チームワーク向上のポイントは?組織を強くする施策とテクニックを紹介!

更新:2023/07/28

作成:2021/10/21

東宮 美樹

東宮 美樹

株式会社ジェイック 取締役

チームワーク向上のポイントは?組織を強くする施策とテクニックを紹介!

スポーツに限らず、ビジネスにおいても「チームワークの向上が重要」とよく言われます。チームスポーツと同様、ビジネスにおいても周囲と協力しなければ大きな成果を上げることはできませんので、チームワークが重要であることは明確です。

 

しかし、チームワークの重要性を認識していても「チームワークとは何か」「チームワークを向上させるためにはどうすれば良いか」が説明できない管理職は決して少なくありません。

 

記事では、チームワークの定義や重要性、チームワークを高めるための施策をご紹介します。

 

<目次>

チームワークとは?「チーム」の定義と必要要素

一致団結するビジネスパーソン

経営者や管理職の多くは「組織で成果を上げるうえでチームワークが大切」「自社のチームワークを高めたい」と考えていますが、「チームワークとは何か?」を説明できる人は意外と少ないかもしれません。

 

まずはチームとは何か、チームの定義チームワークの成立に必要な要素を確認しましょう。

 

 

1)チームワークの構成要素

チームワークとは、「目標達成のためにチームメンバーと協働すること」を指します。つまり、チームワークはメンバー個人の成果ではなく、メンバーが一丸となってチームの目標を達成することに重きを置いたものです。

 

チームワークは5つの要素から成り立ちます。

 

  • 明確な目標

チームワークを発揮するには、同じ目標に向かってメンバー全員が協力しあう必要があります。「我々の目標は何か?」ということにチーム全員が等しく答えられるよう、明確な目標を設定することが大切です。

 

  • 役割分担

チームワークでは、一人ひとりの足りない部分をメンバー同士で補っていくことが高い成果につながります。したがって、目標達成に向けて必要な役割を洗い出し、メンバーの強みを考慮しながら役割を割り当てていきます。

 

メンバー各自が自分の役割を自覚すれば自分の役割に注力しやすくなるほか、足りない点の援助を要請したり、困っているメンバーを助けたりすることが可能です。

 

  • 自律性

チームワークでは自分の役割に注力するだけでなく、自分の役割を踏まえて各自が自律しながら自らの責任を果たしていくことが必要です。

 

同時に、自分らしさや強みを発揮しながら協力しあうことで新たな強みに気付けることもあり、チームの相乗効果をより高めることができます。

 

  • 情報共有

各自が自律しながら協働していくためには、情報共有が不可欠です。持っている情報が違う状態では適切な判断や貢献はできませんし、議論もかみ合いません。

 

場合によってはチーム全体に悪影響をおよぼす可能性もあるため、こまめに報告・連絡・相談を行なって情報共有することが大切です。

 

  • 信頼関係

チームワークの前提となるのがメンバー同士の信頼関係です。信頼関係がなければチームワークを発揮できず、成果を上げることはできません。お互いの考えや価値観、意見を受け入れられる、心理的に安全な場を構築する必要があります。

 

 

2)チームとグループの違い

チームとグループの違いは組織と集団の違いに似ており、どちらもメンバー同士が協働して目標達成を目指しますが、目標達成までの過程が大きく異なります。

 

メンバー全員で役割分担をし、協働して目標達成を目指すチームに対して、グループはメンバー一人ひとりがバラバラに目標達成を目指します。グループはあくまで時間と場所を共有しているだけであり、一人ひとりが個人の能力を出し切ることで成果を追いかけていくものです。

 

チームワークの重要性とメリット

ビジネス組織をマネジメントするうえでは、チームワークの重要性とメリットをしっかりと理解しておく必要があります。

 

 

1)組織におけるチームワークの重要性

ビジネス組織は、協働することで一人では達成できない高い目標やビジョンを実現していくものです。したがって、チームワークは組織にとって必要不可欠なものであり、チームワークを機能させることで個人のスキルや経験、能力だけでは解決できない課題をクリアすることができます。

 

特に外部環境や市場の変化が激しくイノベーションが求められる現在、リーダー一人のトップダウンでビジネスを発展させていくことは困難です。ビジネス環境の複雑化に対応していくためにも、多様性を持ったメンバーのチームワークを向上させ、相乗効果を発揮することが求められます。

 

 

2)チームワークが向上することで企業が得られるメリット

チームワークが機能している状態とは「共通の目標に向かって各自が自律して動きつつ、お互いを信頼して情報共有・協力できている状態」です。したがって、チームワークが向上すれば以下のようなメリットが得られます。

  • 成果の量が増える
  • 成果の質が高まる
  • 機会損失が減る
  • 懸念事項に先んじて手を打てる
  • 可能性や機会に挑戦できる

 

また、信頼するメンバーと協力して働いている状態は、ワークエンゲージメントやモチベーション向上、離職防止にも効果的であり、中長期的な生産性の向上にもつながります。

 

チームワークを高める3つの人事施策

人事戦略のイメージ

本章ではチームワークを高める3つの人事施策をご紹介します。

 

 

管理職やリーダー層のマネジメント能力を強化する

チームワークを向上させるうえでは、管理職やリーダーのマネジメント能力が重要です。特に管理職やリーダーのヒューマンスキルやコミュニケーション能力はチームワークに与える影響が大きくなります。

 

したがって、管理職やリーダーのファシリテーション力やコーチングスキルを強化して、「相手の意見を引き出したり、場の雰囲気をつくったりする能力」を高めることが大切です。

 

また、メンバーの能力を最大限に発揮するには職場環境を整える必要があります。管理職やリーダーは心理的安全性に関する知見や、自らの感情をコントロールするアンガーマネジメントなどの能力を身に付け、メンバーが働きやすい環境をつくる必要があるでしょう。

