レジリエンスの高さを左右するのは先天的な因子もありますが、トレーニングによって誰もが高めることができます。レジリエンスを鍛える主な方法を紹介します。
ABC理論の考え方を身に付ける
レジリエンスを高めるうえで、土台となるスキルの一つが「ABC理論」です。ABC理論はアルバート・エリスが提唱した心理療法で、「ABCDE理論」とも呼ばれます。
<ABC理論>

・A(Activating Event) =出来事、事実
・B(Belief) =信念(考え方、価値観、思い込み、クセ…)
・C(Consequence) =結果(捉え方によって生じる感情や行動、身体反応)
人は、出来事や事実をそのまま捉えているわけではなく、自らが持っている信念(考え方、価値観、思い込み、クセ……)で出来後や事実を解釈します。そして「どう解釈したか?」に応じて、感情や行動・身体反応が引き起こされます。
少し極端な例を出すと、「外出した直後に雨が降ってきた」という出来事に対して、「濡れてしまった!何で雨が降ってくるんだ!」と怒りの感情を持つ人がいれば、「外出する前は天気予報を見よう」と考える人、「やっぱり自分は運が悪い」と捉えて落ち込む人もいるわけです。
私たちが、身の回りに起こる出来事や事実(A)をコントロールすることは困難です。しかし、自分の考え方や価値観、思い込み、思考のクセ(B)に気づき修正することは可能です。
つまり、ストレスの要因となる出来事や事実を変えることは困難ですが、出来事や事実からストレスを受けるかを選択することはできます。そして、ネガティブな感情に振り回されることなく、適切な行動を取ることもできます。
自分の考え方や価値観、思い込み、思考のクセに気づき、修正するプロセスがDとEです。
<ABCDE理論>

・D(Dispute) =反論(自分の捉え方への気づきと疑問・反論)
・E(Effect) =効果(修正した捉え方によって得られる新たな結論と影響)
捉え方によって生じる感情や行動、身体反応(C)が好ましいものではなかった場合、自分の捉え方(B)に戻って、「この捉え方は正しいのか?」「それ以外の捉え方はないのか?」と自分に問いかけます。
自分自身の捉え方に対する反論は「学習者の問い」と呼ばれ、自分の捉え方を自覚し、違う捉え方を生み出します。結果として捉え方が変化して、より好ましい捉え方をすることができます。
事例でいうと、雨が降ってきたことに対する「やっぱり自分は運が悪い」という考え(C)に対して、「ちょっと待って!本当にそうなの?」と自分に問いかけることが学習者の問い(D)です。学習者の問いにより、「冷静に考えると、雨が降ることは単なる偶然だよな。そもそも自分は“運が悪い”が思い込んでいるのか……」という気づき(E)を得られます。
ABCDE理論の考え方を身に付けることは、レジリエンスを鍛えるうえで非常に有効ですので、ぜひ日常生活のなかでトレーニングしてください。
なお、ABCDE理論は、7つの習慣®の「パラダイム」や「See-Do-Getサイクル」といった考え方とも非常によく似ています。下記の資料も参考にしていただくと、理解がより深まるでしょう。
成功体験を積み自己効力感を高める
自己効力感とは、課題や困難に対して「自分ならできる」という自信の高さを示します。
自己効力感を高めれば、困難な目標や仕事に対して、萎縮することなくチャレンジが可能です。壁にぶつかったときにも「自分ならきっと壁を乗り越えられる」と考えて、方法を探す思考へとすぐに切り替えることができます。
自己効力感を高める方法として効果的なのが「成功体験を積む」ことです。成功体験を積むというと、何か逆境を乗り越えたり、大きな成果を生み出したりする必要があると捉えられがちです。
しかし、実は「振り返り方」を工夫することでも、成功体験を積んで自己肯定感を高めることができます。例えば、日々のなかで「今日できたこと」を振り返ってみましょう。
- 些細なことでも良いので、数値を動かしたり、成果を出したりすることができたことは?
- 自分の感情が上がって嬉しくなったり、達成感を得たりしたことは?
- 誰かに喜んでもらえたり、感謝されたり、笑顔をもらったことは?
上記3つの視点で振り返ると、必ず「今日できたこと」があるはずです。ぜひ日記などに書き出してみましょう。繰り返すことで成功体験が積み重なり、自分に対して自信を持てるようになります。
また、「自分との約束を守る」ことも自己効力感の向上に有効ですので、毎日やる習慣を決めましょう。続けることで、自己効力感が高まっていきます。
ポイントは「毎日実行できるものにする」「ハードルを下げる」ことです。例えば、「1日30分本を読む」という目標を継続することは困難です。「ビジネス書を毎日1回は開く」といったハードルの低い目標にすることが習慣化を成功させるコツです。
自分の強みを活かす
自分の「強み」を理解することも、自己効力感やストレスに対する緩衝力を高めて、レジリエンスが鍛えることにつながります。自分の強みを活かすと幸福度が高まり、自己肯定感の向上も期待できます。
自分の強みを理解するには、アメリカのコンサルティング企業であるGallup社が提供している「クリフトンストレングス34」がおすすめです。クリフトンストレングス34は、強みの心理学の父として知られるドン・クリフトンが開発した“クリフトンストレングス”をもとにした才能テストです。
177問の質問に答えることで、34種類のクリフトンストレングスの資質から自身の才能を明確にし、自分の強みとなりうる資質と活用方法を知ることができます。
