芝浜【人を残すvol.40】

2020/08/12

経営者向けメールマガジン「人を残す」fromJAIC

芝浜

お世話になっております。
株式会社ジェイックの高橋滉智と申します。

 

今となっては、何がきっかけだったのか
私は小学生の頃、落語に熱中していた時期がありました。

 

子供だったので
落語家の“語りの違い”を楽しむ
といったことは、できていませんでしたが

 

1話1話の、ストーリーそのものに魅力を感じ
様々な演目を調べては楽しんでいました。

 

そんな中でも、私が好きな演目に

「芝浜」

という、とても有名な演目があります。

 

それは、こんなお話です。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

あるところに、ろくに仕事もせず
酒を飲むのに明け暮れる魚屋の亭主・勝五郎
通称“魚勝”という男がいました。

 

魚勝はいつも酒を飲んでばかりで
いつまで経っても、仕事に出かけようとしません。

 

しっかり者の女房が、ついに見かねて
「お前さん、いい加減仕事に行っておくれよ」
と尻を叩き、魚勝はようやく河岸に出かけます。

 

渋々外に出てきた魚勝が
しばらく河岸を歩いていると
波打ち際に革財布が流れ着いているのを
見つけました。

 

中を開いてみると、なんと42両もあります。

 

「これだけあれば、しばらく遊んで暮らせる!」

 

魚勝は喜びながら帰宅し
このことを女房に報告すると
仲間を集めて、酒やご馳走を頼んで
どんちゃん騒ぎを始めます。

 

そして、そのまま良い気持ちの中
酔いつぶれて寝てしまいました。

 

翌朝、いつもと同じように
女房が魚勝を叩き起こします。

 

「お前さん、今日こそ仕事に行っておくれよ」

 

「バカか。もう働かなくてもいいんだ。
42両も拾ったじゃないか」

 

「何言ってんだい。そんなことあるもんか。
お金を拾った夢でも見たんじゃないの?」

 

女房は魚勝に
お金なんて拾ってきていないと伝え

 

魚勝も、拾ったはずの革財布を必死に探しますが
どこをどう探しても
ついに見つけることができませんでした。

 

「お金を拾った夢なんかを見て
浮かれちまうなんて
なんて情けない…」

 

女房に泣きながらそう訴えられた魚勝は
肩を落としながらも、自分の情けなさに改心し
その日からお酒をピタッとやめて
一生懸命に働くようになります。

 

それから3年後。

 

魚勝は、小さいながらも
若い衆を二人抱えるほどの
店を持つまでになっていました。

 

店も順調なある日の夜のこと。

 

いつものように二人で夕飯を食べていると
魚勝は、女房が何かを言いたそうにしている
ということに気づきます。

 

問い正してみると
女房が申し訳なさそうにしながら
奥から革財布を取り出してきます。

 

魚勝がそれを開けてみると
42両もの大金がありました。

 

「お前さん。3年前に
財布を拾ってきた夢を見たって
言ってたろ。
実はあれ、夢じゃなかったんだよ」

 

女房はそう白状し
涙ながらにいきさつを話します。

 

3年前、革財布を拾って帰ってきた魚勝が
どんちゃん騒ぎをして酔いつぶれて寝たあと。

 

女房はそのあまりの大金に
大家のところに相談に行ったそうです。

 

すると、大家からは次のように助言されました。

 

「拾った金を使わせたら、亭主は罪人になる。
金はお奉行所へ届けて、全部夢の中の話だった
ということにしちまえ」

 

そこで女房は、革財布を奉行所に届け
魚勝には、一世一代の大嘘をついたのでした。

 

しかし、3年が経ち
『落とし主現れず、拾い主のもとへ』
というお達しの下、はれて42両は
魚勝のものとなったのです。

 

魚勝は涙を流しながら打ち明けてくれた
女房の気持ちを思いやり
改めて礼を言います。

 

「お前が、あんな芝居を打ってくれなかったら
今頃、俺は罪人としてこの寒空の下
ガタガタ震えていたはずだ。

それに、前みたいにろくに仕事もせず
また酒ばっかり飲んでいただろうよ。

ありがとよ」

 

魚勝は自分を立ち直らせてくれた女房に感謝し
女房は、魚勝のこれまでの労をねぎらって
久しぶりに酒でもつけようかと言います。

 

「ねえ、お前さん、お酒飲もうよ。
もう大丈夫だよ、飲もうよ」

 

「そうかい、お前がいいっていうのなら」

 

魚勝は喜び、実に3年ぶりに盃を口元まで近づけ
これまでの苦労や頑張りを振り返ります。

 

「いやぁ、感慨深いね、、、
これまで酒を一滴も飲まず我慢して
頑張ってきたかいがあるってもんだ、、、」

 

しばらくの間があった後
寸前のところで盃を持った手を下して
飲むのをやめます。

 

そして、ひと言。

 

「よそう。また夢になるといけねえ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

一部、話がスムーズに伝わるよう
削ったり修正したりとさせていただきましたが
大きな流れは、上記のようになります。

 

この演目は、最後のセリフを聴くときの
心地よさもさることながら

 

個人的には
魚勝が改心するという、ハッピーエンドが
なによりも好きな理由としてあります。

 

魚勝はこの3年間
お酒を断ってまで本気で仕事に励み
その結果として見事
充実した生活を手に入れています。

 

その成功体験や、継続してきたことによる
自己肯定感が、本人の行動を更に後押ししたのは
言うまでもないかと思いますが

 

何より、それらの支えとなってくれた
女房に対する“期待にこたえたい”という想いも
大きな力となったのではないかと
無粋かもしれませんが、考えてしまいます。

 

自分に置き換えてみると
やはり、無機質な数値目標をただ追うよりも

 

「お世話になった上司の期待に応えたい」

 

「ここまで一緒に手伝ってくれた
メンバーに喜んでほしい」

 

と考えられている時の方が
モチベーションもパフォーマンスも
高く発揮できるように感じます。

 

そして反対に、自分の部下には
“期待にこたえたい”と思ってもらえるように
接することが出来ているか。

 

そのように考えることも
できるかもしれません。

 

今のような時期は、環境が変わったり忙しくて
コミュニケーション量が減ったりしがちですが、
この話には、自身のコミュニケーションについて
考える上でのヒントがありそうな気がします

 

今週は以上となります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

著者情報

高橋 滉智

株式会社ジェイック マーケティング開発部 教育事業管轄 リーダー

高橋 滉智

元日本マイクロソフト執行役員の越川慎司氏やソフトバンク元社長室室長 嶋聡氏の講演を主催。教材事業・セミナー事業の責任者を経て、現在は、教育・研修事業のマーケティング責任者として企画やプロモーションまでを担当。

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