部下はなぜ退職を決意するのか?
メンバーはいまの組織で仕事をするなかで生じている不満や悩みを解消するために、退職を決意します。そのため、部下の退職を防ぐには、会社を辞めるところまで追い込まれた部下の想いや理由に目を向ける必要があります。本章では、退職を生じさせる6つの代表的な理由を紹介します。
意義を見出せない仕事
どのような仕事にも、意義や目的があります。しかし、働く人が自分の担当業務の意義・目的がわからない、納得していなければ、以下のような不安・違和感が生じるでしょう。
- 「この仕事は何のためにやるのか?」
- 「自分の仕事はどんな価値を生み出しているのか?何かに貢献しているのか?」
- 「自分がここにいる意味、この仕事をしている意味はあるのだろうか?」
意義を見出せなければ、仕事に対する熱意やモチベーションは失われ、仕事に取り組むことは苦痛になってしまうでしょう。
強みを活かせない環境
人は、自分の強みを活かすことに喜びを感じるものです。また、強みを活かすことで高い成果を上げられるようにもなります。
組織や上司のマネジメントが下手で、強みを活かせる役割を与えられない、もしくは画一的で型にはめるようなマネジメントをされて強みをいかせなければ、仕事は面白くなりません。
人は、強みを活かせなければ、優れた成果を上げられません。また、弱みが表に出るタスクや仕事のやり方を強制されれば、ミスを多発したり、成果を出せなかったりして、自信を喪失することもあるでしょう。成果を出せないと、前述した仕事の意味を見失う危険性も出てきます。
成長実感の乏しさ
たとえば、初めて就職して初期研修を受けていた新人研修時代、そこから部門に配属されて新しい作業を覚えて任せられる仕事が増えていく新人時代は、「自分は成長している」という実感が得られやすいものです。
しかし、ひと通りの業務を覚えて一人前になると、毎日の仕事が同じことの繰り返しのように思えてきて「自分は成長できているのだろうか?」と不安になることがあります。特に、同じ仕事を3年ぐらい続けて、ある程度のスキルを身に付けてしまうと、成長実感が乏しくなりがちです。
上司などが客観的に見れば、確実に成長しているし、まだまだ成長する余地があることも多いでしょう。しかし、大切なことは、客観的にどうかではなく、本人にとって「自分は成長していると感じられるか」「この企業にずっと在籍して成長できると感じるか」です。
キャリアの閉塞感
先述の意義を見い出せない・強みを活かせない・成長実感が得られない……などの状況は、「この仕事を続けることで、自分の将来はどうなってしまうのだろう?」などの閉塞感をもたらします。
終身雇用が崩壊した現在、多くの若手が「企業は自分の人生を保証してくれない。自分自身で、自分の市場価値を高められる環境を選ぶ、将来性のある企業に行くことが大事」と考えています。
したがって、自社に成長性がない、また自社で成長できないと感じた場合、在籍し続けることに対する不安や閉塞感が一気に強くなります。近年では、自分自身や企業に大きな問題がなくても、インターネットやSNSを通じて同年代や同期と比較することで、不安が生じやすく、「隣の芝生は青い」感覚も生じがちです。
閉塞感が閾値を越えると、「とりあえず転職サイトに登録してみようか」といった行為につながり、一気に転職への流れが出来上がっていきます。
尊敬できない上司
「社員は、企業を去るのではなく、上司のもとを去るのだ」という言葉もあるぐらい、上司への不満、上司との人間関係は退職の大きな要因です。
上司との関係性に関しては、上司の能力よりも人間性が非常に大切です。たとえば、以下のように人間性に問題がある上司のもとでは、離職が多発するでしょう。
- 部下の話に耳を傾けない
- 自分のミスを部下のせいにする
- 部下の成果を自分のものにする
- 一部のメンバーをえこひいきする
- 言っていることとやっていることが違う など
また、上司や先輩がキャリアのロールモデルとなれない場合、前述したキャリアへの閉塞感も生じやすくなるでしょう。
待遇に対する不満
働く上で“待遇”の要素はやはり重要です。待遇は衛生要因とも言われていた時代もありますが、転職サイトの年収診断やスカウトサイトなども増えたなかで、転職・退職の大きな要因にもなっています。
最近では、転職が容易になったこともあり、市場の給与相場・待遇相場と自社の状況に乖離があると、待遇を原因とする退職が容易に生じます。
なお、待遇に関しては、上記のように相場観との乖離という絶対的なものもあるだけでなく、社内での評価に不満がある、「○○さんが自分より評価されるのはおかしい」といった相対的なものへの違和感も不満の原因になります。
例えば、以下のような感覚です。
「自分はすごく頑張っているのに給料が上がらない、出世できない」(不満)
「あまり頑張っていないメンバーが、なぜか自分より早く出世している」(不公平感)
相対的な待遇への不満と、ここまで紹介した離職要因がかけ合わさって、転職の引き金となることも多くあります。






