ストレスコーピングとは?有効性と実践方法、企業での取り組み方法を紹介

更新:2023/07/28

作成:2023/07/07

東宮 美樹

東宮 美樹

株式会社ジェイック 取締役

ストレスコーピングは、ストレスマネジメントに類似した考え方で、「避けがたい強いストレスにうまく対処していく取り組み(その方法やノウハウ)」を指す言葉です。

 

組織で働く中では、人間関係のストレス、また情報化社会の中で求められるスピードやクオリティによるストレスが生じます。

 

ストレスコーピングは、こうしたストレスに対して能動的に対処していくためのセルフケア方法です。

 

記事では、ストレスコーピングとは具体的にどんなものか、実践方法やポイント、企業における取り組み方を紹介します。

<目次>

ストレスコーピングとは?

ストレスコーピングは、まだ聞き慣れない方も多いかもしれません。

 

「ストレスに対応していく方法」というと「ストレスマネジメント」を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、ストレスマネジメントとストレスコーピングは類似していますが、若干意味合いが変わります。

 

まずはストレスコーピングの概要、注目されている背景、また、ストレスに関する基本的な知識を紹介します。

ストレスコーピングの意味

ストレスコーピングの「コーピング(coping)」は、「対処する」という意味の英単語copeに由来します。

 

copeの意味はmanageに近いものですが、copeは「難しい状況にうまく対処する」という場合に使われる言葉です。

 

つまり、ストレスコーピングとストレスマネジメントは、同じストレスへの対処方法ですが、

  • ①ストレスマネジメント
  • ⇒ストレスを管理して心身の健康状態を良好に保つ
  • ②ストレスコーピング
  • ⇒避けがたい強いストレスにうまく対処する

という形で、ストレスコーピングのほうが「不可避的な強いストレスに対処する」という意味合いが強調されたものになります。

ストレスコーピングが注目される背景

ストレスコーピングが注目されるようになったのには、慢性的に強いストレスにさらされやすい現代の職場環境が背景にあります。

 

一時的なストレスであれば、怒ったり泣いたりなどして感情を発散させたり、何も言わずにしばらく我慢したりといったことで対処することができるかも知れません。

 

しかし、現代社会におけるストレスは、そのような一時的な対処法では対応することが難しくなっています

 

組織の中で他者と働くこと自体が一定のストレスを生じさせるものです。

 

そして、技術革新によって単純作業が機械やITに代替されていく中で、人間は高度な判断を要求される仕事や感情を扱うような仕事をすることが求められています。

 

結果的に、知識労働や感情労働を、チームで、かつスピーディーに実施することが増えており、必然的に常にストレスにさらされ続ける状態になっています。

 

顧客や同僚と日々仕事する中では、感情を出して発散するわけにもいかず、そうかと言って我慢し続ければ限界がきてしまいメンタルダウンを起こしかねません。

 

そこで、強いストレスがかかり続ける状況下においても適切な方法によってストレスに対処していく手段として、ストレスコーピングが注目されるようになっています。

ストレスの構成要素

ストレスは、

  • 1)外部環境からの刺激であり、ストレス反応を引き起こす原因となるストレッサー
  • 2)物の捉え方である認知
  • 3)ストレスを感じた時のストレス反応

という3つによって構成されています。

 

図で表すと以下のようになります。

 

 

ストレスのもととなる刺激を与えてくるストレッサーには、大きく4つに分類できます。

  • 物理的ストレッサー(暑さや寒さ、光や音といった物理刺激)
  • 化学的ストレッサー(薬物、アルコール、化学物質などの物質的な刺激)
  • 生物的ストレッサー(空腹や体調不良、体の変化による不調や不快感など)
  • 精神的ストレッサー(不安や怒り、焦り、緊張といった感情に伴うもの)

職場におけるストレッサーは精神的なものであることが大半でしょう。

 

そして、認知とは、ストレッサーによる刺激を評価、解釈するプロセスです。「刺激が自分にとって脅威をもたらすものである」と感じる・判断されることで、ストレス反応が生じます。

 

ストレス反応は、イライラや抑うつといった精神的なものや、頭痛、動悸といった身体的なもの、飲酒、喫煙といった行動面のものがあります。

 

ストレスが起こる構造を理解して、それぞれ要素に働きかけていくということがストレスコーピングのやり方を身に付けるうえで重要になってきます。

防衛機制との違い

ストレスコーピングと少し類似したものに、心理学やカウンセリングなどの分野で使われる「防衛機制」という言葉があります。

 