 

 

メンバーの相互理解を深める

チームワークの前提となる信頼関係を築くには、上司と部下という1対1の関係ではなく、メンバー間の横や斜めの絆をつくるコミュニケーションや相互理解が重要です。

 

相互理解を高めるにはプロフィールやスキルといった表面的な情報の共有だけでは不十分です。仕事への想いや価値観、コミュニケーションスタイル、プライベートなど、役割分担を超えた「人」としての側面で相互理解を進めることで信頼関係が構築しやすくなります。

 

また、相互理解を高めるには気軽な雑談も有効で、上司や同僚に気軽に声をかけたり、自然と雑談が生み出されたりするオフィス環境もポイントです。特に在宅勤務などの状況では気軽な相談や雑談が減りがちなので、意図的にコミュニケーションを増やす工夫をしましょう。

 

 

共通の目的目標と役割分担

チームワークは単に「人間関係が良い」というだけではなく、あくまで「組織目標を協働して達成する」ために機能するものです。したがって、信頼関係や相互理解に加えて実務面で以下の4つが重要になります。

 

  • ①明確な共通目標

目標を明確にするとともに、チームで目標を共有し、メンバー全員が同じ方向を見て動けるよう意志の統一を図ることが重要です。認識を合わせるにはメールや掲示版、SNSなどを活用するのも有効で、いつでも報告・連絡・相談ができる状態にしておきましょう。

 

  • ②目標の意味づけ

目標達成に本気で取り組むためには、目標に対する動機づけが重要です。ビジネスにおける目標は組織全体の事業計画などから落とし込まれたものであることが多く、目標に「個人やチームとしての意味」を見出しにくいことが多々あります。

 

しかし、個人やチームとしての意味を見出せない場合は目標が他人事になりやすく、本気で取り組まないメンバーも出てきてしまいます。目標を自分事としてとらえるためにも、「何のために達成するか」を明確にすることが大切です。

 

  • ③役割分担と行動計画

チームワークを発揮するためには、メンバーそれぞれの役割を明確にすることが欠かせません。メンバーが自分の役割を自覚し、お互いの役割を認識しあうことで、より能力を発揮しやすくなります。

 

また、一人ひとりの強みを活かした役割分担にすることで、短所をカバーしあうことが可能です。

 

行動計画では、目標達成に向けてやるべき行動を明確に洗い出すことが大切です。原田メソッドで使用されている「オープンウィンドウ64」では、目標達成の方法を64の行動へ具体的に落とし込むことができます。施策の抜けや漏れが減るほか、二の手・三の手が用意された精度の高い計画が立てられるのでおススメです。

 

  • ④規律

メンバー間の信頼関係を保ち、健全なチームワークを維持するためには、「約束を守る」「時間を守る」などのビジネスにおける基本行動を徹底することも重要です。

 

例えば、時間を守っているメンバーのなかには「時間を守らないこと」に対してストレスを感じる人がいて、「またか」「ふざけるな」とモチベーションを大きく低下させてしまいます。

 

モチベーションが低いメンバーが一人でもいればチームワークは成立しませんので、チームの雰囲気を乱さないためにも基本ルールは徹底する必要があります。

 

まとめ

チームワークとは、メンバーが一丸となって個人では実現できない目標やビジョンを達成するためのものです。メンバーが自律しながらも協働して、チームの目標を達成していくチームワークの向上は、組織にとって必要不可欠だといえます。

 

チームワークが機能するためには

  • ①明確な目標設定
  • ②役割分担
  • ③自律性
  • ④情報共有
  • ⑤信頼関係

 

という5つの要素が必要になり、チームワークを向上させることで生産性の向上、モチベーションアップ、離職防止、メンバー個人のスキルアップといったメリットが期待できます。

 

チームワークの向上には、

  • ①マネジメント能力の向上
  • ②相互理解
  • ③共通の目的目標と役割分担

といった人事施策が重要です。記事の内容を参考にぜひ組織のチームワークを向上させてください。

著者情報

東宮 美樹

株式会社ジェイック 取締役

東宮 美樹

筑波大学第一学群社会学類を卒業後、ハウス食品株式会社に入社。営業職として勤務した後、HR企業に転職。約3,000人の求職者のカウンセリングを体験。2006年にジェイック入社「研修講師」としてのキャリアをスタート。コーチング研修や「7つの習慣®」研修をはじめ、新人・若手研修から管理職のトレーニングまで幅広い研修に登壇。2014年には前例のない「リピート率100%」を達成。2015年に社員教育事業の事業責任者に就任。

著書、登壇セミナー

・新入社員の特徴と育成ポイント
・ニューノーマルで迎える21卒に備える! 明暗分かれた20卒育成の成功/失敗談~
・コロナ禍で就職を決めた21卒の受け入れ&育成ポイント
・ゆとり世代の特徴と育成ポイント
・新人の特徴と育成のポイント 主体性を持った新人を育てる新時代の学ばせ方
・“新人・若手が活躍する組織”は何が違う?社員のエンゲージメントを高める組織づくり
・エンゲージメント革命 社員の“強み”を組織の“強さ”に繋げるポイント
・延べ1万人以上の新人育成を手掛けたプロ3社の白熱ディスカッション
・新人研修の内製化、何から始める? オンラインでも失敗しないための “5つのポイント”
・どれだけ「働きやすさ」を改善しても若手の離職が止まらない本当の理由 など

関連記事

  • HRドクターについて

    HRドクターについて 採用×教育チャンネル 【採用】と【社員教育】のお役立ち情報と情報を発信します。
  • 運営企業

  • 採用と社員教育のお役立ち資料

  • ジェイックの提供サービス

pagetop