営業研修をおもしろくするポイントを理解して効果的に営業力を高める方法

営業研修をおもしろくするポイントを理解して効果的に営業力を高める方法

社員の営業スキルは、企業の業績に直結する重要な要素であり、営業研修は営業スキルを習得、向上させたりするために不可欠なものです。

 

「営業力」を個人の資質としてとらえている企業も少なくありません。確かに「トップセールス」等は個人の資質に依存するところも強いでしょう。

 

しかし、成長している企業の多くは、インサイドセールスや営業ツールの整備、営業プロセスの標準化、そして、研修等によって、企業全体の営業力を高めることに取り組んでいます。この分野はセールスイネーブルメント(Sales Enablement)とも呼ばれ、最近注目が集まっています。

 

記事では、営業力強化の中でも、「研修」にフォーカスし、営業社員のモチベーションを引き出し、営業スキル向上の効果をもたらすおもしろい営業研修の内容や作り方を解説します。

 

<目次>

営業研修の目的とゴール

営業の仕事は、活動結果が個人ごとの数字として表れやすい仕事です。部門としての評価も数字です。従って、経営陣は、数字が上手くいっていないときほど「営業の強化をしないといけない」という衝動にかられ、営業研修が実施されることもあります。

 

営業研修を行き当たりばったりの施策にしないためには、目的とゴール(達成したいこと)を理解し、設定することが重要です。この章では、営業研修を実施する目的とゴールの考え方を解説します。

 

 

営業研修の目的

営業研修をおこなう最大の目的は、当たり前ですが、企業の売上をアップして業績を向上させることです。よく知られた公式ですが、「売上=顧客数×購買単価×購買頻度」で表されます。また、もう少し単純に「売上=売上件数×売上単価」と表すこともできます。

 

営業研修が目指すところは、これらの数字を動かすことです。顧客数や売上件数は、「商談数×受注率」といった形で表すこともできるでしょう。つまり、営業研修とは、商談数を増やす、受注率を高める、購買単価を上げる、といった目的でおこなわれるわけです。

 

営業研修の中には、営業のフレームワーク学習、営業計画の立て方、商談スキルやテクニック、商品知識や事例共有、ロールプレイング等、さまざまな内容がありますが、「自社の営業力を高めるために、数式の数字のどこを動かしたいのか」をまずは抑えることが重要です。目的がずれてしまうと、どんなに「良い研修」をやっても成果に結びつきません。

 

 

営業研修で達成したいこと

「売上を上げる」という目的は同じでも、そのためのアプローチ方法は一つではありません。従って、研修を受講することでどのようなスキルを身につけてどう活かすのか、というゴールを研修ごとに設定する必要があります。

 

先ほども少し紹介しましたが、アプローチとしては、

 

  • 営業の基本的なフレームワークを理解して実践できるようになる
  • 自社の製品・サービスを学び、特徴や事例をわかりやすく伝えられるようになる
  • 顧客との信頼関係を構築する方法を学ぶ
  • 顧客のニーズをヒアリングし、それを基に提案するスキルを身につける
  • 営業スタッフとしてのモチベーションを向上させる
  • 目標達成するための営業計画の作り方や商談数の増やし方を学ぶ
  • 知識の共有を通じて、組織としての営業力を強化する

 

等があります。組織や組織内の営業スタッフには、それぞれ課題があるでしょう。自社のチームを強くするため、どんな課題を解決すべきなのかを分析して研修のゴールを設定しましょう。

 

ただし、目的を明確化してゴールを設定しても、必ずしも参加者が意欲的に研修に参加してくれるとは限りません。参加者が興味を持ち、高いモチベーションで臨めるような「おもしろい」内容の研修を組み立てることにより、効果的な研修が実施できるようになります。

 

効果的な営業研修を設計するためには

効果的な営業研修を実施するためには、どのようにすれば良いでしょうか。まずは、営業強化を考えるときに押さえておきたい基本的なポイントを解説します。

 

 

営業強化するうえでの「Off-JT」の重要性

「営業力は現場での生きたノウハウであり、実践を通じて身につけるものである」と考えている経営者や部門長の方も数多くいらっしゃると思います。これは、その通りです。実際に、部門配属後の営業育成は、「営業同行」というOJTを通じておこなっているという企業は非常に多いかと思います。

 