防衛機制とは、オーストリアの精神科医であるフロイトが提唱したもので、強いストレスを受けたときに心が深刻なダメージを受けないように自動的に発動する心理的メカニズムのことです。

 

代表的なものとしては、

  • 空想にふけったり、緊張や不安から逃れるために体調が変化したりする「逃避」
  • うまくいかないことに対して理由を挙げて正当化する「合理化」
  • 我慢できない欲求やストレスを芸術活動などの行動に変換する「昇華」

などです。

 

ストレスコーピングと防衛機制は、強いストレスによるダメージを避けるという意味では同じですが、防衛機制は無意識下で働くものなのに対して、ストレスコーピングは意識的に行うものであるという違いがあります。

 

意識的に実施するからこそ、たとえば、「これは上司のせいだ、外部環境のせいだと理由をあげて正当化(合理化)する ⇒ 状況を変えるための行動を起こさない、言い訳だと捉えられて叱責される」といった不都合な結果にならないようにコントロールすることができます。

職場でのストレス原因と影響

ストレスの多い現代社会において、メンタルヘルスの重要性はより高まっています。職場においては具体的にどういったことがストレスになるでしょうか。

 

ストレスの発生原因とストレスによって生じる悪影響を確認しておきましょう。

職場における主なストレス要因

まずは、職場における主なストレス要因を確認しておきましょう。

 

以下に示すのは、厚生労働省が行っている労働安全衛生調査の結を分かりやすくグラフにまとめたものです。

 

引用)厚生労働省『令和4年版過労死等防止対策白書』、P43

 

グラフを見ると、不安、悩み、ストレスの発生源としては「仕事の量(43.2%)」が一番多くなっており、「本人とっては過重な業務量」が最大のストレス要因になっていることが分かります。

 

続いて、「仕事の失敗、責任の発生等(33.7%)」「仕事の質(33.6%)」となっているのを見ると、仕事でのパフォーマンスへの要求水準が上がっていく一方で、従業員がついていけていない様子なども浮かび上がってきます。

 

また、対人関係についても25.7%と、およそ4人に1人の割合で人間関係にストレスを感じていることが分かります。

 

なお、対人関係のストレスは、比率自体は4人に1人ですが、パワハラやセクハラなどになってくると相当強いストレスが生じます。

 

従って、比率自体は仕事の量や責任などに比べれば少ない一方で、受けるストレスの大きさという点でも注意が必要です。

ストレスによって起こる悪影響

外部から何か脅威が近づいてきてストレスにさらされた際、多くの人が取る行動は「3F」と呼ばれます。

 

3Fとは、
  • Fight(戦う)
  • Flight(逃げる)
  • Freeze(固まる)

という3つの動詞の頭文字です。

 

もし職場において、怒鳴り散らしたり暴言が多くなったりしている人が出てくる、離職者が多くなる、あるいは生産性が下がってくるといった3Fから生じる行動が見られるようになってくると、職場がストレスフルな状態になっている可能性は高いでしょう。

 

職場の心理的安全性が低く、無意識的に何らかの脅威を感じてしまっていることの表れと言えます。

 

そのような状態を放置してしまうと、生産性の低下に加えて、メンタルダウンしてしまう人も出てくる可能性があり、早急に対策を取る必要があります。

ストレスコーピング 5つの種類

ストレスコーピングの方法は大きく5種類あります。それぞれ、ストレスを構成する3つの要素に働きかけるやり方で、構成要素との対応を示すと以下のようになります。

 

 

それぞれの方法について、中身と具体例を解説します。

①情動焦点型

情動焦点型は、ストレッサーに対する考え方や捉え方である「認知」を変えることで、強いストレス反応が出ないようにするものです。

 

人は気持ちが落ち込んでいる時には、物事をネガティブな方向に捉えやすくなります。また、「普段から物事をネガティブな方向に考えやすい」という人もいるでしょう。

 

そんな時に、例えば「他の人だったら、どう考えるだろうか?」というように、自分の考えは妥当かどうかを考えてみることで、自分の認知パターンに気づくのが情動焦点型のストレスコーピングです。

 

「他の捉え方もあるな…」「またこのパターンにはまって過度にネガティブになっていたな」と気づくだけで、ストレスは減るものです。

②認知的再評価型

認知的再評価型とは、情動焦点型を一歩進めてストレッサーに対する見方を別の側面から捉え直すことで、前向きに受け止められるようにすることです。

 

