内定ブルーとは?原因と対処法、学生の不安を解消するポイントを紹介

更新:2022/12/01

作成:2022/11/22

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

内定ブルーとは?原因と対処法、学生の不安を解消するポイントを紹介

 近年、新卒採用における内定承諾後の内定辞退が問題になっています。内定承諾した学生が、入社式前に内定辞退をしてくる理由のひとつが「内定ブルー」です。

 入社直前での内定辞退が企業にとって大きな痛手になることは言うまでもありません。

 内定承諾を得たからといって安心するのではなく、内定ブルーの解消などにつながるさまざまな内定者フォローを行なうことが大切です。

 本記事では、まず内定ブルーの概要と内定承諾した学生が内定ブルーに陥る原因を解説します。

 そのうえで、内定ブルーの予防・緩和をする3つのポイントと、内定ブルーを防ぐために企業ができる具体的対策を紹介します。

<目次>

内定ブルーとは?

狭い部屋で窓のほうを見る男性の後姿
 内定ブルーとは、内定承諾した学生に生じる、「この企業で、本当に大丈夫なのだろうか?」「自分の能力で、本当に活躍できるのだろうか?」といった不安や迷い、悩みの総称です。

 昨今の就活市場は売り手市場であり、複数の企業から内定を得る学生も珍しくありません。

 「内定を承諾したA社より、辞退したB社のほうが良かったのではないだろうか?」などと、あとから心が揺れてしまう学生もいます。

 内定ブルーは、結婚式や入籍前の女性が不安を抱く「マリッジブルー」とよく似た現象であり、マリッジブルーの就活版ともいえるでしょう。

 受け身の姿勢で大きな選択をしてしまった人が陥りやすいものです。

 内定ブルーをこじらせると内定辞退を招いたり、入社後の意欲低下を引き起こしたりすることもあるため、内定辞退を防止するためにも対策に取り組むことが必要です。

学生が内定ブルーに陥る原因

 株式会社ラーニングエージェンシーが2021年度入社予定の内定者(約1000名)を対象に行なった内定者意識調査によると、77.2%もの人が入社前に「不安・心配」などのネガティブな心情を抱えていることがわかっています。

出典:ラーニングエージェンシー【内定者意識調査】77.2%の内定者が入社に向けて不安を抱えていることが判明 コロナ禍の内定者が最もほしいサポートは「人間関係構築」の機会

 入社前に「うれしさ・楽しみ・期待感」などのポジティブな気持ちを感じる内定者は5割ほどであり、不安を感じる人のほうがかなり多いという結果です。

 「不安・心配」の中身をさらに掘り下げてみると、内定ブルーに陥る原因が見えてきます。

選択肢がなくなることへの不安

 具体的な不安以上に「選択肢を失うことへの不安」が内定ブルーの大きな要因です。

 就職活動中はいくつもの企業で面接を並行して受けていたり、多くのスカウトメッセージが届いたりするなど、選択肢が多数あります。

 そこから内定承諾することで、選択肢をひとつに絞るわけです。

 しかし、どれだけ納得して承諾したとしても、内定承諾して入社日が近づくにつれて、「他の選択肢を失う」不安や恐怖が生じてきます。

 別の業界や企業を選んだ同級生と話をしているうちに不安にかられ、自らの選択に自信がなくなるケースも少なくありません。

人間関係への不安

 選択肢がなくなる不安に加えて、学生には大きく2つの具体的な不安要因があります。ひとつめは入社後の人間関係への不安です。

 先述の株式会社ラーニングエージェンシーの調査結果によると、内定者の49.4%が「職場のメンバーとうまくやっていけるか」という不安を抱えています。

 人間関係への不安には、「チームに馴染めるか」「年上の先輩たちとコミュニケーションを図れるか」といった不安が含まれます。

 同調査では内定者が内定期間中に会社から受けたいサポートについてもアンケートを取っています。

 内定期間中に受けたいサポートで最も多かったのは「先輩社員との人間関係を築く機会がほしい」で59.1%、次に「他の内定者との人間関係を築く機会がほしい」で55.7%でした。

