内定者には入社前研修がおすすめ|メリットとやるべき内容を紹介

更新:2023/07/28

作成:2022/05/27

高嶋 阿由里

高嶋 阿由里

株式会社ジェイック

内定者には入社前研修がおすすめ。メリットとやるべき内容を紹介

新卒採用における内定辞退の防止、内定者の不安解消や入社後の早期戦力化などを目的に、入社前研修を実施する企業はかなりの比率に上ります。

 

内定者向けに入社前研修を実施するメリットや取り入れたい研修内容を解説します。

<目次>

入社前研修とは?

入社前研修とは?

 

入社前研修はどのような目的で行なわれるでしょうか。まず入社前研修を行なう意味と研修内容を決める際に持つべき視点を確認しておきます。

 

内定者向けに実施する研修

入社前研修とは、内定者を対象に実施する研修のことです。中途入社向けに課題や教材を提供する場合もありますが、一般的には、一括採用して内定から入社までに時間がある新卒採用で実施されます。

 

入社前研修の主な目的は、内定承諾者の辞退防止と入社後の早期戦力化です。入社までに内定者の入社意欲が低下するのを防ぎつつ、入社後すぐに働けるスキルや考え方を身に付けてもらいます。

 

入社前研修の形式は企業によってさまざまです。内定者が一堂に会する集合型研修を行なうケースもあれば、内定者が自宅等からeラーニングを受けられるようにしたりするケースもあります。

 

研修設計で持つべき視点

入社前研修は、内定承諾後の内定者が企業と接する機会になります。内定者の不安を解消して入社への意欲が高まる、意欲に揺らぎが生じないようにすることも大切です。

 

そのためには、内定者の疑問や不安に応えられるような研修内容にすることも意識しましょう。
同期や先輩はどのような人なのか、本当に自分の選択は誤っていなかったのか、入社後にどんな仕事をするのか、自分は活躍できるのかなど、内定者は多くの不安や疑問を抱いています。

 

また、研修を通じて内定者に自信を持たせることも重要です。社会人として働く不安や活躍できるかどうかの不安を抱えている内定者に対して、研修を通じて受け入れ体制を伝えたり、成長できる機会を提供したりすることで、自信や安心につなげましょう。

入社前研修のメリット

入社前研修のメリット

 

入社前研修は大きく2つのメリットがあります。研修の目的と重複する部分が大きいですが、それぞれの内容を確認して、研修を検討する際の参考にしましょう。

 

内定辞退の防止

入社前研修は、基本的に内定承諾者を対象に実施されます。最近では、承諾後の辞退も増えており、内定を承諾しているからといって確実に入社してくれるとは限りません。

 

とくに内定承諾後は、結婚前のマリッジブルーと同じように「本当に自分の選択は誤っていなかったか?」「本当に後戻りが出来ないところへと進んでいいのか?」という迷いが生じます。

 

この迷いが一定を超えたり、迷っているときに“誘惑”が生じたりすると、就職活動を再開して他社に行ってしまったりすることにつながります。

 

入社前研修を実施して接点をつくる。また、研修で不安を解消して、自分の選択に自信を持たせることで、承諾後の辞退を防ぐことが出来ますし、内定承諾時のモチベーションを入社まで維持できることができるでしょう。

 

入社後の戦力化スピードUP

入社前研修のもう1つのメリットは、入社人材を早期に戦力化できることです。研修を通じて、社会人として持つべき姿勢や基礎的なスキル、また業務で必要な資格取得の準備等をしてもらうことが可能です。

 

入社人材を入社前にある程度育成しておくことで、入社後の育成負担を減らせます。スキルの習得を重視した入社前研修は、エンジニアやMR、また不動産業界など入社後に知識や資格の習得が必要な業種や職種に向いています。

 

なお、スキル習得等を研修課題にすることで、選考中にはわからなかった内定者の能力を再評価する機会にもなります。また、eラーニング等も課題の進捗確認等が内定者とのコミュニケーションにつなげることができます。

入社前研修に取り入れたい内容

入社前研修に取り入れたい内容

 

入社前研修に組み込まれることが多い内容は、以下に挙げるようなテーマです。自社における内定者研修の目的やゴールに応じて、テーマを組み合わせていきましょう。

 

先輩社員との座談会

企業から提供される情報や同期とのやり取りだけでは、内定者の不安を解消しきれない恐れがあります。
先輩社員との座談会を研修に取り入れ、不安解消の手助けするのは内定者研修(内定者フォロー)の定番コンテンツです。

 

入社前に先輩社員と接点を作ることで、入社後の人間関係の不安をある程度取り除けます。また、選考時に聞けなかった疑問や承諾後に生じている不安の解消にもつながるでしょう。

 

参加する社員に企業の魅力を説明してもらえば、内定者のモチベーションも高められます。先輩社員を選考する際は、内定者が自分自身の将来像をイメージしやすくなるように、入社1~2年目の社員を選ぶとよいでしょう。

