ヒューマンスキルとは?能力の種類や習得方法・高め方を解説

更新:2023/12/08

作成:2021/08/24

東宮 美樹

東宮 美樹

株式会社ジェイック 取締役

ヒューマンスキルとは?能力の種類や習得方法・高め方を解説

ヒューマンスキルの意味は、「周囲と健全なコミュニケーションを取り、人を動かすために必要な信頼関係を築く力」です。 具体的には、「個人としての人間性」や、「相手を尊敬する心」、「自身の人生や仕事に対する責任感」などが挙げられます。

 

多くの経営者が悩む「チームがうまく機能していない」「メンバーのモチベーションが低い」「若手がなかなか育たない」といった問題は、現場を率いるリーダー層(部課長や拠点長などの管理職)にヒューマンスキルが不足しているときに起こりやすい傾向があります。

 

リーダー層のヒューマンスキルを高めると、チーム内の信頼関係が深まり、組織や人材教育の課題も解決しやすくなります。

 

記事では、カッツ理論をもとにリーダー層に必要な3つの能力とヒューマンスキルの位置付けや概要を解説したうえで、ヒューマンスキルを身に着け、高めるポイントを解説します。

 

<目次>

ヒューマンスキルとは?

ヒューマンスキルは、「相手と健全なコミュニケーションを取り、信頼関係を築く力」です。ヒューマンスキルの位置付けは、カッツ理論で考えると非常にわかりやすいです。

 

 

カッツ理論とは?

カッツ理論とは、「ビジネスで成果をあげるために必要な能力を大きく3つに区分けして、階層ごとに必要とされる比率を表した理論」で、ハーバード大学の経営学者であるロバート・カッツによって提唱された概念です。

 

 

カッツ理論では、仕事でパフォーマンスするために必要とされる能力を、以下の3種類に大きく分類しています。

 

 

  • テクニカルスキル
    →業務に必要な知識や技術、ノウハウといった「業務遂行能力」

 

  • ヒューマンスキル
    →周囲と信頼関係を築き、人を動かすために必要な「対人関係力」

 

  • コンセプチュアルスキル
    →ミッションやビジョン、戦略など抽象的な思考を扱う「概念化能力」

 

 

そして、必要とされる能力の割合は、階層に応じて変わってくるというのがカッツ理論の考え方です。

 

 

<カッツ理論が考える三つの階層>

  • トップマネジメント層 :経営者層(経営者、役員、事業部長)
  • ミドルマネジメント層 :管理者層(マネジメント専任の部課長など)
  • ロワーマネジメント層 :監督者層(現場のマネジメントを行なう主任など)

 

 

なお、カッツ理論は「マネジメント層」に必要な能力について考察したものですが、実務的にはロワーマネジメント層の延長線上に「プレーヤー層」があると考えるとイメージしやすいです。

 

<各階層で必要とされる能力の比重>

 

カッツ理論が考える三つの階層

 

図を見ると、現場に近い監督者層(ロワーマネジメント)ではテクニカルスキルの比重が高く、そこから管理者層・経営者層にあがっていくに連れて、コンセプチュアルスキルの重要性が増していくがわかります。また、全階層を通じてヒューマンスキルが常に必要とされていることも良くイメージできるかと思います。

 

 

ヒューマンスキルはどの階層でも必要とされる能力

カッツ理論においてヒューマンスキルは全階層で必要とされる能力です。

 

そのなかでも最も重要性が増すのは管理者層(ミドルマネジメント)となるリーダーや管理職です。リーダーや管理職は、人を動かして組織の成果をあげることが求められますので、「信頼関係を築き、人を動かす」ヒューマンスキルが最も重要になるわけです。

 

さらに上位の経営者層(トップマネジメント)になると、大きな意思決定を行なって、複数階層や大人数の組織メンバーに働きかけるためにミッションやビジョン、戦略などの概念を扱うコンセプチュアルスキルの重要性が増します。

 

なお、経営者層(トップマネジメント)になるとテクニカルスキルが不要になるわけではなく、「必要とされるテクニカルスキルやヒューマンスキルはすでに身に付けてきている前提で、成果をあげるためにはコンセプチュアルスキルが重要になる」と理解するのが正しいです。

 