 これも入社後の人間関係への不安を裏返したものといえるでしょう。

能力・スキルの不安

 入社に向けての不安としてもう一つ大きなものが能力・スキルへの不安、仕事への不安です。

 ラーニングエージェンシーの調査では「自分の能力で仕事についていけるか」は入社に向けた不安の筆頭であり、69.2%でした。

 次が「しっかりと成果を出せるか」の60.3%であり、自分の能力やスキルへの不安を感じている内定者が6割以上もいる状態です。

 また、「仕事内容が自分に合うか」も31.1%と不安要素の上位に食い込んでおり、仕事との相性が気になる内定者も少なくないようです。

 新卒の就活は、「社会人として仕事したことがない」人たちが対象です。

 したがって、入社後の仕事や組織について具体的に想像できない点が多く、不安を掻き立てる要因となっています。

 調査結果では能力やスキルへの不安の解消のサポートを望む声として、「マナーや仕事の進め方など、社会人としての基礎を教えてほしい」、次に「業界の専門知識や専門スキルを教えてほしい」というものが挙がっており、双方とも約5割の内定者が求めています。

内定ブルーに対して企業ができる具体的対策

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 内定ブルーによる内定辞退を防ぐには、これから紹介する複数の対策を上手に組み合わせながら、先述の不安や未練の解消につながるフォローやサポートをすることが大切です。

 内定ブルーに対して企業ができる具体的対策を見ていきましょう。

定期接触

 内定ブルーを解消する大前提が、内定者との接触頻度を高く保つことです。

 内定承諾をした途端に企業からの連絡がピタリと止まれば、内定者はどのように感じるでしょうか。

 「自分はただ待っているだけで良いのだろうか?」「この企業を信頼して大丈夫なのだろうか?」などの不安や違和感が生じやすくなるでしょう。

 最初は小さな違和感でも次第に不安は大きくなり、「この企業で本当に良かったのか」という内定ブルーを大きくしてしまいます。

 大前提として内定ブルーの解消には、定期接触を図り続けることが基本です。

  • 1.内定~入社までのスケジュールを伝える
  • 2.内定式の案内を出す
  • 3.内定者研修や懇親会の案内を出す
  • 4.入社までにやる課題や教材を分割して送る
  • 5.社内報を共有する
  • 6.社内イベントの様子、先輩社員の情報を送る
  • 7.翌年度採用の状況などを共有する

 ただし、上記だけでは人事担当者から内定者への一方的な連絡になってしまうため、これから紹介する対策なども取り入れて人事部門と内定者、双方向のコミュニケーションを生じさせることも大切です。

内定者研修

 内定者研修とは、入社式までの間に行なわれる教育・研修の総称です。

 研修の内容は企業によって異なりますが、一般的には以下のゴールを意識したプログラムを設定することで、内定ブルーの解消を図ります。

(内定者研修でのゴールの例)

  • 承諾理由の再認識
  • 不安や疑問点の解消
  • 内定者同士や先輩社員との関係構築
  • 入社後のビジョン形成
  • 学生から社会人へのマインドチェンジ

 コロナ禍の影響で2020年からの数年で、オンライン採用、Web会議が一気に浸透しました。

 内定者研修においても、対面とZOOMやWebExなどを使ったオフライン・オンラインのハイブリッド型研修の導入が進んでいます。

 オンライン研修は、「入社前で遠方に住んでいる内定者も参加しやすい」「会場費が発生しない」「チャットなど気軽に質問できるツールとの連携で双方向型にしやすい」などのメリットがあります。

 たとえば、志望動機の再確認や人間関係の構築など、感情・体験の共有が重要な研修は対面で、不安や疑問点の解消やマナー研修など情報のやり取り、先輩社員との座談会はオンラインでといった形で目的に応じてうまく使い分けることがお勧めです。


内定者コミュニティ(内定者SNS)

 多くの内定者が、「自分の同期となる仲間と早く会いたい、交流したい」という気持ちを持っています。

 入社までにSNSなどを通して内定者同士の人間関係を構築しておくと、「仲が良い人ができるだろうか?」などの人間関係の不安も払拭され、内定ブルーの緩和・解消がしやすくなります。

 また、同じ研修や教材に取り組む仲間と交流して悩みを共有し合うことで、「これを難しいと感じているのは、自分だけじゃないんだ!」とわかり、不安解消や自信にもつながるでしょう。

