採用面接でストレス耐性やうつ傾向を見抜くには?見極め方と注意点を解説

採用面接でストレス耐性やうつ傾向を見抜くには?見極め方と注意点を解説

近年のビジネスシーンでは、処理する情報量の拡大や感情労働の増加などの要因で、働く人にストレスがかかりやすくなっています。

 

こうした時代に、人材マネジメントや組織開発を考える上では、組織内におけるストレスマネジメントやレジリエンス開発も重要です。同時に、採用面接などでストレス耐性やうつ傾向などを見抜くことも大切でしょう。

 

本記事では、面接におけるうつ傾向・ストレス耐性などの確認ニーズが高まる背景を確認したうえで、面接で確認すべきストレス耐性とはどういうものかを解説します。

 

また、面接でのストレス耐性の確認などをする際の注意点や知っておきたいポイント、先天的なストレス耐性の見極めに有効となる適性検査なども紹介します。

<目次>

面接におけるストレス耐性などの確認ニーズ増加の背景

近年では、処理する情報量の拡大や求められるスピード感の上昇、感情労働の増加などの要因で、働く人に精神的なストレスが増加しやすくなっています。実際にメンタルヘルスの発症数は増加傾向にありますし、適性検査のデータなどでも、メンタルヘルス予備群が増加していることがわかっています。

 

メンバーが、メンタルヘルス不調に陥ったり、精神疾患を発症したりすると、企業の対応コストは大きなものとなります。

企業に生じるデメリットやコスト
  • 集中力の欠如でミスが増える
  • 作業のパフォーマンスが低下する
  • 体調不良による休み等の増加により、生産性が低下する
  • 離職や休職をする場合、代わりの人材の採用・教育・引き継ぎなどが必要となる
  • 他従業員のエンゲージメント低下につながる

だからこそ、従業員のメンタルヘルス不調や精神疾患の発症を予防するための、ストレスマネジメントの支援などに取り組む企業も増えていますし、採用時のスクリーニングニーズも増加するようになりました。

精神疾患に関する情報収集における基礎的な注意点

JIS Q 15001(個人情報保護マネジメントシステム)では、精神疾患などの病気や保健医療に関する情報は「機微な個人情報」であるとしています。機微な個人情報とは、人に知られたくないセンシティブな情報のことです。

 

求職者にメンタルヘルス関連の質問すること自体は、法的には問題はありません。しかし、JIS Q 15001で機微な個人情報とされていることからも、求職者にはメンタルヘルスに関する話題の回答義務はないと考えられます。

 

そのため、求職者がメンタルヘルス関連の質問に答えなかったからといって、経歴詐称などにも当たらないことを意味します。

 

また、精神疾患などの履歴等をストレートに質問した場合、求職者の心証を悪化させるリスクがあることも念頭に置いておかなければなりません。法的に問題ないとしても、SNSなどに投稿されれば、炎上する可能性も充分にあるでしょう。

面接で確認すべきストレス耐性とは?

広義のストレス耐性は、先天的な部分(気質や性格特性)と後天的な部分(レジリエンス)に分けられます。求職者のストレス耐性などに関するスクリーニングをする場合、2つを区分してとらえておくことも大切です。

 

一般的に、適性検査は先天的な部分、面接は後天的な部分の見極めに有効です。ただし、ビジネス経験が少ない若年層の場合、面接でストレス耐性を見抜くことが特に難しい側面もあります。

面接でストレス耐性を見極めることの難しさ

ストレス耐性は、以下の理由から、面接だけで見極めることはとても難しいとされています。

 

面接官の主観は当てにならない

ストレス耐性は、「運動部出身だから」「受け答えがハキハキしている」などの主観だけでは見極められません。また、求職者が、面接のロープレなどをやってきた場合、ストレス耐性を高く見せるための回答を準備している可能性もあります。

 

また、過去には一部の企業で実施されていた圧迫面接などは、今の時代には応募者の心証を悪くして選考辞退・内定辞退を招く、また、精神疾患等に関する質問と同様にSNS等への投稿と炎上リスクがあります。

 

こうした理由から、先天的なストレス耐性を面接だけで正確に見極めることは困難となります。

 

面接での見極めは後天的な部分(レジリエンス)

一方で、求職者がストレスを受けたときの思考や対処行動は、面接における質問内容の工夫によって見極めが可能です。ケーススタディーなどを通じて、レジリエンススキルを推しはかることも可能ですし、乗り越えてきたストレス経験などからも、レジリエンス能力は推測できるでしょう。

先天的なストレス耐性の見極めに有効な適性検査

面接の受け答えだけではわからない先天的な部分の見極めには、適性検査を活用することも有効です。また、求職者のうつ傾向やストレス耐性を見抜きたい場合、どのような適性検査を選べば良いでしょうか。

 

適性検査とは?

