シナジーに似た言葉で、シナジー効果という言葉があります。シナジー効果とは、ビジネス分野において、M&Aや企業グループ間、業務提携などによって生み出される組織間のシナジー(相乗効果)を指します。
『7つの習慣』におけるシナジー(相乗効果)は、主に個人と個人の間に生み出すシナジー(相乗効果)を扱っています。ただ、シナジー(相乗効果)は、組織と組織の掛け合わせでも生み出すことができるものです。シナジー効果は、複数の企業が連携することで新たな価値を生み出す、グループ会社や部署間で業務を統合したり資源を共有したりすることでコスト削減を実現する等を指します。
たとえば、展開エリアが違う同業他社と合併することで、仕入れにおける購買力を高めてコスト削減する、同時に、サービスの提供エリアを拡大するといったイメージです。また、異なる分野で優れた技術を持つメーカー同士が合併したり、自社の事業と補完的な機能を持つサービスをM&Aで手に入れるといったこともシナジー効果を狙って実施されます。
シナジー効果が特に期待されるのは、企業間のM&A(合併・買収)や業務提携などです。それぞれの企業が持つ事業や顧客構造、技術や資源を掛け合わせることで、お互いの価値を高め、競争力の強化を狙うわけです。
なお、シナジー効果を狙ってM&Aや業務提携、部署間での資源共有などを行う場合であっても、重要なのは現場にいるスタッフ一人ひとりの行動です。異なる会社、部署の人間が否定するのではなく、お互い協力し合うことによって、より大きな成果(相乗効果)を得ることができます。後ほどシナジー効果の具体的な種類についても説明しますが、シナジー効果を実現するためには、『7つの習慣』における個人間のシナジー(相乗効果)を意図的に生み出すためのやり方が参考となるでしょう。
ビジネス上のシナジー効果は、大きく事業シナジー、財務シナジー、組織シナジーの3種類に大別できます。各シナジー効果を簡単に紹介します。
事業シナジー
事業シナジーとは、複数の企業が提携することによって得られる、直接的な事業推進に役立つシナジー効果を指します。たとえば、サービス強化、技術やノウハウ獲得、顧客獲得、人材獲得、コスト削減、スケールメリットなどが挙げられます。
昔から上げられる分かりやすい事業シナジーの筆頭はスケールメリットです。事業規模を拡大することにより生産量や仕入れ量を増やし、生産効率を高めたり、価格交渉力が強くしたりすることができます。いわゆる「規模の経済」などもスケールメリットのひとつです。
最近では、IT技術の発達により少数のスーパーエンジニアが圧倒的な成果を生み出すことが可能になったことに伴い、大手企業やメガベンチャーなどが人材を獲得するためにスタートアップ企業を買収するといった事例も増えています。
財務シナジー
財務シナジーは、企業のお金や税金に対するシナジー効果のことです。具体的には、余剰資金の獲得や節税効果などが挙げられます。
余剰資金獲得とは、企業のM&Aや合併・買収を通じて余剰資金を生み出し、また、まとめることで、ベンチャー企業などに投資する、人材確保のために資金を使うといったことを可能にするものです。
また、節税効果とは企業のM&Aを通じて、繰越欠損金などの債務を受け継ぎ、自社に計上することで黒字幅を削減し、税金の納付額を下げる節税効果を得ることです。
組織シナジー
組織シナジーとは、企業内の人員が連携・協力することで得られるシナジー効果です。生産性の向上、業務効率化などのメリットが期待できます。
組織の連携によって、異なる価値観や文化を持った人と関わることで新たなアイディアやイノベーションも生まれやすくなるでしょう。またお互いの仕事の進め方が参考となって、生産性向上などが生まれることも期待できます。
また、1つの組織となって業務統合やシステム統合を進めることで業務効率化やコスト削減が進む部分もあるでしょう。このあたりは事業シナジーとも重複する部分もありますが、事業シナジーは事業を推進する上での直接的なシナジー効果、組織シナジーは1つの組織となることで得られる間接的・内部的なシナジー効果という違いです。
シナジー効果をどれぐらい得られるかは、組織シナジー、事業シナジー、財務シナジーの順番で、人の連携やコミュニケーションに影響される部分が大きくなるでしょう。とくに組織シナジー、またスケールメリットや顧客構造など以外の人の連携によって効果性が変わってくる事業シナジーを得るためには、連携・協力する組織それぞれの従業員が、シナジー効果(相乗効果)を発揮することが重要となってきます。
シナジー効果の反対語、アナジー効果
アナジー効果とは、組織や事業を連携・統合した結果、プラスではなくマイナスの効果をもたらされてしまうことを指します。
ビジネスにおけるM&Aや事業提携は当然シナジー効果を狙って実施されるわけですが、必ずしも成功するわけではありません。
例えばM&Aによる統合を行ったが、統合前よりも価値が下がってしまった、マイナスの効果が現れてしまったといったケースです。多角化経営の失敗や、システム統合が上手くいかずコストが増加してしまった、合併後のトラブルで優秀な人材や重要な人材が流出してしまったなどがアナジー効果の具体的な現象です。
M&Aや協業だけではなく、企業における部門間の統合などでも、組織を大きくしたことで意思決定のスピードや生産性が落ちてしまうといったこともあります。こうしたアナジー効果を避けるためには、入念なシミュレーション、また、各個人がシナジー(相乗効果)を生み出すための姿勢を持つことが大切です。
次章では、シナジー(相乗効果)が妨げられる、シナジー効果ではなくアナジー効果が生まれてしまう人の考え方や姿勢の要因を紹介します。