ラインマネージャーは行動計画の立案や進捗管理、メンバーの育成や評価、意思決定など、多くの業務に携わるため、広範な能力・スキルが求められます。
人格・人間性
経営陣をはじめとした上層部や社外のパートナー、現場のメンバーなど多様な人たちと信頼関係をつくるための「人格・人間性」はラインマネージャーにとって不可欠です。
プレゼンスキルやコーチング、ファシリテーションなど、さまざまなコミュニケーションスキルを身につけていても、根本的な信頼関係を築けなければスキルの効果は半減し、小手先のものとして終わってしまい、組織の成果をあげることはできません。
コミュニケーション力
ラインマネージャーは人を動かして組織の成果をあげる役割であり、高いコミュニケーション力が必要です。先ほど“スキルだけでは意味がない”と記載しましたが、“信頼関係を基盤にしてスキルを身に付けることで高い成果をあげる”ことが求められれているのです。
周囲と円滑なコミュニケーションをするには、自身の考えを伝える発信力と、反対に、相手の意見をくみ取る受信力、双方が欠かせません。
ロジカルコミュニケーションやプレゼンテーション、また、褒める・叱るなどの発信系コミュニケーション力、同時に、傾聴やファシリテーション、コーチングなどの受信系コミュニケーション能力をバランスよく身に付ける必要があります。
思考力
ラインマネージャーは目標設定から計画立案、まだ問題解決など、ロジカルシンキングの能力を多く求められます。ロジカルシンキングは、客観的に物事を捉えたり、因果関係をつかんだり、ゴールから逆算して計画を作成したりするために不可欠な能力です。
特にセカンドラインマネージャーになると、より広範囲に、長い時間軸で、組織の方針やビジョンを描いていかなければいけません。ロジカルシンキングにくわえて、抽象度の高い情報や複雑な事象を概念化し、本質をつかむコンセプチュアルシンキングも求められるようになってくるでしょう。
多角的な視点
ラインマネージャーは、人を動かして組織の成果をあげることが求められます。異なるバックグラウンド、そして、立場、また違う価値観を持った人が集まれば、意見の相違が生じます。ラインマネージャーはこうした意見の相違を調整する、また、立場や見解の違いを想像しながら意思決定していく必要があります。
単一の視点にこだわるのではなく、社内と社外、管理職と現場のメンバー、経験の有無などさまざまな切り口から考察することで、課題解決や意思決定に向けた有益な情報や気づきを得られるようになるでしょう。
業務遂行能力
ラインマネージャーが、すべての業務に精通している必要はありません。とくにセカンドラインマネージャーになってくると現場の実務に携わることは殆どなく、マネジメントに専門する状態になってくるでしょう。
ただし、ファーストラインマネージャーであれば、自分の担当するライン組織で行われる業務について一定の見識は必要です。実務への理解がなければ説得力に欠けてしまい、メンバーがついてきません。
また、ラインマネージャーが身に付けるべき業務遂行能力は、現場での実務能力もありますが、時間管理、タスク管理などのポータブルスキル、セルフマネジメントやセルフリーダーシップとなる部分も大きいでしょう。
やり抜く力(グリット)
グリット(GRIT)とは、Guts(困難に立ち向かう力)、Resilience(失敗しても諦めずに続ける力)、Initiative(自分で目標を見据える力)、Tenacity(最後までやり遂げる力)の英単語の頭文字を組み合わせた造語で、自発的に目標を設定し、困難に見舞われても諦めずに最後までやり抜く力を意味します。
組織で目標達成に取り組んでいくうえで、計画通りに進むことは殆どありません。どれだけきちんと計画を考えても、外部環境の変化、計画通りにいかないこと、組織内の問題などが発生します。
この時、ラインマネージャーがグリットを備え、問題解決の先頭に立つことで、メンバーの生産性や士気にも良い影響をもたらすでしょう。
決断力
ラインマネージャーが優柔不断では、組織は動かず、メンバーからの信頼も損ねてしまいます。決断は何も良い決断ばかりではありません。ときには、失敗を認める決断や、撤退を決断しなければいけないときもあります。
また、ビジネスにおける決断には正解がないことがほとんどです。どれだけロジカルシンキングなどに基づいてきちんと考察しても、最後はラインマネージャーが「決断する」ことを求められます。ラインマネージャーがきちんと決められる決断力を持っていると、ライン組織がきちんと前に進んでいくことができるでしょう。