OJTは、成果を上げている先輩スタッフから個別指導の形で知識やノウハウを継承できることや実際の商談の現場で生のスキルを学べるという大きなメリットがあります。一方で、実践的だからこそ知識が断片になりがちだったり、テクニックとして伝えられてしまったりすることが多いという側面があります。

 

また、営業はコミュニケーションの仕事ですので、強みや特性による「個人ごとの色」が出てきがちです。色が出ること自体はまったく問題ありません。しかし、OJT指導者の強みや特性が、必ずしも学ぶ側の強みや特性と一致しているとは限りませんし、自分と相手の強みや特性の違いを踏まえて指導することは、かなりの難易度が求められます。従って、これらのOJTの弱点といえる部分を、Off-JTでカバーすることが、効率的に営業力を高めるうえでは不可欠なのです。

 

また、営業組織に、共通言語となっている商談プロセスやフレームワークはあるでしょうか。OJTで指導するうえでも、共通言語の存在が効果性を左右します。共通言語を確立し、新人に周知することもOff-JTの役割です。

 

 

体系的・普遍的な営業スキルを身につけるには?

体系的、普遍的な知識やノウハウを身につけるための営業研修こそがOff-JTのポイントですが、意外とこのような研修を実施して、共通言語を確立している会社は数少ないと感じます。例えば、以下のようなものです。

 

  • 自社のセールスステップ
  • 相手のコミュニケーションスタイルに応じたコミュニケーションの取り方
  • 商談における4つの不(不信・不要・不適・不急)の解除方法
  • 受注の成否を決めるBANT判定とテストクロージング
  • 営業計画の作り方、顧客分類のやり方

 

これらの知識やノウハウは、自社独自の商品・サービス研修とは異なり、どこの企業でもそのまま用いることができる知識です。研修会社が提供する営業研修プログラムも多数あるため、自社で営業のフレームワークに関するノウハウが不足している場合は、外部研修を利用するのも選択肢の一つです。

 

なお、重要なことは「共通言語化」です。研修を受けて実践することはもちろんですが、その中で、自社の営業における共通言語、マニュアルを作っていきましょう。

 

 

自社の製品・サービスに合わせた営業スキルを身につけるには?

上記のようなフレームワークを知ったうえで、自社の製品やサービスに合わせた営業スキルを身につけるには、社内での事例共有やロールプレイングの活用が効果的です。

 

自社製品・サービスの導入事例共有や商談のロールプレイングを習慣化しましょう。営業が強い組織では、「事例共有」と「ロールプレイング」、この2つが仕組み化されて、組織に根付いている会社が多いです。

 

効果の出る営業研修の作り方

営業研修を受講する社員達

続いて、売上向上に繋がる営業研修のプログラム作成方法を解説します。

 

 

自社の営業業務を「明確」にして研修を設計する

まず、「自社の営業で成果を上げるためには何を身につける必要があるか」、そして、「今後、自社の業績を上げるために、何を身につける必要があるか」、この2点を明確にしましょう。

 

「営業」といっても、法人向け/個人向け、法人向けの場合には窓口が誰か、商品の有形/無形、単価、新規性の有無、新規顧客中心/既存顧客中心、これらによって必要な営業スキルは変わってきます。これを踏まえて、自社の営業で必要な力というものを言語化していきましょう。

 

また、今後自社の業績を上げるために何を身につける必要があるでしょうか。課題が、営業計画の作り方にあるのか、顧客構造なのか、情報管理なのか、商談マネジメントなのか、商談力なのか、真剣に検討する必要があります。

 

中小企業においては、たまたま営業同行したときに見えた課題、クレームが生じた事案、営業会議でのやり取り等が経営者の耳に入り、営業研修がおこなわれることも少なくありません。

 

もちろん、それが実際に大きな課題であれば、問題ありませんが、本来は「今後、自社を成長させていくために必要な営業課題が何か」の見極めが必要です。場合によっては、営業研修が解決策ではなく、データベースの整備やマーケティングの仕組み、営業ツールの刷新等が解決策である場合もあるでしょう。

 

 

営業の基礎を重視する

営業スキルの中には、テクニックの土台となる「基礎」の部分と、商談等の現場で利用される「テクニック」の部分とがあります。

 

記事内でも紹介しましたが、下記のような営業のフレームワークや営業の共通言語になる部分が「基礎」の部分です。

 

  • 自社のセールスステップ
  • 相手のコミュニケーションスタイルに応じたコミュニケーションの取り方
  • 商談における4つの不(不信・不要・不適・不急)の解除方法
  • 受注の成否を決めるBANT判定とテストクロージング
  • 営業計画の作り方、顧客分類のやり方

