ストレスコーピングとは?
ストレスコーピングは、まだ聞き慣れない方も多いかもしれません。
「ストレスに対応していく方法」というと「ストレスマネジメント」を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、ストレスマネジメントとストレスコーピングは類似していますが、若干意味合いが変わります。
まずはストレスコーピングの概要、注目されている背景、また、ストレスに関する基本的な知識を紹介します。
ストレスコーピングの意味
ストレスコーピングの「コーピング(coping)」は、「対処する」という意味の英単語copeに由来します。
copeの意味はmanageに近いものですが、copeは「難しい状況にうまく対処する」という場合に使われる言葉です。
つまり、ストレスコーピングとストレスマネジメントは、同じストレスへの対処方法ですが、
- ①ストレスマネジメント
- ⇒ストレスを管理して心身の健康状態を良好に保つ
- ②ストレスコーピング
- ⇒避けがたい強いストレスにうまく対処する
という形で、ストレスコーピングのほうが「不可避的な強いストレスに対処する」という意味合いが強調されたものになります。
ストレスコーピングが注目される背景
ストレスコーピングが注目されるようになったのには、慢性的に強いストレスにさらされやすい現代の職場環境が背景にあります。
一時的なストレスであれば、怒ったり泣いたりなどして感情を発散させたり、何も言わずにしばらく我慢したりといったことで対処することができるかも知れません。
しかし、現代社会におけるストレスは、そのような一時的な対処法では対応することが難しくなっています
組織の中で他者と働くこと自体が一定のストレスを生じさせるものです。
そして、技術革新によって単純作業が機械やITに代替されていく中で、人間は高度な判断を要求される仕事や感情を扱うような仕事をすることが求められています。
結果的に、知識労働や感情労働を、チームで、かつスピーディーに実施することが増えており、必然的に常にストレスにさらされ続ける状態になっています。
顧客や同僚と日々仕事する中では、感情を出して発散するわけにもいかず、そうかと言って我慢し続ければ限界がきてしまいメンタルダウンを起こしかねません。
そこで、強いストレスがかかり続ける状況下においても適切な方法によってストレスに対処していく手段として、ストレスコーピングが注目されるようになっています。
ストレスの構成要素
ストレスは、
- 1)外部環境からの刺激であり、ストレス反応を引き起こす原因となるストレッサー
- 2)物の捉え方である認知
- 3)ストレスを感じた時のストレス反応
という3つによって構成されています。
図で表すと以下のようになります。
ストレスのもととなる刺激を与えてくるストレッサーには、大きく4つに分類できます。
- 物理的ストレッサー(暑さや寒さ、光や音といった物理刺激)
- 化学的ストレッサー(薬物、アルコール、化学物質などの物質的な刺激)
- 生物的ストレッサー(空腹や体調不良、体の変化による不調や不快感など)
- 精神的ストレッサー(不安や怒り、焦り、緊張といった感情に伴うもの)
職場におけるストレッサーは精神的なものであることが大半でしょう。
そして、認知とは、ストレッサーによる刺激を評価、解釈するプロセスです。「刺激が自分にとって脅威をもたらすものである」と感じる・判断されることで、ストレス反応が生じます。
ストレス反応は、イライラや抑うつといった精神的なものや、頭痛、動悸といった身体的なもの、飲酒、喫煙といった行動面のものがあります。
ストレスが起こる構造を理解して、それぞれ要素に働きかけていくということがストレスコーピングのやり方を身に付けるうえで重要になってきます。
防衛機制との違い
ストレスコーピングと少し類似したものに、心理学やカウンセリングなどの分野で使われる「防衛機制」という言葉があります。
防衛機制とは、オーストリアの精神科医であるフロイトが提唱したもので、強いストレスを受けたときに心が深刻なダメージを受けないように自動的に発動する心理的メカニズムのことです。
代表的なものとしては、
- 空想にふけったり、緊張や不安から逃れるために体調が変化したりする「逃避」
- うまくいかないことに対して理由を挙げて正当化する「合理化」
- 我慢できない欲求やストレスを芸術活動などの行動に変換する「昇華」
などです。
ストレスコーピングと防衛機制は、強いストレスによるダメージを避けるという意味では同じですが、防衛機制は無意識下で働くものなのに対して、ストレスコーピングは意識的に行うものであるという違いがあります。
意識的に実施するからこそ、たとえば、「これは上司のせいだ、外部環境のせいだと理由をあげて正当化(合理化)する ⇒ 状況を変えるための行動を起こさない、言い訳だと捉えられて叱責される」といった不都合な結果にならないようにコントロールすることができます。