また、監督者層(ロワーマネジメント)でも現場のマネジメントを行ないますので、ヒューマンスキルは必要とされています。ただし、現場でのマネジメントになりますので、実務をリードするという点で、テクニカルスキルの重要性が増してくるわけです。

 

最後に、ロワーマネジメントの延長線上にあるプレーヤー層では、テクニカルスキルが最も重要になってくるイメージです。それぞれの仕事における業務遂行能力を駆使して、自ら成果をあげるのがプレーヤー層になります。

 

ただし、プレーヤー層の場合、仕事内容によって必要とされる能力の比重は変わってきます。接客、営業、コンサルタントなど、お客様との関係性を築くことが成果をあげるために重要となってくる職種では、監督者層と同じような比率でヒューマンスキルの重要性が増すと考えられます。

 

なぜ、ヒューマンスキルを学ぶ必要があるか?

ヒューマンスキルは全ての階層で必要とされる重要な能力です。更に、ヒューマンスキルは今後ますます重要性を増すスキルといえるでしょう。その理由を紹介します。

 

チーム力の向上

ITやAIが発達する中で、私たちの仕事は、知識労働が増え、創造性やイノベーションが求められています。そうした背景もあり、チーム内で協働したりコラボレーションしたりする重要性が非常に高まっています。

 

また、知識労働者は独りで価値を生み出すのではなく、誰かとの協働作業、上流工程や下流工程のメンバーとの連携を通じて、付加価値を生み出します。

 

こうしたイノベーションの実現や連携にはコミュニケーションが欠かせません。一人ひとりがヒューマンスキルを高めることで周囲と信頼関係を築き、生産性高く働くことができるようになるでしょう。

 

チームを率いる立場であるマネジメント層や管理職にとって、ヒューマンスキルが重要であることは言うまでもありませんが、知識労働者であればプレイヤー層にとってもヒューマンスキルは欠かせません。

 

ビジネス環境の変化

ビジネス環境が急激に変化していることも、ヒューマンスキルが必要とされる理由の一つです。ITの発達、また生成AIが登場した中で、単純労働はもちろん、知識や専門性が必要だった業務も、一部は人の手を離れ、AIに取って代わられようとしています。

 

AIが人を代替する領域はどんどん広がっています。人に求められているのは、まだITやAIにはできない感情を扱う顧客とのコミュニケーションや、コラボレーションなども通じて創造的に何かを生み出していく仕事です。

 

感情を伴う顧客とのコミュニケーション、コラボレーションを通じ創造的に何かを生み出すために、ヒューマンスキルは不可欠なものです。

 

人材の多様性に対応する必要性

現代は過去と比べ、価値観の多様性が認められている時代です。組織内においてもダイバーシティー(人材や価値観の多様性)を高めていこうという考え方が増えています。

 

さらに、ここ数十年における働き方の変化が、「働くこと」に対する価値観を多様化させている側面もあります。昭和の時代には当たり前であった「正社員として週5日8時間+残業して、同じ会社の中で上を目指す」という価値観は、今や大きく崩れています。

 

終身雇用と年功序列は完全に崩壊して雇用の流動化と成果主義・ジョブ型が広がっています。また、育児や介護などによる時短労働、理も―t-和億、副業や複業、業務委託やフリーランス・個人事業主に近い形での起業など、働き方も多様化しつつあります。

 

働き方が異なれば、価値観も変わってきます。組織内に多様な価値観や背景を持つ人が働くようになったなかで、年齢や役職による権威は相対的に弱くなり、ヒューマンスキルで人を動かす必要が増しています。

 

社員の定着率アップにつながる

マネジメント層や管理職、従業員のヒューマンスキルが高まると、組織内のミスコミュニケーションによるトラブルや人間関係のストレスは大きく減少します。

 

さまざまな転職理由の調査を見ても、「上司との人間関係」「職場の人間関係」は必ず上位にくる要素です。人間は社会性の生き物であり、周囲との人間関係を必要とします。その人間関係がストレスが生じるものであれば、仕事へのモチベーション、組織へのエンゲージメントは低下するものです。

 

