個人の目標達成スキルや、組織の目標達成力を高めることに役立つ10個のフレームワークをご紹介します。
フレームワークは、優れた知恵や方法論を誰もが使える「型」として落とし込んだものです。うまく使いこなすことで、目標達成や成果創出を強力に後押ししてくれます。
記事では、目標設定・目標達成に役立つ10個のおススメのフレームワークを確認するとともに、目標達成のフレームワークを学べる「原田メソッド」研修をご紹介します。
<目次>
目標達成・目標設定に役立つおススメのフレームワーク10選
本章では、目標達成や目標設定に役立つおススメのフレームワーク10選をご紹介します。
MBO
MBOとは、Management By Objectivesの略であり、直訳すると「目標による管理」です。日本のビジネスシーンでMBOといえば、一般に「目標管理制度」のことを指します。
MBO導入には、各個人の責任やゴールが明確になり、主体性やモチベーションを引き出しやすくなるメリットがあります。また、所属する企業や組織、部門のビジョンやゴールから各個人の目標と行動に一貫性がもたらされることで、組織の目標達成力が上がる効果も生まれます。
MBOは、多くの組織で取り入れられている最も基本的な評価制度といってよいでしょう。ただし、MBOを効果的に活用するためには、目標設定のノウハウ、MBOのデメリット部分を解消する施策の導入など、いくつかのポイントを押さえることが重要です。MBOに興味がある方は、以下の記事で詳細をご確認ください。
OKR
OKRは「Objectives and Key Results」の略語で、「目標と主要な結果」と訳されます。MBOと近い概念であり、GoogleやFacebookが導入していることで、日本のベンチャー企業などに注目されて、導入する企業も増えています。
OKRとMBOの大きな違いは、以下のようなポイントです。
- 人事評価制度と連動させないことが多い
- 売上や利益などよりも、ビジョン実現に向けた“ワクワクする”ような目標を設定する
- 所属欲求や承認欲求を刺激するWin-sessionなど、自己実現を刺激する仕組みがある
OKRとMBOの比較、類似点は以下の記事で解説しています。
SMARTの法則
SMARTの法則は、効果的な目標設定に不可欠な5つの要素を示したものです。個人の目標達成力を高めるほかに、組織にMBOを導入するうえでも、SMARTの法則は基本となります。
<SMARTの法則>
- Specific :具体的である(誰が読んでも理解できる明確な表現)
- Measurable :計測できる(目標の達成有無や進捗が第三者にも共有可能)
- Achievable :達成できる(現実的に挑戦できる適切な目標水準)
- Relevant :上位目標と関連する(企業や組織の目標達成、ビジョンや目的の実現に貢献する)
- Time-bound :期限が定められている(いつまでに達成するかという日時が決まっている)
例えば、「売上アップ」は単なる方針や願望であり、適切な目標ではありません。この目標にSMARTの法則を使うと、「2022年3月までに、2021年3月対比で120%となる月商1500万円を達成する」といった形になります。
目的目標の4観点
どれだけ精緻な目標や行動計画を立てても、目標を持った本人が目標達成に価値を感じていなければ、精度高く実行したり、ぶつかった壁を乗り越えたりして、目標達成することはできません。
目標達成に対する「ワクワク感」を生み出したり、内発的動機づけしたりすることに役立つのが「目的・目標の4観点」というフレームワークです。
目的目標の4観点では、「自分-他者」「有形-無形」という2つの軸、4つの分類で目標達成を価値づけします。
- 自分:自分にもたらされる利益や良いこと
- 他者:自分以外の人にもたらされる利益や良いこと