適性検査は、面接だけでは見抜けない、見抜きにくい求職者の価値観・人柄・地頭などを検査で確認するものです。一般的には以下の2種類があり、殆どの適性検査ベンダーが、性格検査と能力検査の両方を提供しています。先天的なストレス耐性は、性格検査のほうでチェックします。

適性検査の区分
  • 性格検査 ⇒特性検査やパーソナリティ検査と呼ばれることもある
  • 能力検査 ⇒地頭検査と呼ばれることもある

 

ストレス耐性の見極めにおすすめの適性検査

ストレス耐性やメンタルヘルスの発症リスクなどを見抜くことに強い適性検査は様々なものがありますが、HRドクターを運営する株式会社ジェイックが扱う「Hci‐AS」という適性検査もおすすめです。

 

「Hci‐AS」が多くの企業に選ばれる理由は、受験者が自分に有利になる回答操作ができないことにあります。回答操作とは、単純な例として「イヤなことがあったときに引きずる方である ⇒ はい or いいえ」という選択があったとき、「“いいえ”と答えたほうが良い結果になるよな…」と回答者が考えて回答を誤魔化すことです。

 

上記のような設問になっていると、“社会的に望ましい”回答がわかりやすく、回答操作が容易になってしまいます。しかし、Hci‐ASの設問は、上記のような回答操作が非常に難しいように設計されています。

 

検査時間は10分、Web実施なら回答も即時チェック可能です。メンタルヘルス系の項目に関しても、ズバッと率直なコメントが出てくるところが魅力です。

そもそもストレス耐性は高ければ良いのか?

なお、一般的には「ストレス耐性が高いほうが良い」と思われがちですが、求めるべきストレス耐性のレベルは、携わる業務によって異なります。

 

たとえば、先天的なストレス耐性が非常に高い、というのは、言い換えると他人の心の動きや感情への感受性が鈍い傾向でもあります。先天的なストレス耐性が高すぎる人というのは、お客様の気持ちやニーズに寄り添う接客業やホスピタリティ系の業種には不向きな場合もあるといえます。

 

したがって、実際の採用活動では、「高ければ高い方がいい」という思考で考えるのではなく、自社の業務に合ったストレス耐性のレベルを面接や適性検査でチェックすることが大切です。

組織全体でストレスに対処する仕組み整備も重要

前述のとおり、労働者にかかるストレスは増える傾向にあります。したがって、採用のスクリーニングだけで対処することは困難です。

 

企業では、ストレスコーピングの概念を浸透させたり、レジリエンス研修、マインドフルネス研修を実施したりして、従業員のストレスマネジメント能力を開発することも大切です。

 

また、サーベイツールなど社員のストレスを察知できる仕組みの導入や、上司との1on1などを通して、部下のストレスに早く気付いて解消する取り組みなども有効です。

まとめ

近年のビジネスシーンでは、処理する情報量の拡大や感情労働の増加などによって、働く人の精神的ストレスが増加しています。こうしたなかで、組織内におけるストレスマネジメントに力を入れるとともに、採用時にストレス耐性やメンタルヘルス、うつ病傾向を見抜きたいというニーズが増えるようになりました。

 

ただし、面接だけでストレス耐性を見抜くことは難易度が高いため、適性検査の併用がおすすめとなります。また、業種や仕事内容によっては、必ずしもストレス耐性が高ければ良いというわけではない場合もあります。自社の業務に合ったストレス耐性のレベルを、面接・適性検査などでチェックしましょう。

著者情報

知見寺 直樹

株式会社ジェイック 取締役|上海杰意可邁伊茲企業管理咨詢有限公司 副董事長

知見寺 直樹

東北大学を卒業後、大手コンサルティング会社へ入社。その後、株式会社エフアンドエム副本部長、チャレンジャー・グレイ・クリスマス常務取締役等を経て、2009年ジェイック常務取締役に就任。総経理として上海法人(上海杰意可邁伊茲企業管理咨詢有限公司 )の立ち上げ等を経て、現在はHumanResourceおよび事業開発を担当する。

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