一方で、ヒューマンスキルが向上し、価値観やゴールが異なる相手ともスムーズに意思疎通できる、また、そうした立場の違う相手の意思や思考を理解するキャパシティーが広がれば、業務のコミュニケーションは円滑になり、ストレスが溜まることは減少するでしょう。その結果として、社員の定着率向上につながっていきます。

 

 

ヒューマンスキルを構成する5種類の能力

雑談する女性社員

ヒューマンスキルは、顧客やメンバーとの信頼関係の構築、コミュニケーションをとる力です。ヒューマンスキルを要素に分解すると、大きく5種類の能力が重要になります。

 

 

信頼関係を形成する力

周囲との信頼関係を築くうえで最も重要となるのはテクニックなどではなく、本質として以下のような姿勢を持つことです。

 

 

  • 個人としてのあり方や人間性
  • 相手に対する真摯で誠実な関心
  • 相手に対する尊重や敬意
  • 自らの人生や仕事に対する主体性と責任感
  • 精神的な自立や自律

など

 

 

人間性の土台がしっかり築かれていると、コミュニケーションに関する能力やテクニックが大きな効果を発揮します。例えば、信頼関係の構築に関しては、カウンセリングやコーチングの世界で使われるラポール形成の技術などが非常に有効です。

 

ラポール形成の技術に興味があれば、下記の記事をご覧ください。

 

 

逆に、人間性の土台ができてないまま、テクニックや技術だけで信頼関係を作ろうとしても、表面的で短期的なものに終わってしまいます。

 

マネジメントの世界では、「上司は部下を理解するのに3年かかるが、部下は上司を3日で見抜く」とも言われます。長い時間を一緒に過ごすメンバーなどとの信頼関係を作るには、自分の人間性を高める努力が不可欠です。

 

 

聴く力(傾聴力)

傾聴力は、相手の伝えたいことに共感を示しながら耳を傾ける能力です。傾聴力を高めることで、相手は「深く理解してもらえた」と感じて承認欲求が満たされたり、自分に対して好感を抱いたりするようになります。

 

傾聴することは、相手との信頼関係にもつながります。また、相手から本音を教えてもらえるようになることで、仕事や職場の状況に対する率直な意見やキャリア相談、顧客の率直な課題感といった一歩踏み込んだ深いレベルの話が聞けるようになります。

 

人の話を聞くことは、日々のコミュニケーションのなかで誰もが当たり前のようにしています。しかし、相手の本音を引き出す、相手と信頼関係を築くような深い「聴き方」をどれぐらいできているでしょうか。仕事が忙しいと、つい片手間に聞いてしまったり、情報のやり取りだけで終わってしまったりしていないでしょうか。

 

ヒューマンスキルを高めるうえでは、相手の話を情報として「聞く」ではなく情報として「聞く」ではなく、相手に神経を集中して言葉の行間や感情を拾おうとする「聴く」姿勢が大切です。

 

理解する力(ロジカルシンキングなど)

ヒューマンスキルには、物事を整理したり筋道立てて思考したりするロジカルシンキングの能力も必要です。

 

「なぜヒューマンスキルにロジカルシンキングが必要なのか?」と思われる方もいるかもしれません。先ほどヒューマンスキルを高めるうえでは、相手に神経を集中して言葉の行間や感情を拾おうとする「聴く」姿勢が大切とも紹介しました。

 

上記は間違いないのですが、一方でビジネスにおけるコミュニケーションでは、相手とのスムーズな情報のやり取りも必要です。ロジカルシンキングは相手の話を的確に理解したり、状況を把握したりするために必須のスキルです。また、自分の考えや意見・施策などを伝えたりするうえでもロジカルシンキングが役立ちます。

 

引き出す力(ヒアリング、コーチング、ファシリテーションなど)

ヒューマンスキルを高めるうえでは、ヒアリングやコーチング、ファシリテーションなどの能力も重要です。ヒアリング、コーチン、ファシリテーション等は、どれも適切な質問をして相手の意見を引き出したり、喋りやすい場を作ったりするうえで不可欠なスキルです。

 

販売や営業においては顧客から課題や状況を引き出すこと、またマネジメントであればメンバーから意見や感情、本音を引き出すことが成果を上げるために必要です。

 

具体的に必要なスキルは、商談や会議、フィードバックなどの場面によって変わりますが、共通して重要となることは、安心・安全な場を設定する力、適切な質問をする力、そして相手の意見を受けとめる姿勢です。

