変わる夏の甲子園【人を残すvol.162】

いつも大変お世話になっております。
株式会社ジェイックの梶田です。
 
 
今年の高校野球、夏の甲子園は神奈川の慶応高校が優勝しましたね!
 
酷暑の中でしたが、4年ぶりに声出し応援が解禁されたこともあって、
各校ともスタンドの応援を背に熱戦を繰り広げていました。
 
私も、4年前に、息子の母校が甲子園に出場し、アルプススタンドで声をあげて応援しました。
思い出すと、その時の熱がこみあげてきます。
 
 
今年、甲子園中継を見ていて驚いたことがあります。
 
「あれ?!髪の毛が長い!」
 
恐らく多くの人が思ったのではないでしょうか。
 
報道によると少なくとも出場校のうち7校が丸刈りではなかったそうです。
しかも高野連の発表によると、全国の高校野球部で、
丸刈りなのは全体の26%程度にとどまったそうです。
 
 
私は、中学3年間ずっと丸刈りでした…。
別に野球部でもないのに、その中学では男子生徒は有無を言わさず、
全員丸刈りにしなければいけませんでした。
 
様の学生時代はいかがでしたか?
男子は丸刈り、女子はおかっぱ頭などの校則はありませんでしたか?
 
今考えるとすごいですよね。
多様性どころか、人権もなにもあったものじゃないですが、
当時は、それが当たり前でした(私の育った地域では)。
 
中学時代、野球部にいた同級生が、
高校では野球はやらない、せっかくの高校生活、もう丸刈りはイヤだ、
と言っていたことを思い出します。
 
 
優勝した慶応高校の森林貴彦監督は、こんな談話を残しています。
 
「自由にした方がいいとかではなくて、
 思考停止せずにおかれている環境ではこういうものがいいんだと
 選手主体で進めていくことがいいのかなと。
 監督に言われたことだけをやる人材はこれからの世の中には
 必要とされていないと思う。
 サイン通りに動くとか、指導者の指示通りに動くことを
 良しとしているのであれば、人材育成としては高校野球は足りていない。
 個性、多様性とかを高校野球の中で追求していくことが必要かな
 というのは思っています」
 
個性や多様性に言及しながらも、森林監督が一番仰りたいことは、
生徒一人一人が“主体性をもって野球に取り組む”ことなのだと思います。
 
 
集団を統率するための規則に盲目的に従わせることは、
管理する側からすれば、効率性という意味では便利なものです。
 
しかし、それは、個々の持つ特性に基づいた発想や行動を
抑制してしまうリスクもあると思います。
 
昨今メディアを騒がせている企業の不祥事などはどうでしょうか?
 
旧態依然とした封建的な組織の論理が、社員の考える力を奪い、
不正行為に対する抑止力がなくなり、倫理観すらも失われてしまう。
 
この種のことは、何年経ってもなくなりません。
 
ナチスドイツで、ユダヤ人の大量虐殺を実行したアドルフ・アイヒマンは
戦後の裁判で、その罪を問われ、こう述べました。
 
 “私は指示に従っただけ”
 
彼は、ヒトラーの著作「我が闘争」などを読んだこともなく、
ヒトラーに対する忠誠心が色濃かったわけでなく、
単に権威者の指示に盲目的に従っただけではないかと思われ、
 
彼の死後、アメリカの心理学者スタンレー・ミルグラムの実験によって、
人間には権威者の指示に盲目的に従うという心理が働くことが実証されました。
(アイヒマン実験)
 
 
規則が人の主体性を奪うから丸刈りはダメだ、と言いたいのではありません。
 
私も含めて、人は集団の中にいると、調和や規則を大事にしようとします。
それはそれで良いことですが、時に、同調や服従に変わることがあります。
 
ビジネスで言えば、顧客のニーズを重要視することなく、
所属している組織の理屈がすべてになってしまい
大切な顧客との関係にひびが入ることだってあります。
 
顧客と現場にもっとも近い人間の感性が埋没してしまい、
エラい人達が考える思想や方針に盲目的に従うことで、成功体験を得られず、
その過程の中で、主体性が失われていく様子を目にすることがあります。
 
 
多様性とは何でしょうか?
 
ただ他人の志向性を尊重するだけのものではないと思います。
 
 
人の考える力、想像力を失わせてはならない。
そう思います。
 
 

今回の執筆者:「梶田貴俊」
(株式会社ジェイック 西日本代表講師)

変わる夏の甲子園

著者情報

梶田 貴俊

元株式会社ジェイック シニアマネージャー(現ジェイック契約パートナー)

梶田 貴俊

前職、通信機器ベンチャー商社勤務時代にリーマンショックを経験。代表取締役として、事業再生計画を推進し同社のV字回復を実現した。現在はジェイックの講師として研修事業を牽引している。

著書、登壇セミナー

『会社を潰さないためのSunday Management List ―中小企業のリーダーがやるべき日曜日のマネジメントリスト』

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