新人のプレゼン力を高める教育のコツは?プレゼンスキルを身に付ける教育機会の作り方

更新:2023/07/28

作成:2022/01/18

東宮 美樹

東宮 美樹

株式会社ジェイック 執行役員

新人のプレゼン力を高める教育のコツは?プレゼンスキルを身に付ける教育機会の作り方

新人に身に付けて欲しいスキルの1つとして「プレゼンスキル」を挙げる組織は多くなっています。ビジネスシーンのさまざまな場面で応用できるプレゼン力は特に身に付けたいスキルだと言えますし、営業や販売職などの業種では特に新人に習得してほしいスキルなのではないでしょうか。

 

記事では、新人にプレゼンスキルを身に付けてもらう教育のコツや、新人教育の中でプレゼン力を伸ばす機会の作り方を紹介します。

<目次>

新人にとってプレゼンスキルはなぜ大切なのか?

まず本章では、新人にプレゼンスキルを学ばせることの大切さを確認しておきましょう。

 

業務成果に直結する

まずプレゼンスキルを身に付けさせたいと期待する組織の多くは、コンサルティング、営業、販売などの職種で新卒を採用しています。上記の仕事に限ったことではありませんが、ビジネスにおけるプレゼンテーションとは、「人々に情報を的確に伝えて、人々の意思決定や行動を促す」ことがゴールです。

 

学生時代のプレゼンと異なり、成果と直結するのがビジネス場面におけるプレゼンスキルです。また、職種に関わらず、マネジメントする立場になれば、プレゼンスキルは必須です。施策や方針を発表して、メンバーのモチベーションを高めたり、施策を実行してもらったりする必要があるからです。

 

そのため、新人がいきなり単独でプレゼンする機会は少ないでしょうが、将来に向けてプレゼンスキルを身に付けて欲しいと組織は考えるわけです。

 

業務スキルの向上に繋がる

プレゼンスキルは業務成果に直結するだけでなく、職種を問わず日々の業務スキル向上にも繋がります。

 

例えば、プレゼンで人前に立つ際は、見た目や立ち居振る舞いに気を配る必要が出てきます。また、プレゼンの内容に説得力を持たせるためには、データの把握や事実調査を迫られることになるでしょう。当然、プレゼンで伝えるメッセージの絞り込みや構成も大事です。プレゼンは一方通行なものではありませんから、聞き手の興味関心を想定して内容を作ったり、プレゼンしながら反応を見たりすることにも意識する必要があるのです。

 

HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、毎年新人向けの研修も数多く実施していますが、研修内でプレゼン演習を行った受講生たちは、「伝えることの難しさと楽しさを感じた」と口を揃えて話します。プレゼンでの立ち居振る舞い、伝えるメッセージの選定と伝えるための準備、聞き手の立場や反応に関心を寄せることなど、プレゼンには日々の業務に役立つスキルがぎっしり詰まっています。

 

入社後の学びや成果、積極的な姿勢を上手にアピールすることができる

新人にとって、プレゼン力が役立つ理由の最後は「入社後の学びや成果、積極的な姿勢を上司や先輩に上手に伝えることができる」ようになることです。

 

上記に意味があるのかと感じる方もいるかもしれませんが、入社したばかりの新人は、右も左も分からない状態です。そんな新人たちにとっての初めの仕事は、職場の先輩たちを知り、業務の基本を覚えることです。配属後の1~2か月間は上司や先輩社員から指示された作業をこなして仕事を覚えながら過ごす、という新人も多いかと思います。

 

そして数か月が経つと、新人たちは徐々に職場に慣れ始め、上司や先輩社員も「新人は、この数か月間でどんなことを感じ、学んだのか?」ということに関心が向いてきます。そうしたタイミングが、新人にとってはチャンスになるのです。

 

上司や先輩に「この新人は、しっかり成長してくれている」「仕事に対して意欲と積極性がある」と感じさせるコミュニケーションを上手にできれば、上司や先輩はその新人に信頼や期待の気持ちを抱くようになります。結果として新人はますます多くのことを教わるようになり、より速く成長していくことができるでしょう。

 

社内向けのプレゼンは、コンペや商談におけるプレゼンとは異なりますが、配属後に新人の成長スピードを速めるうえで大切なコミュニケーション機会となります。その機会を生かせるようにするにもプレゼン力は大切です。

