OKRによる目標設定とは?Googleなども導入するOKRの設定手順とポイントを解説

更新:2022/08/18

作成:2022/03/08

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

OKRによる目標設定とは?Google等も導入するOKRの設定手順とポイントを解説 (1) (1)

組織をマネジメントして事業を成長させるうえで、目標設定によるマネジメントは不可欠です。

 

従来の目標管理制度(MBO)と対比されるものとして、GoogleやLinkedIn、メルカリなどの成長企業やベンチャー企業で導入されているOKRというフレームワークが注目されています。

 

本記事では、OKRの基本的な仕組みや導入メリット、OKRの仕組みを使って目標設定する場合の手順とポイントを紹介します。

<目次>

OKRの基本的な仕組み

OKRの文字の積み木

OKRとは、パソコンの半導体で有名なアメリカのインテル社が開発した目標管理方法です。

前述のとおり、GoogleやFacebook、日本ではメルカリなどの有名なインターネット企業、成長企業が導入したことで、注目を集めるようになりました。

 

OKRの仕組み

OKRは、事業プロジェクトや部門などの組織で、「Objectives(目標)」と「Key Results(主要な結果)」を設定することで、組織の方針やメンバーの方向性をぐっと一致団結させて、モチベーションや生産性を上げる仕組みです。

 

通常の目標設定では、目標は「定量的」にすることが一般的です。一方でOKRでの目標は数値などで表すことのできない「定性的なもの」でもOKになります。達成できたことを考えるとワクワクする、シンプルで頭に残りやすいものが理想です。

 

OKRにおける目標は、通常のMBOにおける「目標」というよりは、短期的なスパンで実現したい「ビジョン」に近い概念といえるかもしれません。

 

続くKey Resultsは、一つの目標に対し、2~5個ぐらいで設定します。Key Resultsが従来のMBOなどにおける「目標」や「KPI」と同じ概念です。2つを組み合わせたOKRの設定イメージは以下のような形です。

 

【目標(Objectives)】
3年以内に業界トップシェアを獲得し、○○分野のNo.1企業として業界の誰もが知る企業となる

 

【成果指標(KR)】
・売上高○○億円
・認知度調査におけるNo.1の獲得
・既存顧客のリピート率◯%
・新規顧客○社の獲得

企業でOKRを導入するメリット

企業がOKRを導入すると、以下のメリットや効果が得られます。

 

メンバーの意識が統一される

OKRでは、達成率が60~70%ぐらいになるようなチャレンジングな目標、ミッションやビジョンに紐づく定性的な目標を掲げます。通常のMBOと違ってかなり難易度が高い目標を設定する代わりに、達成率などを直接的に人事評価へと反映しないのが特徴です。

 

評価制度と紐づけないことで、目標がプレッシャーではなく、「このビジョンを実現したい!達成したらスゴイ!」というワクワクする気持ち、純粋なエネルギーになりやすくなります。

 

また、目標が数値だけではない定性的な表現になっているからこそ、ワクワク感も刺激されます。そして、記憶もされやすくなります。

 

OKRを導入すると、メンバーの意識が統一され、何を実現するために働くのか、どのような貢献をすれば良いのかというメンバーの方向性がそろいやすくなります。

 

メンバーの当事者意識が醸成される

OKRでは、Objectivesの下にいくつかの具体的なKeyResultsを掲げます。

 

Objectivesでモチベーションを高めたうえで、Objectivesを達成するためのKPIとなるような定量的・具体的なKey Resultsが掲げられます。

 

具体的なKeyResultsの存在によって、メンバーは自分がどこに貢献するのか、どこを達成することが自分の責任なのかが明確となり、当事者意識が醸成されます。

 

Objectivesだけでは具体的な行動に落ちにくい部分も、KeyResultsがあることで具体的な行動に落とし込みやすくなり、メンバーの意味ある主体性を引き出すことにつながります。

 

企業のミッションやビジョン浸透にも効果がある

OKRは、ビジョンや定性目標と数値をリンクさせるため、ミッションやビジョン浸透にも効果があります。

 

メンバーのモチベーションを高め、向かう方向をそろえるためには、企業のミッションやビジョンを浸透させることが欠かせません。

 

しかし、優れたミッションやビジョンを作成していても、ミッションやビジョンが浸透しなければ“絵に描いた餅”で終わってしまいます。

 

OKRは短期的な目標達成だけでなく、ミッションやビジョンの浸透にも効果を発揮するでしょう。

 

社員のエンゲージメントが向上する

 

OKRは、以下のような社員のエンゲージメント向上にも非常に役立ちます。

・企業の一員であることへの誇り
・チームメンバーであることへの意識の高さ
・チームメンバーや企業への愛着 など

 

OKRがエンゲージメント向上につながる理由は、自分の仕事がどのような意味を持つのか、何につながるのか、といったことがObjectivesで示されるからです。

 

MBOも組織で達成する目標を分解していくという論理は同じですが、OKRのほうが全体の目標、ミッションやビジョンとのつながり、仕事の価値をより明確に示すことができます。

OKRによる目標設定の手順とポイント

黒板に書かれたOKRの文字

OKRを用いた目標設定と実践を効果的にするために、以下のような取り組みがポイントになります。

 

野心的でワクワクする目標の設定

OKRで大切なのは、野心的でワクワクする目標を設定することです。達成率を人事評価と直結させることが多いMBO(目標管理)では、基本的に目標は100%の達成を目指して設定します。

 