例えば、ミスが多くて上司からいつも叱られてばかりいることに対して、「自分はダメだ」と捉えてしまうと落ち込んでしまいます。

 

しかし、自分の認知を捉え直して「叱ってくれるということは、それだけ期待されていることだ」「見放されていないのはありがたい」と考えると、ストレスが減り、前向きに頑張ることが出来るかもしれません。

 

このように自分の認知を自覚したうえで、「こういう捉え方もできるな」と意識的に認知を切り替えることが認知的再評価型のストレスコーピングです。

③問題焦点型

問題焦点型とは、ストレッサーそのものを変化させたり取り除いたりすることで、ストレスの発生を抑えようとするものです。

 

例えば、職場の人間関係が上手くいっていない場合に、周囲の人や人事の人に相談して配置や業務を変えてもらったり、どうしても直接対処するのが難しい場合には距離を取ったりするといったことです。

 

すべてのケースで実施できるものではありませんが、ストレス要因(ストレッサー)を除去・改善できれば、ストレスは減少しますので、根本的な解決となるでしょう。

 

中長期のスパンでいえば、「仕事の量や質」といったストレッサーに対して、自分の能力を向上させる、自動化する、プロセスを変革して業務量を減らす、といったことも、ある意味で問題焦点型のストレスコーピングと言えるかもしれません。

④社会的支援探索型

社会的支援探索型とは、自分一人の力では解決困難な場合に、周囲のサポートを得ながらストレッサーに対処していくことです。

 

仕事の量が多すぎる、自分のスキルでは対処しきれないといった場合に、同僚や上司の力を借りて処理していくというものです。

 

真面目で責任感の強い人ほど一人で抱え込んでしまうことが多いため、そのような方にぜひ検討していただきたいストレスコーピングの方法です。

 

問題焦点型のストレスコーピングを実施しようと思うと、必然的に周囲の力を借りる、つまり社会的支援探索型のストレスコーピングになることも多いでしょう。

⑤ストレス解消型

ストレス解消型とは、ストレスを感じてしまった時に、ストレスを体の外に追い出したり、発散させたりするものです。

 

趣味に没頭する、体を動かす、おいしいものを食べに行く、睡眠をとるといった行為でストレスを発散させます。

 

手軽に行える反面、食べ過ぎや飲み過ぎによって健康を損なってしまったり、飲酒や喫煙のように依存症に陥るリスクがある行為もあったりしますので注意が必要です。

 

ストレス解消の行為は、「防衛機制」、つまり無意識にやると、過度になりがちです。自分のストレス解消方法を決めておき、健全なストレス解消をできるようにコントロールすることが大切です。

ストレスコーピングの実践方法

ストレスコーピングの種類を踏まえて、具体的にどのようにしてストレスコーピングを実践していけばいいのかを紹介します。

 

手順としては、

  • ①コーピングリストの作成
  • ②ストレスのモニタリング
  • ③効果の確認

の3ステップがあります。

 

まずは、コーピングリストの作成です。

 

コーピングリストとは、ストレスが発生した際にどのように対処していくのかについて、ストレスを軽減、解消する具体的な方法をリストアップしたものです。

 

まずは、思いつくまま対処法を書き出していくとよいでしょう。

 

次に、ストレスが発生した際に、コーピングリストに記載した対策を実践してみて、ストレスが軽減したかどうか、効果があったかをモニタリングします。

 

この手順をコーピングリストに記載したそれぞれの対策について繰り返していきます。

 

結果が出たものはそのままリストに残し、一方で、結果が出なかったものについてはリストから除き、代わりに別の新しい対策を入れていきます。

 

追加した対策を同じようにして検証していくこと意識的に繰り返していくことで、コーピングリストが充実していきます。

 

コーピングリストが充実したものになれば、それだけストレスへの対処力があがっているということです。

 

コーピングリストの見直しを適宜行いつつ、ストレスが発生した時にはリスト内の対策を実行して、ストレスに対処していきましょう。

 

なお、コーピングリストを書き出すときには、ストレスコーピングの種類を確認して、「ストレス解消型」の施策だけにならないようにすることが大切です。

効果的なストレスコーピングを実施するポイント

ストレスコーピングを効果的に行うためには、注意しておきたいポイントがあります。具体的な注意ポイントとして、3つご紹介します。

現状把握

まず初めに重要になってくるのが、適切な現状把握です。

 

ストレスに対して効果的に対処するためには、何がストレスになっているのか、ストレスの大きさはどれくらいなのかといった現状を適切に把握しておく必要があります。

 