- 有形:表彰やお金などの形ある良いこと
- 無形:気持ちや感情などの精神的な良いこと
「目的目標の4観点」の一例
- 自分×有形:自分が物理的に得られるもの
ex)給料がアップする、欲しかった腕時計を買う - 自分×無形:自分が精神的に得られるもの
ex)自分に自信が持てる、達成感や満足感をえられる - 他者×有形:自分に関わる誰かが物理的に得られるもの
ex)部門目標を達成する、メンバーが新人賞を獲得する - 他者×無形:自分に関わる誰かが精神的に得られるもの
ex)家族が喜ぶ、顧客の社員が仕事を楽しめるようになる
作成のポイントは、「こういうことが起きたらいいな」や「こうなったらいいな」などの夢や理想をたくさん書くことです。書けば書くほど目標達成への意欲が高まります。また、個人の目標設定だけでなく、チームや部門目標に対して、模造紙などを使ってメンバー全員で作成するのも効果的です。
KPIツリーとKA
KPIツリーやKAIを使った目標達成プロセスの作成やマネジメントは、目標達成力を高めるうえで基本となるフレームワークです。KPIは、Key Performance Indicatorの略で、日本語では、重要業績指標と訳されます。わかりやすく例えると、以下のような業績や評価のカギとなる指標です。
<KPIの例>
- リピート率
- 受注件数
- テスト終了件数
- 商談数
- PV数
- 不良率
- 事故発生件数
など
また、KAIは、「Key Action Indicator」の略で、重要活動評価指標と訳されます。KPIが最終的なゴール達成までの進捗を示す指標であるに対して、KAIはKPIを動かすための「活動」を示す指標となります。以下のように、KPI達成に向けて自分たちがコントロールできる活動指標がKAIです。
<KAIの一例>
- 新規顧客への架電件数
- 既存顧客との3ヵ月以内接触率
- 問い合わせに対する5分以内対応率
- セミナーの実施件数
- 改善施策の実行数
など
最後に、KPIツリーは、ビジネス上のゴールであるKGI(売上や利益などの最終成果)をプロセスへと分解していくものです。KGI(重要目標達成指標)を頂点に置き、そこから四則演算で計算できる形でKPI、そして、KPIの下にKAIを紐づけていきます。
KPIツリーは、精度の高い目標達成プロセスを作成するうえでも重要なフレームワークです。
GROWモデル
GROWモデルは、コーチングの分野でよく使われるフレームワークで、目標達成を支援するための基本的なモデルとなります。
Goal(目標)、Reality(現状)、Resource(資源)、Option(選択肢)、Will(意思)の頭文字を取ったもので、「達成したい目標と現状のギャップを明確にしたうえで、ギャップを埋める方法を考えて実行の意思を確認する」という流れになります。
コーチングですので、上司やリーダーが答えを与えるのではなく、以下のような問いを通して本人に答えを見つけ出してもらうことになります。GROWモデルのフレームワークを身に付けると、セルフコーチングを通じて、目標達成プロセスを導き出す力も高まります。
<GROWモデルの基本的な問い>
- Goal(目標)
- 達成したいことは何ですか?
- 具体的には?
- どういう状態を作りたいと思っていますか?
- Reality(現状)
- 現状はどうなっていますか?
- 何がうまくいっていますか?
- 何がうまくいっていませんか?
- Resource(資源)
- 目標達成するために、どのような資源がありますか?
- 自分自身のなかにある資源は?
- 周囲の人や使える資源は?
- Option(選択肢)
- 目標達成するために、どのような方法がありますか?
- もし制限がないとしたらどうしますか?
- Will(意思)
- 具体的にいつまでに何をしますか?
- 実行する意思は何点ですか?