新人にプレゼンスキルを身に付けてもらう教育のコツ

本章では新人にプレゼンスキルを身に付けてもらう教育のコツについてお伝えしていきます。いずれも基本的な内容ですが、新人だからこそ、細かなテクニックよりも「良いプレゼンの基本」を理解してもらうことが大切です。プレゼンで重要な「話し方」「構成」「資料作成」のそれぞれに分けて解説します。

 

「話し方」を身に付けてもらうコツ

新人に限らず、大勢の前で話すことに苦手意識を持っている人は少なくありません。確かにプレゼンが上手な人は、流暢なうえにリズミカルな話し方であることが多いものです。しかし、プレゼンに臨むうえでまず押さえておくべきなのは、「上手に」「流暢に」話すことではなく、聞き手に「”伝わる”ように」話すことです。

 

どのような話し方であれば、相手に伝わるプレゼンになるでしょうか。教育のポイントは単純で、

  • 大きな声でゆっくりとしゃべる
  • 聞き手に分かるようにジェスチャーを取り入れる
  • メリハリ、間を入れながら話す

といった、いくつかのコツを押さえて話すことでグッと伝わるプレゼンになります。話し方に関しては、文章で説明するよりも、話しているところをスマートフォン等の動画で撮り、自分が話している姿を客観的に確認するやり方が手軽で実践的です。

 

あまり多くのことを一気に修正しようとすると、新人はテンパってしまいます。修正ポイントは1回に1つか2つに絞る、話し方を教育するときには内容には触れないといったことを注意して指導していきましょう。

 

「構成」を身に付けてもらうコツ

相手に伝わるプレゼンをするためには、内容やプレゼンの構成も大切です。伝わらないプレゼンというのは、最後まで結論が見えなかったり、話が進んだり戻ったりしながらダラダラと話し続けてしまうようなプレゼンです。

 

簡潔でスムーズに結論が分かるプレゼンの基本構成を押さえましょう。

 

まずは「序論」→「本論」→「結論」の3弾構成は鉄板中の鉄板です。

 

①序論
プレゼンの導入部分であり、プレゼンのテーマやプレゼンする理由を簡潔に伝えます。

 

②「本論」
プレゼンで最も伝えたいこと(要点)を話す部分です。プレゼンの核となる主張や根拠、提案したいアイデアや商品・サービスのメリットなどを具体的に示しましょう。

 

③「結論」
プレゼンの締めくくりです。序論で伝えたテーマと本論のポイントを、もう一度簡潔に繰り返して締めるとよいでしょう。

 

また、ビジネス場面のプレゼン構成でもう一つ押さえておくと良いのが「PREP(プレップ)法」です。PREP法とは、結論(Point)、理由(Reason)、具体例(Example)、結論(Point)の頭文字をとったもので、相手に伝えたい情報に説得力を持たせて伝えるための手法・フレームワークです。

 

PREP法は、

 

①話の要点・結論(結論Point)
②結論に至った理由(理由Reason)
③具体例や事例を挙げて理由に根拠を持たせ(具体例Example)
④結論を再確認して締める(結論Point)

 

というシンプルな構成でとても実践しやすい方法です。

 

HRドクターを運営する研修会社ジェイックでも、若手向けのプレゼン研修プログラムで基本とする構成で、受講者満足度も高い内容です。

 

「資料作成」を身に付けてもらうコツ

現代のプレゼンテーションにおいては、投影資料の作成も大切な要素の一つです。プレゼン用の投影資料をパワーポイント等で作成するときの基本は「ワンスライド・ワンメッセージ」、すなわち、1枚のスライドに載せるメッセージを1つに絞ることです。

 

1つのスライドに情報を載せすぎると、分かりづらい、聞き手の興味や関心が分散してしまう、話の内容から逸れてしまうということが起こりがちです。

 

また、プレゼン資料を作る際、見た目の綺麗さにこだわってしまいがちですが、資料はプレゼンの内容をより分かりやすく伝えるための補助ツールです。必要以上に時間をかけすぎないことも大切です。

新人にプレゼンスキルを身に付けてもらう教育機会

プレゼンスキルを高めるためには、「場数」も大切です。教わった知識を使えるようにするためには繰り返し練習することが大切ですし、プレゼンの場数を踏まないと聞き手に意識を払う心の余裕も出てきません。

 

しかし、ビジネス場面でのプレゼンは客先での提案場面などで行われることが多く、新人に任せるのは難しいことも多いでしょう。本章では、新人たちのプレゼン力を高める機会として、日常業務の中で取り組みやすいものを紹介します。