 

これらの基礎的な内容を身につけないまま、テクニックを教えても、あまり効果的ではありません。基本をしっかりと身につけることで、主体的に工夫したり、臨機応変な対応が可能になったりします。基礎が不安な場合には、ぜひ基礎固めをおこないましょう。

 

 

実際の営業活動へのブリッジングを意識する

営業研修の対象となる営業職のメンバーは、「座って座学を受けることが得意ではない」ことも多いでしょうし、普段から直接的に業績を追いかけているからこそ「役に立たないことに時間を使うのを嫌う」傾向もあります。

 

従って、研修を計画・実施するうえでは、現場とのブリッジングを重視することが、その他の研修以上に重要です。例えば、フレームワーク等を説明するうえでは、自社の営業活動を事例として取り上げたり、使う単語を実際に自社で使っているものに合わせたりすることも非常に重要です。事例や単語等は、とくに外部講師に依頼するときには注意して、事前に摺合わせしましょう。

 

 

営業の研修をおもしろくして、受講者の前向きさを引き出すポイント

営業の研修がおもしろくて、前向きな受講者

前章最後の内容ともリンクしますが、一般論として、営業職のメンバーは「黙って座学に取り組む」ことが決して得意ではありません。従って、営業研修を設計・実施するうえでは、前述したように現場とのブリッジングが重要になりますし、この章のテーマである「おもしろさ」も重要です。

 

 

「おもしろい研修」が効果的である理由

「おもしろい」といっても、エンターテイメントやバラエティーのような「おもしろさ」が必要なわけではありません。必要なのは参加者が身を乗り出して参加したり、研修が終わったときに『役に立った』『明日からこうしよう』と話していたりするような、“前のめり”感に繋がる「おもしろさ」です。

 

従って、最も重要なことは営業の仕事である「売上目標の達成」に繋がることが実感できる研修である、ということです。つまり、ここで紹介する「おもしろさ」とは「効果=売上が実感できる」という意味に近く、「自分自身の成果に繋がる」という実感が持てることが重要です。

 

営業社員が「効果が出そうだ」と感じられる研修をおこなえれば、自然と受講者のモチベーションも高まり、質の高い研修が実践できるでしょう。

 

 

受講者を前向きにする「おもしろい研修」を作るポイント

それでは、営業職の受講者を前向きに「おもしろい研修」とは具体的にどのような研修でしょうか。ポイントは次の通りです。

 

実施側の入念な事前準備

入念な準備とは、前述したような「営業現場で起きている課題に即した研修プログラムを準備する」「現場で起きていることを事例にしたり、現場の用語を使ったりする」ということです。最も内容が伝わりやすい言葉で研修はおこないましょう。

 

研修が終わったときに自分の営業力が上がった、実践できると思える仕組みを作る

ロールプレイングや実習等を通じて、「研修で得た知識を商談の場で実践するイメージを持たせる」ことが大切です。ロールプレイングをするときにも、各自に、「現実に近い顧客像」「既存取引先である○○社の○○さん」といった設定をさせることが有効です。実習等をする際にも、「来月の目標数字を達成するための営業計画を作る」等、現実に即した内容をおこないましょう。上記の工夫をすることで、研修も自然と参加型になり、受講者の主体を引き出しやすくなります。

 

実践に繋げる

研修全体を「学んで終わり」ではなく、「明日から何をするか」に必ず繋げましょう。「来週の営業活動の中で…」「来週の仕事で…」といった形で、納期を決めた明確な実践行動を設定しましょう。設定しっぱなしではなく、実践状況と効果を報告してもらったり、フォロー研修をおこなったりする等、「成果が出る」ところまでを一連のプログラムとしてフォローできると良いでしょう。

 

営業活動はすぐに成果が見えることも多くあります。成果が上がることで、受講者のモチベーションも上がり、実践が加速・継続します。

 

まとめ

営業研修の目的は、企業としての売上や業績の向上です。そして、その目的を達成するために、営業研修でさまざまなスキルを学びます。

 

営業研修の目的を達成するためのポイントは複数ありますが、中でも営業活動に実践的に役立つ内容を取り入れること、受講者が「自分の成果に繋がる」「明日から使える」と実感できるようなおもしろい研修プログラムを組み立てることが大切です。

 

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役|HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

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