
管理職に必要なスキルや能力は、マネジメント教育や研修で伸ばしていくことも十分可能です。ただし、次のような特徴や性質が見られる場合、教育での矯正は容易ではなく、管理職にしてはいけない人材と判断したほうがいいかもしれません。
エンゲージメントが極端に低い
仕事や組織へのエンゲージメントが低い状態では、管理職としてのリーダーシップを発揮できる可能性はかなり低いと考えられます。従業員エンゲージメントとは、企業への愛着や貢献意欲のことです。
エンゲージメントが低い人は、企業のビジョンや目指す方向性を理解していない、仕事にやりがいを感じていない、仲間意識が薄いなどの傾向が見られます。
器用なタイプであれば、形だけはリーダーシップ行動を取れるかもしれません。しかし、管理職自身のエンゲージメントの低さは、チームメンバーのエンゲージメントやモチベーションに悪影響を与えてしまいます。
特に、エンゲージメントが極端に低い場合には、ネガティブ発言ややる気のない態度、会社への批判などが多く見られるようになり、チームメンバーの士気を著しく低下させるでしょう。
パワハラなど問題行動のリスクが高い
パワーハラスメントなど問題行動リスクが高い、あるいは過去にそうした行動を起こした人も管理職に登用してはいけません。
パワハラにはさまざまな種類があり、上司からメンバーへの殴打や足蹴りといった身体的な攻撃だけではなく、人格を否定するような発言など、精神的な攻撃も含みます。気に入らないメンバーに仕事を与えず“干す”ような行為もパワハラに該当します。
2020年6月より大企業に対して、職場におけるパワーハラスメント防止措置が事業主に義務化されました。そして、2022年4月からは中小企業に対しても義務化されました。
パワハラを放置すれば、被害者の心身の健康を不安定にし、職場の雰囲気も悪化します。さらに訴訟などが発生したり、SNSで拡散されたりした場合は、人材流出や企業イメージの低下など、企業自体も大きな損失を被る可能性が高いでしょう。
ハラスメントに関する教育研修も重要ですが、リスクが高い人を管理職に登用しなければ、問題行動自体も起きにくくなります。
部下・後進の教育に興味・関心がない
人材育成は、管理職に期待される役割の一つです。しかし、個人としては優秀でも、部下・後進の教育に関心がない人も、なかにはいます。
上司がメンバーの育成に興味がなく、「苦手」「面倒」と感じている状態では、チームメンバーの成長を引き出すことは難しいでしょう。上司が何も教えてくれないため、今の企業では成長できないと失望した優秀なメンバーに退職されるリスクも出てきます。
エンゲージメントが低い、パワハラを起こすといった人はプレイヤーとしても問題があるケースが多いですが、人材育成への興味・関心がないという人は、プレイヤーとしては問題ない場合もあります。
次の章で詳しく説明しますが、働き方が多様化するなかで仕事への価値観も大きく変わっています。最近では、管理職への昇進を望んでいない人も増えています。
管理職ではなく、優れたプレイヤー・プロフェッショナルとして活躍する道を準備することで、より多くの社員のモチベーション向上につなげることもできるでしょう。