 

伝える力(プレゼンテーション、動機付け、ネゴシエーションなど)

仕事においてより良い成果を出すには、相手を動かすスキルが必要になります。販売や営業の仕事であれば顧客に対して、マネジメントであればメンバーに対して、情報を伝えて不安を解消し、やる気を引き出して相手を動かすのが「伝える力」です。

 

私たちは日々言葉を使って、コミュニケーションをとっています。特にオンライン化が進む昨今では、「言葉」の重要性が増しています。対面、またオンラインで画面共有なども使いながら伝えるうえでは、以下のような「伝える力」が重要です。

 

  • 相手が理解できる言葉で伝える
  • 相手が受け取りやすい表現で伝える
  • 相手にイメージが湧くように伝える
  • 相手の感情や気持ちを動かすように伝える
  • 自分の意思や決意をのせて伝える

 

相手に「伝わる」ためには、一方的に伝えるだけではなく、相手の表情などを見ながら、相手に質問したり受けとめ方を聴いたりすることも大切です。

 

ヒューマンスキルを高めるメリット

ヒューマンスキルを高めるメリットを紹介します。

 

顧客と信頼関係を構築できる

ヒューマンスキルを高めれば、顧客との信頼関係を構築しやすくなります。傾聴力やヒアリングの力を用いて、顧客の課題や状況、本音を引き出し、本質にアプローチする解決策やサービスの提供につなげることもできるでしょう。

 

また、相手のニーズや反応を察知しながら、顧客に対して自分たちの考え、提案を的確に伝え、相手を動かすこともできるようになります。

 

社内コミュニケーションがスムーズになる

ヒューマンスキルが高い従業員が増えれば、活発なコミュニケーションが生まれます。リーダー層・管理職のヒューマンスキルが高まることで、上司・部下のコミュニケーションも活発になるでしょう。もちろん組織内の横のコミュニケーションも活発になり、社内の意見交換、情報共有は活性化します。

 

社内コミュニケーションがスムーズになることで、成功事例も共有されやすくなり、また課題や困りごとも相談しやすくなります。

 

個人と組織の生産性が向上する

個人と組織の生産性向上にもヒューマンスキルは大きく影響します。前述のように組織内のコミュニケーションがスムーズになれば、当然仕事も円滑に進むようになります。

 

顧客との関係性が良くなり、顧客の本音を掴むことができる。また、上司や同僚への相談がスムーズに進む。さらには、立場の異なる上流や下流工程と円滑にやり取りして、調整や協力ができれば、必然的に生産性は向上します。

 

ヒューマンスキルを高める方法とポイント

メモを取る女性社員

ヒューマンスキルを高めるには、上記でご紹介した5つの力に関してトレーニングしていくことが大切です。ロジカルシンキング、ヒアリング、コーチング、ファシリテーション、プレゼンテーションなどについてはわかりやすい書籍も多数あります。ただし、これらの技術を身に付けても、技術だけでは十分な効果を発揮しません。

 

とりわけ「引き出す力(相手にとっては“本音を話す”)」「伝える力(相手にとっては“言われたこと信じる”)は土台として信頼関係が必要です。土台としての信頼関係がないまま技術やテクニックだけを使っても、あまり効果を発揮しなかったり、表面的・短期的な効果になってしまったりするでしょう。

 

ヒューマンスキルを向上させるうえでは「Be・Do・Haveの法則」を意識することがおすすめです。

 

Have  : 望む成果(ヒューマンスキルを高めて、信頼関係を作り、人を動かす)

Do    : 必要な行動(ヒューマンスキルを使うのに必要な技術を身に付ける)

Be    : あり方(ヒューマンスキルを使う自分の人間性や人格)

 

繰り返しになりますが、根っことなる「Be(あり方)」を磨いてこそ、「Do(技術の利用)」がより効果的になります。ここでは、「Be・Do・Haveの法則」を踏まえて、おもに[Be(あり方)を磨くためのポイントをいくつか紹介します。

 

日常的に意識したいポイント

ヒューマンスキルを高めるためには、日常で意識して取り組むことが大切です。日常的に意識したいポイントとしては、以下のようなものがあります。

 

