
OJTの効果と課題をふまえたうえで、本章ではOJTを成功させるためのポイントを詳しく解説します。
明確なゴールを設定する
OJTの目的は、新人が実務をできるように育成して、「一人前」へと成長させることにあります。「そのうち慣れるだろう」「とりあえず必要な業務を順次教えていけばいいか」「まずは雑用からやっておいてもらおう」等と行き当たりばったり、なんとなく指導してしまうと新人の成長に時間がかかり、効果的なOJTとはなりません。
「一人前」の状態を具体的に「いつまでに、どのような成果を上げられるようになるか」「そのためにどのようなスキルが必要か」等で明確にして、設定したゴールへ到達するためのフローを策定することが大切です。
ゴールまでの過程を分解してミニゴールを設定する
効果的なOJTを実施するためには、上述のとおり、具体的なゴールを設定し、そこから、いくつかの成長ステップへと分解していくのが効果的です。最終的なゴールとは別に、ステップごとにミニゴールを設定し、各ミニゴールに達成するまでの期間も設定するとよいでしょう。
OJTの具体的なゴールとなる「いつまでにどのような成果を上げられるようになるか」「そのためにどのようなスキルをどのレベルまで身に付ける必要があるか」を、どのような順番でスキルを身に付けていくか?で分解したものがOJTの成長ステップです。
そして、各ステップで「どのようなスキルを身に付けるのか」「ステップを身に付けるプロセスでどのような成果や結果を残すか」といったミニゴールを設定します。最終ゴールと成長ステップ、ステップごとのミニゴールがOJTの全体像となります。
全体計画を「成長目標・計画」という形で整理して学習者とも共有すると、OJTの効果が高まります。
OJT担当者一人に丸投げせず上司や人事からも支援を行なう
OJTは1対1もしくは少人数でやるからこそ、新人の吸収ペースや理解度に応じて柔軟に内容を変更できる利点があります。一方で、OJT現場が分散するため、各OJT指導者の育成スキルや熱意、コミュニケーションの相性等によって育成効果が左右されます。
最悪の場合、育成効果が減るどころか、OJT担当者と学習者の人間関係等によっては、退職リスク等につながるケースも懸念されます。担当者ごとに生じる指導のばらつきを減らし、OJTがブラックボックス化することを防ぐ。同時に、OJT担当者の負荷を減らすうえでも、「指導体制」を整えることが大切です。
OJTをOJT担当者一人に丸投げせず、人事担当者や現場の上長等が連携してサポートすることが望ましいですが、OJTで複数の人がバラバラに指導すると、教わる本人が混乱してしまいます。
したがって、実務に関することは基本的にOJT担当者に任せる一方で、例えば中期的なキャリアや仕事の意味付けは上司から、メンタル的なケアや状況把握は人事担当者が定期面談を実施してサポートする、といった分担が有効です。
OJT担当者のトレーニングを実施する
「プレーヤーとして実務ができるのだから、後輩に教えることもできるだろう」と、OJT担当者へいきなり指導を任せないことも重要です。OJTの質を底上げするためには、担当者の指導スキルを育成することも大切です。OJT計画の作成や教え方のスキル、動機付けに関する理解等のトレーニングが効果的です。
また、必ずしも担当者と学習者が同じようなタイプとは限りません。性格特性やコミュニケーションタイプに応じて指導方法を変えるスキルを教えることも有効です。コミュニケーションタイプに関する基礎的な理解があると、人間関係でのつまずきも生じにくくなります。
フィードバックを重視する
ゴールの設定や指導者のサポート体制、指導に関するトレーニングに加え、日々のOJT結果をフィードバックすることは何よりも重要です。フィードバックは、OJT担当者と学習者、また、OJT担当者と上司・人事、2つの関係性で行なわれることが望ましいでしょう。
「何ができたか」「何ができなかったか」「次の成長目標は何か」「どこがうまくいっているか」「どこに懸念があるか」等の情報を随時共有することで、学習者とOJT担当者双方の成長が促されます。