
メンター制度を効果的に運用するためには、以下のポイントを押さえて準備や運用をすると良いでしょう。
目的・ゴールの設定
メンター制度の効果を高めるには、自社の目的に合ったルールを決めることが必要です。導入に際しては、下記のような問いを考えて、きちんと目的・ゴールを設定しましょう。
<メンター制度の目的とゴール>
- 何のために導入するのか?
- 何が実現すれば良いのか?
- 導入効果をどのように測るのか?
- 定量的にどんなゴールを目指すのか?
同じメンター制度でも組織の課題によって、目的とゴールは異なります。
<組織の課題とメンター制度の目的の事例>
- 鬱になる若手が多い →安心できる居場所づくり
- 女性の離職率が高い →ロールモデルとなる女性メンターによる支援
- 次世代リーダー育成問題 →メンター制度を通じた人材育成
スタート時点では、定量目標が設定できなくても、運用アンケートなどで定量化していくことも大切です。人事制度は、導入してやりっぱなしになってしまう傾向もあります。アンケートなどで定量化することでPDCAを回せるようにしましょう。
運用ルールの作成
自社の目的を達成する、また、導入後のトラブルやメンターによる質の違いを最小限にとどめるためにも、一定のルールや運用計画が必要です。
具体的には、以下のような項目をきちんと検討しましょう。
- 実施期間
- メンター/メンティ同士の面談方法や頻度
- 成果の確認方法
など
必要であれば、メンター用のノウハウ集や運営マニュアルを作成してもいいでしょう。なお、メンターの負担が大きくなり、本人の仕事などに支障が出ては意味がありません。メンターの負担を限度内に抑えつつ、きちんと効果の上がる運用を目指しましょう。
メンターの決定
次にメンターを決定する必要がありますが、メンターとメンティの組み合わせも考慮する必要があります。その際、以下の方法があります。
- アサインメント方式 :人事担当者がメンターとメンティの組み合わせを決定する
- ドラフト会議方式 :メンターリストを提示し、メンティが自分でメンターを選ぶ
状況に応じて、どちらのやり方でも良いでしょう。運用が楽なのはアサインメント方式ですが、ドラフト会議方式の方が信頼関係の構築はスムーズです。
どちらにしても、メンター制度の効果を高めるには、適任者をメンターにすることが大切です。メンターの適任条件としては下記の要素が挙げられます。
- メンティの疑問や問題に適切なアドバイスができる
- セルフマネジメントやセルフリーダーシップが十分に出来ている
- 人材育成に関心がある
- メンター自身に成長志向、学習意欲がある
- 人格やエンゲージメント観点でメンティのロールモデルとしてふさわしい
事前研修を実施
メンター制度を効果的に導入するためには、メンター向けの事前研修を実施することも有効です。
<メンター研修の内容>
- メンターとしての自覚
- 制度を導入する意図や期待、メンターが得られるメリット等による動機づけ
- 信頼関係の構築や傾聴、コーチング等のスキル
- 運用ルールやトラブルの対処方法
- フォロー体制や相談窓口
具体的な研修内容としては、テキストを使った座学、グループディスカッション、トレーニングを組み合わせて、以下のようなことを教えていくのがおススメです。
運用スタート
メンターには、運用ルールどおりにサポートをしてもらいますが、細かな進め方は当事者に任せた方が良いでしょう。ただし、面談の効果的な実施方法などのガイドラインは、人事部門側から示してあげることがおススメです。
メンター・メンティのペアをつくった場合、初めはお互いに少し遠慮し合うことが生じがち。そのため、スタート時には「どちらからの働きかけで、こういう面談をこういう頻度で実行する」といった項目を決めておくことも有効です。
振り返り
メンター制度は、導入して終わりではありません。社内の人材育成をより良くしていくためにも、運用ルールの改善や見直しを続けていく必要があります。
具体的な方法としては、メンター・メンティ双方へのヒアリングやアンケートを実施したり、サーベイツールでメンティーのモチベーションやエンゲージメントを可視化したりして、振り返り・改善を行ないましょう。適切な改善を行なうためにも、率直な意見を聞ける体制づくりをすることも大切になります。
経営幹部やメンター・メンティーの上司に対しても必ず報告を行ない、メンタリングの成果や経営的なメリットを理解してもらうとともに、次期以降のメンタリングでも支援が得られるよう配慮しておくとよいでしょう。
企業によっては、メンターをフォローする「シニアメンター」を導入することで、メンターの意見をうまくヒアリングしつつ、メンターをフォローする仕組みを作っています。