ストレスの発生源や大きさによって、最適なストレスコーピングの方法は変わってきます。

 

強いストレスの渦中にいると、つい感情的になり、気持ちも焦りがちです。最適な方法を検討するためにも、少し手を止めて、まずは現状がどうなっているのかを客観的に考えてみましょう。

 

ストレスの構成要素を思い出し、ストレッサー、認知、ストレス反応という3つの分類で、紙に書き出してみるとよいでしょう。

 

前述の通り、何がストレス要因か、どう認知しているのかを理性的に知るだけでもストレスが軽減される効果もあります。

解決に向けた強い意志

冒頭で紹介した通り、コーピングという言葉は、難しい状況にうまく対処していくという意味です。

 

このことからも分かるように、ストレスコーピングを実践していくためには、解決に向けた強い意志を持つことも大切になってきます。

 

人によっては目の前の困難に「どうせ無理だ」とあきらめてしまうケースも出てきてしまうかもしれません。

 

ストレスコーピングは、ストレスに対して能動的に対処していく方法ですので、あきらめてしまっていては効果が発揮されなくなってしまいます。

 

必要があれば、周囲に相談して、サポートも受けながら、自分自身が前向きな姿勢で取り組んでいくことが大事です。

試して自分に合うやり方を選ぶ

何に対してどれくらいのストレスを受けるのかは、人によって異なります。また、解消方法も人によって合う/合わないがあるでしょう。

 

そのため、1つのストレスコーピング手法が全ての人に同じように効果を発揮するとは限りません。

 

いろいろ試してみて、自分に一番合ったやり方を見つけることが大切です。

 

ストレスコーピングを途中で投げ出してしまわないためには、自分にとって効果が実感できるやり方を選ぶことが重要になってきます。

企業におけるストレスコーピングの取り組み方

職場におけるストレスが日常的なものとなる中で、組織の生産性低下を防ぎ、活力のある職場にしていくために、企業としてストレスコーピングの取り組みを後押しすることは重要です。

 

企業として、どのようにストレスコーピングに取り組んでいけばいいのかについて解説します。

ストレスチェック制度の運用

2015年12月より、労働者が50人以上いる事業所においては、ストレスチェック制度の導入が義務付けられています。

 

従業員はストレスチェックを受けることで、自分のストレス状況について自覚することが出来ます。

 

ストレスチェックの結果を確認すれば、ストレスコーピングがうまくいっているのかどうかの判断基準にもなるでしょう。

 

また、組織としてもストレスチェックの結果を俯瞰することで、職場内のストレス状況が見えてきます。必要があれば、ストレスコーピングの研修や以下のような制度導入などを進めることが大切です。

メンター制度や1on1の導入

仕事での不安やストレスについて相談できる人が身近にいれば、不安やストレスを和らげることができます。

 

以下に示すのは、厚生労働省の『令和4年版過労死等防止対策白書』において、労働者がどのような人を相談相手としているのかを調査した結果です。

 

引用)厚生労働省『令和4年版過労死等防止対策白書』、P44

 

結果を見ると、家族・友人の80.1%に次いで上司・同僚が75.2%となっており、職場においては上司・同僚が、身近で気軽に相談できる相手として位置づけられます。

 

上司は、業務量の調整、人員配置、業務分担などを調整する権限がありますし、仕事内容への理解も深いでしょう。

 

従って、「解決」することに強みを持っています。従って、1on1の導入によって、上司が部下の相談に乗りやすい体制を作っておくことは非常に有効です。

 

なお、1on1で注意しておかなければならないのが、上司が部下と向き合って話をする際に、どうしても指示、命令、説教になってしまいやすいという点です。

 

指示や命令になってしまうと、部下の側は思っていることを自由に話せなくなり、ストレスコーピングの妨げになってしまいます。

 

そうなってしまわないためにも、上司の側は「聴く力」を身につけておく必要があります。

 

また、上司は解決に強みを持っている反面、上司自体がストレス要因になりやすい存在ですし、人事評価者でもあることから本音で相談しにくい相手にもなり得ます。

 

従って、上司との1on1だけではなく、利害関係の少ない他部署の先輩などをメンターやブラザーシスターとして相談役にするようなメンター制度、ブラザーシスター制度なども併せて実施すると良いでしょう。

産業保険医によるケア

ストレスチェックにおいて、高ストレス者に該当した従業員は、従業員からの申し出があれば、医師による面接指導を受けさせることが企業に義務付けられています。

 

