本章では、オンライン研修を成功させるうえで有効な7つのポイントを紹介します。
1.事前アナウンスの徹底と研修前のフォロー
まず大前提として講師・運営側は研修時に機器や通信トラブルが生じないよう、事前に確認することが大切です。講義で使うパソコンや、Web会議ツールの設定、カメラやマイクの動作チェックなどを、入念にチェックしましょう。
対面研修であれば、プロジェクターの故障、テキストの準備などに不備やトラブルが生じても、慣れた講師であればその場で臨機応変に対応可能です。ただ、オンライン研修では、通信やパソコンにトラブルが生じるとどうしようもありませんので、対面研修以上に慎重な準備が必要です。
また受講者のなかには、オンライン研修が初めての人や、ツールに不慣れな人もいます。不慣れな参加者がいると、接続等のトラブルが生じやすくなりますので、接続状況の確認やツールへの事前アクセス(カメラとマイクの準備)等の事前アナウンスは特に丁寧さが必要です。
また、いざ接続できても利用するオンライン研修ツールに不慣れだと、受講者が研修に集中できなかったり、積極的な参加姿勢を作れなかったりします。
利用ツールに不慣れな参加者がいる場合には、研修スタート後の冒頭でアイスブレイクも兼ねて、ツールの基本的な使い方やリアクション、グループワークの機能などを一通り解説して体験してもらうと安心です。
以下では、HRドクターを運営する研修企業ジェイックが、実際にオンライン研修で利用していた研修冒頭の操作案内の資料を公開しています。ご興味あればご覧ください。
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2.サポート担当者を置く
入念に準備をしても、研修本番でトラブルが発生する可能性があります。前章では、講師以外にサポート担当者をつけるという話をしました。
受講者の様子を見るということ以外に、接続等のトラブル対応をするという意味でもサポート担当をおくことは大切です。対面研修では、講師が研修を進行しながら多少のトラブル対応が可能だったりしますが、オンライン研修では講師が何かのトラブルシューティングをしていると研修が止まってしまいます。
サポート担当をおくことで、講師も安心して研修を実施できます。
小規模な内輪の研修であれば講師だけでの進行でも大丈夫ですが、ツールに不慣れな参加者がいる場合は冒頭だけでもサポート担当がいたほうが安全です。また、グループワーク等を実施する場合も、グループ分け等の操作をしてもらううえで、サポート担当者がいると進行がスムーズです。
3.原則として、顔出しでの受講にする
オンライン研修は、音声だけで顔を映さずに参加することも可能です。しかし顔が映らない状況では、どうしての参加者の緊張感は落ちてしまいます。グループワーク演習でも、相手の顔が見えないとやりづらくなってしまいます。
したがって、効果的なオンライン研修を実施するためには、“顔出しでの受講”を原則にしましょう。なお、自宅で受講する場合「部屋の様子が映ってしまうので顔出ししたくない」という人もいるかもしれません。現在、主要なオンライン会議のツールは、バーチャル背景の機能がありますので、受講者に事前に共有しておくとよいでしょう。
4.適度に休憩を入れたタイムスケジュールにする
オンライン研修は対面研修と比べると、集中力が持ちません。
対面研修であれば空間すべてを共有しているわけですが、オンライン研修はあくまで限定されたパソコンの画面と音声だけを共有して、その人自身は別の空間にいるわけです。したがって、そもそも集中しにくいものですし、集中して画面を見続けていると対面で同じ時間を過ごすよりも疲れます。
オンライン研修で最もよく使われるツール、Zoomは無料版だと1回のミーティングが40分で切れてしまう形になっていますが、じつはあれは“40分がオンラインで集中力が持つ上限”だからともいわれています。
対面であれば研修の休憩は60~90分に1回という形ですが、オンラインの場合は40~60分に1回は休憩を入れるという形で設計するとよいでしょう。
なお、受講者の集中力を持続させるためには、講義の進行にも工夫が必要です。次に紹介するような双方向性を取り入れる、また、“5分の講義 → 30秒の個人ワーク → 10分の講義 → チャットで意見投稿 → 3分のグループワーク……”といった形で“場面転換”を多めに入れると集中力の維持に有効です。
5.“双方向性”を取り入れたプログラムを検討する
オンライン研修の「受講者の状況をつかみづらい」「集中力が持ちにくい」という注意点に有効な対応の一つが、“双方向性”をしっかりと盛り込むことです。
オンライン研修で最もよく使われるZoomは、“参加者30人のオンライン研修で、一時的に3人×10グループのバーチャルな小部屋を作り、グループディスカッションする”機能、ブレイクアウトセッションが用意されています。
ブレイクアウトセッションの機能を活用することで、対面研修と同じようにグループワークを容易に入れられます。
他にも、双方向性の取り入れ方としては以下のようなものがあります。うまく取り入れて参加者の集中力を高め、また場を活性化していきましょう。
- チャットで意見を投げてもらう
- オンラインドキュメントに書き込んでもらう
- リアクション機能を使ってもらう
- 身体を使ったジェスチャーで反応してもらう
- 挙手や指名で全体発表してもらう
6.動画や画像など、ビジュアルなコンテンツにする
特に新人や若手社員向けのオンライン研修の場合は、動画や画像などビジュアルな要素を取り入れることも大切です。最近の若手世代は、子供の頃から、YouTubeやInstagram、Twitterなどで、動画や写真、短い文章の情報量に慣れています。
このような傾向を踏まえ、投影資料などもなるべく文字量を減らして、動画や画像などビジュアル要素を充実させた内容にすると、理解・吸収するうえでプラスになります。“文字サイズを大きくする”“文字量を減らす”“写真を入れる”等を考慮して、講義資料を作成するとよいでしょう。
7.反転学習を取り入れる
オンライン研修の効果を高めるには、反転学習を導入することも効果的です。反転学習とは、受講者に事前に予習してもらったうえで、研修に参加してもらう方法です。
反転学習を取り入れることで、研修を“知識を学ぶ”場から、“理解を確認したり深めたりする”場に変えましょう。オンライン研修は長時間実施すると疲労しやすいですので、その意味でも反転学習と組み合わせることで、短時間で中身の濃い内容にすることが大切です。
8.研修後アンケートで受講者の意見を取り入れる
オンライン研修は、対面での研修実施比べて、受講者の反応や理解度が分かりにくい点があります。従って、研修の精度をあげていくためには、アンケートを実施してPDCAを回していくことが大切です。
アンケートは、他の研修とも比較できるように、理解度や満足度等の情報を10段階評価等でスコアリングすることがおすすめです。
なお、研修後アンケートは、満足度を測定するために用いられることが一般的ですが、設問内容によっては研修効果を高める効果も期待できます。
<研修効果を高めるアンケート設問の具体例>
- 「研修を通じてどんな課題を解決したいですか?」(冒頭で記入)
- 「研修でどんな学びや気付きがありましたか?」(研修後に記入)
- 「研修で学んだことを業務にどう活かしますか?」(研修後に記入)
アンケート設計の詳細に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。