“目標設定のチカラ”
いつも大変お世話になっております。
株式会社ジェイックの梶田です。
先日のシルバーウィークはいかがお過ごしでしたでしょうか。
台風が連続して、交通機関が乱れるなどあいにくの天候でした。
その最中、9月19日は敬老の日でした。
内閣府の発表によると、65歳以上高齢者は3621万人となり、
割合としては、世界最高の28.9%とのことです。
また、4人にひとりが働いておられるという調査結果でした。
歳をとっても元気に働けるということは、
自分もそうありたいとも思います。
「バイスティックの7原則」という言葉は
お聞きになったことはおありですか?
アメリカの社会福祉学者フェリックス・
ケースワーカーの行動規範、相談援助の基本的態度です。
今から50年以上も前に発表された理論ですが、現代においても
福祉介護サービスに従事する人たちの「バイブル」だそうです。
以下に、その概要を記載します。
現代の企業の組織経営や人材育成にも非常に有効であると思います
みな様の組織ではいかがでしょうか?
1) 個別化の原則
クライアントの抱える問題や困難は、
支援者の経験で決めつけたり(ラベリング)、同様の問題として、
分類や類型化(カテゴライズ)を行ってはならないということ。
2) 受容の原則
クライアントの考え方を頭から否定せず
「どうしてそう考えるか?」から考えること。
この原則は、同時に、支援者からクライアントへの
直接的命令や感情否定を禁じることになる。
3) 意図的な感情表現の原則
クライアントの感情表現の自由を認めること。
特に抑圧されやすいネガティブな感情を意図的に吐き出させること
心の枷を取り払い、
客観的に捉えられるよう働きかけること。
4) 統制された情緒関与の原則
支援者自身がクライアントの感情に呑み込まれないようにすること
また、支援者からクライアントへの過度な感情移入を抑制し、
自らの感情をコントロールして接すること。
5) 非審判的態度の原則
クライアントの思考や行動を「善悪で判じない」とする考え方。
あくまでも支援者は補佐役であり、最終的にはクライアント自身が
自らの課題を解決していくものであり、善悪の判断も同様。
6) 自己決定の原則
あくまでも自分の行動を決定するのはクライアント自身である
という考え方であり、今後起こりうる課題への対処も
クライアント自身で解決すること目指すもの。
これにより、支援者からクライアントへの「命令的指示」
7) 秘密保持の原則
クライアントの個人情報・プライバシーは
決して他者にもらしてはならないという原則。(個人情報の保護)
…
“エンパワーメント”という言葉がありますが、
介護福祉においては、
自らの生活や環境を、
または、自立する力を授けること、と解されます。
ケアマネージャー(介護支援専門員)
ある高齢の女性に、
その女性は、嘆息交じりに、こう言ったそうです。
「もう早く逝きたい。コロッと逝きたい。
何回も病院にかかって無駄に長生きしたくない…」
友人のケアマネは、それを聞いて、こう訊ねました。
「コロッと逝きたいってことは、
できるだけ他人に迷惑かけずに安らかに最期を迎えたい、
そういうことでしょう?」
その老人は、そうだと頷いたそうです。
「だったら、それを目標にしようよ。
●●さんのこれからの目標は、“コロッと逝くこと”
ボケたり、身体が不自由になって誰かに迷惑かけずにね」
老人は、うんと頷いたそうです。
「よし、そうと決まったら、
今のうちに悪そうなところを治して、生活も気を付けなきゃ」
その後、何日かして、その老人の娘さんから、
友人(ケアマネージャー)に連絡があったそうです。
「母は、あれだけ嫌がってた通院も行くようになりました。
ヘルパーさんと一緒にご飯を作ったり楽しそうなんです。
何に対しても無気力で、荒んでいた生活だったのに…
一体どんな魔法を使われたんですか?
久しぶりに、母の笑った顔を見ることができました。
本当に、本当にありがとうございました。」
…
私は、友人のプロフェッショナルな姿に感心しました。
一般論や固定観念にとらわれず、
その人のやる気を引き出すための最適な目標を設定し自立に向かわ
まさに、エンパワーメント。
人財育成の根幹を教えてもらったように思いました。
今回の執筆者:「梶田貴俊」
(株式会社ジェイック 西日本代表講師)