産業医が相談相手とされている割合は、先ほどの資料では8.3%と割合としては低い方です。しかし、職場のメンタルヘルスという観点からは、専門家として重要な存在です。

 

従業員がメンタルダウンしてしまわないようにするためにも、ストレスを抱えて自分では対処しきれない状態になった人に対して、産業保険医によるケアを受けさせましょう。

管理職研修によるストレス要因の軽減

管理職研修を行うことにより、職場におけるストレス要因の軽減を図ることも大切です。

 

先ほどご紹介した『令和4年版過労死等防止対策白書』において、職場のストレス要因として多いのが対人関係(パワハラ、セクハラを含む)であり、25.7%の人が強い不安、悩み、ストレスを感じるという結果が出ています。

 

そして、対人関係などにおいて、また、仕事の量や質、責任についても大きな影響力を持っているのが上司です。

 

前述の通り、上司はストレスの解決に強い影響力を持っている一方で、上司自身がストレス要因となるケースも多いものです。

 

だからこそ、管理職の人に対し、部下のストレス状況の把握やケアの方法を学ばせる、また、過度のストレスを与えない適切なマネジメントやコミュニケーションができるように研修を実施することが大切です。

職場における円滑なコミュニケーションの推進

職場でのコミュニケーション不足によって、従業員が孤独感を抱えてしまうというケースも多くあります。

 

誰に頼ったらいいのか分からない、頼れる人がいないという状況は、大きなストレスになりかねません。

 

また、報連相が上手くいかないことによって余計な手間が増えてしまうと、トラブルのもとになりかねません。

 

そのようなことにならないように、困った時には上司や同僚に相談しやすいようにしつつ、職場の心理的安全性を高め、コミュニケーションが円滑に行われるようにする必要があります。

 

とくにリモートワークを導入する企業も増えている中で、新人や若手が周囲に相談できずストレスを抱えるケースも増えています。

 

フルリモートワークなどの会社であれば、コミュニケーションに関する一定の仕組みも大切です。

レジリエンス研修やマインドフルネス、EQ研修の導入

ストレスコーピング以外に、ストレスへの対応力を上げることができるものとして、レジリエンス研修、マインドフルネス、EQ研修といったものがあります。

 

「レジリエンス」とは、ストレスや困難にうまく対処し、回復していく力を意味します。

 

ストレスに対してひたすら耐え忍ぶだけでは、どこかのタイミングで耐え切れなくなってダウンしてしまう可能性があります。

 

ストレスの多い現代社会においては、レジリエンスを鍛え、ストレスにしなやかに対処していく能力が重要になってきます。

この他にも、ストレスを低減させる方法として注目を集め、研修に取り入れる企業が多くなってきているのが、マインドフルネスです。

 

マインドフルネスは、Googleをはじめとしたシリコンバレーの有名企業が研修に取り入れたことでも知られるようになりました。

 

マインドフルネスには、ストレスを低減させるだけでなく、集中力や記憶力も向上するといった効果もあります。

最後にご紹介するのが、EQ研修です。

 

近年では、単純な作業が機械やITに代替され、さらに働く価値観も多様化したなかで、人を動かしたり意思決定を下したりすることの重要性が増しています。

 

こうした人を動かす、意思決定を下すといった行為をするうえで重要になるのが、感情をマネジメントするEQと呼ばれる能力です。

 

自分の感情を上手くコントロールしたり、他人の感情にうまく対処できるようにしたりすることで、ストレスを低減させ、円滑なチームワークやコミュニケーションを可能にします。

 

EQは誰もが生まれながらにして保有しているスキルであり、適切な学習や訓練によって鍛えることが可能です。

 

詳細について興味のある方は、以下の資料をご参照ください。

以上紹介したのが、企業としてできるストレスコーピングの取り組みです。従業員のストレスコーピングを後押しし、職場のメンタルヘルス向上のためにも、参考になれば幸いです。

著者情報

東宮 美樹

株式会社ジェイック 取締役

東宮 美樹

筑波大学第一学群社会学類を卒業後、ハウス食品株式会社に入社。営業職として勤務した後、HR企業に転職。約3,000人の求職者のカウンセリングを体験。2006年にジェイック入社「研修講師」としてのキャリアをスタート。コーチング研修や「7つの習慣®」研修をはじめ、新人・若手研修から管理職のトレーニングまで幅広い研修に登壇。2014年には前例のない「リピート率100%」を達成。2015年に社員教育事業の事業責任者に就任。

著書、登壇セミナー

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