 ただし、SNSには、「相手の言っていることを誤解しやすい」「対面よりも厳しい言葉になりやすい」といったデメリットも存在します。

 意見の相違から内定者同士のトラブルが起こる可能性も考えられます。

 また、人事部門や企業への不満が共有されるなどネガティブな雰囲気になり、内定ブルーの悪化や内定辞退者の増加を引き起こす恐れもあります。

 一般のLINEグループなどを使うのもひとつですが、内定者人数が多い場合などは、内定者専用のSNSサービスなどを導入することもひとつです。

 いずれにしろ、人事側で投稿に関するルールを決めたり、日々内容を確認・ケアしたりするなどの仕組みづくりも意識しておきたいところです。

懇親会、座談会

 懇親会や座談会は、経営陣や先輩社員と交流するイベントです。企業規模が大きく、内定者の人数も多い場合には、複数のエリアで開催するケースもあります。

 先輩社員に仕事内容や職場の雰囲気などの質問をすることで、不安や疑問を解消できます。内定者の配属先に近い部署の先輩や同性の社員を選ぶとよいでしょう。

 また、活躍している社員を選ぶのもポイントです。前向きな話を多くしてくれるほか、内定者にとっての憧れの存在になります。

 たとえば、営業成績トップのメンバーの話を聞くことで、「自分もAさんみたいな営業になりたい!」「自分も早くBさんたちと働きたい!」などと入社動機をさらに高められるでしょう。

 女性の内定者には女性管理職などの体験談も有効です。

 不安を払拭でき、さらに「Cさんみたいなママ管理職になって、ワーク・ライフ・バランスを充実させたい」というように自分の将来の働き方のイメージの具体化にも役立ちます。

内定者プロジェクト

 内定者プロジェクトとは、内定者自身に動いてもらう活動の総称です。

 企業の一員として来年度の採用活動に参加してもらう、内定者の立場でSNS発信をしてもらうなどがその一例です。

 内定者プロジェクトを通じて企業側の一員として活動してもらうことで、「この企業で大丈夫か?」といった不安やほかの選択肢への未練が生じにくくなります。

 ただし、内定者に本格的な活動をしてもらう場合、以下の3点は注意が必要です

  • 1.どこから労務管理が必要な範囲になるのか?
  • 2.SNSでの発信内容などのルールやコンプライアンスをどうするか?
  • 3.大学の授業や研究などに支障が生じないかどうか?

 まず、どこまでを内定者の自主的な活動として、どこからを有償とするのかは明確にしておく必要があります。

 またSNS等で発信する際にはプライベートの投稿でないというスタンスをはっきりさせたうえで、企業のイメージダウンになる投稿は慎んでもらわなければなりません。

 また、内定者に負担をかけ過ぎない点にも配慮が必要です。一部の内定者にだけ負担が集中するという不公平感も生まないようにしましょう。

3つのキーファクター

 内定ブルーを解消する施策は、企業・業種の特徴に加えて、本人の内面や事情、内定者の人数などによっても変わってきます。しかし、キーファクターは同じです。

 内定ブルーを解消するためのフォローや施策を行なう場合、以下3つのキーファクターを意識しながら計画を進めていくとよいでしょう。

  • 1.接触頻度
  • 2.不安の解消
  • 3.入社後イメージの具体化

 まず、接触頻度を高く保つことで、内定承諾時の熱を維持しやすくなりますし、不安や疑問が生じたときに内定者からの質問もしやすくなります。

 また、企業側からも不安が生じている内定者などを察知しやすくなるでしょう。

 そのうえで、内定者の人間関係や仕事、選択への迷いなどへの不安に寄り添って、不安を解消できるようなコンテンツ、きっかけを提供しましょう。

 最後に、キャリアモデルとなる先輩社員との交流機会、内定者プロジェクトでの活動、入社後のキャリアプラン形成、内定者研修などを通じて、“入社後”へのイメージを強くしていきます。

 内定者プロジェクトの説明で紹介したとおり、内定者の意識を“入社する・しない”ではなく、「入社したあとにどうするか?」というところに持っていくと、内定ブルーが生じにくくなります。

まとめ

 内定ブルーとは、入社が近づくにつれて内定者に生じる“本当にこの会社で良いのか”という不安や迷い、悩みを指すもので、マリッジブルーの就活版ともいえるものです。

 内定ブルーの根底にあるのは「選択肢を失うことへの不安」であり、また、入社後の「人間関係への不安」「能力やスキルの不安」なども内定ブルーを加速させます。

 内定ブルーの緩和・解消をするには、「高い接触頻度」「疑問や不安の解消」「入社後イメージの具体化」という3つのキーファクターを意識しながら、内定者フォローの施策を実施していくことが大切です。

 具体的には、内定者研修や内定者コミュニティ(内定者SNS)、懇親会や座談会、内定者プロジェクトなどの施策を組み合わせながらフォローを続けていくとよいでしょう。

 内定者の負担を軽減するうえで、内定者フォローの施策は対面とオンラインのハイブリッド型にするのもおすすめです。

 ハイブリッド型を導入する場合は、以下の記事も参考にしてください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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