研修を実施している企業のなかには、費用をかけて実施している研修が“やりっぱなし”になってしまっているケースも見受けられます。
研修の目的は、受講者の行動変容を実現して、成果変容につなげることです。
初回の研修はあくまでインプットに過ぎず、行動変容につなげていくにはフォローアップ研修が大切です。
記事では、フォローアップ研修の概要と目的、フォローアップ研修に期待できる効果を解説します。
そのうえで、フォローアップ研修のカリキュラム例と、フォローアップ研修が組み込まれたおすすめサービスをご紹介します。
<目次>
フォローアップ研修とは?
フォローアップ研修とは、新人研修や管理職研修などをはじめとして、研修を実施してから一定期間経ったあとで、講師と受講者が再び集まり行なわれる研修の総称です。
「学びや実践をフォローする」という意味で、フォロー研修やフォローアップと呼ばれることもあります。
フォローアップ研修の意味や必要性を考えるうえでは、研修分野で有名なブリンカーホフの「4:2:4の法則」の考え方が参考になります。
ブリンカーホフは、「4:2:4の法則」のなかで、研修を通じた受講者の「行動変容」に対する影響力は、以下のような割合になることを発表しています。
<ブリンカーホフ 4:2:4の法則>
行動変容に影響を与える割合
- 4割:事前学習や参加姿勢
- 2割:研修内容
- 4割:研修後の実践やフォロー
ブリンカーホフの法則は、行動変容を生み出すためには、事前学習や参加姿勢の形成、また、研修後のフォローが、じつはプログラムの内容や品質以上に重要であることを意味しています。
フォローアップ研修は4:2:4の法則でいう研修後の実践・フォローに該当するものであり、研修の効果を引き出し、受講者の行動変容を実現するために欠かせないものです。
なお、フォローアップ研修が実施されている比率が多いのは、新入社員向けの研修です。
新任マネージャーなどの場合も、インプットする分量が多いため、フォローアップ研修が重要になるでしょう。
もちろん、これら以外の研修においても、受講者の行動変容を生み出したいのであれば、研修設計の段階からフォローアップを組み込んでおくことが大切です。
フォローアップ研修を行なう目的
前述の内容と少し重複する点もありますが、研修を終えてしばらく経ってからフォローアップ研修を行なう3つの目的を解説します。
実践の促し
座学研修で知識を教えてもらっただけでは、受講者は自分がその内容を理解できているのかどうかもわからない状態です(新入社員であればなおさらです)。
また、“わかったつもり”になっているだけで、実際には十分に理解できていない可能性もあります。
そして、当たり前の話ですが“知識”や“スキル”が身に付いたところで、実際の仕事で実践されなければ何の意味もありません。
受講者の理解度や実践率を高めるには、フォローアップ研修を設けて、「次の研修までに今日覚えた知識を使って、実際に仕事をやってみてください」と実践を促すことが大切になります。
実務上は、初回研修内で
- 1.研修内容が自分の仕事にどうつながるかを落とし込むブリッジング(関連付け)
- 2.研修内容をどのように実践するかという実践行動(宿題)の設定
を実施することが大切です。
なお、実践の促しはフォローアップ研修として実施しなくても可能ですが、研修という場があり、例えば、そこで実践結果の共有・発表があるとなると、実践率が高くなることも事実です。
コロナ禍を経て、オンライン研修も当たり前になりましたので、対面研修が中心だった時代と比べるとフォローアップ研修はかなり実施しやすくなっています。
実践の振り返りによる新たな学び
習った知識を使って仕事を実践しても、実践後に自分の成果・失敗に対して何も考えない「やりっ放し」では、本当の意味で仕事は身につきませんし、成長もできません。
フォローアップ研修で実践に対する振り返りを行なうことで、以下のような気付きや新たな学びが得られるようになります。
- ・なぜ失敗したんだろう?
- →作業Aで先輩のコツが理解できてなかったからだ!(⇒作業Aの修練が必要!)
- ・今月はなぜ2回もうまくいったんだろう?