目標達成シート(マンダラート)
目標達成シートは、目標達成するための方法やアイデア、課題などを導き出すためのフレームワークです。マンダラートとも呼ばれ、仏教の「曼荼羅」からヒントを得て作成されたものとなります。
具体的には、3行3列のマスを9個、全部で81個のマス目の中心に達成したい目標を描き、達成するための方法論や具体的な行動、アイデアを展開していきます。目標達成シートには、施策や行動を洗い出すことで、抜け漏れを防止できるメリットがあります。
目標達成シートを活用すると、数多くの施策やアイデアを考え出して、そこから絞り込んで行動計画を作成することで、精度の高い目標達成プロセスを作りやすくなります。また、当初の計画がうまくいかないときに、二の手や三の手を打ちやすくなる効果もあります。
さらには、数多くの施策やアイデアを考えるプロセスを繰り返すと、目標達成に向けた論理的思考力やアイデアを創出する力も養えます。
長期目的・目標設定用紙
長期目的・目標設定用紙は、目標達成の技術を磨く原田メソッドで使われるフレームワークです。大きくは、
- 意味づけされた目標の設定
- 精度の高い目標達成プロセスの作成
- 計画実行していくためのセルフマネジメントの立案
から成り立ち、作成することが「目標達成」に直結するフレームワークです。
ルーティンチェックシート
目標達成の確度を上げるためには、目標達成や自己成長、コンディション維持につながる効果的なルーティン(習慣)を身に付けることが大切です。
習慣化には、私たちの行動の90~97%を占めるといわれる「無意識」を目標達成するための味方にできる効果があります。ルーティンチェックシートは、良い行動を習慣化して、無意識の力を生かすためのチェックシートです。
PDCA
PDCAは、ビジネスパーソンであれば誰もが聞いたことがある、目標達成に向けた進捗管理の基本です。目標達成に向けた「計画の立案(Plan)→実行(Do)→結果の確認(Check)→改善計画の思考と実行(Action)」という4プロセスの頭文字を取って「PDCAサイクル」と呼ばれます。
目標達成に向けた大きな計画と実行、検証、修正。また、一つひとつの施策に対する小さなPDCAという形で、計画して実行したことに対する良かった点、悪かった点を振り返って、次の改善した計画につなげていきます。
PDCAサイクルを回す習慣は、目標達成に近づくのはもちろんのこと、自分の目標達成力を高めることにもつながります。
目標達成・目標設定のフレームワークを習得できる原田メソッド研修
目標達成・目標設定のフレームワークを身に付けるためには、HRドクターを運営する株式会社ジェイックが提供する「原田メソッド」研修がおススメです。
原田メソッド研修は、メジャーリーグで驚異的な活躍を続ける大谷翔平選手と、陸上男子100メートルで東京オリンピック出場を決めた多田修平選手といったトップアスリートが実践してきたメソッドでもあります。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00325/
原田メソッド研修で得られる5つの力
原田メソッド研修では、安定した目標達成に欠かせない5つの力を身に付けることができます。
- 「人格の土台」の上での能力発揮
- 目的と目標の両方を描くことによる「セルフ内発的動機づけ」
- 目標達成シートを使った「目標達成への論理的思考習慣」
- ゴールまでの「PDCA力」
- 目標達成に近づく成果行動を習慣化する「ルーティン力」
原田メソッド研修後に期待できる状態
原田メソッド研修では、研修を通じて「主体者意識」と「自律心」を育み、目標達成できる人材を育成するとともに、課題発見と解決の習慣、ノウハウを組織内に定着させます。
具体的には、以下の状態が実現します。
- 業務上の目標と自らのやりがいをリンクさせ、目標達成に向けたセルフ内発的動機づけがされた状態
- 目標達成に必要な施策や道筋を整理して目標達成プロセスを計画できる状態
- 作成した目標達成力を実行していくためのセルフマネジメントの方法論が明確になった状態
まとめ
記事では、目標設定や達成に使える代表的なフレームワークとして以下の10個をご紹介しました。
- MBO
- OKR
- SMART
- 目的目標の4観点
- KPIツリーとKAI
- GROWモデル
- 目標達成シート(マンダラート)
- 長期目的・目標設定用紙
- ルーティンチェックシート
- PDCA
HRドクターの運営会社・株式会社ジェイックが実施する「原田メソッド」研修では、上記で紹介したフレームワークに沿って、目標達成の技術を習得することができます。原田メソッド研修に興味があれば、ぜひ下記より資料をダウンロードしてください。