一方、OKRでは普通に進めたら60~70%程度の達成率になるような野心的な目標を設定します。組織のミッションやビジョンとつながった野心的な目標を設定するからこそ、「達成したい」「目標を達成できたらうれしい」と思えるようなワクワクする状態を描けます。

 

野心的なObjectivesとKeyResultsの組み合わせが、メンバーのモチベーションやエンゲージメント向上につながるのです。

 

KPIツリーなどを用いたKeyResultsの設定

KeyResultsは、Objectivesの達成進捗を計測する指標、また、達成を実現するための道筋となります。KPIツリーの考え方を使って、Key Resultsを何にするのかを設定していきましょう。

 

ただし、OKRにおけるKey Resultsは通常のKPIのようにすべて四則演算できっちり分解して作る必要はありません。Objectivesが定性的な表現を含むからこそ、Key Resultsも自由度を持たせて良いのです。

 

ただし、一つひとつのKeyResultsは、

・客観的に評価できる
・困難ではあるが不可能ではない
・達成することがObjectivesの実現に貢献する

など、SMARTの法則を守って設定することが大切です。

 

ウィンセッションの実施

OKRにおけるウィンセッション(Win‐session)とは、メンバーが自分の進捗や貢献を自慢して、お互いの貢献や成果を褒め合う会を指します。

 

ウィンセッションで重要となるのは、以下のような小さな進捗でも必ず発表を行ない、ほかのメンバーは進捗の内容を褒めることです。

・営業職:新規のお客様から「信頼しているからね!」と言われた
・エンジニア:メインプログラムのコードを書き終えた
・販売職:新規顧客のすべてをポイント会員にした など

 

ウィンセッションを定期開催することで、「自分たちは前に進んでいる」という実感を持てるようになります。また、「できたこと」に着目して認め合うことで、「来週も頑張ろう!」というモチベーション維持が可能になります。

 

さらに、定期的なウィンセッションの存在は、ゴールでありモチベーションの源泉ともなるObjectivesを意識させる機会になります。ウィンセッションのやり方や頻度は、企業や職種によって異なります。本項では、いくつかの事例を紹介していきましょう。

 

・Crevo
動画制作会社であるCrevoのウィンセッションは、個人ではなく、自分たちのチームが実施した取り組みを他部署にアピールするというものです。部門を超えて実施することで、セールス・制作・開発など、自分以外のさまざまな部門を知ることができるメリットがあります。

 

また、例えば「クリエイターからセールスに仕事内容を共有する」ことで、営業における提案の幅が広がるといった利点もあります。部門を超えたウィンセッションは、組織力の向上にも大いに役立つことでしょう。

 

・Be&Do
組織活性化のサービスを提供するBe&Doでは、リモートワークを導入しており、ウィンセッションもオンラインで実施しています。Be&Doにおけるウィンセッションの特徴は、自社で開発・運営するタレントマネジメントシステム「Habi*do」を活用していることです。

 

セッションの開始前に、全メンバーが以下のような発表内容をHabi*doに記入します。

・OKRの進捗
・OKRの実績
・うまくいってないこと

 

Habi*doを使うことで、出張や時短労働でウィンセッションにリアルタイムで参加できない人も、自分の実績や進捗を共有できる仕組みです。

 

Be&Doのウィンセッションはオンラインではありますが、各自で軽食と飲み物を用意して、乾杯でスタートするといった雰囲気作りも行なっています。

 

話を聴く側は、拍手やあいづちなどの明るいリアクションをするルールとなっているため、心理的安全性の向上にも役立つセッションとなるでしょう。

 

・ローカルワークス
建設業界向けのITサービスを提供するローカルワークスのウィンセッションは、毎週金曜日の16時から開催されています。

 

企業が各チームへの感謝を示す機会にもなっており、ケーキやワイン、ビールといった飲食物が提供されてリラックスした雰囲気で実施されます。

 

セッションでは、各部門で今週起きた以下のことを報告し合います。

・発見
・試行錯誤
・改善点

 

単純に褒め合うだけでなく質疑応答も行われ、異なる部門同士で質疑応答することで、知らない仕事やプロジェクトに携わる組織内の相互理解も可能になっています。

 

・グレートビーンズ
採用サービスを提供するグレートビーンズでは、ウィンセッションを導入したうえで自社に合わないと判断した会社です。

現在では、ウィンセッションの代わりにOKRの導入前から行なっていたYKDという場を設けています。

 

YKDは「やった、金曜日だ!」の略で、週のGood(良かったこと)とChance(課題)を全員で共有するイベントです。

グレートビーンズでは、メンバーで話し合いながら自社に合ったセッション(イベント)の形を模索することで、高いモチベーションの維持が可能な仕組みをつくりあげています。

 

ウィンセッションを導入するときには、惰性で定期開催するのではなく、グレートビーンズのように振り返りをしながら、PDCAをまわしてブラッシュアップしていくとよいでしょう。

まとめ

OKRとは、野心的でワクワクするビジョン・目標(Objectives)と目標を達成するための主要な指標(KeyResults)を設定することで、メンバーのモチベーションを高め、動きの方向性をそろえるものです。OKRを導入すると、以下のメリットが得られます。

・メンバーの意識が統一される
・メンバーの当事者意識が醸成される
・企業のミッションやビジョン浸透にも効果がある
・社員のエンゲージメントが向上する

 

OKRを用いた目標設定を効果的にするには、以下の手順とポイントを押さえることが大切です。

・野心的でワクワクする目標の設定
・KPIツリーの考え方を用いたKeyResultsの設定
・ウィンセッションの実施

 

OKRとMBOの違いなどに興味がある人は、以下のページも参考にしてみてください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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