- →お客様の話をじっくり聴くようにしたからだ(⇒傾聴は大事!) など
経験から学びを得て成長するステップを説明した以下のモデルを「コルブの経験学習モデル」と呼びます。
<コルブの経験学習モデル 経験から学ぶ4つのステップ>
- 1.経験:実際にやってみる
- 2.省察:やってみたことを振り返り、気付きを整理・考察をする
- 3.概念化:次の仕事に活かせるように、気付きを概念化する
- 4.試行:概念化したことを試してみる
フォローアップ研修を実施することは、経験学習モデルを回すことにつながります。
タイムスペースラーニング
たとえば、新入社員が一人前になるまでに1年間を育成期間として考えると仮定します。
この場合、たとえば、初期研修から3ヵ月おきにフォローアップ研修を組み込むと、ここまで紹介してきた「研修 ⇒ 実践 ⇒ 振り返り ⇒ 新たな学び ⇒ 新たな実践 ⇒ 振り返り ⇒ 新たな学び ……」というサイクルを回すことが可能になります。
実践を挟んで継続学習を回していく学び方はタイムスペースラーニングと呼ばれており、学習効果の高い育成方法として知られています。
フォローアップ研修に期待できる効果
フォローアップ研修を行なう最大のメリットは、実践と振り返りを繰り返すことで、学びの実践、行動変容を促せる点です。
たとえば、メンバーにいつも厳しく叱責してしまい、なかなか信頼関係を構築できない管理職Aさんがいたとします。
組織としては、管理職とメンバーの関係を良くしてもらうために、Aさんにポジティブなフィードバックの基礎知識ややり方を教えるとします。
Aさん本人は、やり方を教わった時点で、ポジティブなフィードバックを「わかったつもり」になるかもしれません。
しかし、Aさんの問題を解消するには、知識を身に付けるだけでは意味がありません。
実際に職場でポジティブなフィードバックを実践して(行動変容)、信頼関係を構築してチームとしての生産性が向上する(成果変容)ことが求める結果です。
だからこそ、研修内で実践課題をきちんと設定して、実践したプロセスをフォローアップ研修で振り返ることが大切です。
研修でやり方を身に付けてもらったあとに、フォローアップ研修を実施することで、Aさんが現場でポジティブなフィードバックを実践することが促されます。
また、フォローアップ研修での振り返りによって、たとえば以下のような気付きや学びを得て、より深い行動変容や実践の定着につながる可能性もあります。
- ・自分には、メンバーの悪いところばかり見る癖がある
- ⇒良いところを見つける習慣を身に付ける必要がある
- ・ポジティブなフィードバックをやりたいが、恥ずかしくてできない
- ⇒なぜ自分は恥ずかしいと思うのか?
- ・部下のBくんにポジティブなフィードバックをしたら、叱責していたころよりミスが減った
- ⇒確かに、叱責よりポジティブなフィードバックが有効だ! など
フォローアップ研修のカリキュラム例
フォローアップ研修の内容は、当然、初回研修の内容によって変わってきます。
ただ、一般的なフォローアップ研修は、以下4つのプログラムで構成されることが多いでしょう。
研修内容の復習
研修内容を端的に復習してもらいます。
実践結果の振り返り
実践した結果を、講師や参加メンバーと共有して振り返ります。成功だけでなく失敗からも学びが得られるでしょう。
実践結果から学ぶ
実践結果から以下のことを考え、概念化をしてもらいます。
- ・うまくいったこと
- ⇒成功したことを再現する、より強化するためにはどうしたら良いか?
- ・うまくいかなかったこと
- ⇒何が要因だったか?心のなかでどのようなプロセスがあったか?もしもう一度やるならどうするか?
次の実践課題の設定
フォローアップ研修で概念化した学びを踏まえて、次の実践課題を設定します。
フォローアップ研修が組み込まれた研修サービス例
HRドクターの運営会社である株式会社ジェイックでは、フォローアップ研修を組み込んだ研修サービスを実施しています。
「7つの習慣®」研修
多くのリーディングカンパニーで導入されている信頼のコンテンツ「7つの習慣®」を使い、メンバーの主体性やリーダーシップを醸成する研修です。
組織に共通言語をもたらし、組織内のコミュニケーションやマネジメントの円滑化にも効果的です。
実践後の成果共有をするフォロー研修も用意されており、組織の変化を実感できるでしょう。
「JAICリーダーカレッジ」
課長や拠点長層を対象とするリーダー研修です。
「JAICリーダーカレッジ」では、最初に360度評価を実施して、自分の現状、強みや課題を認識して、変化を決意させます。
1ヵ月1回の研修で学んだ後、必ず現場で実践してもらい、次の研修で実践結果をクラス内で発表してもらうタイムスペースラーニングの仕組みが組み込まれています。
さらに完全クラス制・固定担任制になっており、1対1で変化をコミットできます。
「仕事の基礎の基礎」
新卒学生の意識を、社会人マインドに切り替えるためのプログラムです。
仕事をするうえで最低限必要な以下のことを学び、ロールプレイングやグループディスカッションを通じて自ら考え、実践によって内容を身に付けさせていきます。
- 挨拶
- 身だしなみ
- 敬語
- 報連相
- ビジネスマナー
- 電話応対
研修の最後には、「明日から何を行なうか?」という行動目標を設定し、3ヵ月後のフォローアップ研修まで、職場での実践をしてもらいます。
新入社員の場合、入社直後に学ぶべきことやぶつかる壁と、入社3ヵ月の部門配属が始まるころにぶつかる壁は異なります。
4月の本研修と7月のフォロー研修に分かれていることが、研修の効果性を高めるポイントです。
まとめ
フォローアップ研修は、研修を終えてから一定期間経ったあとで、学んだことをしっかり実践し、結果変容につなげるために行なわれる研修の総称です。
フォローアップ研修には、以下3つの目的があります。
- 実践の促し
- 実践の振り返りによる新たな学び
- タイムスペースラーニングの実現
フォローアップ研修のプログラムは、一般的に以下の4つからなります。
- 研修内容の復習
- 実践結果の振り返り
- 実践結果から学ぶ
- 次の実践課題の設定
HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、フォローアップが組み込まれた研修サービスを提供しています。
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