感情)
  • 今日をもう一度やりなおせるなら(制限がないとしたら)
  • 目的・目標達成に向けて、ヒントとなった言葉や出来事

以下からダウンロードできる「原田メソッド日誌」の項目をベースに自社に合うテンプレートを作れば、メンバーのセルフコーチング術も向上しやすくなるでしょう。

まとめ

日報の作成には、以下の効果・メリットがあります。

  • 振り返りと経験学習による成長
  • コミュニケーションの活性化
  • 情報共有
  • タスク管理
  • マネジメント補助

日報を効果的なものにするには、用紙や入力欄に以下のポイントにつながる項目を盛り込むのがおすすめです。

  • 良かったことを見出す
  • 振り返って失敗を完了する
  • 未来の計画を立てる
  • 時間管理を振り返る
  • 気付きを得る

振り返りなどの項目の入った日報テンプレートを探す人には、記事で紹介した「原田メソッド日誌」のテンプレートを活用するのがおすすめです。

 

なお、HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、上記の日誌を考案した原田隆史氏の目標達成の技術「原田メソッド」研修を提供しています。「原田メソッド」は、目標達成と人格形成を両立するトレーニングです。

 

メンバーの成長を促すうえでより良い日報の書き方や「原田メソッド」研修に興味がある人は、以下のページから資料をダウンロードしてみてください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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