
チームの成果をあげ続けられる管理職を育てるには、以下のポイントを重視して研修設計や仕組みづくりをするとよいでしょう。
新任管理職研修を実施する
新任管理職研修は、新たに管理職に昇格したメンバーを対象とするものです。先ほども少し触れましたが、管理職にはプレイヤーとは異なる責任・役割があり、新任管理職には、研修を通じて以下の2つを身につけてもらう必要があります。
- 管理職として働くうえでの「心構え」
- 管理職としてチームをマネジメントするための「必要スキル」
新任管理職に必要なスキルは、以下のカッツ理論の図を参照するとわかりやすいでしょう。
カッツ理論とは、組織の各階層で必要なビジネススキルをわかりやすく整理したものになります。

*本来のカッツ理論は、上級管理職、中級管理職、下級管理職という管理職内の3区分で求められる能力を整理していますが、下級管理職を「プレイヤー」と置き換えても非常にイメージしやすいので、加工した表現にしています。
上記の図が示すように、プレイヤーから管理職に昇格していくと、今まではテクニカルスキル中心だったところから、ヒューマンスキル中心へと変わっていきます。
- テクニカルスキル(業務遂行能力)
- ヒューマンスキル(人間関係能力)
上記は少し誇張したイメージになりますが、新任管理職は求められる成果が「個人のパフォーマンス」から「組織の成果」へと変わったことを理解し、
⇒チームやメンバー個人の目標を設定し、達成するために必要な計画を立案し、
管理やフォローをしていく
⇒メンバーと信頼関係を築き、相手に応じた適切なマネジメント:
指示、命令、アドバイス、勇気づけ……等をしていく
を身に付けていく必要があります。
新任管理職研修の目的や内容は、以下の記事で紹介しているので参考にしてください。
マネジメントの機会を増やす
管理職に必要なマインドやスキルは、研修を受けたからといって即座に身に付くものではありません。
たとえば、管理職の仕事をするうえで最も大切なヒューマンスキルは、実際にさまざまなメンバーと関わり、マネジメントと振り返りを繰り返すなかで “使える状態(信頼関係を築き、相手を動かせる状態)”になっていきます。
そのため、管理職の育成をする場合、座学の研修でスキルを教えて終わりではなく、現場でチームやメンバーの目標設定や計画立案を行なったり、実際にマネジメントを行なったりする環境を築く必要があります。
また、現場でマネジメントを実施したあと、“やりっ放し”で何も考えなければ、本当の意味でスキルは身につかないし成長にはつながりません。現場での経験を自身できちんと振り返ったり、また、周囲からフィードバックを提供したりすることが大切です。
マネジメントを体験し、そして振り返る環境をつくることが管理職を育成するうえで何より大切です。振り返りを習慣化するためには、日誌や日報、1on1やフォローアップ研修などが有効です。
研修で学び、マネジメントで実践し、時間をつくって振り返る。というサイクルが管理職育成で重要になります。
フィードバックを行なう
管理職になると、自分がマネジメントする組織内では自分が最も上の立場になり、プレイヤー時代のように上司や先輩から指摘などを受ける機会は圧倒的に少なくなります。
人によっては、こうしたなかで日々の仕事に忙殺されてしまい、自分自身を客観的にとらえられなくなります。そして、自分の強みを見失ったり、現状の弱みや改善箇所を把握できなくなったりします。
先ほどの振り返り等でも類似したことを記載しましたが、管理職を育成する上では、管理職の上司が1on1などの場で定期的なフィードバックをすることが有効です。
メンター制度を導入する
メンター制度とは、上司とは別に、管理職の悩みを解決できる力量を持つ上級者が“メンター”となり、相手をサポートする仕組みのことです。
管理職は、チームの“長”であることから、孤独な存在になりがちです。また、組織成果を担っていることもあり、やはり上司に相談しにくいこともあります。
評価者である上司とは別のメンターをつけることで、直属の上司にいえない悩みや課題を打ち明けられる安全基地をつくるのがメンター制度です。
マンネリ感に注意する
中堅管理職ぐらいになると、ある程度のスキルを身につけマネジメントにも慣れてきます。新任管理職時代と比べれば、成長実感も得られにくくなり、緊張感の低下と共に仕事へのマンネリ感が出やすくなります。
マンネリ感によるモチベーション低下などを防ぐには、以下のようなフォローや研修の機会を設ける必要があります。
- マンネリ感の打破を目的とした中堅管理職向けの研修を実施する
- 殻を破る目的のリフレクション研修を実施する
- 外部研修に派遣して刺激を与える
- 上級管理職のロールモデルを提供する など