・人間性を磨く

ヒューマンスキルを高めるうえでの人間性とは、人としての器、人生の生き方、仕事への向き合い方といったものです。人間関係における相性や好き嫌いは抜きにして、相手から人として信頼される/尊敬される人間性を身に付ける必要があります。

 

「生き方」「7つの習慣」「『論語』の読み方」「仕事の思想」「嫌われる勇気」など、人間性を磨くことにつながる書籍はたくさんあります。ビジネスの現場から離れて、ときには自らの人間性を高めるために本を読むことがおすすめです。

 

ただし、本を読むだけでは人間性は磨かれません。本を読んだら、ぜひ印象に残ったことを1つでも2つでも日々の行動へと落とし込み、習慣として身に付けていきましょう。繰り返していくうちに以前とは違う自分になることができます。

 

・相手に誠実な関心を持つ

コミュニケーションの土台となる信頼関係を築くには、相手に対して真摯で誠実な関心を持つ必要があります。誠実に接するとは、相手と向き合い、人間性を尊重しながらコミュニケーションを図ることです。

 

ビジネスにおけるコミュニケーションは、目的や目標をともなうことが多くなります。例えば、「この商品を提案したい」「この指示をやって欲しい」「これを伝えたい」といったことです。こういった目的や目標があると、私たちはつい自分本位に話を聞きがちです。

 

具体的には、「商品提案をするためのキーワードや課題が出てこないかな……。このキーワードが出てきたらチャンスだ!」「相手がこの話を終えたら指示を伝えよう」「あなたの状況は分かったので、さっさと話を終えて欲しい」など、“自分が喋る”ことを考えて話を聞いてないでしょうか。そうではなく、相手に関心を持ち、相手の話や感情に集中して、しっかりと聞くことが大切です。

 

・Win-Win

スティーブン・R・コヴィー博士の名著「7つの習慣」では、効果的な人間関係を作るために必要な姿勢は「Win-Winを考える」ことであるとしています。

 

「Win」とは「望む結果を得る」ということです。相手と「Win-Winを考える」ためには、まずは相手の望む結果を知る必要があります。「Win-Winを考える」を実践するためにも、相手に誠実な関心の持ち相手の話を聴くことが不可欠です。

 

・複数の視点を持つようにする

相手との信頼関係を構築したり、円滑なコミュニケーションを図ったりするうえでは、複数の視点を持てるようになることが非常に大切です。同じ物事や状況に置かれたとき、誰もが同じように物事を見るとは限りません。

 

自分に見えている光景は、あくまで自分の立場、自分の情報量、自分の価値観や経験に基づいた捉え方です。1対1のコミュニケーションであれば、相手には違う光景が見えているかもしれません。また、5人の会議であれば、5人それぞれが違う光景を見ているかもしれません。

 

「自分が見えている光景は絶対的なものではない」ということを自覚して、相手に見えている光景を知ろうとする、相手の立場に立って話をすることが大切です。

 

ヒューマンスキル研修を受ける

ヒューマンスキルを高める方法として、高い効果が期待できるのが「ヒューマンスキル研修を受ける」方法です。ヒューマンスキル研修を受けることで、研修を通して知識を体系的に学ぶことができます。

 

まず人格やコミュニケーションの原則、価値観の異なる相手の受け止め方などは、意外と体系を学んだことがない人も多く、研修を受けることで多くの気づきが得られるでしょう。一方で、コミュニケーション能力や技術は実践を伴わなければ身に付きにくいものです。

 

そのためヒューマンスキル研修を取り入れる場合は、どのような内容なのかに応じて、ロープレや講師からのフィードバック機会がどれぐらいあるかなどを確認して選んでいきましょう。

 

ヒューマンスキル研修で習得したことを、日常、実際の職場で意識して取り組むことで、さらに高い効果が期待できます。

 

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ヒューマンスキル研修のポイント

社員のヒューマンスキルを高めるには、企業側もヒューマンスキルを高めるための研修を提供する必要があります。

 

私たちは日々、“喋る・聞く・質問する”ことを当たり前のように行なっています。またテクニカルスキルのように「ある/なし」が意外とわかりづらいのもヒューマンスキルの特徴です。だからこそ「体系だったヒューマンスキルを学んだことがある」ビジネスパーソンは多くありません。