 

同期との交流

入社前研修に組み込みたい内容として、同期との交流や関係構築も挙げられます。
“自分以外にどのような人が入社するのか”という不安を解消すること、また、同期同士の連帯感を作ることで辞退防止につなげること、そして、入社後のスムーズな関係構築にもつなげることで、同期との交流機会を設けるメリットです。

 

同期との交流を研修に組み込む場合は、グループワークを実施しましょう。グループワークを通じて、同期との相互理解やチームワークを図っていきましょう。

 

ストレングスファインダーのような強み診断、また一種のゲーム形式で自己紹介していくような内容などがおススメです。また、体験型のグループワークなどを通じて交流を深めても良いでしょう。

 

なお、同期との交流は、辞退防止や不安解消に効果がある一方で、「同期の雰囲気と合わない」「優秀層がいない」といった理由で、辞退につながるケースもあります。

 

入社前のギャップが解消されることは好ましいともいえますが、組み合わせ等によって辞退が生み出されてしまう側面もありますので、グループワークの組み合わせ等には注意が必要です。

 

社会人としての考え方やビジネスマナー、業務スキルの習得

新卒採用の内定者には社会人としての経験がありません。
従って、身だしなみ・あいさつ・敬語・電話応対など、社会人に求められる基本的なビジネスマナー、また、文書作成・パソコン操作・プレゼンテーションなどは、入社後に身に付けてもらう必要がある基礎スキルになるでしょう。

 

こういった内容を内定者研修やeラーニング等で実施すると、入社後の戦力化につながります。また、適切なスキル研修をすることは、受け入れ体制や成長機会があることの証明、また、学ぶことを通じて「入社後にやっていけるか」といった不安の解消につながります。

 

前述の通り、入社後、仕事する上で一定の知識や資格が必要となる場合は、そういった知識の習得を課題とすることもよくあります。

 

内定者インターンシップ(内定者アルバイト)

内定者に企業で実務を経験させるのが内定者インターンシップ(内定者アルバイト)です。
アルバイトとして実際に業務を行なってもらうことで、企業で必要なスキルをより深く理解してもらえますし、社内環境に慣れてもらうことも出来ます。

 

内定者側としては現場社員との交流機会が増えたり、企業への帰属意識が湧きやすくなったりする効果が期待できます。企業側としても、内定者の適性や個性を見極められる機会になるでしょう。

 

とくに採用人数が少ない会社は個別対応をしやすいですし、リモートワークの会社であれば地方の内定者等もケアできますので、内定者インターン(内定者アルバイト)はおすすめです。

入社前研修に関するよくある疑問

入社前研修に関するよくある疑問

 

入社前研修を実施する際に人事として気になるポイントを紹介します。トラブルに発展しないよう、以下のポイントは確認しておきましょう。

 

内定者に義務づけても大丈夫?

まず入社前研修は、基本的に内定者への参加の義務づけはできません。強制参加とする場合は労働時間とみなされますので、賃金を支払う必要があります。

 

また、研修への参加にいったん同意した内定者が、合理的な理由で参加の辞退を申し出てきた場合には、申し出に応じなければなりません。

 

また、入社前研修での内定者の作業が「労務の提供」に該当する場合にも、賃金の支払いが必要です。任意参加であるからといって、無償で労働力として使うようなことはできませんので注意しましょう。

 

労災保険加入や契約書締結は必要?

賃金が発生する入社前研修を行なうにあたって、労災保険への加入は基本的に不要です。
内定者研修中に事故が発生した場合、通常は企業が加入している労災保険が適用されます。

 

本当に労災適用がなされるのか不安な場合は、保険の内容を確認しましょう。アルバイトでも対象になると明記されていれば対応してもらえます。

 

また、研修を行なう際の契約書締結も不要です。ただし、研修中に賃金でもめてトラブルになるのを防ぎたいなら、時給や拘束時間を記載した書類に確認印をもらっておくとよいでしょう。

まとめ

入社前研修は、おもに新卒採用の内定者向けに行なわれる研修です。内定辞退の防止や入社人材の早期戦力化に対して、一定の効果を期待できます。

 

目的に応じて、先輩・同期との交流を取り入れたり、グループワークを組み込んだり、ビジネスマナー・スキルの習得を目指したりといった内容を設計しましょう。

著者情報

高嶋 阿由里

株式会社ジェイック

高嶋 阿由里

明治学院大学卒業後、精密機器メーカーに勤務。新規事業をPJとして立ち上げから収益化までを行い、事業部にまで発展させる。その後、住生活関連のベンチャー企業に入社し、人事として社長直下で働いた後、ジェイックに入社。ジェイックでは、講師として受講者に寄り添い、現場でチームメンバーと協働して動ける「自立型人材」を育てる研修に特徴がある。

保有資格

「7つの習慣®」担当インストラクター、アンガーマネジメントファシリテーター、EQPI®トレーナー等

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