どうすれば新人は指導する側の期待に応え、成長してくれるでしょうか。新人教育で外してはならない大切なポイントと3つのアドバイスを紹介します。
新人育成で外してはならないポイント
新人教育で大事なポイントをまず1つお伝えすると、「上司や先輩の価値観ではなく、新人の価値観に寄り添う」ということです。
「まだ社会人としては未熟で、時にはビジネスパーソンとしてのマインドセットも出来ていない新人に迎合するのはおかしい」と思われる方もいるかもしれません。しかし、「新人の価値観に寄り添う」とは新人に迎合するわけではありません。新人を最短で成果を上げるビジネスパーソンに育てるためには、新人の価値観を踏まえた教育をする必要がある、というだけです。
基準を妥協する必要はありません。しかし、新人の価値観で受け取りやすいボールを投げなければ、教育効果は上がりません。教える側の価値観を一方的に押し付けるのではなく、新人の価値観を知ったうえで、指摘するべきことは冷静に指摘していきましょう。
新人に指示する/フィードバックする時のアドバイス
毎年1,000人近い新入社員の教育に携わっていると、今どきの新人たちの傾向や変化を感じられます。傾向や変化の中でも、指導する側が知っておいたほうがいいことは「褒められて伸びる」という傾向です。
記事の冒頭で紹介した通り、今どきの若者は人からの目を気にしますし、失敗することを恐れます。
従って、「失敗したな!」というフィードバックは新人にとっては一番嫌なフィードバックです。従って、「失敗したな!これを直さないと次も失敗するぞ!」という方向でアプローチすると、新人は心を閉ざしやすいです。感情的な“怒り”が加わるとなおさらです。
「褒めて伸ばす」と言っても、新人を大げさに褒めたり甘やかしたりするわけではありません。「褒めてやる」でありがちな指導の失敗という章で解説した通り、「これは合格点だ」「これは良くなった」「これは努力している」といった点を事実に基づいて具体的に褒めることが大切です。
そのうえでは、改善して欲しい点や指摘したいことは、一番改善したい一つに絞り込んでフィードバックしましょう。教える側としては、あれもこれも一気に修正したくなりますが、一気に細かくアドバイスしても、新人は消化しきれません。一つずつ修正するのが結局近道なのです。
また、指摘する時には「会社の常識だから」「こういうものだから」と一方的に押し付けるのではなく、「なぜこうするのか」「身に付けることであなたにどんなメリットがあるのか」「出来ないとあなたがどう困るのか」といった内容をしっかり伝えましょう。論理的に、かつ、自分事にさせることが大切です。
壁にぶつかっている新人と接する時のアドバイス
今どきの新人が持つ特徴として「自分で考えるよりも答えを探すことに慣れている」と紹介しました。新人たちは検索して答えを探すことには慣れていますが、新人たちがぶつかる壁の多くは感情的なものや答えがないものであるケースが多いでしょう。従って、探しても答えがない壁に対して、新人たちは昔以上に深く悩みます。
指導する側が30代や40代であるならば、指導者側が思っている以上に、新人は些細なことを「壁」と感じています。従って、指導するうえでは、新人たちを「自分で考えて決める」ことに導きつつも、一人で悩み続けたり、プレッシャーを感じ過ぎたりしないように配慮することが大切です。
新人が思考の沼にはまってしまわないように、例えば、「まずは自分で調べてみる/考えてみる」としつつも、「5分探して分からなかった時点で一度上司や先輩に質問する」といったルールを決めておくこともおすすめです。
また、壁を感じている新人から相談があった際、上司や先輩は壁の乗り越え方を教える以上に、「壁にぶつかるのは当たり前である」「壁にぶつかるのは、自分が前に進んでいるから」と言ったことを伝えることも大切です。
なお、新人たちは“壁を乗り越えた”経験を通じて、自分で考えたり挑戦していったりする習慣を身に付けていきます。従って、教える側としても「壁を乗り越える体験をさせる」ことは新人教育における重要なテーマです。実際には、都合よく乗り越えられる試練が訪れるわけではないので、新人たちに一皮むけさせる経験を演出することも求められます。
新人を叱る時のアドバイス
新人たちの特徴を踏まえると、「叱る」時のアプローチは注意が必要です。大手企業も簡単に倒産したり買収されたりすることを目の当たりにして育ってきた新人たちは高い成長意欲を持っていますが、「失敗を極端に恐れる」傾向も強いです。
従って、闇雲に叱ると、叱られたことを重く受け止めてしまい、新人たちが叱る前にも増して「いかに失敗しないように行動するか」を考えるようになってしまいます。もちろん仕事のミスは、事故や取引先への迷惑、また損失に繋がりますので、きちんと叱ることは当然です。
新人を指導する際は、「取り返しのつかないミスをしないように指導する」「成長させるために叱る」と同時に「失敗を恐れず挑戦することを教える」「積極的にチャレンジさせる」ことが重要で、両者をうまく舵取りをすることが求められます。
指導したり、叱ったりする時に大切なことは、「何をどう叱るか?」です。最悪な指導は「失敗した結果を相手の人格や考え方と紐づけて感情的に怒る」ことです。間違いなく新人は委縮するか、心のシャッターを閉ざしてしまいます。
叱る時は、「何のために叱るか?」「何を改善して欲しいか?」を冷静に指摘すると共に、「失敗したこと自体は問題ない」「成長や成功のためのプロセスである」ことを伝えましょう。
周りの目を気にする新人たちは「失敗は良くない」「格好悪い」と、指導する側が思っている以上に失敗に対する強い負のイメージあります。
「失敗すること」「叱られること」に対して強い負のイメージがあるという前提に立って、成長させるために必要な指導をしましょう。新人たちが不安に感じるのは、「ミスを厳しく叱られること」以上に「自分を否定・拒絶されること」です。指導する側は「相手を受け入れながら叱る」ことが大切です。