 

特にテクニカルスキルで成功してきたプレーヤー・監督者層(ロワーマネジメント)が、ヒューマンスキルが最も重要となる管理者層(ミドルマネジメント)に昇格するときには、人間性やコミュニケーションスキルを重視した新任リーダー研修を実施することが大切です。

 

また、人間性を磨くことは、日々の習慣形成を含めて非常に長い時間がかかります。従って、リーダーや幹部になってから、人間性を磨こうとしても手遅れになる可能性も高いでしょう。プレーヤー時代から少しずつヒューマンスキル教育、特に人間性の教育を始めておくことが理想です。

 

質問力を高める

ヒューマンスキルを高める方法として、質問力を高めることも大切です。質問はコミュニケーションにおいて、相手を理解するために役立ちます。

 

相手の意見を引き出す質問力、また、意見の背景にある価値観や立場、意図を知るような傾聴力や感受性を身に付けると、価値観の異なる相手とのコミュニケーションも上手くいくようになるでしょう。また、信頼関係も構築しやすくなりますし、自然とトラブルも減少して業務も円滑に進むでしょう。

 

経験や見識を増やす

経験や見識を増やすこともヒューマンスキルを高めることに役立ちます。多様な経験や見識を持つことは、相手の立場を踏まえた意見や感情を想像する力の向上につながります。

 

社内外問わず、ビジネスを進める中では自分とは違う意見、価値観、立場の人たちとも意見を交わすことが生じます。そうした時、経験や見識を積み重ねてきていれば、自分と異なる立場にある相手の意見や感情を理性的に想像しやすくなります。

 

具体的な立場や状況は違っても、たとえば、顧客の心情を理解する上では、自分が購買側やユーザー側でした体験や感じたことが役立つでしょう。

 

自分の経験の引き出しを増やし整理しておくことで、相手が見えている光景、感じていることの仮説を立てやすくなります。仮説ができると、より適切な質問もできるようになるでしょう。

 

ヒューマンスキルに関する評価制度を整える

ヒューマンスキルに関する評価制度を整えることも、能動的にヒューマンスキルを高める意識を持ってもらううえでは有効です。

 

評価制度を整える際の注意点としては、ヒューマンスキルは客観的な評価が難しいことです。定量的な基準を作ることが難しいため、上司や人事担当者の主観的な評価に左右されないように気を付ける必要があります。

 

方法としては、360度評価を取り入れたり、また、ヒューマンスキルを発揮する具体的な行動を指定したりすることがポイントです。

 

まとめ

ヒューマンスキルは、周囲との信頼関係を作り、人を動かすために求められる能力です。ヒューマンスキルの位置付けは、マネジメントに必要な能力をテクニカル・ヒューマンスキル・コンセプチュアルスキルの3つに分類したカッツモデルが非常にイメージしやすいでしょう。

 

ヒューマンスキルは大きく分類すると、

  • 信頼関係を築く力
  • 聴く力(傾聴力)
  • 理解する力(ロジカルシンキングなど)
  • 引き出す力(ヒアリング、コーチング、ファシリテーションなど)
  • 伝える力(プレゼンテーション、ネゴシエーション、動機付けなど)

で構成されます。

 

ヒューマンスキルは上述したような各種のコミュニケーションスキルになりますが、スキルを効果的に使うためには、前提として、相手と中長期的な信頼関係を築ける人間性が必要となってきます。人間性を高めることは短期間ではうまくいきません。

 

ぜひ時間をかけてしっかりと人間性を磨く取り組みを行ない、人間性の上にコミュニケーションスキルを身に付けましょう。

 

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著者情報

東宮 美樹

株式会社ジェイック 取締役

東宮 美樹

筑波大学第一学群社会学類を卒業後、ハウス食品株式会社に入社。営業職として勤務した後、HR企業に転職。約3,000人の求職者のカウンセリングを体験。2006年にジェイック入社「研修講師」としてのキャリアをスタート。コーチング研修や「7つの習慣®」研修をはじめ、新人・若手研修から管理職のトレーニングまで幅広い研修に登壇。2014年には前例のない「リピート率100%」を達成。2015年に社員教育事業の事業責任者に就任。

著書、登壇セミナー

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