 

朝礼での1分間スピーチ

毎日実施する朝礼は、新人のプレゼン力を高める絶好の機会です。リアルでもオンラインでも、始業時に全員が集まって、連絡事項を共有する、といった形で朝礼を行っている組織は多いかと思います。せっかく複数の人が集まるタイミングですから、交代で新人たちにスピーチをさせる機会を設けることをおススメします。

 

ポイントは、1分間や3分間など、時間を決めて時間内にスピーチをしてもらうことです。ビジネス場面のプレゼンは、短時間で要点を押さえることが重要になります。プレゼンテーマは、「前日の学び」でも「日経新聞等から気になったニュースを一つ紹介する」でも何でもOKです。

 

きちんと事前準備させる、時間内で実施させる、というポイントを押さえたプレゼン練習を毎日実施することで、3か月も経過すると見違えるほどプレゼン力は向上します。

 

研修最後での成果プレゼンをさせる

新人研修カリキュラムの最後に「成果発表会」を用意して、新人たちにプレゼンをしてもらうこともおススメです。発表内容は「研修で得た学び」「会社で今後どのように成長したいか?」など、各社の研修プログラムや方針に合わせて検討いただくとよいでしょう。

 

その際、経営陣などがプレゼンに出席されると、新人たちは一層の緊張感を持って準備を行うようになり、教育効果は高くなります。また、研修とプレゼンを終えた新人たちに経営陣から声がけすることで、配属前に新人たちの意欲を高めることもできます。

 

節目ごとのプレゼン大会

入社から3か月目、半年後など節目となる時期に、グループごとに発表する機会を設けるのもよいでしょう。よくあるやり方は「テーマや課題を設定して、チーム内で議論して、皆の意見を最終的に模造紙やホワイトボードにまとめて発表する」というやり方です。

 

グループワークの発表は、グループディスカッションとは異なります。あくまでプレゼン実践の機会として、グループメンバー以外の相手に客観的な根拠を持って説明する、納得させることをゴールとします。

 

ロールプレイングの実施

朝礼での1分間スピーチと少し似ていますが、配属先の職種が営業職や販売職など、プレゼンを頻繁にする仕事であればロールプレイングを定期的に実施する、習慣化することも非常に有効です。

 

某大手不動産会社では「ロープレ道場」として、入社2年後まで毎週全国をオンラインで繋いでロールプレイングを実施していますが、非常に効果的だと言います。真剣に実施するロールプレイングは、最高のプレゼン練習となりますので、ぜひロールプレイングを文化として取り入れてみましょう。

 

まとめ

最近では新人にプレゼン力を身に付けさせたい、プレゼンスキルを高めたいという要望をよくいただきます。ビジネス場面におけるプレゼンは、「自分の意図を伝え、相手に行動を起こしてもらう」ことです。「相手に行動を起こしてもらう」というのは、営業でも、企画でも、マネジメントでも、人と協働して行うあらゆる種類の仕事のゴールでもあります。

 

新人たちにプレゼンスキルを身に付けさせることは、業務成果に直結するだけでなく、プレゼンの準備や実施などの各要素が業務スキル向上に繋がる、上司や先輩に対する自己アピール力の強化になるといった効果があります。

 

新人のプレゼン力を高める教育は、話し方、構成、資料という3つの要素に分けて、基本を身に付けさせることが効果的です。また、プレゼンスキルは、知識だけを身に付けるだけで習得できるものではありません。新人教育の中でプレゼンを実施する場を朝礼、研修の成果発表、プレゼン大会、ロールプレイングなどで設けて、場数を踏ませましょう。

 

新人のうちからプレゼンスキルを意識して磨くことができれば、この先の成長にも大きく貢献しますので、ぜひ記事も参考に新人のプレゼンスキルをトレーニングしてください。

著者情報

東宮 美樹

株式会社ジェイック 執行役員

東宮 美樹

筑波大学第一学群社会学類を卒業後、ハウス食品株式会社に入社。営業職として勤務した後、HR企業に転職。約3,000人の求職者のカウンセリングを体験。2006年にジェイック入社「研修講師」としてのキャリアをスタート。コーチング研修や「7つの習慣®」研修をはじめ、新人・若手研修から管理職のトレーニングまで幅広い研修に登壇。2014年には前例のない「リピート率100%」を達成。2015年に社員教育事業の事業責任者に就任。

著書、登壇セミナー

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